全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第344話 亡霊族 - 三つの国を滅ぼしたゴースト娘 -

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「――まず、少女セルリアだが、どうやら、ゴースト……つまり『亡霊族』のようでね」

「亡霊族だと?」


 この世界には、エルフやドワーフ、亜人など、やたら沢山の種族が存在するが、亡霊族は初めてだな。


「そのセルリアの種族は分かったよ。スターゲイザーの何なのさ」
「天帝の娘の亡霊さ。無念の幽霊って事かな」

「嘘だろ……」


「ヤツは、娘の魂をなんらかの方法で降臨させ、現世に呼び出した。そんな強大な力を持つなのだよ」


 ――――!?

 マテ、今、ラグラスのヤツなんて言った。


「兄様……」


 フォルも驚いていた。
 そうだろうよ、天帝の性別が初めて判明しやがった。


「男だったのか」
「ああ、声は少女のような、しかし少年のようにも聞こえるから判別出来なかった。――しかし、亡霊が教えてくれたのさ」


 ――なるほどな。
 情報を引き出したわけか。


「なあ、ラグラス。その少女と話は出来ないのか?」
「今は無理だ。『時の牢獄』は、夜ではないと解放を許されない。朝、昼では少女をおさえつけられないのだよ。自由を与えてしまう」

「それはヤベーな」

「ああ、甘く見ない方がいい。なにせ彼女は、あの【レッドォー】で国を三つも滅ぼしたのだからね」


 …………。

 俺は絶句ぜっくした。

 国を三つも!?


 亡霊が? やばすぎるだろ。そこから巻き返した『円卓の騎士』、『グランドクロス』、『世界ギルド・フリージア』もすげぇけど。

 まあ、フォルやリースもいたのだから、少しは何とかなったんだろうけど。


「分かった。改めて夜に来るよ」
「そうしてくれると有難ありがたい。けど、クエストは達成とする。受け取るがいい……エロス通行証と1,000,000セルだ」



【リザルト】
 通常報酬:エロス通行証 GET!!
 特別報酬:1,000,000セル GET!!



 じゃじゃ~んと、リザルトが出現した。
 まさかの報酬ゲットとはな!


 これでお財布もアツくなったぜ。やっと、最近お気に入りのメイドカフェへ行けるぞ!!

 なんて考えていれば、


「……ちょっと兄様」
「……!?」


 深刻な顔をするフォルから腕を引っ張られ、外へ。すると、フォルがいきなり泣いた。

 えぇ!?


「兄様! やっぱり、メイドカフェに行きたいのですね!?」
「ど、どうしてそれを……」


「この前です。兄様の帰りが遅かったので気になっていたんです。後日、尾行すれば……メイドカフェへ入る姿を目撃したのです。しかも……寄りによって銀髪の女の子と楽しそうにしているじゃありませんか!!」


 げぇ!! 見られていたのかよ!!


「わたくしでは御不満ですか……」


 うわ、こんな辛そうにされると心がイタイ。てか、今にも泣きそうになっとる。まず……。


「そ、そうじゃないよ、フォル」
「じゃあ、どういう事ですか」
「ほら、フォルっていつも修道服だろ……だからさ、あのフォルに似ている子を重ねていたんだよ」

「え……。じゃあ、メイド服を着れば、もうカフェは行かないです?」

「あー、うん。そうだな……。すまん、着てくれと言い辛かったんだよ。断られると思ってね」


 ふるふると顔を振り、フォルは「そんな事はありません」と断言した。そうだったのか……。


「今後は、兄様の為にもいろんなお洋服を着ます。ですから……」
「分かった。じゃあ、いろいろ着て貰おうかな」
「はいっ」


 笑顔で抱きつかれた。
 元気になるの早ェ~。


 ◆


 クエストは達成した。
 ラグラスに別れを告げ、屋敷を後にした。


 その帰り道。


 あのメイドカフェの銀髪の子が目の前に現れた――。


「……サトルさん? あの、その子……」


「――――――」


 まずい。
 俺は汗を滝のように流す。

 フォルはハテナをいっぱい浮かべていた。


「……あの、兄様。この銀髪の子……」
「いや、その……」


 実は、カフェ通いしまくって、フォル並に仲が良いとは言えなかった……。


「あの、あのあの……兄様、まさか……」


 あー…まずい。
 また泣かせてしまう。

 こうなったら……!


「ヒナちゃんごめん! 俺にはフォルがいるんだ……!」
「…………知ってます」

「え」


「その子ですよね、サトルさんの好きな人。でも、あたしは諦めませんよ。いいですか、そこの……あたしのパクリさん!」

「パ、パクリ!?」


 珍しくフォルが顔をしかめた。


「そうでしょう、その銀髪といい! あたしの瞳は青ですけど……」

「兄様……」


 助け船を俺に求めるフォル。そうだな、ここはヒナちゃんには悪いけれど、俺はフォルを取る!!


「すまぁぁぁん、ヒナちゃん! カフェにはまた必ず行くよ!」

「あああああぁぁ、サトルさぁぁあぁあん!! あたしだって諦めないですよぉぉぉぉおお……!」


 すごい鋼のメンタルだ……。
 これでも折れないとは、さすが俺が見込んだだけあるぜ……。


 心の片隅でカフェリターンを誓い、俺はフォルを抱えて跳んだ。


 ◆


 ――ポインセチア城の屋上。


「……わたくしを取ってくれて嬉しかったです……。その、やっぱり、兄様はわたくしが大好きですよね? 愛していますよね?」

「当たり前だろう。そうでなければ、フォルを選ばんよ」

「……っ」


 純粋に抱きつかれ、俺はドキッとする。いつものオフザケとは違う感覚。確かな気持ちが篭もっていた。


「……フォル」
「ん……」


 久しぶりに唇を重ね合わせ、気持ちを確かめ合った――。



 それからフォルは毎日、メイド服を着るようになった。ヒナちゃんは忘れよ―――…ん? 遠くから声が?



「サトルさぁぁあぁあん!! あたし、絶対に絶対に諦めないですよぉぉぉぉ…………!」



 うわ!!


 家を特定された――――――!?
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