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第324話 ドラゴン聖女・シュトラール
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黄金龍・シャイネンドラゴンを撃破すれば、平穏が訪れた。しかも、皆に抱きつかれて俺は超ハッピー! ……かと、思えばそれは一瞬だった。
海の底から『ズボン!』と飛び出てくる影。
「な、なんだ……!」
それはクルクル回転して、甲板に着地した。
なんで身軽なヤツ。
人間か!?
「……ん? 女の子?」
甲板に現れたのは、どこかのお嬢様学校のような制服に身を包む少女だった。それも、金髪セミロングの。リースとちょっと被るな。
少女は、俺を威圧するように睨む。
ドラゴンの瞳で。
「――って、まさか、あんた……」
「……そのまさか、さ!」
そういや、メサイアが言っていたな。シャイネンドラゴンは、知能がやたら高くて人型も持つってな。だから、あれは人型タイプの姿って事だろう。まさか、その正体が萌え寄りの美少女だったとは。
「サトル、あれはシャイネンドラゴンよ!」
「いや、そりゃ分かってるよ、メサイア!」
「だったら、ぶっ飛ばすしかないわよね!」
「まてまて、あんな金髪美少女をぶっ飛ばす!? 俺に出来ると思うか!? あんなメッチャ可愛いお嬢様だぞ! 無理無理」
「……そ、そうね。サトルじゃ、あんな可愛い子をぶっ飛ばすとか出来ないかも」
そうとも。俺は聖女生活が長すぎて、女の子には優しくなっちまったんだよ。こればかりは、身についてしまった習慣とかなのだ。仕方がない。
「……ほう、そこの男。あたしに手を出さないと? さっきはあんなにボコボコにしてくれたのに」
「てか、よく生きていたな」
「ふっ。シャイネンドラゴンの切り札は、オートヒーリングよ。そう簡単には体力は削れないし、致命傷を受けても三秒後には即回復なの」
「そういう事か!」
強力な回復スキルを持つわけか。しかもオートだって、俺と被るじゃん! なるほどなあ、道理で耐久力が高いなとは思った。リースの魔法を受けても動いていたしな。
状況を理解したが、さて、どうしたものか。
そう油断していると、フォルが俺を押し倒した。
「兄様!」
「うわっ、お前……なにを」
「危なかったです」
「え」
少し視線を逸らすと、甲板に大きな穴が。
あのドラゴン娘が放ったスキルか。
「……ちっ。もうちょいで顔に穴が開いたのにね」
「てめ……」
睨み返すと、そこで更に声が反響した。
『――――シュトラール。何をしている。さっさとそこの雑魚共を駆逐し、帰還するのだ』
なんだ? 空から男の声が……。
「主様、コイツ等は想定よりも強い。あたしじゃ手に負えないよ」
『そうか、では戻って来るがいい。どのみち、その男、女神、エルフ、聖女の四人はこちらの太陽島『サンデシマ』を目指しているのだからな――歓迎しようではないか』
「そう。主様がそう仰るのなら、あたしは帰るわ」
そうか、このドラゴン少女の名は『シュトラール』か。……って、まて、この空から反響してる声に対し、主様と呼んでいた。つまり、コイツは誰かに雇われていたりするのか。
……声の主は、太陽島『サンデシマ』と言っていた。
ま、まさか――。
「ほう、男。いや……サトル。気づいたようだね。この声の主様は『オプファ』様さ。あんたと同じ『千里眼』を持つから、全て分かっていたさ」
「な……千里眼だと」
「驚いたかい。それじゃ、あたしとオプファ様は太陽島『サンデシマ』にて待つ事にするよ。……けど、その前に」
気に食わんという表情で、フォルに近づくシュトラール。今にも殴りかかりそうな雰囲気だった。おいおい、一方的に火花散らし過ぎだろ。
俺は起き上がって、フォルを庇う。
「なんですか……わたくしの顔に何か付いています?」
「あんた、聖女なんだって? あのフォーチュンの」
「ええ、そうですけれど」
「……フーン。聖女はひとりだけだと思わない事ね。あたしは、言うなれば『ドラゴン聖女』よ。エルドラードのね」
「え……」
踵を返すシュトラールは、宙へ飛び跳ねてシャイネンドラゴンの形態に。一気に上昇して、去った……。
「逃がしません……!」
リースが杖を構えたが、俺は止めた。
「もういい」
「で、でも……」
「俺が一番許せんのはオプファだ。ヤツは俺を生贄にしやがった張本人。それが生きていたと分かれば、ヤツに復讐する最大のチャンス」
「分かりました」
納得して、リースは杖を収めてくれた。
「おい、メサイア」
「聞きたい事がいっぱいありそうな顔ね、サトル」
「まあな、色々話して貰うぞ。情報が不足しすぎだ」
ぐっと身体を伸ばすメサイアは「分かったわ」と短く返事をした。……ふむ、良い脇だ。ビキニ姿だから余計にエロく見えるな。
「兄様っ、わたくしも見て下さいまし! いえ、寧ろ……その究極に鍛えられた素晴らしい腹筋をペロペロさせて下さいまし~♡ 兄様兄様あぁぁぁん♡」
「うわああああああっ!」
再び押し倒される俺。
やべ、ヘンタイ聖女の餌食に!!
てか、これ久々だなァ……!!
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
海の底から『ズボン!』と飛び出てくる影。
「な、なんだ……!」
それはクルクル回転して、甲板に着地した。
なんで身軽なヤツ。
人間か!?
「……ん? 女の子?」
甲板に現れたのは、どこかのお嬢様学校のような制服に身を包む少女だった。それも、金髪セミロングの。リースとちょっと被るな。
少女は、俺を威圧するように睨む。
ドラゴンの瞳で。
「――って、まさか、あんた……」
「……そのまさか、さ!」
そういや、メサイアが言っていたな。シャイネンドラゴンは、知能がやたら高くて人型も持つってな。だから、あれは人型タイプの姿って事だろう。まさか、その正体が萌え寄りの美少女だったとは。
「サトル、あれはシャイネンドラゴンよ!」
「いや、そりゃ分かってるよ、メサイア!」
「だったら、ぶっ飛ばすしかないわよね!」
「まてまて、あんな金髪美少女をぶっ飛ばす!? 俺に出来ると思うか!? あんなメッチャ可愛いお嬢様だぞ! 無理無理」
「……そ、そうね。サトルじゃ、あんな可愛い子をぶっ飛ばすとか出来ないかも」
そうとも。俺は聖女生活が長すぎて、女の子には優しくなっちまったんだよ。こればかりは、身についてしまった習慣とかなのだ。仕方がない。
「……ほう、そこの男。あたしに手を出さないと? さっきはあんなにボコボコにしてくれたのに」
「てか、よく生きていたな」
「ふっ。シャイネンドラゴンの切り札は、オートヒーリングよ。そう簡単には体力は削れないし、致命傷を受けても三秒後には即回復なの」
「そういう事か!」
強力な回復スキルを持つわけか。しかもオートだって、俺と被るじゃん! なるほどなあ、道理で耐久力が高いなとは思った。リースの魔法を受けても動いていたしな。
状況を理解したが、さて、どうしたものか。
そう油断していると、フォルが俺を押し倒した。
「兄様!」
「うわっ、お前……なにを」
「危なかったです」
「え」
少し視線を逸らすと、甲板に大きな穴が。
あのドラゴン娘が放ったスキルか。
「……ちっ。もうちょいで顔に穴が開いたのにね」
「てめ……」
睨み返すと、そこで更に声が反響した。
『――――シュトラール。何をしている。さっさとそこの雑魚共を駆逐し、帰還するのだ』
なんだ? 空から男の声が……。
「主様、コイツ等は想定よりも強い。あたしじゃ手に負えないよ」
『そうか、では戻って来るがいい。どのみち、その男、女神、エルフ、聖女の四人はこちらの太陽島『サンデシマ』を目指しているのだからな――歓迎しようではないか』
「そう。主様がそう仰るのなら、あたしは帰るわ」
そうか、このドラゴン少女の名は『シュトラール』か。……って、まて、この空から反響してる声に対し、主様と呼んでいた。つまり、コイツは誰かに雇われていたりするのか。
……声の主は、太陽島『サンデシマ』と言っていた。
ま、まさか――。
「ほう、男。いや……サトル。気づいたようだね。この声の主様は『オプファ』様さ。あんたと同じ『千里眼』を持つから、全て分かっていたさ」
「な……千里眼だと」
「驚いたかい。それじゃ、あたしとオプファ様は太陽島『サンデシマ』にて待つ事にするよ。……けど、その前に」
気に食わんという表情で、フォルに近づくシュトラール。今にも殴りかかりそうな雰囲気だった。おいおい、一方的に火花散らし過ぎだろ。
俺は起き上がって、フォルを庇う。
「なんですか……わたくしの顔に何か付いています?」
「あんた、聖女なんだって? あのフォーチュンの」
「ええ、そうですけれど」
「……フーン。聖女はひとりだけだと思わない事ね。あたしは、言うなれば『ドラゴン聖女』よ。エルドラードのね」
「え……」
踵を返すシュトラールは、宙へ飛び跳ねてシャイネンドラゴンの形態に。一気に上昇して、去った……。
「逃がしません……!」
リースが杖を構えたが、俺は止めた。
「もういい」
「で、でも……」
「俺が一番許せんのはオプファだ。ヤツは俺を生贄にしやがった張本人。それが生きていたと分かれば、ヤツに復讐する最大のチャンス」
「分かりました」
納得して、リースは杖を収めてくれた。
「おい、メサイア」
「聞きたい事がいっぱいありそうな顔ね、サトル」
「まあな、色々話して貰うぞ。情報が不足しすぎだ」
ぐっと身体を伸ばすメサイアは「分かったわ」と短く返事をした。……ふむ、良い脇だ。ビキニ姿だから余計にエロく見えるな。
「兄様っ、わたくしも見て下さいまし! いえ、寧ろ……その究極に鍛えられた素晴らしい腹筋をペロペロさせて下さいまし~♡ 兄様兄様あぁぁぁん♡」
「うわああああああっ!」
再び押し倒される俺。
やべ、ヘンタイ聖女の餌食に!!
てか、これ久々だなァ……!!
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
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