324 / 430
第324話 ドラゴン聖女・シュトラール
しおりを挟む
黄金龍・シャイネンドラゴンを撃破すれば、平穏が訪れた。しかも、皆に抱きつかれて俺は超ハッピー! ……かと、思えばそれは一瞬だった。
海の底から『ズボン!』と飛び出てくる影。
「な、なんだ……!」
それはクルクル回転して、甲板に着地した。
なんで身軽なヤツ。
人間か!?
「……ん? 女の子?」
甲板に現れたのは、どこかのお嬢様学校のような制服に身を包む少女だった。それも、金髪セミロングの。リースとちょっと被るな。
少女は、俺を威圧するように睨む。
ドラゴンの瞳で。
「――って、まさか、あんた……」
「……そのまさか、さ!」
そういや、メサイアが言っていたな。シャイネンドラゴンは、知能がやたら高くて人型も持つってな。だから、あれは人型タイプの姿って事だろう。まさか、その正体が萌え寄りの美少女だったとは。
「サトル、あれはシャイネンドラゴンよ!」
「いや、そりゃ分かってるよ、メサイア!」
「だったら、ぶっ飛ばすしかないわよね!」
「まてまて、あんな金髪美少女をぶっ飛ばす!? 俺に出来ると思うか!? あんなメッチャ可愛いお嬢様だぞ! 無理無理」
「……そ、そうね。サトルじゃ、あんな可愛い子をぶっ飛ばすとか出来ないかも」
そうとも。俺は聖女生活が長すぎて、女の子には優しくなっちまったんだよ。こればかりは、身についてしまった習慣とかなのだ。仕方がない。
「……ほう、そこの男。あたしに手を出さないと? さっきはあんなにボコボコにしてくれたのに」
「てか、よく生きていたな」
「ふっ。シャイネンドラゴンの切り札は、オートヒーリングよ。そう簡単には体力は削れないし、致命傷を受けても三秒後には即回復なの」
「そういう事か!」
強力な回復スキルを持つわけか。しかもオートだって、俺と被るじゃん! なるほどなあ、道理で耐久力が高いなとは思った。リースの魔法を受けても動いていたしな。
状況を理解したが、さて、どうしたものか。
そう油断していると、フォルが俺を押し倒した。
「兄様!」
「うわっ、お前……なにを」
「危なかったです」
「え」
少し視線を逸らすと、甲板に大きな穴が。
あのドラゴン娘が放ったスキルか。
「……ちっ。もうちょいで顔に穴が開いたのにね」
「てめ……」
睨み返すと、そこで更に声が反響した。
『――――シュトラール。何をしている。さっさとそこの雑魚共を駆逐し、帰還するのだ』
なんだ? 空から男の声が……。
「主様、コイツ等は想定よりも強い。あたしじゃ手に負えないよ」
『そうか、では戻って来るがいい。どのみち、その男、女神、エルフ、聖女の四人はこちらの太陽島『サンデシマ』を目指しているのだからな――歓迎しようではないか』
「そう。主様がそう仰るのなら、あたしは帰るわ」
そうか、このドラゴン少女の名は『シュトラール』か。……って、まて、この空から反響してる声に対し、主様と呼んでいた。つまり、コイツは誰かに雇われていたりするのか。
……声の主は、太陽島『サンデシマ』と言っていた。
ま、まさか――。
「ほう、男。いや……サトル。気づいたようだね。この声の主様は『オプファ』様さ。あんたと同じ『千里眼』を持つから、全て分かっていたさ」
「な……千里眼だと」
「驚いたかい。それじゃ、あたしとオプファ様は太陽島『サンデシマ』にて待つ事にするよ。……けど、その前に」
気に食わんという表情で、フォルに近づくシュトラール。今にも殴りかかりそうな雰囲気だった。おいおい、一方的に火花散らし過ぎだろ。
俺は起き上がって、フォルを庇う。
「なんですか……わたくしの顔に何か付いています?」
「あんた、聖女なんだって? あのフォーチュンの」
「ええ、そうですけれど」
「……フーン。聖女はひとりだけだと思わない事ね。あたしは、言うなれば『ドラゴン聖女』よ。エルドラードのね」
「え……」
踵を返すシュトラールは、宙へ飛び跳ねてシャイネンドラゴンの形態に。一気に上昇して、去った……。
「逃がしません……!」
リースが杖を構えたが、俺は止めた。
「もういい」
「で、でも……」
「俺が一番許せんのはオプファだ。ヤツは俺を生贄にしやがった張本人。それが生きていたと分かれば、ヤツに復讐する最大のチャンス」
「分かりました」
納得して、リースは杖を収めてくれた。
「おい、メサイア」
「聞きたい事がいっぱいありそうな顔ね、サトル」
「まあな、色々話して貰うぞ。情報が不足しすぎだ」
ぐっと身体を伸ばすメサイアは「分かったわ」と短く返事をした。……ふむ、良い脇だ。ビキニ姿だから余計にエロく見えるな。
「兄様っ、わたくしも見て下さいまし! いえ、寧ろ……その究極に鍛えられた素晴らしい腹筋をペロペロさせて下さいまし~♡ 兄様兄様あぁぁぁん♡」
「うわああああああっ!」
再び押し倒される俺。
やべ、ヘンタイ聖女の餌食に!!
てか、これ久々だなァ……!!
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
海の底から『ズボン!』と飛び出てくる影。
「な、なんだ……!」
それはクルクル回転して、甲板に着地した。
なんで身軽なヤツ。
人間か!?
「……ん? 女の子?」
甲板に現れたのは、どこかのお嬢様学校のような制服に身を包む少女だった。それも、金髪セミロングの。リースとちょっと被るな。
少女は、俺を威圧するように睨む。
ドラゴンの瞳で。
「――って、まさか、あんた……」
「……そのまさか、さ!」
そういや、メサイアが言っていたな。シャイネンドラゴンは、知能がやたら高くて人型も持つってな。だから、あれは人型タイプの姿って事だろう。まさか、その正体が萌え寄りの美少女だったとは。
「サトル、あれはシャイネンドラゴンよ!」
「いや、そりゃ分かってるよ、メサイア!」
「だったら、ぶっ飛ばすしかないわよね!」
「まてまて、あんな金髪美少女をぶっ飛ばす!? 俺に出来ると思うか!? あんなメッチャ可愛いお嬢様だぞ! 無理無理」
「……そ、そうね。サトルじゃ、あんな可愛い子をぶっ飛ばすとか出来ないかも」
そうとも。俺は聖女生活が長すぎて、女の子には優しくなっちまったんだよ。こればかりは、身についてしまった習慣とかなのだ。仕方がない。
「……ほう、そこの男。あたしに手を出さないと? さっきはあんなにボコボコにしてくれたのに」
「てか、よく生きていたな」
「ふっ。シャイネンドラゴンの切り札は、オートヒーリングよ。そう簡単には体力は削れないし、致命傷を受けても三秒後には即回復なの」
「そういう事か!」
強力な回復スキルを持つわけか。しかもオートだって、俺と被るじゃん! なるほどなあ、道理で耐久力が高いなとは思った。リースの魔法を受けても動いていたしな。
状況を理解したが、さて、どうしたものか。
そう油断していると、フォルが俺を押し倒した。
「兄様!」
「うわっ、お前……なにを」
「危なかったです」
「え」
少し視線を逸らすと、甲板に大きな穴が。
あのドラゴン娘が放ったスキルか。
「……ちっ。もうちょいで顔に穴が開いたのにね」
「てめ……」
睨み返すと、そこで更に声が反響した。
『――――シュトラール。何をしている。さっさとそこの雑魚共を駆逐し、帰還するのだ』
なんだ? 空から男の声が……。
「主様、コイツ等は想定よりも強い。あたしじゃ手に負えないよ」
『そうか、では戻って来るがいい。どのみち、その男、女神、エルフ、聖女の四人はこちらの太陽島『サンデシマ』を目指しているのだからな――歓迎しようではないか』
「そう。主様がそう仰るのなら、あたしは帰るわ」
そうか、このドラゴン少女の名は『シュトラール』か。……って、まて、この空から反響してる声に対し、主様と呼んでいた。つまり、コイツは誰かに雇われていたりするのか。
……声の主は、太陽島『サンデシマ』と言っていた。
ま、まさか――。
「ほう、男。いや……サトル。気づいたようだね。この声の主様は『オプファ』様さ。あんたと同じ『千里眼』を持つから、全て分かっていたさ」
「な……千里眼だと」
「驚いたかい。それじゃ、あたしとオプファ様は太陽島『サンデシマ』にて待つ事にするよ。……けど、その前に」
気に食わんという表情で、フォルに近づくシュトラール。今にも殴りかかりそうな雰囲気だった。おいおい、一方的に火花散らし過ぎだろ。
俺は起き上がって、フォルを庇う。
「なんですか……わたくしの顔に何か付いています?」
「あんた、聖女なんだって? あのフォーチュンの」
「ええ、そうですけれど」
「……フーン。聖女はひとりだけだと思わない事ね。あたしは、言うなれば『ドラゴン聖女』よ。エルドラードのね」
「え……」
踵を返すシュトラールは、宙へ飛び跳ねてシャイネンドラゴンの形態に。一気に上昇して、去った……。
「逃がしません……!」
リースが杖を構えたが、俺は止めた。
「もういい」
「で、でも……」
「俺が一番許せんのはオプファだ。ヤツは俺を生贄にしやがった張本人。それが生きていたと分かれば、ヤツに復讐する最大のチャンス」
「分かりました」
納得して、リースは杖を収めてくれた。
「おい、メサイア」
「聞きたい事がいっぱいありそうな顔ね、サトル」
