上 下
323 / 466

第323話 黄金龍・シャイネンドラゴン

しおりを挟む
 突如として現れた黄金龍・シャイネンドラゴン。全身が金で眩しい。翼も当然ながら黄金で、その金の翼で飛び込んでくる。

 それから、口を大きく開けて――


「――させるかよぉぉッ!!」


 メサイアに作ってもらった船を、いきなり破壊させてなるものか。この女神、聖女、エルフのビキニ美女に囲まれた最高の船旅、ここで終わらせるワケにはいかねぇんだよぉぉぉぉ……!!


「そっちが黄金のドラゴンなら、こっちは黄金の槍……きやがれえええええええ、ロンゴミニアド!!!」


 飛び跳ね、俺は黄金の槍を生成した。
 右手に召喚される最強の聖槍。


 その輝きを掴み取り、ブン投げた。



『――――――真・覚醒聖槍・ロンゴミニアド!!!!!!!!!!』



 絶対に守るという想いを乗せ、投擲とうてきすれば聖槍は一直線に向かって行く。見事な黄金線を描き、ドラゴンへ。


 ……が。


 ドラゴンは一気に急降下。
 俺の黄金の槍を辛うじて回避しやがった。


「なん……だとォ!!」


 ウソだろ、あのドラゴンの機動力……パネェ。なんて動き。ただのドラゴンじゃねぇぞ。黄金龍は羽ばたいて距離を取る。

 俺はその間に船の甲板へ。


「……く」
「サトル! 言ったでしょう、知能が高いって」

「ああ……そうみたいだな」


 メサイアの助言通りだった。
 あのドラゴンは相当頭が良いらしい。こっちの動きを読んでやがる。


「兄様、ご支援をお掛けます」


 フォルから『グロリアスブレッシング』と『グロリアスアジリティ』が掛けられる。もとい、皆に掛かる。これはパーティやギルド単位に支援が掛かるのだ。

 おかげでステータス補正も移動速度もアップ。


 敵の動きを追っていると、リースが前へ出た。


「あたしが大魔法で」
「おーけー。一度、リースに任せるぜ」
「はいっ、がんばります」


 杖を取り出し、構えるリース。
 赤、青、緑、黄、四つの魔法陣が宙に展開された。かなり大きいぞ。これは、以前に比べると魔力が上がっているな。

 しかも、僅かに詠唱もあった。
 無詠唱ではない!?



『四属の啓典、寵愛にして慈愛の瞻仰せんぎょう、ホーリーグレイル――――――!!!!!!!!』



 四の陣から放たれる大魔法。
 破壊的というよりは、まるで聖女の敬虔けいけんな祈りに近い。これは、愛そのものだ。



 四色は空を駆けていく。
 飛べば飛ぶほどにその威力を増大させていき、シャイネンドラゴンに命中する。



『グォォァァァァァァ……!!!』



 ついにドラゴンは墜落。
 海へ落ちていく。


「やったな、リース! さすが愛の魔法!」
「えへへ……」


 照れて笑うリースは可愛かった。
 頬をあんな赤く染めて、天使だな。

 そして、大儀であった!


「これで……」


 ドラゴンの身体が海へ激突しようとした、その時。ヤツは意識を取り戻して、ギリギリで羽ばたいた。なんてド根性……! あのドラゴン、なんて耐性持ちだよ。


「だめか……」


 リースの大魔法を以てしても、あのドラゴンを倒せないのか。まだ体力も残っているのだろう。完全に撃破せねば止められないという事か。
 いいぜ、なら息の根を止めてやる。


「メサイア、フル支援だ。フォル、お前は二人を守れ。守護スキル・グロリアスサンクチュアリの展開を頼む」

「分かりました。わたくしのグロリアスサンクチュアリならば、どのような物理攻撃も魔法も無効化されますから、安心下さい」


 そう、フォルの最強守護スキルだ。
 メサイアとリースを頼んだぜ。


「サトル……」
「心配すんな、メサイア。俺は必ずお前の元へ帰って来る。誓うぜ――もう二度と、離れ離れになんてならない!!」


 そんな決めている時に、敵のブレス攻撃。
 黄金の息吹・シャイニングブレスが飛んできた。


「この金ピカ、邪魔すんじゃねえええええ!!!」


 オートスキルの発動を感じた。
 いける、これは出やがる。しかも、ひとつじゃねえ。複数だ。とんでもねぇ数が飛び出る予感。


『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』『ヒドゥンクレバス!!』


 絶対氷結の魔法が弾けて、飛び出て敵のブレスを凍らせた。まさか、こんな花火のように出るとはな。カチコチに固まった黄金の塊は、海へ落ちていく。うあぁ、あれ売ったら高いだろうなあ……などと、欲に塗れている場合ではない。



 いまだ……!!



『世界終焉剣・エクスカイザー!!!!!!!!!!』



 剣を振り、赤黒の波動砲を撃つ。

 一瞬で到達する終焉エネルギー。大出力のそれは、今度こそドラゴンに命中。これは確実に命中した。間違いない。手応えがあった。



『グオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアア……!!!』



 シャイネンドラゴンの雄たけび。
 激しい断末魔。これは決まったな。



「っしゃあああああああぁぁ……!!!」



 完・全・勝・利



「ふぅ」


 甲板に戻ると、メサイアとリース、フォルが走って来るなり、抱きついてきた。わーわーと喜びを分かち合った。


「サトル、お疲れ様♪」
「さすがサトルさんですぅ!」
「兄様、カッコよすぎです~♡」


「……フフフ、フハハハハ、フゥハハハハハハハハッ!!!」


 俺はもう笑いが止まらなかった。
 最高の船旅だねっ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ

桜井正宗
ファンタジー
 帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。  ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

処理中です...