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第358話 女神の愛
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幸せそうに寝ている女神の顔を見て、俺は安心した。家に到着して、ベッドへ寝かせようとするが。
「……あれ、私」
「起きたか。お前は泥酔状態になって潰れていたんだよ。俺が背負ってここまで運んできた。ちょっとトラブルもあったけどな」
「え……トラブルって、もしかして、あれ夢じゃなかったの!? なんか、薄っすらだけど、変な男連中に絡まられていたわよね!?」
その通り。
さっき襲われて、メサイアを奪われそうになった。それを説明すると、本人は顔を青くして、震えていた。
「うそ……ヒュドラが。それ、怖すぎ。私、サトル以外の男に触れられていたっぽいし……うわ、最悪、気持ち悪……」
うぷっと口元を上品に押さえるメサイアは、気分を悪くしていた。仕方なく、俺は彼女の背中を擦った。
「大丈夫か」
「……うん。ありがと」
「ほれ、水も飲め」
「あ……うん、って、サトル、なんか優しくない?」
「前も言ったろ。聖女生活のおかげさ。俺も成長したんだよ」
「そうだったわね。……ふぅ、少しは酔いも覚めたわ。汗も掻いたし、シャワーでも浴びてくるかな。サトルも来る? 続き、したいでしょ……?」
いきなりのお誘いに俺はドキッとする。
正直、俺は我慢できなかった……。
「メサイア、このまま……ここでしよう」
「……お、お酒臭いと思うし、汗だって……」
「どうせ汗なんて掻くさ」
今夜までは二人きりだからな、この時間しかチャンスはなかった。この機を逃すと、しばらくは何も出来ない。だから――。
「もう……分かった。でも、優しくしてくれなきゃ嫌よ」
「分かってる」
観念したメサイアの唇に重ねていく。お酒の残り香があったけれど、それが今では美味に感じていた。あんな不味い酒だったのにな。
いや、最後のファジーネーブルが効いているのかもな。甘味を感じたから、そうなのかもしれない。
「……」
黙ったまま、俺はメサイアをベッドへ押し倒す。
「……サトル、脱がせて」
「ああ……いっぱい愛してやるからな」
「……私もサトルを愛している」
それから時を忘れ、激しく乱れ合って――気づけば朝を向かえていた。
◆
「――夜明けか。随分と頑張っちまったな」
メサイアを、そっと、優しく抱きしめて俺は眠りについた。
・
・
・
「おはようございます、兄様――って」
「おはようございます、サトルさん……え」
フォルとリースが帰って来たらしい。
早々、驚いた声を上げ、固まっていた。
「ん、どうした二人共…………あ」
メサイアと重なり合ったままだった。
「あああああああああああああ!!」
叫ぶと、メサイアも起きて――
「なによ、うるさ……きゃあああああああッ!!」
叫んだ。
「ちょっと兄様! 姉様とナニをしていらっしゃったのですか!? わたくしは!? わたくしも早く愛してくださいまし!!」
「ナニって、マッサージし合ってただけだが」
「なんて白々しい嘘を! 裸のマッサージなんて……ない事はないですね。ですが、許しません!」
笑顔でこちらに飛んでくるフォルは、修道服を投げ捨て、俺に絡みついてきた。
「うわ、お前な……分かってるよ、次な」
「ええ! 絶対ですよ、わたくしも姉様と同じくらい愛して下さい。兄様と離れるつもりなんて、これっぽっちもありませんから!」
やべえ、この聖女、顔が本気だ。
まあ、フォルはこの辺り寛容だからなあ。
「サ、サトルさん……あたしは!? あたしもって約束したじゃないですかぁ」
「リ、リースも次な」
「絶対ですよぉ……」
涙目で訴えられ、俺は心がちょっと痛くなった。
「――というわけだ、メサイア」
「はぁ……そうね、今に始まった事でもないし。幸い、世界が変わっちゃって、一夫多妻も認められているしね。いいんじゃない」
とまぁ、割と軽く認められた。
そうそう、レメディオスは一夫多妻が認められていた。だから、貴族で嫁が二人、三人なんて珍しくない。大貴族ともなると、嫁が七人ってヤツもいるらしい。最高の国かよ。
「兄様、兄様ぁぁぁん♡」
フォルがグイグイ来る。
「サトルさん、あたしもっ♡」
リースもグイグイ来る。
困ったな、俺の身体はひとつしかないぞ。
みんな纏めて相手するしかないって――事か!
マッサージらしき行為をな!
「……あれ、私」
「起きたか。お前は泥酔状態になって潰れていたんだよ。俺が背負ってここまで運んできた。ちょっとトラブルもあったけどな」
「え……トラブルって、もしかして、あれ夢じゃなかったの!? なんか、薄っすらだけど、変な男連中に絡まられていたわよね!?」
その通り。
さっき襲われて、メサイアを奪われそうになった。それを説明すると、本人は顔を青くして、震えていた。
「うそ……ヒュドラが。それ、怖すぎ。私、サトル以外の男に触れられていたっぽいし……うわ、最悪、気持ち悪……」
うぷっと口元を上品に押さえるメサイアは、気分を悪くしていた。仕方なく、俺は彼女の背中を擦った。
「大丈夫か」
「……うん。ありがと」
「ほれ、水も飲め」
「あ……うん、って、サトル、なんか優しくない?」
「前も言ったろ。聖女生活のおかげさ。俺も成長したんだよ」
「そうだったわね。……ふぅ、少しは酔いも覚めたわ。汗も掻いたし、シャワーでも浴びてくるかな。サトルも来る? 続き、したいでしょ……?」
いきなりのお誘いに俺はドキッとする。
正直、俺は我慢できなかった……。
「メサイア、このまま……ここでしよう」
「……お、お酒臭いと思うし、汗だって……」
「どうせ汗なんて掻くさ」
今夜までは二人きりだからな、この時間しかチャンスはなかった。この機を逃すと、しばらくは何も出来ない。だから――。
「もう……分かった。でも、優しくしてくれなきゃ嫌よ」
「分かってる」
観念したメサイアの唇に重ねていく。お酒の残り香があったけれど、それが今では美味に感じていた。あんな不味い酒だったのにな。
いや、最後のファジーネーブルが効いているのかもな。甘味を感じたから、そうなのかもしれない。
「……」
黙ったまま、俺はメサイアをベッドへ押し倒す。
「……サトル、脱がせて」
「ああ……いっぱい愛してやるからな」
「……私もサトルを愛している」
それから時を忘れ、激しく乱れ合って――気づけば朝を向かえていた。
◆
「――夜明けか。随分と頑張っちまったな」
メサイアを、そっと、優しく抱きしめて俺は眠りについた。
・
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「おはようございます、兄様――って」
「おはようございます、サトルさん……え」
フォルとリースが帰って来たらしい。
早々、驚いた声を上げ、固まっていた。
「ん、どうした二人共…………あ」
メサイアと重なり合ったままだった。
「あああああああああああああ!!」
叫ぶと、メサイアも起きて――
「なによ、うるさ……きゃあああああああッ!!」
叫んだ。
「ちょっと兄様! 姉様とナニをしていらっしゃったのですか!? わたくしは!? わたくしも早く愛してくださいまし!!」
「ナニって、マッサージし合ってただけだが」
「なんて白々しい嘘を! 裸のマッサージなんて……ない事はないですね。ですが、許しません!」
笑顔でこちらに飛んでくるフォルは、修道服を投げ捨て、俺に絡みついてきた。
「うわ、お前な……分かってるよ、次な」
「ええ! 絶対ですよ、わたくしも姉様と同じくらい愛して下さい。兄様と離れるつもりなんて、これっぽっちもありませんから!」
やべえ、この聖女、顔が本気だ。
まあ、フォルはこの辺り寛容だからなあ。
「サ、サトルさん……あたしは!? あたしもって約束したじゃないですかぁ」
「リ、リースも次な」
「絶対ですよぉ……」
涙目で訴えられ、俺は心がちょっと痛くなった。
「――というわけだ、メサイア」
「はぁ……そうね、今に始まった事でもないし。幸い、世界が変わっちゃって、一夫多妻も認められているしね。いいんじゃない」
とまぁ、割と軽く認められた。
そうそう、レメディオスは一夫多妻が認められていた。だから、貴族で嫁が二人、三人なんて珍しくない。大貴族ともなると、嫁が七人ってヤツもいるらしい。最高の国かよ。
「兄様、兄様ぁぁぁん♡」
フォルがグイグイ来る。
「サトルさん、あたしもっ♡」
リースもグイグイ来る。
困ったな、俺の身体はひとつしかないぞ。
みんな纏めて相手するしかないって――事か!
マッサージらしき行為をな!
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