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第361話 絶対に諦めない聖女 - 残酷な運命に抗え!! -
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「……な、どうして」
兄様が『死神王の邪眼』を解放した瞬間だった。敵……ハロスはそれ以上に加速して、接近。兄様の身体を粉々に吹っ飛ばした。
「…………うそ、兄様。そんな……」
目の前には血溜まり。
血の海が広がっていた。
わたくしは何が起こったのか分からなくて、赤い水溜りに崩れ落ちた。……あに、さま……どうして、どうして。
あんなにお強い彼が、死ぬだなんて……信じられなかった。
「……うぅ、兄様ぁ…………」
「言ったろう。私は死神王だと。人間如きが――喩え聖者であろうが、我が力の前では、赤子も同然なのだよ。……さて、眼だけは破壊せぬよう手加減したが――あったあった」
ハロスは腰を下ろし、血の中から二つの眼を取り出して満足気に眺めていた。
「これで、私は完全態に戻れる。再び死神の時代が復活するのだ。フフフフフ、フハハハハハハハ……!」
高笑いする死神王は、眼玉をペロリと舐め……自分の眼に押し込もうとした――
……もうだめだ、これで世界は終焉を向かえる。ただでさえ天帝という厄介な存在がいるというのに、そこに死神王。どうして、フォーチュン様はこんな残酷な運命を突き付けたの。おかしい、こんな事をする神様ではないはず。
「それとも、これが運命だったの……」
「そうさ、全ては導き。運命なのさ。聖女、お前はフォーチュンの加護があるようだな。それに免じて殺さないでやろう。良かったな、延命出来て……だが、直ぐに世界は死神によって支配され、滅びゆく。天帝などという愚かな存在は直ぐに抹消されよう」
「……させませんよ」
「なに?」
兄様の為にも、みんなの為にも……わたくしは!
「――――たぁぁぁあぁあぁッ!!」
「フン、愚かな選択を。そこで泣き崩れていれば少しは安全に世界を眺められていたものを――!!」
黒い魔力が襲ってこようとする――
……ああ、だめだ。
あの火力は、確実に負ける。
死神王の力はバケモノ……それ以上だ。
これで、わたくしは兄様の元へ。
「……」
「――――諦めるんじゃねえええええ!!!」
その時、声がした。
女性の声。
……こ、これは、まさか。
「あ、兄様……というか、ヘデラ様!!」
「ああ、俺の肉体は二つあるんだぜ!! サトルの方は吹っ飛んじまったけどな!! だからこそ、お返してしてやらあああああああああああああああ!! 全力全開……!」
「……な、なんだ! 何なんだ貴様は……!」
兄様――いえ、ヘデラ様は上空から落ちてくると、最強の技を怒りのままに振り下ろした。
『――――――咆哮のエンデュランス!!!!!!!!』
「……馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
――気づけば、わたくしはヘデラ様に抱えられていた。
「……フォル、無事か」
「あ……、兄様ぁ……死んじゃったかと……思いましたよ……」
「サトルは確かに死んだよ。でも、俺の存在は二つあるからな。なあに、安心しろって、サトルの肉体は【スターダスト】で何とか復元するよ」
そっか。よく考えればそうだった。
安心して、涙がいっぱい出た。
――本当に良かった。本当に。
「ごめんな、フォル。お前を守ってやれなくて」
「いいんです。兄様が生きてさえいてくれるのなら……」
光が止むと、屋敷の庭には大きな穴が出来ていた。その深淵の果てに、きっと死神王は落ちたのだ。あれだけの激昂を正面から受けていたから、死神王とはいえ無事では済まないはず。
「とにかく、ここは危険だ。脱出するぞ」
「はいっ」
抱えられたまま、去ろうとしたけれど――
「…………のれぇ」
「なんだと……死神王、まだ生きてやがるのか!」
「………ぁ、ァァァ」
死神王ハロスの身体は左半分が失われていて、バケモノのような姿になっていた。普通の人間なら即死だけど、あれは死神。再生・治癒能力は異常なほどに高いようだ。
けれども、ハロスは苦しみ、悶えていた。
「ぉぉぁぁぁ……ッッ」
「再生が追い付いていないようですよ、兄様」
「そのようだな。ならば――ここからは、死神の天敵である女神の出番だ。そうだろう、メサイア、ネメシア!」
ふわっと現れる二人……いえ、三人。
姉様とネメシア、それとリース。
そっか、リースがテレポートを。
「皆さん!」
「待たせたわね、ヘデラ、フォル!」
ニカッっと笑う姉様。かっこいい。
「まさか、ママに呼ばれた先が世界ギルドとか……って、なんで崩壊してるの!? あのバケモノなにー!?」
状況が飲み込めないネメシアは混乱していた。
相変わらず、落ち着きのない。
誰に似たんだか。
「フォルちゃん。助けに参りましたよ」
「リース! さすが、わたくしの嫁!」
ふわふわのエルフ、リースに飛びついて再会を悦びああった。……ああ、やっぱりリースの抱き心地は最高です。
「サ……ヘデラさんが緊急事態と仰ったので」
それで駆けつけて下さった、と。
さすが兄様です。
「……なるほど、あのドロドロのバケモノが死神王か。ふぅん、私は噂しか聞いた事なかったけど、あんなヤツだったんだ」
姉様は白く輝き始めた。
これは、女神の力。
「ママ、わたしも!」
「ええ、ネメシアの力も必要よ」
