382 / 478
第382話 死の要塞国・デイ
しおりを挟む
乾かすのにそれほど苦労はなかった。
ただし、今俺の横を歩くフォルは……穿いていない。そのままの状態でメサイア達と合流を果たす。
「遅かったわね、サトルとフォル」
「あはは……メサイアの方は待ってくれていたんだな。いや、すまん……ちょっと色々あってな」
「いろいろ?」
「き、気にするな!」
フォルは顔を真っ赤にして俯いた。
さすがの彼女もノーパンは恥ずかしすぎるらしい。もうさっきから言葉すら出ていない。
「フォルちゃん、大丈夫~?」
リースは不思議そうにフォルの顔を覗く。けれど、視線を合わせずスリットを押さえるので必死だ。おいおい、逆に怪しまれるだろうが。
仕方ない、この俺が助けてやろう。
「リース、悪いんだがフォルは今、ノーパンでスースーしているんだ」
「「「え!?」」」
皆驚いて振り向く。中でもフォルが涙目で訴えて来た。多分……「なんでバラしたんですかぁ!!」と憤慨しているに違いない。と、思ったが、涙目ながらも何だか嬉しそうだぞ。だめだコイツ……早くなんとかしないと。
◆
【死の要塞国・デイ】
ついに俺達は、巨大塔の前に辿り着く。
寒々とした空気が場を包み、緊張が走る。
「サトル、これが死の招待状よ」
メサイアから黒い封筒を受け取る。これこそが『死の招待状』だ。この死の要塞国に入る為の鍵だ。これがないと入れないらしい。
そもそもこの塔に入り口も無ければ、侵入できそうな穴さえも無いのだ。つまり、この招待状を使う他ないという事なのだ。
「この時が来たな。メサイア、フォル、リース……心の準備は出来ているか?」
俺は三人に問う。
装備やアイテムも万が一に備えて揃えてある。後は、皆の覚悟だ。この先を進むか――否か。
「私は何があってもサトルの傍にいるわよ。だって、女神だもん」
そうメサイアは当たり前のよう言った。そうだな、そうだった。
「兄様、もうココまで来たんですよ。今更引き返せません」
そこそこ苦労して辿り着いたしな。フォルのお漏らし事件もあったけど。
「参りましょう。あたし、ちょっと怖いですけど、サトルさんとなら大丈夫です」
リースに震えはない。彼女も成長したな。昔はここまで積極的ではなかったが、今は違う。
「よし、招待状を使う。この塔に侵入するぞ!」
――俺はついに『死の招待状』を使用した。
◆◇◆◇◆
暗闇が漂う迷宮の中にいた。
視界は悪くて、何処に何があるのか分からない。適当に手を伸ばすと、柔らかいモノに触れたような気がした。
「あ、兄様! そ、そこぉ……」
「そこぉ!? これは、フォルのどこの部分だ!?」
「ぁ……、ん」
なんだか艶めかしい声をお出しになられるフォル。明らかにいつもと違う甘い声だった。……って、ダメだろうが!! どこの部位か分からんが、俺は手を離した。てか、俺は本当にフォルの何処かに触れていたのだろうか? それにしても、妙な感覚だった気がするが。
それから【オートスキル】を任意で発動させ、血の煉獄を制御しつつ灯り作った。簡易的な松明ってヤツだな。
「おぉ、フォル。って、大丈夫か?」
「……はい。あのぅ、兄様。続きまた後で」
「続きィ!?」
もう何の事だか分からない。
俺の指先にほんの少し粘り気があるような気はするけど……ま、まさかなぁ……。
視界不良で見えてなかったし、真相は闇の中だ。確かめる術はない。まあいい、それよりメサイアとリースだが。
「メサイア……おお、いたいた。リースを抱えてくれていたのか」
「いきなり飛ばされるんだもの。怖いって。でも、ここが『死の要塞国』なのね。何も見えないじゃない……闇の国なのかしら」
かもしれないな。アーサーが言っていたが、国はそれぞれの属性があるって言っていた。遥か昔、この世界は『火』、『水』、『地』、『風』、『光』そして『闇』の六つの国があったらしい。
これ以上の詳しい事は知らんけどな。
もし、もしもだ。
天帝の力で闇の国が再現されているのだとすれば、ヤツはとんでもない力を持っている――という事だ。いや、そうなのだろう。俺は何度か天帝と矛を交えている。あの力は本物だった。
闇使いだった。
「なんであれ……この塔の天辺には天帝がいるのだろうな。漂う瘴気のような闇は間違いない。俺が感じたモノと同等だ。皆、警戒しつつ上を目指す」
よく見れば、上へ果てしなく続く螺旋階段があった。幅はアホみたいに広く、途中途中に街のようなものが見えた。なんだ、この塔の構造。
「これは凄いわね。女神や死神族ですら、こんな建造物は作れなかった。でも、天帝ってヤツはこれを作ってしまったのよね」
元死神であり、女神であるメサイアが溜息をつく。そうだな、これ程のモノを作るヤツだ。きっと何か意図があって、こんな世界に作り替えちまったんだ。だけど、俺は絶対に許さん。未来を、全てを奪った天帝を。
「あ、サトルさん。ここって『一階』のようです。ほら、階段の横にプレートが埋め込まれています」
リースの言う通り、そう刻まれていた。
なるほど、階層があるらしいな。
この感じだと『千階』あるいは『一万階』はあるといってもいいだろう。いいぜ、登り切って見せる――頂上までな!
ただし、今俺の横を歩くフォルは……穿いていない。そのままの状態でメサイア達と合流を果たす。
「遅かったわね、サトルとフォル」
「あはは……メサイアの方は待ってくれていたんだな。いや、すまん……ちょっと色々あってな」
「いろいろ?」
「き、気にするな!」
フォルは顔を真っ赤にして俯いた。
さすがの彼女もノーパンは恥ずかしすぎるらしい。もうさっきから言葉すら出ていない。
「フォルちゃん、大丈夫~?」
リースは不思議そうにフォルの顔を覗く。けれど、視線を合わせずスリットを押さえるので必死だ。おいおい、逆に怪しまれるだろうが。
仕方ない、この俺が助けてやろう。
「リース、悪いんだがフォルは今、ノーパンでスースーしているんだ」
「「「え!?」」」
皆驚いて振り向く。中でもフォルが涙目で訴えて来た。多分……「なんでバラしたんですかぁ!!」と憤慨しているに違いない。と、思ったが、涙目ながらも何だか嬉しそうだぞ。だめだコイツ……早くなんとかしないと。
◆
【死の要塞国・デイ】
ついに俺達は、巨大塔の前に辿り着く。
寒々とした空気が場を包み、緊張が走る。
「サトル、これが死の招待状よ」
メサイアから黒い封筒を受け取る。これこそが『死の招待状』だ。この死の要塞国に入る為の鍵だ。これがないと入れないらしい。
そもそもこの塔に入り口も無ければ、侵入できそうな穴さえも無いのだ。つまり、この招待状を使う他ないという事なのだ。
「この時が来たな。メサイア、フォル、リース……心の準備は出来ているか?」
俺は三人に問う。
装備やアイテムも万が一に備えて揃えてある。後は、皆の覚悟だ。この先を進むか――否か。
「私は何があってもサトルの傍にいるわよ。だって、女神だもん」
そうメサイアは当たり前のよう言った。そうだな、そうだった。
「兄様、もうココまで来たんですよ。今更引き返せません」
そこそこ苦労して辿り着いたしな。フォルのお漏らし事件もあったけど。
「参りましょう。あたし、ちょっと怖いですけど、サトルさんとなら大丈夫です」
リースに震えはない。彼女も成長したな。昔はここまで積極的ではなかったが、今は違う。
「よし、招待状を使う。この塔に侵入するぞ!」
――俺はついに『死の招待状』を使用した。
◆◇◆◇◆
暗闇が漂う迷宮の中にいた。
視界は悪くて、何処に何があるのか分からない。適当に手を伸ばすと、柔らかいモノに触れたような気がした。
「あ、兄様! そ、そこぉ……」
「そこぉ!? これは、フォルのどこの部分だ!?」
「ぁ……、ん」
なんだか艶めかしい声をお出しになられるフォル。明らかにいつもと違う甘い声だった。……って、ダメだろうが!! どこの部位か分からんが、俺は手を離した。てか、俺は本当にフォルの何処かに触れていたのだろうか? それにしても、妙な感覚だった気がするが。
それから【オートスキル】を任意で発動させ、血の煉獄を制御しつつ灯り作った。簡易的な松明ってヤツだな。
「おぉ、フォル。って、大丈夫か?」
「……はい。あのぅ、兄様。続きまた後で」
「続きィ!?」
もう何の事だか分からない。
俺の指先にほんの少し粘り気があるような気はするけど……ま、まさかなぁ……。
視界不良で見えてなかったし、真相は闇の中だ。確かめる術はない。まあいい、それよりメサイアとリースだが。
「メサイア……おお、いたいた。リースを抱えてくれていたのか」
「いきなり飛ばされるんだもの。怖いって。でも、ここが『死の要塞国』なのね。何も見えないじゃない……闇の国なのかしら」
かもしれないな。アーサーが言っていたが、国はそれぞれの属性があるって言っていた。遥か昔、この世界は『火』、『水』、『地』、『風』、『光』そして『闇』の六つの国があったらしい。
これ以上の詳しい事は知らんけどな。
もし、もしもだ。
天帝の力で闇の国が再現されているのだとすれば、ヤツはとんでもない力を持っている――という事だ。いや、そうなのだろう。俺は何度か天帝と矛を交えている。あの力は本物だった。
闇使いだった。
「なんであれ……この塔の天辺には天帝がいるのだろうな。漂う瘴気のような闇は間違いない。俺が感じたモノと同等だ。皆、警戒しつつ上を目指す」
よく見れば、上へ果てしなく続く螺旋階段があった。幅はアホみたいに広く、途中途中に街のようなものが見えた。なんだ、この塔の構造。
「これは凄いわね。女神や死神族ですら、こんな建造物は作れなかった。でも、天帝ってヤツはこれを作ってしまったのよね」
元死神であり、女神であるメサイアが溜息をつく。そうだな、これ程のモノを作るヤツだ。きっと何か意図があって、こんな世界に作り替えちまったんだ。だけど、俺は絶対に許さん。未来を、全てを奪った天帝を。
「あ、サトルさん。ここって『一階』のようです。ほら、階段の横にプレートが埋め込まれています」
リースの言う通り、そう刻まれていた。
なるほど、階層があるらしいな。
この感じだと『千階』あるいは『一万階』はあるといってもいいだろう。いいぜ、登り切って見せる――頂上までな!
0
お気に入りに追加
1,269
あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる