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第261話 反撃開始 - 目覚めるオートスキル -
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この世界は、俺の知らない世界に姿を変えていた。
あんな色鮮やで、幻想的なバタフライ星雲はあっただろうか。夜空に巨大で、淡い青の蝶々が浮かんでいた。
あの『ゴータマ戦』の後、静かな夜が――なかった。相棒のゴスロリ無職・ネメシアが祭りのような騒がしさで暴れまわっていた。
「ヘデラああああああ~~~~~~~っ!!」
大騒ぎのネメシアが泣きついてきた。
……おい、俺のセンチメンタルを返せや!
「なんだ、ネメシア……顔面ぐしゃぐしゃの大泣きして。可愛い顔が台無しだぞ」
「だってぇ、視聴者が優しいんだもん!!」
「――は?」
どうやら、あの『ゴータマ戦』の様子を無断配信していたようだ。おい、相変わらず無許可かいっ。別にいいけど。
そうそう、ネメシアは何かの能力で、『配信スキル』を持っていた。誰に実況してんだか知らんけど、【ウルチャ】を投げてもらえるようで、それが俺たちの貴重な資金源にもなっていた。非常にありがたい事だ!
「凄いのよ~。あの戦いのおかげで過去最高記録の『8,334,000セル』も【ウルチャ】して貰えたのよ。すごくなーい!?」
「ほーん。そりゃスゲェ金額だな。美味しいもんが無限に食べられるな」
「そうね、明日はご馳走してあげるっ♪」
ニッと笑顔を向けてくれるネメシア。
そりゃいいんだが。
「なあ、ネメシアよ」
「うん?」
「その金で、俺の部屋を修理してくれないか。ほら、以前にエコが目からビーム放って、天井ぶっ壊したろ。まだあのまま何だよ。寒くってな」
「ああ、そうね。風邪引いちゃうし、直しておくわ」
「ネメシア~!! ありがとう!!」
俺は思わずネメシアを抱き寄せた。
「ば、ばかっ。いいわよ、これくらい。だって、今回はヘデラがんばったものね」
「いや、皆の力のおかげだ。俺一人ではとても……」
「謙遜ね。でもいいわ、残りのスターゲイザーもボコボコにぶっ倒して、世界を平和にしましょ」
スターゲイザー。
謎の秘密結社の名前。
だが、その正体は世界をリアルタイムに支配する極悪集団。俺の記憶がないのも、そいつらの所為だろうか。あと、かつての仲間、『メサイア』や『ベル』がいない。どうして、この世界はこんなにも風に変わり果ててしまったのだろうか。
いや、結論は出てるな。
スターゲイザーというクソが世界をメチャクチャにしたのだ。許せん……絶対に許せん。この恨み、いつか絶対に晴らしてやる。
「あと残り何人いるんだかな」
「そうね、ゴータマとロドスは倒したけど、人数までは」
全てが謎めいている組織か。
そろそろ、暴いていく時期なのかもな。
「にゃー」
猫の鳴き声がした。これはエコだ。
偵察から戻って来たようだ。
「お、エコ。戻ったか、レメディオス周辺はどうだった?」
「問題はありません。ヤツ等の痕跡も見当たらず。今のところは大丈夫そうですね」
「そうか。よくやってくれた、休憩してくれ」
「ありがとうございます、ヘデラ様」
テコテコと部屋へ戻っていく黒猫。
あれでも最強の『ロリエルフ』なんだよなあ。
「あたしも戻った」
しゅたっと忍者のように現れたネコミミメイド。
それは、トーチカだった。瞳は虚ろだが、今日も一段と可愛い。
「おかえり、トーチカ」
「うん。調査は完了した」
「で、どうだった」
「ヘデラが初めて会ったという貴族、あれは組織と繋がっている」
――――やっぱりか。
この世界にやって来て間もない頃。
俺は変な――いや、ヘンタイ貴族に話しかけられていた。名を『アレクサンドリア』というらしい。名前が長ったらしいので、以降は『ヘンタイ』とする。
ヤツは、あのゴータマ戦の後に姿を現していた。
なぜあの場所にいたのか気掛かりだったのだ。
「あのヘンタイ貴族、なんか怪しいと思っていたんだよな」
「どうする?」
「今日はもう遅い。明日にしよう――――む!?」
その時、俺は異様な気配を感じていた。
トーチカの背後から凶器が迫っているような、そんな只ならぬ気配を。
「させるかあああああああああ!!! オートスキル『ヒドゥンクレバス』!!!!!!!」
オートスキル。
脅威が迫って来たその時、自動でスキルが発動する俺の本当の力だ。ま、任意でも発動できるけど。
ちなみに、これはかつて、ある女神がくれた最強にして奇跡の力。――そう、俺は聖女なんかではなかった。ただのおっさんだ。
この銀髪も、無駄に大きな胸も、スラっとした手も、抜群のスタイルも、可愛い容姿も――すべては、聖女・フォルトゥナの魂から引き継いだものだった。
彼女は俺に、最後のチャンスを与えてくれたのだ。
今はなぜか聖女で、女だけど……!!
それには必ず意味があるはずだ。
だから抗い続ける。
失ったみんなを、全てを取り戻し、
組織をぶっ倒すまでは――――!!!
「らあああああああああああああああああああああああ!!!」
凶弾を跳ね飛ばし、トーチカを守った。
「――――出てこい、クソ野郎!」
「…………ふふふふふ、ついに見つけたぞ……理よ」
こ、こいつは――――!?
あんな色鮮やで、幻想的なバタフライ星雲はあっただろうか。夜空に巨大で、淡い青の蝶々が浮かんでいた。
あの『ゴータマ戦』の後、静かな夜が――なかった。相棒のゴスロリ無職・ネメシアが祭りのような騒がしさで暴れまわっていた。
「ヘデラああああああ~~~~~~~っ!!」
大騒ぎのネメシアが泣きついてきた。
……おい、俺のセンチメンタルを返せや!
「なんだ、ネメシア……顔面ぐしゃぐしゃの大泣きして。可愛い顔が台無しだぞ」
「だってぇ、視聴者が優しいんだもん!!」
「――は?」
どうやら、あの『ゴータマ戦』の様子を無断配信していたようだ。おい、相変わらず無許可かいっ。別にいいけど。
そうそう、ネメシアは何かの能力で、『配信スキル』を持っていた。誰に実況してんだか知らんけど、【ウルチャ】を投げてもらえるようで、それが俺たちの貴重な資金源にもなっていた。非常にありがたい事だ!
「凄いのよ~。あの戦いのおかげで過去最高記録の『8,334,000セル』も【ウルチャ】して貰えたのよ。すごくなーい!?」
「ほーん。そりゃスゲェ金額だな。美味しいもんが無限に食べられるな」
「そうね、明日はご馳走してあげるっ♪」
ニッと笑顔を向けてくれるネメシア。
そりゃいいんだが。
「なあ、ネメシアよ」
「うん?」
「その金で、俺の部屋を修理してくれないか。ほら、以前にエコが目からビーム放って、天井ぶっ壊したろ。まだあのまま何だよ。寒くってな」
「ああ、そうね。風邪引いちゃうし、直しておくわ」
「ネメシア~!! ありがとう!!」
俺は思わずネメシアを抱き寄せた。
「ば、ばかっ。いいわよ、これくらい。だって、今回はヘデラがんばったものね」
「いや、皆の力のおかげだ。俺一人ではとても……」
「謙遜ね。でもいいわ、残りのスターゲイザーもボコボコにぶっ倒して、世界を平和にしましょ」
スターゲイザー。
謎の秘密結社の名前。
だが、その正体は世界をリアルタイムに支配する極悪集団。俺の記憶がないのも、そいつらの所為だろうか。あと、かつての仲間、『メサイア』や『ベル』がいない。どうして、この世界はこんなにも風に変わり果ててしまったのだろうか。
いや、結論は出てるな。
スターゲイザーというクソが世界をメチャクチャにしたのだ。許せん……絶対に許せん。この恨み、いつか絶対に晴らしてやる。
「あと残り何人いるんだかな」
「そうね、ゴータマとロドスは倒したけど、人数までは」
全てが謎めいている組織か。
そろそろ、暴いていく時期なのかもな。
「にゃー」
猫の鳴き声がした。これはエコだ。
偵察から戻って来たようだ。
「お、エコ。戻ったか、レメディオス周辺はどうだった?」
「問題はありません。ヤツ等の痕跡も見当たらず。今のところは大丈夫そうですね」
「そうか。よくやってくれた、休憩してくれ」
「ありがとうございます、ヘデラ様」
テコテコと部屋へ戻っていく黒猫。
あれでも最強の『ロリエルフ』なんだよなあ。
「あたしも戻った」
しゅたっと忍者のように現れたネコミミメイド。
それは、トーチカだった。瞳は虚ろだが、今日も一段と可愛い。
「おかえり、トーチカ」
「うん。調査は完了した」
「で、どうだった」
「ヘデラが初めて会ったという貴族、あれは組織と繋がっている」
――――やっぱりか。
この世界にやって来て間もない頃。
俺は変な――いや、ヘンタイ貴族に話しかけられていた。名を『アレクサンドリア』というらしい。名前が長ったらしいので、以降は『ヘンタイ』とする。
ヤツは、あのゴータマ戦の後に姿を現していた。
なぜあの場所にいたのか気掛かりだったのだ。
「あのヘンタイ貴族、なんか怪しいと思っていたんだよな」
「どうする?」
「今日はもう遅い。明日にしよう――――む!?」
その時、俺は異様な気配を感じていた。
トーチカの背後から凶器が迫っているような、そんな只ならぬ気配を。
「させるかあああああああああ!!! オートスキル『ヒドゥンクレバス』!!!!!!!」
オートスキル。
脅威が迫って来たその時、自動でスキルが発動する俺の本当の力だ。ま、任意でも発動できるけど。
ちなみに、これはかつて、ある女神がくれた最強にして奇跡の力。――そう、俺は聖女なんかではなかった。ただのおっさんだ。
この銀髪も、無駄に大きな胸も、スラっとした手も、抜群のスタイルも、可愛い容姿も――すべては、聖女・フォルトゥナの魂から引き継いだものだった。
彼女は俺に、最後のチャンスを与えてくれたのだ。
今はなぜか聖女で、女だけど……!!
それには必ず意味があるはずだ。
だから抗い続ける。
失ったみんなを、全てを取り戻し、
組織をぶっ倒すまでは――――!!!
「らあああああああああああああああああああああああ!!!」
凶弾を跳ね飛ばし、トーチカを守った。
「――――出てこい、クソ野郎!」
「…………ふふふふふ、ついに見つけたぞ……理よ」
こ、こいつは――――!?
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