全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第235話 鎖国クリスピア - 秘密の地下通路を進め -

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 次の日。
 ネメシアの『ホワイト』からチェックアウトした。
 いや、本当に高級ホテルにいた気分だった。なんて夢心地。ただし、あの少女……『ハティ』は決して出てこなかった。謎過ぎるな。


 再び『草原フィールド』へ出て、隣国【クリスピア】を目指した。


「ふぁ~。ねむ」
「どした、ヘデラ。なんか眠そう」
「おう、トーチカ。まあな。主にネメシアのせいでね」

 あのあとネメシアに付き合わされ、ずっと宴会えんかいが続いていた。
 なんで聖女たる俺が、酒に溺れなきゃならんのだか。

 美味かったけど!

 はぁ、おかげで二日酔いだ。頭痛い。

 すると、

「もう直ぐですよ! ここを真っ直ぐいけば【クリスピア】です!」

 王子がそう張り切って声を荒げた。

「うー……。声が頭に響く」
「ヘデラさま! 大丈夫ですか!」
「…………ラナン、わざとじゃないよな」
「え!? なんだか、ヘデラさまのお顔が優れないよう見えますが」
「ちょっと、お酒をたしなみ過ぎた結果だ。悪いけど、声量をおさえてくれると助かる」

「わ・か・り・ま・し・た!!!!!」


 う、うるせぇ……。
 ブン殴りてぇ。


 もう、ネメシアは絶望的に体調不良だし、参ったな。
 なんて幸先の怪しいことになっていると、

「ヘデラ。ネメシアもこれ飲む」

 お? なんか、トーチカがアイテムを差し出してきた。

「なんだこれは?」
「特製の酔い止め。飲むと楽になる」
「うーん……なんか毒々しいけどな、まあいい」

 俺はそれを飲んだ。

 お、おおおおっ!?

「キター!! なんか知らんけど、めっちゃスッキリした! 体が軽いよ。ていうか、SPGも回復したかも! やっば、これいいわぁ。気分爽快! ありがとな、トーチカ!」

 自分でもビックリするくらい、元気になった。

「おい、ネメシア。これ飲めヨ」
「ん? これは?」
「いいらいいから」

 ネメシアに、トーチカ特製アイテムを飲ませた。


「!!」


「お?」


「辛アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――!!!!!」


 ネメシアは顔を真っ赤にし、ドラゴンのごとく火を吹いた。


「あ。それは罰ゲーム用のだった。ごめん、ネメシア」
「うおーい! トーチカ! ネメシアがたらこ唇になっちまったぞ!!」

「ひ、ひふぇふぉい……。ふぃふぁいよぉ……ふぇええええん!!」

 何言ってるか分からねぇ!
 けど、すげえ悲しみは伝わってきた。

 俺は、同情しつつも、

「ヒール」

「ふぁーん……。ヘデラ、ヒールありがとぉ……。辛かった(泣) すっごく辛かった(泣) もぉ――――! トーチカ、なんであんなモノを!!」


「ご、ごめんなさい。その、これで勘弁して」

 トーチカは、大量のトマトを差し出した。お口直しにしろってことらしい。
 そや、スキルで野菜とかを召喚できるんだっけ。魔弾用の。

「はぁ~……。おかげで酔いもすっかりふっ飛んだわ。
 トーチカ、今度やったら怒るからね。いい?」

「反省」

 腰を九十度ピッタシに折り曲げ、深く謝罪するトーチカ。

 誠意は十分に伝わっていた。

 つーか、すっかり忘れていたけど、さすがメイドだな。


「いいわ。許してあげる。頭をあげて、トーチカ」
「……うん」

 そこで、ネメシアは、トーチカに耳打ちしていた。


「ごにょごにょごにょにょにょ」
「!!」


 耳も尻尾もピ~~~ンとなるトーチカ。
 その顔は次第に青ざめ、紫色に変色していた。

 おいおい、なにを言われたんだ!?


「……誓います! もう二度としません!」


 えぇ……そんなおびえるほどの事を言われたのか。
 こえーな。


 ★ ★ ★


 ――さて、いろいろあったけど【クリスピア】に到着した。

 クリスピアは、全体が壁に覆われており、中へ入るには正門を行くしかない。だが、その門も今は閉じていた。だめか。

「やっとかぁ。でも、本当に『鎖国』してるんだ。どこから入ればいいんだ?」
「ヘデラさま、こちらへ」
「へえ、そんなところに地下階段か。分かった。みんな、行くぞ」

 なんと、川に掛かっている橋の下にあった。
 秘密の通路ってヤツか。

 ラナンに案内され、中へ向かっていく。
 階段を下りていくと、中は真っ暗で、ほとんど奥が見えなかった。


「――ちょ! 誰だよ、俺の尻を触ったやつ。怒るから、先生にちゃんと言いなさい」

『………………』

 ですよねー。


「つーか、おい! いつまで触っとんじゃボケ!!」

 俺は尻を触ってるボケに、チョップをかました。


「ごわぁぁぁぁッ!?」


 で――そこで灯りがついた。

「……あん? 誰だおめえ。俺のキュートな尻に触りやがって。ボッコボッコにしてやんよ!?」

「うわ、ごめんじゃ! ワシャ、この秘密の通路を守護している『ジーヤ』じゃ」
「あ、ジーヤ! おられたのですね。真っ暗なので、てっきり誰もいないかと」

 どうやら、王子の知り合いらしい。
 おい、スケベジジイ……。

「しかし、お主……聖女さまか。なんという触り心地をしておるのじゃ。こんな感触、この世にふたりとおらんぞ。ど~れ、もう一度」

 俺は――正当防衛として、ジジイに容赦ようしゃなくチョップした。

「ぎょふぇえええええ!!!」


「触るな。俺に触れていいのは、ネメシアとトーチカだけだ!! あと猫はおまけだ!」
「そんにゃー! 私はおまけですかぁ~」

 なぜそこ、ショックを受ける!?

「ほう。これは珍しい聖女さまじゃ。なんだか、口調がとても、凄く、激しく、悪魔的に悪いように思えるが、なぜか気にならんのじゃ」

 おいコラ、ジジイ。

「まあいい。ラナン、よくぞ無事に戻った。それで――【秘密結社】の情報は手に入ったのか?」
「それが……まったく」
「んむ。やはり、無理だったか。ヤツ等はそう簡単には、尻尾しっぽを出さないようじゃしな。しかし、ここまでとはな……。それで、ラナンよ。こちらの客人は?」

「はい。ご紹介しますね。
 こちらの大変お美しい聖女さまは『ヘデラ』さま。そっちの白黒の髪の女の子は『ネメシア』さん。メイド服は『トーチカ』さん。で、この黒猫は『エコ』さんです」

「ほうほう。ヘデラさまとな。ふ~むぅ」

 ジジイは、俺を珍獣か何かのように見てくる。
 …………って、俺のおっぱいをガン見すんな!!!

 俺は、咄嗟とっさに腕で隠した。

 くぅ~……、いざこうセクハラされると、とても恥ずかしいな……。これが女の羞恥心しゅうちしんってヤツか。ヤダー!
 つーかー!! やっぱり、ヘンタイジジイだ。

「ヘ、ヘデラ。なんだか、お爺さんに気に入られちゃってるわね」
「ああ、助けてくれよ、ネメシア」

 あ、引いてやがる。

「とにかくじゃ、ラナン。気をつけるのだぞ」

「はい、ジーヤ。僕たちはこれから【建築スキル】を買いにいってきます。それできっと、【秘密結社】に繋がると、僕は確信しているんです」

「お前の信じる道をゆけ、ラナン。それと、その聖女さまじゃ。彼女は途轍とてつもない力を秘めておる。決して、離すでないぞ」
「わかりました! では、行ってきます。引き続き、守備の方よろしくお願いします」
「うむ」

 俺たちはジジイと別れた。

「じゃ・あ・な! ジ・ジ・イ」
「良い尻じゃったぞ~!」
「……う、うっせぇ!」

 次やったらブッコロス。
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