303 / 473
第303話 聖者と聖女 - 分身して二つの存在で世界を救え!! -
しおりを挟む
メサイアの家で一晩を過ごした後、俺は早々に本家へ帰宅。ネメシア達のいる邸宅の方だ。勿論、聖女の姿でな。
「ヘデラ……どこ行ってたの」
なんと玄関前に佇むネメシアの姿があった。
心配そうな顔で今にも泣きだしそう。うぅ……あんな顔されると弱いんだよね、俺。ていうか、心配してくれていたんだなぁ。
「おはよう、ネメシア」
「おはようじゃないわよ……何処へ行っていたの。朝起きて姿が無かったから……邸宅中探し回ったのよ」
ずっと玄関で立ち尽くしていたようだ。おいおい、裸足じゃないか! 泥が付着しているように見えるし……深刻だなこれは。
「待たせてすまん」
「もう何処にも行かないで。わたし……ヘデラがいないと元気でないし、食欲も湧かない。辛すぎる……」
なんか朝から重いぞ、ネメシアさん!
けどまあ、それほど心配してくれたんだよな。ああ、嬉しいよ。嬉しすぎてちょっと胸がキュンときた。
しかし困った……。
たまにはメサイアたちと冒険と思ったのだが……俺の身体はひとつしかない。当然、可愛い娘であるネメシアの相手もしてやりたいけど、メサイアも気掛かりだ。二人とも大事だ。何かいい方法は――。
あった。
願望星屑【スターダスト】を使えばいい!!
かなり悪魔的発想ではあるが、コンスタンティンの分身スキルの応用で俺の分身を作る。なぁに、俺の姿は元々おっさん姿本来の『サトル』と聖女『ヘデラ』が存在する。それを分離するだけ。
だが、それは両方紛れもない俺なのである。意思も記憶も共有されるし、魂すらも同期される。ふたつだけどひとつの存在となるのだ。
これは断じてクローンとかコピーロボとかドッペルゲンガーではない。まして、別の世界線とかパラレルワールド的な存在でもない。
マジのガチで本人なのだ。だから、これでネメシアもメサイアも悲しませる事はない! サトルもヘデラも俺は俺なのだから問題ない。
「ネメシア、俺はもう何処にも行かないよ」
「ほんと~!? じゃあ許してあげる」
ぱぁと顔を輝かせ、上機嫌になった。
ふぅ、良かった。
――――そして、今頃はもうひとりの俺というか、本人もメサイア達の方へ向かっている頃だろうというか、向かっている。全ての感触とか感覚が共有されているから分かる。こりゃあ便利だ!
一粒で二度美味しい的な!!
ということで、俺はしばらくメサイア側を主軸にすることにした。こちらはこちらで活動するけどな。
さ~て『サトル』側へ。
◆◇ ◆◇ ◆◇
「――兄様?」
フォルの青桃オッドアイが目の前にあった。
ここは家の中。椅子に座り、俺の膝の上にフォルがいた。向き合うように跨られており、距離がかなり近い。ふんわりした感触とか、聖女独特の香りとか……たまらん。
俺は彼女の引き締まった腰に手を当て、抱き寄せた。もっと距離がグッと縮まり、もういろいろ接触しまくっていた。
「フォルもすっかり大人びたなぁ」
「人間ですから成長しますよ~」
「そうだな、胸とか凄いし」
「ええ、あれから三年経ちましたからね」
えっへんと目の前で胸を張るフォル。
確かに、目に見えて大きく成長していた。
それを独り占めできる俺。幸せ!
