297 / 473
第297話 死者復活 - シュピネダンジョン⑦ -
しおりを挟む
恐ろしかった『シュピネダンジョン』を抜けた。
森を抜けるとそこは崖だった……!
恐ろしいほどの断崖絶壁でした!!
「うあぁぁぁぁ……!」
なんぞこれ。
どうして森の外が崖なの、ねぇ!?
「お、落ちるぅ!!」
「わぁ、なにこれヘデラ! 底が真っ暗で何も見えないわ!!」
「お……押すなよ、絶対に押すなよ!?」
俺もみんなも足元がフラついている。
こんな高さだからな、ビビりもするって――なあ!? やばいやばいやばいって、この高さは尋常じゃない。落ちたら仏さんよ。
「にゃーーーーーーー!!!」
「うああああああ、エコもといシャミセン!! てめええ、押すなとぉ!!」
「虫があああ、私の鼻の上にウネウネの気持ち悪い虫があああああああ~~~~~~~~!!」
どうやら、エコの鼻に虫が付着した模様。そのせいで、ジタバタ暴れまくり。俺はその反動で落ちそうになる! 我慢しなさい!!
「うああああああ!!」
ついに俺はバランスを崩し、奈落の底へほぼ行きかけた。だが、辛うじてトーチカが俺の水着を引っ張り何とか落ちずに済んだ。
「ふぅ……。九死に一生を得た。――って、うわっ……俺、胸が丸出し……!」
どうやら、トーチカにビキニの肩紐を引っ張られてしまい、抜けてしまったようだ。紐が辛うじて俺とトーチカを繋いでいる。
「トーチカ、放すなよ! 俺死んじゃうから!」
「それは嫌……絶対に離さない」
しかし、トーチカもすごい体勢だ。逆さまになっている。そのトーチカの足を掴むは、ネメシア。その頂上がエコだった。
エコ!?
待ってほしい。
黒猫であるエコ、しかも肉球が俺たちを支えている!? なんだこの奇跡的な状況! ありえんだろ! ありえんけどこれが現実!
こういう危機的状況の場合、一番上で支えている人物が顔を真っ赤にし、全力で引っ張るものだ。だが、それが今は猫であるエコが肉球で引っ張っているのだ。
マジでどうなってやがる!?
エコの肉球は、未来の技術ペッタリハンドか何かか!? それかやっぱり、あの猫は鵺かキメラに違いない!
「ぐにゃにゃにゃ……!」
苦しそうに俺たちを引っ張り上げる、エコ。
まさか猫に助けられるとはな。ていうか、力持ちすぎだろ! すげぇぜ、このキメラ猫!
一応、その正体はロリエルフだけれど――なんだろう、腑に落ちないっていうか。こんな展開を誰が予想できただろうか!
まあいい……!
『神』が頼れないのなら『ネコ』を頼るしかない。案外、紙一重かもな!
此処からではあまりよくは見えないが、顔を真っ赤にさせ、力むエコは肉球に全神経を注ぎ、崖の上から俺、トーチカ、ネメシアを吊り上げている。
頼むぜ、エコ。お前だけが頼りだ。
「うにゃあああああああああああああ……!!!」
かつてないセクシーボイスが空へ響く。
全力だな、猫の本気。底力。憤怒。
そうだ、猫に不可能はない。
そうだろう、エコ!
「……やっぱり無理ですにゃああああああああああああああ~~~~~!!」
力尽き、肉球を放す。
「え……うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
・
・
・
森を抜けるとそこは崖だった……!
恐ろしいほどの断崖絶壁でした!!
「うあぁぁぁぁ……!」
なんぞこれ。
どうして森の外が崖なの、ねぇ!?
「お、落ちるぅ!!」
「わぁ、なにこれヘデラ! 底が真っ暗で何も見えないわ!!」
「お……押すなよ、絶対に押すなよ!?」
俺もみんなも足元がフラついている。
こんな高さだからな、ビビりもするって――なあ!? やばいやばいやばいって、この高さは尋常じゃない。落ちたら仏さんよ。
「にゃーーーーーーー!!!」
「うああああああ、エコもといシャミセン!! てめええ、押すなとぉ!!」
「虫があああ、私の鼻の上にウネウネの気持ち悪い虫があああああああ~~~~~~~~!!」
どうやら、エコの鼻に虫が付着した模様。そのせいで、ジタバタ暴れまくり。俺はその反動で落ちそうになる! 我慢しなさい!!
「うああああああ!!」
ついに俺はバランスを崩し、奈落の底へほぼ行きかけた。だが、辛うじてトーチカが俺の水着を引っ張り何とか落ちずに済んだ。
「ふぅ……。九死に一生を得た。――って、うわっ……俺、胸が丸出し……!」
どうやら、トーチカにビキニの肩紐を引っ張られてしまい、抜けてしまったようだ。紐が辛うじて俺とトーチカを繋いでいる。
「トーチカ、放すなよ! 俺死んじゃうから!」
「それは嫌……絶対に離さない」
しかし、トーチカもすごい体勢だ。逆さまになっている。そのトーチカの足を掴むは、ネメシア。その頂上がエコだった。
エコ!?
待ってほしい。
黒猫であるエコ、しかも肉球が俺たちを支えている!? なんだこの奇跡的な状況! ありえんだろ! ありえんけどこれが現実!
こういう危機的状況の場合、一番上で支えている人物が顔を真っ赤にし、全力で引っ張るものだ。だが、それが今は猫であるエコが肉球で引っ張っているのだ。
マジでどうなってやがる!?
エコの肉球は、未来の技術ペッタリハンドか何かか!? それかやっぱり、あの猫は鵺かキメラに違いない!
「ぐにゃにゃにゃ……!」
苦しそうに俺たちを引っ張り上げる、エコ。
まさか猫に助けられるとはな。ていうか、力持ちすぎだろ! すげぇぜ、このキメラ猫!
一応、その正体はロリエルフだけれど――なんだろう、腑に落ちないっていうか。こんな展開を誰が予想できただろうか!
まあいい……!
『神』が頼れないのなら『ネコ』を頼るしかない。案外、紙一重かもな!
此処からではあまりよくは見えないが、顔を真っ赤にさせ、力むエコは肉球に全神経を注ぎ、崖の上から俺、トーチカ、ネメシアを吊り上げている。
頼むぜ、エコ。お前だけが頼りだ。
「うにゃあああああああああああああ……!!!」
かつてないセクシーボイスが空へ響く。
全力だな、猫の本気。底力。憤怒。
そうだ、猫に不可能はない。
そうだろう、エコ!
「……やっぱり無理ですにゃああああああああああああああ~~~~~!!」
力尽き、肉球を放す。
「え……うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
・
・
・
0
お気に入りに追加
1,266
あなたにおすすめの小説

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる