全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第369話 聖属性攻撃で迎え撃て - 爆走レンテーゾンビ軍団現る -

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 雲一つない夜空には、不気味なバイオレットの光を煌々こうこうと放つ月があった。


『グゥゥゥ……、グゥゥゥ……』


 葡萄ぶどう色の月明かりに導かれるように、無数のゾンビ達がレメディオス全体を囲う。以前、神聖国ネポムセイノがギガントゴーレムを囲わせたように、同じような現象が今宵こよいも起きていた。


「……死のニオイだ」


 俺はポツリとつぶやく。

 男の姿を【スターダスト】で取り戻し、早一日。俺は深夜の散歩に出ていた。ほんのひと時の物見遊山のつもりが、それがどうして――トラブルが発生した。


「毎度の事ながら溜息ためいきしかでねぇ~…。あー、面倒くさい」


 とは言ったものの、放置もマズイ。
 このままレメディオスに入られでもすれば、住民をガブリとひとみされ――仕舞しまにはゾンビを増やすなんて大惨事になりかねない。


 ただでさ、あのゾンビは爆走・・する。
 かなり早い。真面目に早い。
 あの世界最速の男・ウサミミボルトをしのぐと聞く。


 どんだけ早いんだよ……!
 

「レンテーゾンビね。普段は難易度の高いダンジョンにしか生息しない超高レベルのアンデッド系モンスター。Lv.25000もあるというボスと変わらない扱いね。弱点はもちろん聖属性攻撃。私やフォルなら、あれを浄化できるわ」


 淡々とゾンビについて説明してくれる女神・メサイアは、拳を握り、自信満々にニヤついた。あんな軍勢を前に怖気づかない所は、さすが女神と言ったところだ。
 その勇気に敬意を表し、俺はさっそく黄金の槍【ロンゴミニアド】を生成した。


「説明ありがとな。とりえず、黄金の光で周囲が見やすくなったな」

「冗談言ってる場合? このままだと皆ゾンビになっちゃうわよ~。まあ、これを放った元世界ギルドのメンバー『レクゥィエスカト・イン・パーケ』という男の仕業だけどさ、アイツはスパイだったみたい」


「……すまん、もう一度頼む」


「え? えっと、レクゥィエスカト・イン・パーケよ」

「なにパンケーキ?」


「違うわよ、レクゥィエスカト・イン・パーケ! なんとね、ちゃんと意味のある名前なのよね。意味は『死者に安らかな眠りを』らしいわ」


 ドヤッと自慢げにするメサイアだが、俺はちっとも悔しくなかった。むしろ、その色っぽいドヤ顔にゾクッと来たくらいだ。


「なるほどね、意味は分かったよ。で、その男が何処に居るかだ」
「残念ながら居場所までは……。でも、これを何とかしないと死の要塞国とかエロス行く前に全滅よ」


 ――とか言いながらも、メサイアは女神の白き力を解放していた。なんだ、やる気満々じゃないか。であれば、俺も。


「メサイア、お前から頼む。フォルやリースは別の場所を担当しているからな、こっちは女神の力でいく」

「ええ、任せて頂戴! あんな走るだけしか能がない雑魚ゾンビなんて、私の女神の力でイチコロよ」


 現在、安全地帯である高台。
 レメディオスには、いくつもの高い壁があってそれで守られている。だから、ゾンビも容易には入って来れない。

 だが、あの数だ。

 押し切られれば、壁崩落なんてシャレにならん自体になりかねん。



『――――シュネーヴァイス!!!』



 手を広げ、白き光を落とすメサイアは、どんどんゾンビを浄化していった。ジュワッと溶けていくゾンビは耳に残るような断末魔を上げて天に召していく。



『ギョェェェェェェェ……』



「うーん、さすがに数が多いな。メサイアの女神の力だけじゃ無理か。反対方向は、フォルのグロリアスエクソシズムが大炸裂している頃合いだ。リースの大魔法もな」


 思えば、俺は聖女で来た方が良かったのではないだろうかと、思ったが時既に遅し。男の、この『彼岸花 理』本来の姿でいく。


 いやぁ、この前は死神王に身体を吹っ飛ばされて大変だった。でも今は、生まれ変わったように元通り。まさか肉体を再生できるとは思わなかったけど、さすが万能の星屑【スターダスト】である。



「っしゃぁ! メサイア、俺も手伝うぜ」
「お願い……このままだと力が持たないわ。ちょっと魔力回復ポーション飲んでくるっ」

 女神専用スキル『ホワイト』に手を突っ込むメサイアは、魔力回復ポーションをいくつも取り出した。そして、それを一気にガブ飲み。


「ぷっは~~~!! まずいわ!! もう一杯!!」


 よし、俺はこの間に――




『真・覚醒聖槍・ロンゴミニアド!!!』




 キラキラ輝く金色の塊をゾンビの群れに向けて投下する。一瞬で到達した槍は、黄金の爆発を起こし、連鎖していく――!!



 ちなみに、これは立派な聖属性攻撃なので、こうかはばつぐんだ!! などと、ふざけている場合ではないっ。


「メサイア! 頼んだぜ!!」

「ええ、十分な魔力を回復したわ! これでトドメよ……!」


 本気モードとなったメサイアは、手に力を篭めた。……ま、まさか、例のアレを発動する気か……!?


 まてまて、ここでアレを発動すれば…………まあいいか!



『シャイニング・ブレイズ・インフィニティ・ゴッドフィンガァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!』



「――――へ」




『ドドドドドドドドドドドドドド、ドゴォォォォォォォォォォッ~~~~~~!!!』



 と、白い光が百裂拳ばりに吹っ飛んでいく。マテマテ。そんな技は初めて見た。てか、『インフィニティ』ついてるし。どういうことー!


 メサイアの白い炎をまとった無限拳インフィニティは、ゾンビを駆逐。問答無用で消滅させていき、塵も残らず全滅させた。


「メサイア、お前凄いな」

「やったわ! どう、サトル。私もたまには役に立つでしょう!?」

「ああ、ぐぅたら面倒臭がり女神だと思っていたけど、たまには役に立つな。たまには!」


「ちょっと……たまにはって言いすぎじゃない!」


「冗談だよ、冗談。メサイアは超凄い!!」

「やったー!!」



 喜んで抱きついてくるメサイアを俺は受け止めた。チョロくて助かるわ。



 ◆◇◆◇◆



 ――――一方その頃、レメディオス北北西のとある場所に『レクゥィエスカト・イン・パーケ』はうずくまり、頭を抱えていた。



「クソ、クソ、クソォッ……!!! 私のゾンビ軍団が一瞬で消滅だとぉ!? ふざけるなあああああ、うああああああああッ!!」



 あまりに刹那でゾンビが消え去った為、レクゥィエスカト・イン・パーケは怒りと悔しさで発狂寸前だった。


「おのれ、おのれ、おのれえええッ……! せっかく世界ギルドに潜入し、信頼を勝ち取り……天帝様に情報を横流ししまくっていたというのに!! これではこれではこれではあああああああ!! 大幹部になる夢が潰えてしまう……次のプランだ。死の要塞国へ……導くしかない!! フフフフフフフ、フハハハハハハハ……!!!」
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