全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第371話 死の要塞国・デイを目指せ!

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 ――死の招待状。
 黒い封筒の中に黒いカードが入っている。赤い髑髏ドクロマークの趣味の悪いイラストが描かれていた。どうやら、これさえあれば【死の要塞国・デイ】へ入国できるようだな。


「死の要塞国は、どこにも扉がなくて絶対侵入不可能な巨大塔……招待状これさえあれば中へ入れるってわけだ」

「そうね。あそこには天帝が根城にしてるって噂もあるし、入ってみる価値はあると思うわ。でも……」


 メサイアは少し俯いていた。
 なにか心配事でもありそうな顔だ。


「どうした」
「この死の招待状って二枚も届いたのよね」
「ああ、ネメシアの方にもある。これは罠の可能性が非常に高いだろうな」

「どっちでいくつもり? サトルの方? それとも、聖女ヘデラの方?」


 真剣な眼差しを向けられ、俺は悩む。悩んで悩んで悩みまくった結果……!


「こっちで行く。もし仮に天帝がいて……決着をつけるのなら、俺の方がいいだろう。ネメシアをこれ以上、巻き込みたくない」


 椅子に座っているメサイアは立ち上がって、俺の方へ詰め寄ってくる。


「サトル、ネメシアはとっくに巻き込まれてるわよ。ヘデラで同時に守りなさい。いいわね」
「……ああ、分かった」


 約束を交わすと、フォルとリースがキョトンとした表情で現れ、まずはフォルが口を開いた。


「兄様、あのぅ……お取込み中です?」
「いや、問題ない。それより、死の要塞国・デイへ向かう! 天帝がいるなら、ヤツを叩く。だが、その前に道中にあるらしいエロスでアーサー達とも合流する……みんな、いいな!」


 目的をハッキリさせると、リースが懐かしそうにうなずく。


「そうですね。アーサーさん達は各地の元聖地を奪還すべく動いていますから、そろそろ半分は取り戻したんじゃないかと思います。世界ギルドやグランドクロスの助力もありますし」

「そうだな、そのグランドクロスとやらも会っておきたいな。どれほどの戦力なのか気になるし。リース、エロスまでワープとかテレポートは可能か?」


 リースは首を横に振る。


「残念ながらエロス付近は、テレポート禁止領域なんです……。というのは、スターゲイザー対策ですね。ほら、あの子……亡霊のセルリアちゃんの件があったから、それでテレポート類は出来ないよう、サイネリアさんが対応したようです」

「サイネリアがね、そういえば今どこにいるんだか」


 最近姿を見ない。何故かサイネリアの下僕と化しているグーパーコンビも。ていうか、アイツ等いつの間にそういう主従関係になったんだかなあ。今度聞いてみるか。

 なんて思っていれば――


「サイネリアさんは、エロスにいるようですよ、兄様」
「マジかよ。じゃあ、エロスに行く意味はありそうだな。メサイア、エロスまではどう行けばいい?」


 話を振ると、メサイアは腕を組み悩んだ。あの面倒そうな表情からすると……徒歩しかなさそうだな。


 と、そんな時だった。


 コンコンと扉をノックする音が響く。リースが「は~い」と返事をして玄関へ向かって対応するが――



「…………ひゃぁッ!?」



 その相手を見て、リースは驚愕していた。

 ……え?


 俺もメサイアも、あのフォルでさえ驚いた。その人物に。



「あ……!?」



 まさか此処ここへやって来るとはなあ。


「お、お父さん…………」


 ガクガクブルブルと顔を青くするリース。そう、相手はリースの親父さん――ベラドンナ。昔と変わらず『ふんどし一丁』で出現した。


 酷く懐かしい光景だけど、さすがに俺含め一同絶句。


 リースはブクブクと泡を吹いて、直立不動でぶっ倒れそうに――いかん! 俺が彼女の身体を支えた。


「リース! 大丈夫か、リース!」


 ……全然大丈夫じゃないね、コレ。


「……うぅ」


 さすがのフォルもドン引き。
 顔があんなに引きってるとは珍しい。俺の腹筋は大好きでも、他人の腹筋ですらない裸体は生理的に受け付けないようだ。我儘わがままな聖女めッ。


「ああ、もう、リースのお父さんは相変わらずね……」


 メサイアも頭を抱えていらした。


「やあ、久しぶりだね、サトルくん!! 娘がいつもお世話になっている」
「え、ええ……こちらこそ。いやぁ本当に久しぶりですね、まさか、ふんどし一丁だとは思いませんでしたが」

「あぁ、これは止められなくてね。それより、エロスへ行きたいんだって?」


 な、なぜそれを……とか聞くのは、なんだか面倒を釣り上げる気がして、俺は自重した。


「ええ、まあ」
「そうかそうか。ならば、この私が連れていってやろう」
「え、お義父さんが?」

「うむ。この私ならエロス付近まではテレポートしてやれる。ちなみに、お義父さんか……実にいい響きだ。サトルくんになら、リースを任せられる。うんうん」


 一応公認。
 以前、アヴァロンで色々事件を解決した時にお墨付きとなったな。


「本当ですか!? じゃあ、テレポートをお願いします!」


 俺は気絶しているリースを背負って、超ドン引きしてるメサイアとフォルを手招きした。……ダメだ、近寄ろうとしやがらねぇ!


「フォル、腹筋触らせてやるぞ」
「いやっほおおおおおい♡」


 めっちゃ喜んで俺の方へ抱きついてきた。

 ……ふっ。


「メサイア、お前は最高の女神だ。世界一だ」
「サトル愛してるー!!」


 こちらも喜んで接近してくれた。


 ……ふっ。
 ちょろくて助かったぜ。



「オホン。では、皆を飛ばすぞ……黄泉の門を開く。我が理に応え、冥界の扉よ、ここに顕現せよ!! テレポート!!」


 なんだその謎詠唱ー!!



 ピカ~~~~~~ン★



「……うおっ、まぶし!!」



 ◆


 リースの親父さんの力でテレポートを果たした俺たちは、どうやらエロスの結構近いフィールドエリアに飛ばされたようで――



『キキキキ、ケケケケケケケケケ…………ッ!』



 なんと、ゾンビゴブリン数千体に囲まれた。



「なんじゃこれえええええええええええええええええええええ――――――ッ!!!」



「サトル!」

 凍り付く女神のメサイアさん。


「あ……兄様ぁ……」


 涙目の聖女フォルトゥナさん。


「…………」


 相変わらずポックリ逝ってるエルフのリースさん。




 絶体絶命のピ~~~ンチ……って程でもねぇな。


「フ……フフフ、超絶面倒だが、ぶっ倒すしかねぇよなァ!! メサイア、フル支援で頼む。フォル、相手は不死属性モンスターだ。最強の聖属性魔法・グロリアスエクソシズムが有効なはず。遠慮なくぶっ放せ!!」


「ええ、女神の力見せてあげるわ!!」


 メサイアから白き力を戴いた。
 これで俺の火力は倍増だ。


 それから――


「わたくし、久しぶりに覇王系スキルではなく……聖女としての力を行使させて戴きます……ッ! 後方はお任せ下さい、兄様」


「ああ、リースを頼む。俺は露払いを務めるから、頼んだぜ――【オートスキル】セット!!」



 ――と言っても、俺はこの場から動かなくてもいいけどな! あの程度のモンスターなら自動瞬殺モードで十分だな。
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