全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第318話 死の要塞国・デイ - 死の招待状はどこにある!? -

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 ブラックオークを撃破後、荒涼とした荒野を抜けた。その先はがけ。断崖絶壁。そのがけに囲まれるようにして国はあった。



【死の要塞国・デイ】



「こ、ここが……デイか」


 予想を上回る壁……天を突く大いなる壁グレートウォールがあった。……まてまて、なんだこの空まで続く壁。こんな建造物ありえんだろ、物理的に!


 がけから『壁』が生えてやがる!!


 こんなのアリなのか?


「なんかの塔かと思ったけど、これ全部が壁だったのね……」
「ああ、ネメシア……このがけから壁まで全部が要塞のようだぞ」


 全員が圧倒されていた。
 なんだこの魔塔。ラスボスでも住んでいるんじゃないかってレベルだ。それこそ、天帝がいるかもしれんレベルだ。

 俺のむか~~しの記憶に『バベルの塔』なんてモノがあったが、それの一万倍以上の規模だろう。果てしない。


「で、これどうやって入る? 出入口らしい場所も見当たらないぞ」


 ポカンとなっていると、エコが喋った。


「ヘデラ様、この要塞に出入り口はありませんにょ。この国に入るには、特別なアイテムが必要です」
「アイテム?」
「ええ、この国は『完全招待制』ですから【死の招待状】がないと入れないんです」

「なんだって……。じゃあ、どうしようもないって事かよ」
「そうなりますね」


 そうなりますねって……。

 意味ねえええええ!!


「招待状はどこで手に入る?」


 常に冷静なトーチカがそんな疑問を呈した。
 俺も気になった。

 それには、エコが答えた。


「それがですね……その『招待権』を持っている方に招待をして貰わねばならないのです。その人物を探すのには一苦労でして……」


 なるほどな。
 そんな厳重な招待制とはな、こりゃ面倒だな。

 ていうか、こんな崖っぷちだから、風が冷たい。俺は未だに服を着ておらず、下着姿なんだよなー。


「……へっくち。うぅ、さっぶ」
「ヘデラ、パンツだけだし」
「まあな」


 トーチカに指摘された通り、俺はまだパンツ一丁。聖女として、この格好は如何なものかと思う。男に見られたら恥ずかしいなぁー…。幸い、エコを抱え胸は隠している。ついでに暖を取っているから、そこまでではないけど、それでも寒い。


「いったん、レメディオスに戻る?」


 ネメシアが心配そうに俺の横に立つ。


「そうだな、招待状がないんじゃ……侵入も無理だろ。あの壁、どこにも出入口がないし。てっぺん登るって言っても、上が果てしないぞ」


「そうね、これは無理ね。さすが死の要塞。……ところで、ヘデラさ」
「ん?」
「ブラくらい貸すけど……」
「まじ? いやでも、ネメシアのは小さくてなあ……合わないと思う」

「なんですって!?」

 げ……にらまれた。
 でも本当だからなあ。俺の方がサイズが大きいんだよ。

「ま、まあもう帰るわけだし、いいよ」
「そう~…」

 なぜ、しょんぼりする。

「あたしのは?」
「トーチカのなら、ギリギリいけるかもな」

「では、私ので」
「エコ、お前は猫だろうが!!」


 実質裸の猫では、下着も何もあるまい。


 ――というわけで、一旦帰還。


 ◆


 レメディオスへ戻った。
 もちろんテレポートで。


 帰宅早々、俺は風呂へ……あ、そうだ。メサイア達との約束があったんだよ。そうそう、温泉へ行くって。それでこっちをメインにしたのだった。


 邸宅いえの何処かにいるだろう、ネメシアを探し回った。


 ……いたいた。

 俺の部屋にいた。


「よ、ネメシア。って、俺のベッドで何しているんだ」
「……え、あっ」

「ネメシア、お前まさか、俺の匂いを?」
「…………」

 顔を真っ赤にして、うつむく。
 涙目になってついに顔をシーツに埋めた。


「…………こ、これはその……」
「あー…、俺の匂い好きなのか?」
「……うん。高級ブランドのチェリーブロッサムの香水よね。これ好きなの。だって、ママと一緒の匂いだもん」


 そう、メサイアのお気に入りの匂い。
 なぜか甘くて、でも爽やかな。
 俺もそれを使わせて貰っていた。

 ……まあ、さすがに女の身としてはな。


「だからか。てっきり、ヘンタイさんになっちゃったのかと思ったぞ」
「……うぅ」
「ネメシア、今度、女神様のところへ一緒に行こう」
「ママのとこ? ほんと?」
「ああ、連れていってやる。だから、大人しくお留守番しているんだぞ」
「うん。ヘデラは何処どこか行くの?」

 そんな、つぶらな瞳で見られる。

「ちょっとな。大事な用があるんだよ」
「……分かった。でも、遅くならないでね、心配しちゃうから。あと……寂しいから」

 まったくもう、可愛いヤツめ。
 本当はずっとそばにいてやりたいが……


 温泉が俺を待っているんだァ……許せ、娘よ。


 ◆


 俺は聖女・ヘデラのまま行動を開始。

 メサイアたちと合流した。


「へぇ、やっぱり聖女の姿は可愛いわね」

 にやっと笑う女神・メサイア。


「わたくしと同じですから♪」

 モデルの元となったフォルが満足気に頷く。


「フォルちゃんそっくり~」

 リースも微笑む。



「さあ、行こうか。これなら女湯に入れるし」

「そうね、じゃあ~レメディオスの有名温泉【ヘールボップ】へ行きましょうか」


 ヘールボップ?


 ――って、まさか……


 サイネリアの温泉だったのかよ。


 ◆


 かぽーんと不思議な音が響く。
 あの音ってなんだろうな。


「……あぁ、いい湯だ」


 最高の露店風呂、絶世の美女たち、女神、聖女、エルフに囲まれながら天国を味わっていた。


「サト……ヘデラさん」
「サトルでいいよ。慣れている方で構わん」


 リースが爆乳らしきものを揺らしながら俺に接近する。揺れたのが見えただけ。湯気が強すぎて隠れて見えないけどな。


「どうした、リース」
「……えへへ、女の子のサトルさんと温泉は初めてなので」
「そうだな。リースはすっかり成長して、すげぇな」
「恥ずかしいですぅ」

 やっぱり、エルフは発育がいいなあ。
 最強にして世界一の金髪エルフで間違いない。どこを探してもこれ程の神秘は見つからんだろう。


 少し視線を移すと、メサイアとフォルが談笑していた。


「ん~~~、姉様、ここは最高のお湯ですね」
「ええ、あのサイネリアさんの温泉だから、凄いわよ。効能は、健康増進と関節痛、筋肉痛の回復。肌もツヤツヤになるの」


 ほー、肌がね。
 自身の身体にお湯を染み込ませていこうとすれば、リースが察してくれて、俺の肌を擦ってくれた。


「……リース」
「今日は、あたしがサトルさんを癒して差し上げます♪」
「まじか。嬉しいな」


 全身をくまなくお湯でマッサージしてもらった。いやぁ、最高のマッサージだわぁ。こりゃ本当に肌もツヤツヤになりそうだな。


 やっぱり、聖女はやめらんねぇな!
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