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第283話 お風呂マッチョ事件 - ネコミミメイドの受難 -
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「ヘデラ、いったん休憩しよう。ネメシアは起きない」
「……トーチカ」
俺は、ずっとネメシアを見守っていた。外はすっかり真っ暗で深夜になってしまっていた。
あのアクシデントがあって以来、まったく目を覚まさない。かなり心配だ。でも、息はあるし……一応、身体とか肌を直接確認したりした。
ま……娘だし、現状女同士だし、問題ないだろう。
いろんな箇所をまさぐってみたが、黒いオーラも消えて体に異変はなかった。そういえば、メサイアもそれほど変化はなかったか――。
「にゃー」
「エコ……」
肩に乗って来るエコは、耳元で囁いた。
「ヘデラ様、気を付けて下さい。ネメシアさんは非常に危険な状態です。もしもあの『シニガミ』と同等の存在であるのならば、我々の敵になる可能性も……」
「馬鹿なこと言うなよ……。そんなワケあるか!」
「可能性の話です。でも、私、召喚に応じる前は『女神と死神』全盛期真っ只中の時代を生き抜いておりましたよ」
「そんな前から!?」
「言ったでしょう、私は『3000年』生きていると。古い歴史とかには詳しいのですよ。少しお教えしますと、女神と死神はイコールなのです。だから、あの上位存在はどちらにも成りえるのですよ。そんな経験ありません?」
――――あった。
かつての『メサイア』も【死の呪い】とかで、死神になっていたっけ。でも、レイドボスだっけ……ま、あれとかこれとか倒して呪いは晴れたはず。昔すぎて忘れた!
「でも、もうレイドボスはぶちのめして……元には戻らんはずだ。なのに死神に戻った。これはいったい……」
「そこが肝心です!」
「だからそれが――」
「ヘ~デ~ラ~」
痺れを切らしたトーチカが、珍しく抱きついてきた。ふわっとした感触が俺を包む。……ていうか、頬を膨らませ、目がちょっと怒っているような。
「どうした、トーチカ」
「悩んでいる時は、お風呂いく。落ち着くは大事」
両手で俺の頬を押さえてくるトーチカは、まるで励ましてくるツンデレ幼馴染のようだった。……うむ、そうだな、一度冷静になろう。
★
風呂へ向かうと――――
「よう!」
かなり前にも出現した筋肉ムキムキのおっさんが現れた。
「ギャアアアアアアアアアアアア!!!」
俺は思わず叫んだ。
一応、女なので!!!
「ぐ、ぐぇえええええ……隠せよバカ!! てか、なんで、またいるんだよこのアホ!!」
「久しぶりだな、聖女・ヘデラよ」
「あれ、名乗ったっけ……」
「詳しい事は大体、娘から聞いた」
ギョロっとトーチカを見た。
あーやっぱり、トーチカの親父か。
すげぇ筋肉だな。
「あんた何者だよ。この前も何しにきたんだよ」
「大切な娘の成長を見に来たのだよ。悪いかね」
「だからってマッパで、しかも人ん家の風呂に勝手に入るなよ!? あー、トーチカよ。目がいつも以上に死んでいるぞ……」
「………………」
うわぁ、こりゃ重症だな。
バスタオルで隠しているとはいえ、実質ハダカ。親子の付き合いとはいえ、これは残酷すぎる。こんな深いショックを受けているトーチカは珍しいというか、同情しちゃうね。
「教えてくれ。この明らかにお前の親父さんっぽいムキムキ男は、トーチカの親で間違いないのか?」
「…………ち、ちが」
ぷるぷる震えてるー!!
てか、これ確定なヤツー!!!
「…………おとおとおとおとおとうささささん」
めっちゃ動揺しとるやん……。
「トーチカが壊れたオモチャになっとるわ。こんなの初めてみたぞ……。おい、あんた。娘をもっと大事にしろ!」
「なにを言う。こうして会いに来ているし、娘のことは嫁より愛している」
それいいのか!?
「で、あんたの名は!」
「む?」
「あんたの名だよ。ムキムキ男って言うぞ」
「――そうだな、名乗るのが遅れた。我が名は『ぽむぽむ』!! 今現在は名を改め……『ぼむぼむ』だ!!」
「あんま変化ねええええええええ~~~~~~~~~~~~!!!!」
むしろ、悪化してね?
「……トーチカ」
俺は、ずっとネメシアを見守っていた。外はすっかり真っ暗で深夜になってしまっていた。
あのアクシデントがあって以来、まったく目を覚まさない。かなり心配だ。でも、息はあるし……一応、身体とか肌を直接確認したりした。
ま……娘だし、現状女同士だし、問題ないだろう。
いろんな箇所をまさぐってみたが、黒いオーラも消えて体に異変はなかった。そういえば、メサイアもそれほど変化はなかったか――。
「にゃー」
「エコ……」
肩に乗って来るエコは、耳元で囁いた。
「ヘデラ様、気を付けて下さい。ネメシアさんは非常に危険な状態です。もしもあの『シニガミ』と同等の存在であるのならば、我々の敵になる可能性も……」
「馬鹿なこと言うなよ……。そんなワケあるか!」
「可能性の話です。でも、私、召喚に応じる前は『女神と死神』全盛期真っ只中の時代を生き抜いておりましたよ」
「そんな前から!?」
「言ったでしょう、私は『3000年』生きていると。古い歴史とかには詳しいのですよ。少しお教えしますと、女神と死神はイコールなのです。だから、あの上位存在はどちらにも成りえるのですよ。そんな経験ありません?」
――――あった。
かつての『メサイア』も【死の呪い】とかで、死神になっていたっけ。でも、レイドボスだっけ……ま、あれとかこれとか倒して呪いは晴れたはず。昔すぎて忘れた!
「でも、もうレイドボスはぶちのめして……元には戻らんはずだ。なのに死神に戻った。これはいったい……」
「そこが肝心です!」
「だからそれが――」
「ヘ~デ~ラ~」
痺れを切らしたトーチカが、珍しく抱きついてきた。ふわっとした感触が俺を包む。……ていうか、頬を膨らませ、目がちょっと怒っているような。
「どうした、トーチカ」
「悩んでいる時は、お風呂いく。落ち着くは大事」
両手で俺の頬を押さえてくるトーチカは、まるで励ましてくるツンデレ幼馴染のようだった。……うむ、そうだな、一度冷静になろう。
★
風呂へ向かうと――――
「よう!」
かなり前にも出現した筋肉ムキムキのおっさんが現れた。
「ギャアアアアアアアアアアアア!!!」
俺は思わず叫んだ。
一応、女なので!!!
「ぐ、ぐぇえええええ……隠せよバカ!! てか、なんで、またいるんだよこのアホ!!」
「久しぶりだな、聖女・ヘデラよ」
「あれ、名乗ったっけ……」
「詳しい事は大体、娘から聞いた」
ギョロっとトーチカを見た。
あーやっぱり、トーチカの親父か。
すげぇ筋肉だな。
「あんた何者だよ。この前も何しにきたんだよ」
「大切な娘の成長を見に来たのだよ。悪いかね」
「だからってマッパで、しかも人ん家の風呂に勝手に入るなよ!? あー、トーチカよ。目がいつも以上に死んでいるぞ……」
「………………」
うわぁ、こりゃ重症だな。
バスタオルで隠しているとはいえ、実質ハダカ。親子の付き合いとはいえ、これは残酷すぎる。こんな深いショックを受けているトーチカは珍しいというか、同情しちゃうね。
「教えてくれ。この明らかにお前の親父さんっぽいムキムキ男は、トーチカの親で間違いないのか?」
「…………ち、ちが」
ぷるぷる震えてるー!!
てか、これ確定なヤツー!!!
「…………おとおとおとおとおとうささささん」
めっちゃ動揺しとるやん……。
「トーチカが壊れたオモチャになっとるわ。こんなの初めてみたぞ……。おい、あんた。娘をもっと大事にしろ!」
「なにを言う。こうして会いに来ているし、娘のことは嫁より愛している」
それいいのか!?
「で、あんたの名は!」
「む?」
「あんたの名だよ。ムキムキ男って言うぞ」
「――そうだな、名乗るのが遅れた。我が名は『ぽむぽむ』!! 今現在は名を改め……『ぼむぼむ』だ!!」
「あんま変化ねええええええええ~~~~~~~~~~~~!!!!」
むしろ、悪化してね?
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