364 / 431
第364話 レメディオス騎士団 - 悪の組織ヒュドラと共謀? -
しおりを挟む
エコの偵察を待つ間、俺たちはレメディオスを少し歩き、目を光らせた。
「今のところ異常はなさそうだな。住人も困った感じはない」
「そうね、ヒュドラらしきメンバーも見かけないわね」
ネメシア、トーチカと周囲を警戒していれば、しばらくしてエコが帰って来た。
「早いな、もう偵察完了か」
「ええ、テレポートしましたからね」
なるほど、それなら一瞬だ。
わざわざ走っていく必要もないしな。
手っ取り早くていい。
「――で、どうだった?」
「大きな変化はありません。ただ……」
「ただ?」
「ローブを羽織っていたので、顔までは分りませんでしたが、シミターとおぼしき人物が現れたのです。騎士団内へ入っていく所を見ました。確証はありませんけれど」
「おお。でかしたぞ、エコ! それは有力な情報だぞ! 見返りにちゅ~るぅをくれてやろう」
「ありがとですにゃ!」
懐に忍ばせているオヤツをエコにくれてやった。それから、俺はネメシアとトーチカにも意見を求めた。
「騎士団が怪しいそうだ」
「みたいね、さっそく行く?」
「ああ、トーチカもいいか?」
「うん、オーケー」
決まりだな。
【レメディオス騎士団】
到着早々、嫌な雰囲気に包まれた。騎士達が騎士団の前に立ち、陣形を組んでいたからだ。明らかにおかしいだろ、アレ。
「まさか、こっちの行動が筒抜け?」
ネメシアの言う通りかもしれん。
「ヘデラ、このままでは侵入できない」
トーチカはぶっきら棒に言う。そうだな、厳しい。さて、そうなると、どう中へ入ったものか。騎士団内部には、シミターがいるはず。
馬鹿正直に正面から堂々と行けば大事だ。乱戦確実だ。この前のようなカオスエンペラーデーモンとかヤベェモン召喚されるワケにもいかん。
「――となると」
視線を青空に向けると、みんなも釣られて空を見た。
「ちょっとヘデラ、まさか空から!?」
「そうだ、ネメシア。別に高所恐怖症ではないだろう」
「そうだけど……どうやって空へ?」
「飛べるさ。俺のスキルならな!」
「「「え!?」」」
一同、何事かと驚く。
「いいから、みんな俺に掴まれ」
指示を出すとみんな案外、素直に俺にくっついた。左にネメシア、右にトーチカ。頭にエコとなった。組体操のようなヘンな光景だが、気にしない。
俺は『ニトロ』を任意で発動し、爆発の推進力を得て上昇した。久しぶりだが、腕は鈍っちゃいない。気持ちい~!
「わあ! 本当に浮いてるー!」
「フフフ、すげえだろネメシア。魔力の消費が激しすぎて滅多にやらないんだけどな」
「ヘデラすごい。あたし空を飛べる聖女は初めて見た」
珍しくテンションの高いトーチカがグイグイ身を寄せて来る。彼女は見た目以上に柔らかいのでたまらんッ。
「あんまり揺らすな、危ないぞトーチカ。落っこちるって」
「あ……うん。ごめん」
「いいさ、しっかり掴まってろ~!」
◆
上空500メートルから騎士団の門を飛び越え、俺たちは敷地内に降り立った。楽勝だったな。
「さて、シミターは何処に」
「待って、ヘデラ」
「ん、どうしたネメシア」
「こ、腰が抜けちゃって……」
どうやら、ネメシアは飛ぶのに慣れていないらしい。戦慄し、腰をガクガクさせていた。
「おいおい」
「だって……」
「分かった。おんぶしてやる」
俺はネメシアをおぶった。
「……ヘデラ、ありがとう」
「いいって事さ。ネメシアをまだ感じられるからな」
「ばかっ」
ぎゅっと腕で首を絞められて、俺は息苦しくなった。
「おま、窒息するって」
「ご、ごめんなさい。ヘデラ、えっちな事考えたら怒るからね。あと、ヘンな発言禁止ね、少しでも何か言ったら耳を口ではむっとするから」
「なんだその地味な罰……いや、どちらかと言えばご褒美?」
まあいい、騎士団の中へ行くぜ。
レメディオス騎士団の中を走って行く。騎士たちの姿はない。すれ違う気配もない。……どういう事だ。もぬけの殻じゃないか。
「いくらなんでも殺風景すぎる」
「ヘデラ様、これは罠かもしれないですにゃ」
エコは正しいかもしれん。
そういえば、騎士団前は騎士たちが……!
『……フフフ、貴様たちが来るのは分かっていたさ……。イッツショータイムだ、聖女ヘデラ』
「お、お前がシミターか……!」
現れる人影。
こ、こいつは……まさか!
「今のところ異常はなさそうだな。住人も困った感じはない」
「そうね、ヒュドラらしきメンバーも見かけないわね」
ネメシア、トーチカと周囲を警戒していれば、しばらくしてエコが帰って来た。
「早いな、もう偵察完了か」
「ええ、テレポートしましたからね」
なるほど、それなら一瞬だ。
わざわざ走っていく必要もないしな。
手っ取り早くていい。
「――で、どうだった?」
「大きな変化はありません。ただ……」
「ただ?」
「ローブを羽織っていたので、顔までは分りませんでしたが、シミターとおぼしき人物が現れたのです。騎士団内へ入っていく所を見ました。確証はありませんけれど」
「おお。でかしたぞ、エコ! それは有力な情報だぞ! 見返りにちゅ~るぅをくれてやろう」
「ありがとですにゃ!」
懐に忍ばせているオヤツをエコにくれてやった。それから、俺はネメシアとトーチカにも意見を求めた。
「騎士団が怪しいそうだ」
「みたいね、さっそく行く?」
「ああ、トーチカもいいか?」
「うん、オーケー」
決まりだな。
【レメディオス騎士団】
到着早々、嫌な雰囲気に包まれた。騎士達が騎士団の前に立ち、陣形を組んでいたからだ。明らかにおかしいだろ、アレ。
「まさか、こっちの行動が筒抜け?」
ネメシアの言う通りかもしれん。
「ヘデラ、このままでは侵入できない」
トーチカはぶっきら棒に言う。そうだな、厳しい。さて、そうなると、どう中へ入ったものか。騎士団内部には、シミターがいるはず。
馬鹿正直に正面から堂々と行けば大事だ。乱戦確実だ。この前のようなカオスエンペラーデーモンとかヤベェモン召喚されるワケにもいかん。
「――となると」
視線を青空に向けると、みんなも釣られて空を見た。
「ちょっとヘデラ、まさか空から!?」
「そうだ、ネメシア。別に高所恐怖症ではないだろう」
「そうだけど……どうやって空へ?」
「飛べるさ。俺のスキルならな!」
「「「え!?」」」
一同、何事かと驚く。
「いいから、みんな俺に掴まれ」
指示を出すとみんな案外、素直に俺にくっついた。左にネメシア、右にトーチカ。頭にエコとなった。組体操のようなヘンな光景だが、気にしない。
俺は『ニトロ』を任意で発動し、爆発の推進力を得て上昇した。久しぶりだが、腕は鈍っちゃいない。気持ちい~!
「わあ! 本当に浮いてるー!」
「フフフ、すげえだろネメシア。魔力の消費が激しすぎて滅多にやらないんだけどな」
「ヘデラすごい。あたし空を飛べる聖女は初めて見た」
珍しくテンションの高いトーチカがグイグイ身を寄せて来る。彼女は見た目以上に柔らかいのでたまらんッ。
「あんまり揺らすな、危ないぞトーチカ。落っこちるって」
「あ……うん。ごめん」
「いいさ、しっかり掴まってろ~!」
◆
上空500メートルから騎士団の門を飛び越え、俺たちは敷地内に降り立った。楽勝だったな。
「さて、シミターは何処に」
「待って、ヘデラ」
「ん、どうしたネメシア」
「こ、腰が抜けちゃって……」
どうやら、ネメシアは飛ぶのに慣れていないらしい。戦慄し、腰をガクガクさせていた。
「おいおい」
「だって……」
「分かった。おんぶしてやる」
俺はネメシアをおぶった。
「……ヘデラ、ありがとう」
「いいって事さ。ネメシアをまだ感じられるからな」
「ばかっ」
ぎゅっと腕で首を絞められて、俺は息苦しくなった。
「おま、窒息するって」
「ご、ごめんなさい。ヘデラ、えっちな事考えたら怒るからね。あと、ヘンな発言禁止ね、少しでも何か言ったら耳を口ではむっとするから」
「なんだその地味な罰……いや、どちらかと言えばご褒美?」
まあいい、騎士団の中へ行くぜ。
レメディオス騎士団の中を走って行く。騎士たちの姿はない。すれ違う気配もない。……どういう事だ。もぬけの殻じゃないか。
「いくらなんでも殺風景すぎる」
「ヘデラ様、これは罠かもしれないですにゃ」
エコは正しいかもしれん。
そういえば、騎士団前は騎士たちが……!
『……フフフ、貴様たちが来るのは分かっていたさ……。イッツショータイムだ、聖女ヘデラ』
「お、お前がシミターか……!」
現れる人影。
こ、こいつは……まさか!
0
お気に入りに追加
1,252
あなたにおすすめの小説
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。
ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
聖女の姉が行方不明になりました
蓮沼ナノ
ファンタジー
8年前、姉が聖女の力に目覚め無理矢理王宮に連れて行かれた。取り残された家族は泣きながらも姉の幸せを願っていたが、8年後、王宮から姉が行方不明になったと聞かされる。妹のバリーは姉を探しに王都へと向かうが、王宮では元平民の姉は虐げられていたようで…聖女になった姉と田舎に残された家族の話し。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる