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第299話 死者復活 - シュピネダンジョン⑨ -
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ネメシアとトーチカが謎の男たちに人質に取られてしまった。……まさか、こんな崖の下にそんなトラップがあるとはな。
「ようこそ……『パロブ』へ」
「なんだと! この崖の底がパロブだって?」
「そうだ、ここは地下帝国・パロブである。侵入者は容赦なく処刑する」
いきなり意味分からん。
余所者は理由もなく排除かよ。なんて国だ!
許せん……絶対に許せん。
「その二人を放せ!」
「断る。この女神とメイドは皮を剥ぎ、バラバラにして食材にする」
「んだとぉ!? 悪趣味ヤロー共が! 緑色の変な民族衣装に身を纏いやがって、気色わりぃ……ん、まてよ」
まてよ。
コイツ等、なぜネメシアが『女神』だと知っている! 初対面なのにありえんだろう。おかしい。明らかにおかしい。一発でネメシアが女神と分かるか、普通。コイツ等、誰かと手を結んでいるかもしれない。いや、確定だ。
そもそも、コイツ等はなんだ?
本当に『パロブ』の住人か?
そうだとしてもこれは怪しすぎる。
その時、闇の奥から声が。
『…………ククククク、愉快愉快。実に愉快だ』
この声はまさか……そんな筈はねぇ!!
ヤツは倒したはずだ!
「お前なのか……」
『そうとも……!』
現れる灰色の肌。
今回はローブはしていない。素顔を出しているが、そのおっさんのような顔面は傷だらけ。きっと前回の傷痕だろう。金属で補強し、身体もなんだかサイボーグのようなゴツゴツだった。というか……なぜ生きている、あの男。
「ゴータマ!!」
『……フッフフフフフ。覚えているか、聖女よ。レメディオスで私は敗北し、死んだはずだった……だが、私は生き延びたのだよ。奇跡的にな』
完全消滅したはずのゴータマが生きていた!?
『あの時、私は確かに完全消滅した。だが、私は『カオス』の使い手でねぇ。消滅しかけている肉体からギリギリのところで魂を分離したのだよ。だからこうして生き返った。
ちなみにこの体は、この国『パロブ』の技術でね。彼らは食人を行う殺人集団。その遺体を借り、魂を付与した。そう、私と彼らは協力関係。お前たちを罠に嵌めるために、今回こちらへ向かわせたわけだ。……フフフ、フハハハハハハ!!』
高笑いするゴータマ。
そういう事だったのか……俺らはまんまとコイツの掌で踊らされていたわけか。くそう……!!
「ヘデラ、逃げて……」
そうネメシアは弱々しく俺に向けて言う。
「二人を置いて逃げるワケねえだろ。ネメシア、トーチカ……必ず助けてやる。俺の命に代えてもな」
『これは面白い!! 聖女よ、この絶望的状況で我々と戦うと? 笑止! いいか、こちらは人質が二人もいるのだよ。勝てると思うかね!?』
……難しいだろうな。
まず、ネメシアの方の男。なかなか体格がゴツイ。しかし【オートスキル】の『オーディール』なら光の速度で到達する。ヤツの顎を砕く。
それから、トーチカの方。あの男はヒョロイが素早そうだ。しかし【オートスキル】の『ヒドゥンクレバス』で股間を凍らせば、イチコロだろう。
そして最後に、生きていたゴータマ。
ヤツは全盛期の力を持っていないとはいえ、あの天帝の元は大幹部。その力はそこそこ恐ろしかった。しかし【オートスキル】の『エンデュランス』ならば一撃で仕留められるだろう。使用魔力が超膨大なので最後だ。
……そう考えれば、いけないこともないかもしれない。いやだが、失敗すれば二人が傷つく。それだけは避けねばならない。
「にゃー、ヘデラ様。私もいますよ」
そうだ。頭の上に黒猫のエコもいた。
彼女の力も借りよう。これでもエルフだからな。
これで……
いけるか!?
「ようこそ……『パロブ』へ」
「なんだと! この崖の底がパロブだって?」
「そうだ、ここは地下帝国・パロブである。侵入者は容赦なく処刑する」
いきなり意味分からん。
余所者は理由もなく排除かよ。なんて国だ!
許せん……絶対に許せん。
「その二人を放せ!」
「断る。この女神とメイドは皮を剥ぎ、バラバラにして食材にする」
「んだとぉ!? 悪趣味ヤロー共が! 緑色の変な民族衣装に身を纏いやがって、気色わりぃ……ん、まてよ」
まてよ。
コイツ等、なぜネメシアが『女神』だと知っている! 初対面なのにありえんだろう。おかしい。明らかにおかしい。一発でネメシアが女神と分かるか、普通。コイツ等、誰かと手を結んでいるかもしれない。いや、確定だ。
そもそも、コイツ等はなんだ?
本当に『パロブ』の住人か?
そうだとしてもこれは怪しすぎる。
その時、闇の奥から声が。
『…………ククククク、愉快愉快。実に愉快だ』
この声はまさか……そんな筈はねぇ!!
ヤツは倒したはずだ!
「お前なのか……」
『そうとも……!』
現れる灰色の肌。
今回はローブはしていない。素顔を出しているが、そのおっさんのような顔面は傷だらけ。きっと前回の傷痕だろう。金属で補強し、身体もなんだかサイボーグのようなゴツゴツだった。というか……なぜ生きている、あの男。
「ゴータマ!!」
『……フッフフフフフ。覚えているか、聖女よ。レメディオスで私は敗北し、死んだはずだった……だが、私は生き延びたのだよ。奇跡的にな』
完全消滅したはずのゴータマが生きていた!?
『あの時、私は確かに完全消滅した。だが、私は『カオス』の使い手でねぇ。消滅しかけている肉体からギリギリのところで魂を分離したのだよ。だからこうして生き返った。
ちなみにこの体は、この国『パロブ』の技術でね。彼らは食人を行う殺人集団。その遺体を借り、魂を付与した。そう、私と彼らは協力関係。お前たちを罠に嵌めるために、今回こちらへ向かわせたわけだ。……フフフ、フハハハハハハ!!』
高笑いするゴータマ。
そういう事だったのか……俺らはまんまとコイツの掌で踊らされていたわけか。くそう……!!
「ヘデラ、逃げて……」
そうネメシアは弱々しく俺に向けて言う。
「二人を置いて逃げるワケねえだろ。ネメシア、トーチカ……必ず助けてやる。俺の命に代えてもな」
『これは面白い!! 聖女よ、この絶望的状況で我々と戦うと? 笑止! いいか、こちらは人質が二人もいるのだよ。勝てると思うかね!?』
……難しいだろうな。
まず、ネメシアの方の男。なかなか体格がゴツイ。しかし【オートスキル】の『オーディール』なら光の速度で到達する。ヤツの顎を砕く。
それから、トーチカの方。あの男はヒョロイが素早そうだ。しかし【オートスキル】の『ヒドゥンクレバス』で股間を凍らせば、イチコロだろう。
そして最後に、生きていたゴータマ。
ヤツは全盛期の力を持っていないとはいえ、あの天帝の元は大幹部。その力はそこそこ恐ろしかった。しかし【オートスキル】の『エンデュランス』ならば一撃で仕留められるだろう。使用魔力が超膨大なので最後だ。
……そう考えれば、いけないこともないかもしれない。いやだが、失敗すれば二人が傷つく。それだけは避けねばならない。
「にゃー、ヘデラ様。私もいますよ」
そうだ。頭の上に黒猫のエコもいた。
彼女の力も借りよう。これでもエルフだからな。
これで……
いけるか!?
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