227 / 440
第227話 アイテムクリエイト - ミナギール製薬 -
しおりを挟む
俺はバケモノにビビり、トーチカは恐怖で漏らした。
メイドが漏らす!?
なんだか、いけない場面に遭遇しているような……いや、今は考えるな俺。あのバケモノを何とかしなきゃ!
「く、参ったな……」
ケルベロス戦で俺のSPGは空っぽだぞ……!
スキルを発動できない。
トーチカは漏らしてしまい、それどころじゃない。
だったら、エコは!? ダメだ、さっき追い出してしまった。
俺は、トーチカを守る体勢に入った。
……せめて、トーチカだけでも守らなきゃ。
「このバケモノめ、出ていけ!!」
『グォォォオオ……!」
なんて、おぞましい姿だ。あれは本当にモンスターか。
『グォォォォォォォォォオオオ!!!』
すると、モンスター(?)は恐ろしい声を上げて接近してきた。うわぁ!
『ヘぇ~~~デぇ~~~ラぁ~~~』
――――って。
なぜ、俺の名前を!
ん……まて、よ~~~~~~~~~~~~~く見ると、
「おい……ネメシア。その紛らわしい姿はなんだ!? すげぇビビったぞ!!」
なんと正体不明のバケモノは、ネメシアだった。
ゴミとか何かよく分からないものを頭に巻き付けていた。
しかも……
「うわ、生ゴミ臭ッ!!」
「うあぁぁぁあぁん! ヘデラあああああん!」
「うああああ、抱きつくな汚い!!」
「ひ、ひどーい。苦労して戻って来たのに~!」
「なんだ、何があった……?」
「えっとね……『ライブ配信』していたの。で、リスナーさんに、この国の【幽霊屋敷】を教えてもらったんだけどね。そこにはゴーストモンスターがいるって。それを配信していたの。そしたら、酷い目にあって……うあぁぁぁぁん」
……泣きたいのはこっちなんだが。
「つーか、ネメシア。お前、幽霊ダメなんじゃ」
「そうよ! 最悪よ! でもね、視聴者数を稼ぐには仕方ないじゃない……体張る方が稼げるんだもん」
あー…なるほどね。
それで、リスナーに煽動されて無理して行ったのか。
アホか!!
ベトベトでなんか、ヤベェ刺激臭もするし。
トーチカなんか悲惨な状況だぞ。
「はぁ……お風呂入りなおすか。トーチカ行くぞ。ついでにネメシアも来い……さすがにくせーぞ」
「く、臭いとか言うなー! あーもう、リスナーからも『臭そう』とかコメント大量よおおおお、うわあああああん」
……うん、今のネメシアは臭い。
★
お店、秘密結社、街の復興……そして、【スターダスト】。
俺たちのやるべき事は多い。
「ヘデラはどうしたいの?」
頭に謎のワカメのような植物を乗せたネメシアは、エコにカリカリをあげていた。
「うーん。やっぱり、みんなの家は何とかしてやりたいな。お店はそのあとでもいいと思うし。秘密結社は今のところ謎が多すぎてな。スターダストもすぐは見つからんだろうし」
「そ。じゃ、隣国【クリスピア】へ行くしかないわね。でも、行くには『関係者』が必要ね。確か、この国に王子様がいるんだっけ」
「多分な。俺に惚れてたみたいだし、まだいるだろ」
「なんかやけに自信満々ね」
「――ところで、ネメシア。その頭の奇想天外すぎる植物はなんだ」
「ん。あ、これ。『ウェルウィッチア』よ。ほら、『SPGミナギール』のね、あれの原材料になるのよ。調合に必要なの。ミナギールって買うと高いから。自分で作ってみようかなって」
「へえ! 製薬――つまり、『クリエイト』ってことか。それは面白そうだな。でも、だからって頭で育てる意味はあるのか?」
「それが大いにあるのよ。この植物はね、育つのに通常は20年以上は掛かるの。けどね、わたしの頭の上なら、なんと、たったの半日よ! だからね、こんな風に頭に乗せてるの」
なるほど。それで朝っぱらから、頭に植物を。
「けど、頭に乗せて半日? どういうこと?」
「ふふ。そういうスキルよ。『ホワイト』の中じゃ育たないからね」
ほーん。そんなスキルがあるとはな。
しかし、本当に奇想天外なカッコウだ。まともに目を合わせると、思わず爆笑してしまいそうだ……。なので、俺はなるべくネメシアとは目を合わせないでいた。
ぷっ……。
メイドが漏らす!?
なんだか、いけない場面に遭遇しているような……いや、今は考えるな俺。あのバケモノを何とかしなきゃ!
「く、参ったな……」
ケルベロス戦で俺のSPGは空っぽだぞ……!
スキルを発動できない。
トーチカは漏らしてしまい、それどころじゃない。
だったら、エコは!? ダメだ、さっき追い出してしまった。
俺は、トーチカを守る体勢に入った。
……せめて、トーチカだけでも守らなきゃ。
「このバケモノめ、出ていけ!!」
『グォォォオオ……!」
なんて、おぞましい姿だ。あれは本当にモンスターか。
『グォォォォォォォォォオオオ!!!』
すると、モンスター(?)は恐ろしい声を上げて接近してきた。うわぁ!
『ヘぇ~~~デぇ~~~ラぁ~~~』
――――って。
なぜ、俺の名前を!
ん……まて、よ~~~~~~~~~~~~~く見ると、
「おい……ネメシア。その紛らわしい姿はなんだ!? すげぇビビったぞ!!」
なんと正体不明のバケモノは、ネメシアだった。
ゴミとか何かよく分からないものを頭に巻き付けていた。
しかも……
「うわ、生ゴミ臭ッ!!」
「うあぁぁぁあぁん! ヘデラあああああん!」
「うああああ、抱きつくな汚い!!」
「ひ、ひどーい。苦労して戻って来たのに~!」
「なんだ、何があった……?」
「えっとね……『ライブ配信』していたの。で、リスナーさんに、この国の【幽霊屋敷】を教えてもらったんだけどね。そこにはゴーストモンスターがいるって。それを配信していたの。そしたら、酷い目にあって……うあぁぁぁぁん」
……泣きたいのはこっちなんだが。
「つーか、ネメシア。お前、幽霊ダメなんじゃ」
「そうよ! 最悪よ! でもね、視聴者数を稼ぐには仕方ないじゃない……体張る方が稼げるんだもん」
あー…なるほどね。
それで、リスナーに煽動されて無理して行ったのか。
アホか!!
ベトベトでなんか、ヤベェ刺激臭もするし。
トーチカなんか悲惨な状況だぞ。
「はぁ……お風呂入りなおすか。トーチカ行くぞ。ついでにネメシアも来い……さすがにくせーぞ」
「く、臭いとか言うなー! あーもう、リスナーからも『臭そう』とかコメント大量よおおおお、うわあああああん」
……うん、今のネメシアは臭い。
★
お店、秘密結社、街の復興……そして、【スターダスト】。
俺たちのやるべき事は多い。
「ヘデラはどうしたいの?」
頭に謎のワカメのような植物を乗せたネメシアは、エコにカリカリをあげていた。
「うーん。やっぱり、みんなの家は何とかしてやりたいな。お店はそのあとでもいいと思うし。秘密結社は今のところ謎が多すぎてな。スターダストもすぐは見つからんだろうし」
「そ。じゃ、隣国【クリスピア】へ行くしかないわね。でも、行くには『関係者』が必要ね。確か、この国に王子様がいるんだっけ」
「多分な。俺に惚れてたみたいだし、まだいるだろ」
「なんかやけに自信満々ね」
「――ところで、ネメシア。その頭の奇想天外すぎる植物はなんだ」
「ん。あ、これ。『ウェルウィッチア』よ。ほら、『SPGミナギール』のね、あれの原材料になるのよ。調合に必要なの。ミナギールって買うと高いから。自分で作ってみようかなって」
「へえ! 製薬――つまり、『クリエイト』ってことか。それは面白そうだな。でも、だからって頭で育てる意味はあるのか?」
「それが大いにあるのよ。この植物はね、育つのに通常は20年以上は掛かるの。けどね、わたしの頭の上なら、なんと、たったの半日よ! だからね、こんな風に頭に乗せてるの」
なるほど。それで朝っぱらから、頭に植物を。
「けど、頭に乗せて半日? どういうこと?」
「ふふ。そういうスキルよ。『ホワイト』の中じゃ育たないからね」
ほーん。そんなスキルがあるとはな。
しかし、本当に奇想天外なカッコウだ。まともに目を合わせると、思わず爆笑してしまいそうだ……。なので、俺はなるべくネメシアとは目を合わせないでいた。
ぷっ……。
0
お気に入りに追加
1,255
あなたにおすすめの小説
拝啓、お父様お母様 勇者パーティをクビになりました。
ちくわ feat. 亜鳳
ファンタジー
弱い、使えないと勇者パーティをクビになった
16歳の少年【カン】
しかし彼は転生者であり、勇者パーティに配属される前は【無冠の帝王】とまで謳われた最強の武・剣道者だ
これで魔導まで極めているのだが
王国より勇者の尊厳とレベルが上がるまではその実力を隠せと言われ
渋々それに付き合っていた…
だが、勘違いした勇者にパーティを追い出されてしまう
この物語はそんな最強の少年【カン】が「もう知るか!王命何かくそ食らえ!!」と実力解放して好き勝手に過ごすだけのストーリーである
※タイトルは思い付かなかったので適当です
※5話【ギルド長との対談】を持って前書きを廃止致しました
以降はあとがきに変更になります
※現在執筆に集中させて頂くべく
必要最低限の感想しか返信できません、ご理解のほどよろしくお願いいたします
※現在書き溜め中、もうしばらくお待ちください
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる