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第279話 花の邸宅の秘密 - ホワイトに眠る聖戦士 -
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「……フム、隣国へ向かい【建築スキル】を取りに行ったり、聖女コンテストに参加したり……ゴータマとかいう大幹部との接触。そして、先のシニガミとコウシ戦……」
女王はどこか遠くを見つめ、難しそうな表情でこう言った。
「さっぱりじゃ!」
俺は激しくズッコケタ。
「さっぱりって!!」
「まあ、要は『天帝』なる悪者がこの世界を支配し、余にこの厄介な【呪い】を掛けたのじゃな。うむ、ようやく少し、ほんの僅かだが秘密結社の構造が見えてきたかもしれぬな」
「ええ、今や大幹部が必死になって奇襲を仕掛けてきています。それに、あの『シニガミ』……あれは、レッドウォー以前の『死神』で間違いないでしょう」
真剣な顔で女王様の話を聞き入ってたネメシアは、訝しみながらも補足をしてくれた。助かるな。
「ほ~? 死神とな。それはけったいな。アレは、レッドウォーより少し前を境に『女神』と共に絶滅したはず。なのに、その存在が復活していると? どういうことじゃ」
女王は腕を組み、首を傾げた。
ちんまりしているから可愛いな。
しかも、そんな別に、どうという事もないタイミングで……、俺の鼻が急激にムズムズっとしてしまった――。
まずい!!!!!
「ふぇぇ~~~~~~、ふぇえええええ~~~~~~~!!!!!」
「ちょ、ヘデラ!! いきなり!!!」
「ヘデラがくしゃみをしちゃう!!」
「ヘデラ様、それをしたら今度こそ我々はおしまいですよ!! 死刑ですよ!?」
ネメシアもトーチカもエコも大慌て。
止めようと必死に手を伸ばし、接近してくる。
だが、しかし、
もう止められな――――――い!!
「ぶふぇくしょ――――――」
「ホワイト!!!」
ネメシアが機転を利かせ、『ホワイト』を展開した。
おかげで俺は、その靄の中に突っ込み――例の【花の邸宅】へ転がり込んでしまった。……うわぁ!!
「てててて……。けどまぁ、くしゃみは回避できたか。助かったよ、ネメシア。つっても、俺は『ホワイト』の中だから聞こえやしないか――――ん?」
女の子がいた。
ああ、そや……いたね。
あの猫耳と尻尾を持つ幼き少女。いや、幼女か。かなり人見知りが激しいようで、すぐ逃げちゃうのだが、今日は少し警戒しつつも、俺の前に立っていた。
「確か……ハティちゃんだっけ?」
「お姉ちゃん。久しぶり」
「うん、久しぶりだな。キミはずっとこのホワイトの中にいたのかい?」
少女は頷いた。
相変わらず口数が少ないというか、不思議な子だな。
「ねえねえ、お姉ちゃん」
「うん? なんだい」
「こっちこっち」
「ん~?」
テケテケと、コミカルな足音を立てて走って行くハティ。ついて来いという事らしい。まあいいか、ちょっとくらいなら。
★
「あれ~? どこだ、ここ」
迷ったらしい。
そういえば、『ホワイト』の中を探索なんてしてなかったしな。全体が真っ白だし、ある意味、迷宮みたいなものだな。
「……あ、これは」
そこには『女性』が横たわっていた。
深い眠りについているのか、眼を閉じて時を止めている。まるで完全に停滞しているようだ。死んでは……なさそうだけど。
「まて、この顔……見覚えがあるぞ。ハティ、この女性って……」
「ハーデンベルギアお姉ちゃん」
その聞き覚えのある名を耳にし、俺は全身に鳥肌が立った。
「ハーデンベルギア……『ベル』じゃないか!!!」
……こんな俺好みのビキニアーマーしている女子、世界中どこを探しても『ベル』しかおらん。あの凛々しい顔とか絶対そうだ。確定だ。
お前、このホワイトの中にいたのかよ……。
てことは、以前に来た時もこの場所にいたのか……なんてことだ。
でも、
やっと…………会えたな。
女王はどこか遠くを見つめ、難しそうな表情でこう言った。
「さっぱりじゃ!」
俺は激しくズッコケタ。
「さっぱりって!!」
「まあ、要は『天帝』なる悪者がこの世界を支配し、余にこの厄介な【呪い】を掛けたのじゃな。うむ、ようやく少し、ほんの僅かだが秘密結社の構造が見えてきたかもしれぬな」
「ええ、今や大幹部が必死になって奇襲を仕掛けてきています。それに、あの『シニガミ』……あれは、レッドウォー以前の『死神』で間違いないでしょう」
真剣な顔で女王様の話を聞き入ってたネメシアは、訝しみながらも補足をしてくれた。助かるな。
「ほ~? 死神とな。それはけったいな。アレは、レッドウォーより少し前を境に『女神』と共に絶滅したはず。なのに、その存在が復活していると? どういうことじゃ」
女王は腕を組み、首を傾げた。
ちんまりしているから可愛いな。
しかも、そんな別に、どうという事もないタイミングで……、俺の鼻が急激にムズムズっとしてしまった――。
まずい!!!!!
「ふぇぇ~~~~~~、ふぇえええええ~~~~~~~!!!!!」
「ちょ、ヘデラ!! いきなり!!!」
「ヘデラがくしゃみをしちゃう!!」
「ヘデラ様、それをしたら今度こそ我々はおしまいですよ!! 死刑ですよ!?」
ネメシアもトーチカもエコも大慌て。
止めようと必死に手を伸ばし、接近してくる。
だが、しかし、
もう止められな――――――い!!
「ぶふぇくしょ――――――」
「ホワイト!!!」
ネメシアが機転を利かせ、『ホワイト』を展開した。
おかげで俺は、その靄の中に突っ込み――例の【花の邸宅】へ転がり込んでしまった。……うわぁ!!
「てててて……。けどまぁ、くしゃみは回避できたか。助かったよ、ネメシア。つっても、俺は『ホワイト』の中だから聞こえやしないか――――ん?」
女の子がいた。
ああ、そや……いたね。
あの猫耳と尻尾を持つ幼き少女。いや、幼女か。かなり人見知りが激しいようで、すぐ逃げちゃうのだが、今日は少し警戒しつつも、俺の前に立っていた。
「確か……ハティちゃんだっけ?」
「お姉ちゃん。久しぶり」
「うん、久しぶりだな。キミはずっとこのホワイトの中にいたのかい?」
少女は頷いた。
相変わらず口数が少ないというか、不思議な子だな。
「ねえねえ、お姉ちゃん」
「うん? なんだい」
「こっちこっち」
「ん~?」
テケテケと、コミカルな足音を立てて走って行くハティ。ついて来いという事らしい。まあいいか、ちょっとくらいなら。
★
「あれ~? どこだ、ここ」
迷ったらしい。
そういえば、『ホワイト』の中を探索なんてしてなかったしな。全体が真っ白だし、ある意味、迷宮みたいなものだな。
「……あ、これは」
そこには『女性』が横たわっていた。
深い眠りについているのか、眼を閉じて時を止めている。まるで完全に停滞しているようだ。死んでは……なさそうだけど。
「まて、この顔……見覚えがあるぞ。ハティ、この女性って……」
「ハーデンベルギアお姉ちゃん」
その聞き覚えのある名を耳にし、俺は全身に鳥肌が立った。
「ハーデンベルギア……『ベル』じゃないか!!!」
……こんな俺好みのビキニアーマーしている女子、世界中どこを探しても『ベル』しかおらん。あの凛々しい顔とか絶対そうだ。確定だ。
お前、このホワイトの中にいたのかよ……。
てことは、以前に来た時もこの場所にいたのか……なんてことだ。
でも、
やっと…………会えたな。
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