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第216話 新たな家・貴族邸宅 - 幽霊!? 不穏な気配 -
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「……っぶねえ!!」
俺は口を押えた。
危うく、またクシャミで女王様を吹き飛ばすところだった。
「ヘデラ、あ、あんたね……。心臓が止まるかと思ったでしょ!」
「悪い、ネメシア。俺はちょっと花粉症なんだよ」
「でも、クシャミするヘデラ、かわいい」
「聖女さまもクシャミはするんですね~」
トーチカ、エコからよく分からん感心を向けられる。
「ま、さっそく【貴族邸宅】とやらに行ってみるか。これで、宿屋を取る必要もなくなったしな」
「そうね、住む場所があるならそれに越したことはないし」
「そじゃ、女王様。残りふたつの【スターダスト】は任せてくれ」
「うむ。期待しておるぞ。もし何か必要あれば、いつでも申せ」
「はい。では」
俺たちは、女王様に別れを告げ――城を出た。
★ ★ ★
【貴族邸宅】
到着すると、そりゃ~デカイ邸宅が現れた。
「でけー! こんなバカデカイ邸宅をタダで使っていいのかよ」
「そ、そうみたいね。女王様ってば……『前報酬』にしては太っ腹ね」
「うん。あたしは、丁度住む家が消し飛んだから助かる」
「ええ、私もです。こんな立派な家なら、今回のようなスライム事件があっても、そう簡単には壊れませんね」
俺、ネメシア、トーチカ、エコはそれぞれ感想を述べた。
って。
――まて。
「トーチカ、エコ、お前たちの家は消し飛んだのかよ」
「うん。スライムにやられちゃった」
「横に同じく」
あー、なるほど。
あの驚異のカビスライムのせいで、家を失った……と。地味に深刻な事態だが、ま、新しい家は出来たんだ。路頭に迷うことはない。
しかし、実際問題、路頭に迷っている人もいるんだろうなぁ。
何とかしてやりたいな、聖女として。
★ ★ ★
「うあ~! ふかふかのベッドだー! すごーい」
ダブルベッドをひとりで占領するトーチカ。んむ、たしかに弾力があって、寝心地は凄い良さそうだ。どれ、俺も。
「よいしょっと。うおー…こりゃスゲェ。この前の宿屋の比じゃないぞこりゃ」
などと感動に浸っていれば、ネメシアが走ってきた。
興奮した顔で。
「ヘデラ! こっち来て! こっちこっち!」
「な、なんだよ。そんな子供みたいにはしゃいで」
「いいから!」
ネメシアに連れられ、奥へ向かった。ん、結構、奥だな。
進むと、だんだん湯気が立ってきて……え、温泉?
「うわ、ここ温泉もあるのかよ。しかも、和風!」
やたら広い温泉があった。ナント、露天風呂つき。なんて贅沢な。しかも、景色もよくて、俯瞰の街が見渡せる展望つき。やば。鳥肌立った!
「……こりゃ圧巻だなぁ。美しい街並みに溜息が出た。一部はスライムのせいで滅んでるけど。――て、まて。なんかいるぞ!」
「え?」
露天風呂につかっている先客がいた。誰やねん。
しかし、その影はすぐに消えてしまった。
「な――――なんだ……消えたぞ」
「そ、そうみたいね。モンスターではなかったようだけど……」
う~ん……。実害があったわけでもないし、いいんだが……なんか気色悪いなぁ。まさか曰く付きの邸宅だったか。
「ひょっとして、この家って幽霊が住み着いているんじゃなかろうな」
「ひっ……! ヘデラ、怖いこと言わないでよ!」
「お? なんだ、ネメシア。お前ひょっとして幽霊が怖いのか」
「うっさいわね! ああ、もう今ので【ウルチャ】がなぜか入ったわよ!」
「ん~ん、これはいつか肝試しするのもいいかもな」
「こ、怖くなんてないわよ! それより、わたしは自分の部屋見てくる」
ガクブル震えて、ネメシアは戻った。
あーあ、めっちゃ震えてるよ。分かりやすいな。
俺は一人取り残され…………よし、風呂入るか。
なんか無性に入りたくなった。
ゴースト――いや、本能がそうしろと囁いているような気がしていた。そうだな、やっぱり女として、体は清めておこないとな。俺、聖女だし。
脱衣所で服を脱ぎ、浴場へ。まずは、シャワーを浴びた。
すると、なんか嫌な視線を感じた。……ちょ、なんだこの気配。明らかに誰かに見られているじゃないか。ヘンタイか!? くそ、俺は中身はアレかもしれんが、一応は女なんだ。勘弁してくれ!