「まあな、色々話して貰うぞ。情報が不足しすぎだ」
ぐっと身体を伸ばすメサイアは「分かったわ」と短く返事をした。……ふむ、良い脇だ。ビキニ姿だから余計にエロく見えるな。
「兄様っ、わたくしも見て下さいまし! いえ、寧ろ……その究極に鍛えられた素晴らしい腹筋をペロペロさせて下さいまし~♡ 兄様兄様あぁぁぁん♡」
「うわああああああっ!」
再び押し倒される俺。
やべ、ヘンタイ聖女の餌食に!!
てか、これ久々だなァ……!!
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
0
お気に入りに追加
1,251
あなたにおすすめの小説
無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?
無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。
ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。
チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?
桜井正宗
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」
その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。
影響するステータスは『運』。
聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。
第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。
すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。
より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!
真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。
【簡単な流れ】
勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ
【原題】
『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!
桜井正宗
ファンタジー
辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。
そんな努力もついに報われる日が。
ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。
日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。
仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。
※HOTランキング1位ありがとうございます!
※ファンタジー7位ありがとうございます!
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~
剣伎 竜星
ファンタジー
仕事の修羅場を乗り越えて、徹夜明けもなんのその、年2回ある有○の戦場を駆けた夏。長期休暇を取得し、自宅に引きこもって戦利品を堪能すべく、帰宅の途上で食材を購入して後はただ帰るだけだった。しかし、学生4人組とすれ違ったと思ったら、俺はスマホの電波が届かない中世ヨーロッパと思しき建築物の複雑な幾何学模様の上にいた。学生4人組とともに。やってきた召喚者と思しき王女様達の魔族侵略の話を聞いて、俺は察した。これあかん系異世界勇者召喚だと。しかも、どうやら肝心の勇者は学生4人組みの方で俺は巻き込まれた一般人らしい。【鑑定】や【空間収納】といった鉄板スキルを保有して、とんでもないバグと思えるチートスキルいるが、違うらしい。そして、安定の「元の世界に帰る方法」は不明→絶望的な難易度。勇者系の称号がないとわかると王女達は掌返しをして俺を奴隷扱いするのは必至。1人を除いて学生共も俺を馬鹿にしだしたので俺は迷惑料を(強制的に)もらって早々に国を脱出し、この異世界をチートスキルを駆使して漫遊することにした。※10話前後までスタート地点の王城での話になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる