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第372話 レベル8600 - ゾンビゴブリン襲来!! -

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 ゾンビゴブリンは、[アナザー]属性が付いているようで、そのレベル8600と高い。だが、前に戦闘を交えたレンテーゾンビの比べればそれほど脅威ではない。

 脅威ではないが……


「敵の数が多いわよ。数がある分、厄介ね」


 そう、メサイアの言う通り如何せん数が多い。でもそれだけだ。ゾンビゴブリンの不死属性攻撃さえ気を付けていれば問題ない。


「なあに、焦るなって。まだ慌てるには早いぜ」
「けど……」


 俺はフォルに指示を出した。



「お任せください……グロリアスエクソシズムッ!!」



 フォルは左手をかざし、天から対不死属性の聖属性魔法を放った。詠唱もないので、一瞬で落下する聖なる光はゾンビゴブリン[アナザー]へ激突。



『ヴヴァァァァァ…………』



 じゅわじゅわっと浄化されていく。
 光がどんどんゴブリンゾンビの数を減らしていくが、生き残りがこちらへ突っ走ってくる。ここで俺の出番というワケだ。



「数は数百って所か。これなら動くまでもない。みんな、俺から離れるなよ」



 堂々と立ち尽くせば敵の脅威判定に反応し【オートスキル】が発動する。……これは驚いた。比較的新しいスキルが飛び出た。



『クリムゾンブレイク――――!!』



 十八番である『血の煉獄』以上の赤い炎が飛び出る。本来これは槍スキル専用なのだが【オートスキル】に限っては発動する。


 真っ赤な炎はゾンビゴブリンを包み上げ、焦がす。



『ギェェェェェェェェェェ…………』



 海のように広がっているく炎。ヤツ等は一匹たりとも俺達の方へ近づけないし、攻撃すら出来なかった。



『グロリアスエクソシズム!!』



 フォルの聖属性攻撃も続く。

 更にそこへメサイアの女神の力。



『マッサージヒーリング……!』



「おぉ、なんだこの光! メサイアの肩がピカピカ光って、なんだかマッサージのように気持ちよさそうだぞ――って、まんまじゃねーか!!」


 どうやら肩凝り解消スキルらしい。


「あ~気持ちい。これ最近こっそり使っているんだけどね~」

「うぉい! こんな時に無駄な魔力使うなー!!」


 気持ちよさそうにしやがって、あとで俺にもしてもらおう。とりあえず、駄女神は放置しておき、俺は戦闘を続けた。


「少しずつゾンビゴブリンの数が減っている。……む、背後から気配!」


 どうやら上手い事抜けてきたゴブリンが襲来したようで、フォルを狙っていた。俺は黄金の槍を生成し、ブン投げた。


「――――うぉりゃあぁッ!!」


 黄金の軌道を描く槍は、ゾンビゴブリンの頭を貫き塵に変えた。事態に気づいたフォルは、ぶわっと泣き出して俺の方へ飛びついてくる。



「兄様、兄様ぁぁぁん。怖かったですぅ!!」

「うわぁ、フォル! 今は飛びついでくるな! 胸をわざとらしく押し付けるな!! 戦闘中だ、戦闘中だぞ!」

「だってだって、あのまま襲われていたら、わたくしの修道服がビリビリって激しく♡ いやらしく♡ 破られて、とんでもない事になっていたのかもしれませんよ!? 兄様は、わたくしが裸に剥かれて、凄い事になっても良いと仰るのですか!?」


 なんで剥かれる前提なんだよ……!

 このヘンタイ聖女が……(誉め言葉)


「いいから抱きつくなって」


 俺はフォルの腰を持ち上げ、引きはがした。


「あぁん……♡」
「あとで可愛がってやるからさ。頼むから、聖属性攻撃を継続してくれ。じゃないと、こっちが全滅だぞ」

「分かりました♡」


 フォルは戦闘を継続した。

 相変わらずメサイアは肩凝りを治療しているし、役に立たん。リースも親父さんの裸体がトラウマとなって気絶中。ここは俺が活躍するしかないってわけだ。



「いい加減、ゴブリンのグロ顔を見るのも見飽きたぜ! これで終わりにして、さっさと先へ向かう」


 今こそ槍の力を解放する……!

 その間にもゾンビゴブリンが押し寄せて来ようとしていたが、フォルのグロリアスエクソシズムで浄化されまくっていた。それでも押しのけてくるゴブリン。


「俺達の道をはばむんじゃねぇッ!!」



 力を増大させ、俺は槍をブン投げた。




『真・覚醒聖槍・ロンゴミニアド――――――!!!』




 群れの一番集中しているところに打ち込み、黄金の光を広がせた。一気にゴブリンは消滅し、灰燼かいじんと化していく。

 そこへグロリアスエクソシズムもあって、どんどん数を減らす。



『今よ、シュネーヴァイス!!!』



 で、メサイアが何故か走り出して、女神の力が――



「ってうぉぉい!! 美味しい所を持っていくんじゃね~~~~~~ッ!!!」



 ドンと白き力が広がって、ゾンビゴブリンを一掃しやがった。


「いえーい!」
「いえーい、じゃねぇよ!?」


 俺はメサイア頬を一応、優しく引っ張った。


「ふぇええええええええッ!! ふぃたい、ふぃたいふぉぉぉぉ…………」

「メサイア~、お前なぁ……こんな時ばかり活躍しやがってぇ」

「ヒ、ヒーローは最後に遅れてやって来るものでしょ?」

「肩凝りのヒーローがどこにいる」

「ご、ごめんってば……。お詫びに何でもしていいから」


 申し訳なさそうに身体を差し出すメサイアさん。……いや、差し出すなよ。俺は丁重にお断りした。その時だった――。



「ば、馬鹿な……ゾンビゴブリンが……全滅だと……!!」



 仮面をつけた男が現れ、焦っていた。
 しかも男の胸部には、俺の黄金の槍が見事に突き刺さっていた……アレ、いつの間に貫いていたんだ!



「あんた……」

「げふぉっ……!! しかも、何故か黄金の槍が私の胸を…………」



 パタっと男らしき人物は倒れて死んだ(?)


「ちょ、ちょっと、サトル。あの人……」
「ん、メサイア、知ってるのか?」


「あの気持ち悪い仮面は間違いないわ。レクゥィエスカト・イン・パーケよ!!」

「え……ええッ!?」


 まさかのパンケーキ野郎だったか!!


 なんか知らんが俺がトドメを刺していたらしい。なんだ、美味しいところ俺が取っていたんじゃん。


 クソッ、そうと分かっていればメサイアを好きにすれば良かったなぁ……ちょっと後悔したぜ。


「……サトル。今、私を好きにすれば良かったと思ってるわね。やらしい」
「うぐっ……」


「けどいいわ。だって、わたしはサトルを愛してるもの」
「お、おう」

 なんだか照れるな。


「あぁ~! 姉様、ずるいです。わたくしだって兄様を心より愛していますよ~」
「フォル、悪いわね。今はサトルを占有するわッ」


 メサイアが抱きついてくる。
 さっきのお詫びのつもりらしい。
 ……まあ、それならいいか。


 ――さてと、パンケーキをどうするか――
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