「う……」
ソワソワしていると、背後から――。
『シャアアアアアアアアアアアアッ!!』
「ぎゃああああ! なんか出たあああああああああああ!!!」
俺は口を押えた。
危うく、またクシャミで女王様を吹き飛ばすところだった。
「ヘデラ、あ、あんたね……。心臓が止まるかと思ったでしょ!」
「悪い、ネメシア。俺はちょっと花粉症なんだよ」
「でも、クシャミするヘデラ、かわいい」
「聖女さまもクシャミはするんですね~」
トーチカ、エコからよく分からん感心を向けられる。
「ま、さっそく【貴族邸宅】とやらに行ってみるか。これで、宿屋を取る必要もなくなったしな」
「そうね、住む場所があるならそれに越したことはないし」
「そじゃ、女王様。残りふたつの【スターダスト】は任せてくれ」
「うむ。期待しておるぞ。もし何か必要あれば、いつでも申せ」
「はい。では」
俺たちは、女王様に別れを告げ――城を出た。
★ ★ ★
【貴族邸宅】
到着すると、そりゃ~デカイ邸宅が現れた。
「でけー! こんなバカデカイ邸宅をタダで使っていいのかよ」
「そ、そうみたいね。女王様ってば……『前報酬』にしては太っ腹ね」
「うん。あたしは、丁度住む家が消し飛んだから助かる」
「ええ、私もです。こんな立派な家なら、今回のようなスライム事件があっても、そう簡単には壊れませんね」
俺、ネメシア、トーチカ、エコはそれぞれ感想を述べた。
って。
――まて。
「トーチカ、エコ、お前たちの家は消し飛んだのかよ」
「うん。スライムにやられちゃった」
「横に同じく」
あー、なるほど。
あの驚異のカビスライムのせいで、家を失った……と。地味に深刻な事態だが、ま、新しい家は出来たんだ。路頭に迷うことはない。
しかし、実際問題、路頭に迷っている人もいるんだろうなぁ。
何とかしてやりたいな、聖女として。
★ ★ ★
「うあ~! ふかふかのベッドだー! すごーい」
ダブルベッドをひとりで占領するトーチカ。んむ、たしかに弾力があって、寝心地は凄い良さそうだ。どれ、俺も。
「よいしょっと。うおー…こりゃスゲェ。この前の宿屋の比じゃないぞこりゃ」
などと感動に浸っていれば、ネメシアが走ってきた。
興奮した顔で。
「ヘデラ! こっち来て! こっちこっち!」
「な、なんだよ。そんな子供みたいにはしゃいで」
「いいから!」
ネメシアに連れられ、奥へ向かった。ん、結構、奥だな。
進むと、だんだん湯気が立ってきて……え、温泉?
「うわ、ここ温泉もあるのかよ。しかも、和風!」
やたら広い温泉があった。ナント、露天風呂つき。なんて贅沢な。しかも、景色もよくて、俯瞰の街が見渡せる展望つき。やば。鳥肌立った!
「……こりゃ圧巻だなぁ。美しい街並みに溜息が出た。一部はスライムのせいで滅んでるけど。――て、まて。なんかいるぞ!」
「え?」
露天風呂につかっている先客がいた。誰やねん。
しかし、その影はすぐに消えてしまった。
「な――――なんだ……消えたぞ」
「そ、そうみたいね。モンスターではなかったようだけど……」
う~ん……。実害があったわけでもないし、いいんだが……なんか気色悪いなぁ。まさか曰く付きの邸宅だったか。
「ひょっとして、この家って幽霊が住み着いているんじゃなかろうな」
「ひっ……! ヘデラ、怖いこと言わないでよ!」
「お? なんだ、ネメシア。お前ひょっとして幽霊が怖いのか」
「うっさいわね! ああ、もう今ので【ウルチャ】がなぜか入ったわよ!」
「ん~ん、これはいつか肝試しするのもいいかもな」
「こ、怖くなんてないわよ! それより、わたしは自分の部屋見てくる」
ガクブル震えて、ネメシアは戻った。
あーあ、めっちゃ震えてるよ。分かりやすいな。
俺は一人取り残され…………よし、風呂入るか。
なんか無性に入りたくなった。
ゴースト――いや、本能がそうしろと囁いているような気がしていた。そうだな、やっぱり女として、体は清めておこないとな。俺、聖女だし。
脱衣所で服を脱ぎ、浴場へ。まずは、シャワーを浴びた。
すると、なんか嫌な視線を感じた。……ちょ、なんだこの気配。明らかに誰かに見られているじゃないか。ヘンタイか!? くそ、俺は中身はアレかもしれんが、一応は女なんだ。勘弁してくれ!
「う……」
ソワソワしていると、背後から――。
『シャアアアアアアアアアアアアッ!!』
「ぎゃああああ! なんか出たあああああああああああ!!!」
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