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第393話 百個のオートスキルと運命の力

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 単純に【神】の数で言えば、こちらが二人。向こうが一人。圧倒的に有利。形勢逆転にして、大チャンス。この機を逃すわけにはいかない。

「フォル……いや、フォーチュン! 力を貸してくれ」
「もちろんです。盟約に従い、アルクトゥルス、貴方に助力します」

 フォルを大切にして良かった。
 もし、フォーチュンの気の触れる事態になっていたら――いや、でもフォルとは散々、えっちな事をやった気もするけど! まあ、そこは愛があるからいいのだ!

 フォーチュンとの記憶は皆無だが、フォルとの思い出はたくさん。きっとその分、味方してくれると信じている。そうだよな、フォル。


「助かるぜ、フォーチュン!!」
「バテンカイトスと魔法使いジェニシスの動きを止めます」
「分かった。俺も【超覚醒・オートスキル】を任意で発動する」


 状況は、拮抗。膠着こうちゃく状態。
 このままでは単純に魔力が切れた方が負け。だが、その魔力も互いに無限に等しい。いつまでこの状態が続くやら。ならば、以降は力比べとなる。

 そう、スキルの多重掛け。
 俺は単純にスキルが多いから有利のはずだ。高火力のスキルを乱発していく――!!


 発動中の『ミレニアムエンデュランス』を【オートスキル】モードに移行。自動に任せ、俺は素早く後退。距離を取り、魔力を増幅させる。


 これでいく……!


 右手に『黄金』の光を溜めていく。
 今頃戦っているはずのアーサー達の象徴。騎士王の栄光。アーサー、俺に力を貸してくれ……!!



究極覚醒聖槍アルティメット・ロンゴミニアド!!!』



 黄金の槍を穿ち、敵の『闇』を消し去っていく。金色の輝きはどんどん広まって敵の攻撃を押し返していった。効果は抜群だな。


「……馬鹿な。スキルをもうひとつ発動した……だと。これが『理』の力だというのか……!!!」


 俺の圧倒的な力に、ついに天帝は膝をつく。
 だが、これだけでは終わらない。
 フォーチュンがいつの間にか宙に舞い、かなりの高度を保ってスキルを放った。



『コズミックドゥーム!!』



 いつもの『奥義』ではなく、フォーチュン独自のスキルが展開された。真っ白な閃光が瞬く間に闇を押し返す。なんて力だ……!


「おのれ、フォーチュン!」


 やはり、天帝も『フォーチュン』を理解しているようだな。魔法使いのフォースを守りながら、必死に抵抗している。まだ足掻くか!

 ならば、俺はどんどん【オートスキル】を発動していく。ひとつ、ふたつ、みっつ……加速していくスキルの数。十、二十、三十と普段使わないようなマイナースキルまで混ぜていく。


「これで、どうだッ!!!」

「――あぁ、認めよう。お前は確かに『理』であり……神王【アルクトゥルス】であるとな!! だが……俺はそれでも諦めないッッ!!」


 まるで俺と同じように『怒り』を爆発させる天帝。あのしぶとくも執念深く、それでいて仲間を守るあの姿勢……まるで自分を見ているようだった。

 アイツは……本当は悪いヤツではないかもしれない。でも、それでもだ。



 とうとう『百個のスキル』に到達しようとし、俺の完全勝利が見えてきた。


「これで、最後だああああああっ!!!」

「くそぉぉおおぉぉぉぉぉぉおお!!!」


 あと一歩で天帝をぶちのめそうな――その時。



『カチッ……』



 そんな不思議な音がこだました。

 直後、俺とヤツの『闇』が消えてしまう。それどころか、天帝の――いや、ユメが必死に守っていた魔法使い・フォースが人質に取られていた。


「なっ……なぜ、お前が!!」


 俺はビビった。
 この【死の要塞国・デイ】に何故、ヤツの姿が!! いや、ありえる話ではあった。あの金髪、鋭く光る赤眼の男は間違いない。


「なぜって? なぁに簡単な話さ……そこの天帝を殺されては困るからだよ」

「お前……時の魔法使い『ラグラス・アドミラル』!! どういう事だ!!」



「フフフ、フハハハハハハハ……!!!」



 不敵に笑うラグラス。
 この男……!!!
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