……二人の女神が動き始めた。
兄様が『死神王の邪眼』を解放した瞬間だった。敵……ハロスはそれ以上に加速して、接近。兄様の身体を粉々に吹っ飛ばした。
「…………うそ、兄様。そんな……」
目の前には血溜まり。
血の海が広がっていた。
わたくしは何が起こったのか分からなくて、赤い水溜りに崩れ落ちた。……あに、さま……どうして、どうして。
あんなにお強い彼が、死ぬだなんて……信じられなかった。
「……うぅ、兄様ぁ…………」
「言ったろう。私は死神王だと。人間如きが――喩え聖者であろうが、我が力の前では、赤子も同然なのだよ。……さて、眼だけは破壊せぬよう手加減したが――あったあった」
ハロスは腰を下ろし、血の中から二つの眼を取り出して満足気に眺めていた。
「これで、私は完全態に戻れる。再び死神の時代が復活するのだ。フフフフフ、フハハハハハハハ……!」
高笑いする死神王は、眼玉をペロリと舐め……自分の眼に押し込もうとした――
……もうだめだ、これで世界は終焉を向かえる。ただでさえ天帝という厄介な存在がいるというのに、そこに死神王。どうして、フォーチュン様はこんな残酷な運命を突き付けたの。おかしい、こんな事をする神様ではないはず。
「それとも、これが運命だったの……」
「そうさ、全ては導き。運命なのさ。聖女、お前はフォーチュンの加護があるようだな。それに免じて殺さないでやろう。良かったな、延命出来て……だが、直ぐに世界は死神によって支配され、滅びゆく。天帝などという愚かな存在は直ぐに抹消されよう」
「……させませんよ」
「なに?」
兄様の為にも、みんなの為にも……わたくしは!
「――――たぁぁぁあぁあぁッ!!」
「フン、愚かな選択を。そこで泣き崩れていれば少しは安全に世界を眺められていたものを――!!」
黒い魔力が襲ってこようとする――
……ああ、だめだ。
あの火力は、確実に負ける。
死神王の力はバケモノ……それ以上だ。
これで、わたくしは兄様の元へ。
「……」
「――――諦めるんじゃねえええええ!!!」
その時、声がした。
女性の声。
……こ、これは、まさか。
「あ、兄様……というか、ヘデラ様!!」
「ああ、俺の肉体は二つあるんだぜ!! サトルの方は吹っ飛んじまったけどな!! だからこそ、お返してしてやらあああああああああああああああ!! 全力全開……!」
「……な、なんだ! 何なんだ貴様は……!」
兄様――いえ、ヘデラ様は上空から落ちてくると、最強の技を怒りのままに振り下ろした。
『――――――咆哮のエンデュランス!!!!!!!!』
「……馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! 馬鹿な! うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
――気づけば、わたくしはヘデラ様に抱えられていた。
「……フォル、無事か」
「あ……、兄様ぁ……死んじゃったかと……思いましたよ……」
「サトルは確かに死んだよ。でも、俺の存在は二つあるからな。なあに、安心しろって、サトルの肉体は【スターダスト】で何とか復元するよ」
そっか。よく考えればそうだった。
安心して、涙がいっぱい出た。
――本当に良かった。本当に。
「ごめんな、フォル。お前を守ってやれなくて」
「いいんです。兄様が生きてさえいてくれるのなら……」
光が止むと、屋敷の庭には大きな穴が出来ていた。その深淵の果てに、きっと死神王は落ちたのだ。あれだけの激昂を正面から受けていたから、死神王とはいえ無事では済まないはず。
「とにかく、ここは危険だ。脱出するぞ」
「はいっ」
抱えられたまま、去ろうとしたけれど――
「…………のれぇ」
「なんだと……死神王、まだ生きてやがるのか!」
「………ぁ、ァァァ」
死神王ハロスの身体は左半分が失われていて、バケモノのような姿になっていた。普通の人間なら即死だけど、あれは死神。再生・治癒能力は異常なほどに高いようだ。
けれども、ハロスは苦しみ、悶えていた。
「ぉぉぁぁぁ……ッッ」
「再生が追い付いていないようですよ、兄様」
「そのようだな。ならば――ここからは、死神の天敵である女神の出番だ。そうだろう、メサイア、ネメシア!」
ふわっと現れる二人……いえ、三人。
姉様とネメシア、それとリース。
そっか、リースがテレポートを。
「皆さん!」
「待たせたわね、ヘデラ、フォル!」
ニカッっと笑う姉様。かっこいい。
「まさか、ママに呼ばれた先が世界ギルドとか……って、なんで崩壊してるの!? あのバケモノなにー!?」
状況が飲み込めないネメシアは混乱していた。
相変わらず、落ち着きのない。
誰に似たんだか。
「フォルちゃん。助けに参りましたよ」
「リース! さすが、わたくしの嫁!」
ふわふわのエルフ、リースに飛びついて再会を悦びああった。……ああ、やっぱりリースの抱き心地は最高です。
「サ……ヘデラさんが緊急事態と仰ったので」
それで駆けつけて下さった、と。
さすが兄様です。
「……なるほど、あのドロドロのバケモノが死神王か。ふぅん、私は噂しか聞いた事なかったけど、あんなヤツだったんだ」
姉様は白く輝き始めた。
これは、女神の力。
「ママ、わたしも!」
「ええ、ネメシアの力も必要よ」
……二人の女神が動き始めた。
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