そんな風にイチャイチャしていれば、リースが身体を伸ばしながらリビングに入ってきた。
「おはよ~、フォルちゃん……って、サトルさんとナニしてるのー!! ちょっと、そこ変わって!!」
慌しい様相で走って来るリースは、フォルを引き剥がそうとした。しかし、そこへメサイア登場。
「あー、ねむ。……って、朝っぱらから何してるのよ」
目を擦りボケボケしている女神。
まあ昨日遅かったしな。――にしても、服が乱れ肩肌が見えていた。メサイアの服は黒のTシャツ一枚で大胆にフトモモを露出していた。目の保養にバッチリである。
「よ、メサイア。さっそくだが、ギヨティーネをぶっ潰そうぜ!」
「ギヨティーネ? ああ、あの裏切りギルド。ギルドマスターはパラディンキングの『トゥース』でしょ。元々は『聖者祭』にも来ていたギルドね。けれど、あのギルドは協力的ではなかったし、反抗的だった。だから、表舞台から姿を消していた……」
メサイアの説明通りだった。
彼らは裏で暗躍し、レイドボスやコンスタンティン、あの『星の都』の事件にも密かに関わっていたようだ。
中でも驚いたのは『アルクトゥルス』から『聖者』の力を与えられているらしい事。つまり、俺と同等の存在だ。……いや、そうでもないな。俺には【スターダスト】がある。違いがあると言えば、それだ。
「ま、裏切者には報いをな」
「そうね、おかげで私たちの生活めちゃくちゃだもん。そんな馬鹿共には痛い目を合わせなきゃね、こちらの気が晴れないわ」
「よくぞ言った、メサイア。……よし、リースよ、さっそく『テレポート』を頼む。目的地は、ギヨティーネの潜伏先と噂されている『デン』だ」
「分かりました! では、一定の範囲内に寄って下さい。テレポートを開始しますね」
ぎゅと手を握り、気合を入れるリース。
そんな太陽のような笑顔を向けられ、俺はキュンと来てしまった。……この金髪エルフ超可愛い。
とりあえず、膝の上に乗せているフォルをお姫様抱っこし、立ち上がった。
「……ひゃぅ、兄様♡ こんな風に抱かれて……わたくし幸せ過ぎて死んでしまいますぅ~♡」
俺の腕の中で蕩けるフォル。
このまま向かうか!
「ヘデラ……どこ行ってたの」
なんと玄関前に佇むネメシアの姿があった。
心配そうな顔で今にも泣きだしそう。うぅ……あんな顔されると弱いんだよね、俺。ていうか、心配してくれていたんだなぁ。
「おはよう、ネメシア」
「おはようじゃないわよ……何処へ行っていたの。朝起きて姿が無かったから……邸宅中探し回ったのよ」
ずっと玄関で立ち尽くしていたようだ。おいおい、裸足じゃないか! 泥が付着しているように見えるし……深刻だなこれは。
「待たせてすまん」
「もう何処にも行かないで。わたし……ヘデラがいないと元気でないし、食欲も湧かない。辛すぎる……」
なんか朝から重いぞ、ネメシアさん!
けどまあ、それほど心配してくれたんだよな。ああ、嬉しいよ。嬉しすぎてちょっと胸がキュンときた。
しかし困った……。
たまにはメサイアたちと冒険と思ったのだが……俺の身体はひとつしかない。当然、可愛い娘であるネメシアの相手もしてやりたいけど、メサイアも気掛かりだ。二人とも大事だ。何かいい方法は――。
あった。
願望星屑【スターダスト】を使えばいい!!
かなり悪魔的発想ではあるが、コンスタンティンの分身スキルの応用で俺の分身を作る。なぁに、俺の姿は元々おっさん姿本来の『サトル』と聖女『ヘデラ』が存在する。それを分離するだけ。
だが、それは両方紛れもない俺なのである。意思も記憶も共有されるし、魂すらも同期される。ふたつだけどひとつの存在となるのだ。
これは断じてクローンとかコピーロボとかドッペルゲンガーではない。まして、別の世界線とかパラレルワールド的な存在でもない。
マジのガチで本人なのだ。だから、これでネメシアもメサイアも悲しませる事はない! サトルもヘデラも俺は俺なのだから問題ない。
「ネメシア、俺はもう何処にも行かないよ」
「ほんと~!? じゃあ許してあげる」
ぱぁと顔を輝かせ、上機嫌になった。
ふぅ、良かった。
――――そして、今頃はもうひとりの俺というか、本人もメサイア達の方へ向かっている頃だろうというか、向かっている。全ての感触とか感覚が共有されているから分かる。こりゃあ便利だ!
一粒で二度美味しい的な!!
ということで、俺はしばらくメサイア側を主軸にすることにした。こちらはこちらで活動するけどな。
さ~て『サトル』側へ。
◆◇ ◆◇ ◆◇
「――兄様?」
フォルの青桃オッドアイが目の前にあった。
ここは家の中。椅子に座り、俺の膝の上にフォルがいた。向き合うように跨られており、距離がかなり近い。ふんわりした感触とか、聖女独特の香りとか……たまらん。
俺は彼女の引き締まった腰に手を当て、抱き寄せた。もっと距離がグッと縮まり、もういろいろ接触しまくっていた。
「フォルもすっかり大人びたなぁ」
「人間ですから成長しますよ~」
「そうだな、胸とか凄いし」
「ええ、あれから三年経ちましたからね」
えっへんと目の前で胸を張るフォル。
確かに、目に見えて大きく成長していた。
それを独り占めできる俺。幸せ!
そんな風にイチャイチャしていれば、リースが身体を伸ばしながらリビングに入ってきた。
「おはよ~、フォルちゃん……って、サトルさんとナニしてるのー!! ちょっと、そこ変わって!!」
慌しい様相で走って来るリースは、フォルを引き剥がそうとした。しかし、そこへメサイア登場。
「あー、ねむ。……って、朝っぱらから何してるのよ」
目を擦りボケボケしている女神。
まあ昨日遅かったしな。――にしても、服が乱れ肩肌が見えていた。メサイアの服は黒のTシャツ一枚で大胆にフトモモを露出していた。目の保養にバッチリである。
「よ、メサイア。さっそくだが、ギヨティーネをぶっ潰そうぜ!」
「ギヨティーネ? ああ、あの裏切りギルド。ギルドマスターはパラディンキングの『トゥース』でしょ。元々は『聖者祭』にも来ていたギルドね。けれど、あのギルドは協力的ではなかったし、反抗的だった。だから、表舞台から姿を消していた……」
メサイアの説明通りだった。
彼らは裏で暗躍し、レイドボスやコンスタンティン、あの『星の都』の事件にも密かに関わっていたようだ。
中でも驚いたのは『アルクトゥルス』から『聖者』の力を与えられているらしい事。つまり、俺と同等の存在だ。……いや、そうでもないな。俺には【スターダスト】がある。違いがあると言えば、それだ。
「ま、裏切者には報いをな」
「そうね、おかげで私たちの生活めちゃくちゃだもん。そんな馬鹿共には痛い目を合わせなきゃね、こちらの気が晴れないわ」
「よくぞ言った、メサイア。……よし、リースよ、さっそく『テレポート』を頼む。目的地は、ギヨティーネの潜伏先と噂されている『デン』だ」
「分かりました! では、一定の範囲内に寄って下さい。テレポートを開始しますね」
ぎゅと手を握り、気合を入れるリース。
そんな太陽のような笑顔を向けられ、俺はキュンと来てしまった。……この金髪エルフ超可愛い。
とりあえず、膝の上に乗せているフォルをお姫様抱っこし、立ち上がった。
「……ひゃぅ、兄様♡ こんな風に抱かれて……わたくし幸せ過ぎて死んでしまいますぅ~♡」
俺の腕の中で蕩けるフォル。
このまま向かうか!
0
お気に入りに追加
1,266
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

無人島Lv.9999 無人島開発スキルで最強の島国を作り上げてスローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国の第三皇子・ラスティは“無能”を宣告されドヴォルザーク帝国を追放される。しかし皇子が消えた途端、帝国がなぜか不思議な力によって破滅の道へ進む。周辺国や全世界を巻き込み次々と崩壊していく。
ラスティは“謎の声”により無人島へ飛ばされ定住。これまた不思議な能力【無人島開発】で無人島のレベルをアップ。世界最強の国に変えていく。その噂が広がると世界の国々から同盟要請や援助が殺到するも、もう遅かった。ラスティは、信頼できる仲間を手に入れていたのだ。彼らと共にスローライフを送るのであった。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる