207 / 474
第207話 スライム大量襲来 - はいてない聖女 -
しおりを挟む
――翌朝。
「おぉふぅ……。頭いてー…なにがあったっけ」
飲みすぎて何も覚えていない。激しく記憶喪失だ。
えーっと……『ヘンな髪色のゴスロリ無職女』と『ヘンなコックの銃使いメイド』と……。あ、あと『喋る不気味猫』か。そんな愉快な仲間たちと宴会していたら、いつの間にか寝落ちしていたんだった。
みんな逆さまぶっ倒れ、ゴミのように散乱していた。あるいはゴミ箱につっこんでいた。ネメシアが。おいおい、寝相悪すぎだろう。
「はぁ……。なんで、どいつもこいつも裸に近い状態になっているんだか」
俺も人のことは言えんけど。
あ……そういえば、俺は下着すらつけていなかった。
今更過ぎるが下は全裸だった。
「うわっ!! 昨日は泥酔いしてたから気づかなかったけど、こ、これは恥ずかしい……くっ、あのNPC女神、下着くらい用意しておけよな……ケチくせえ」
なーんか、ずっとスースーすると思ったが、装備品が『聖なるシスター服』だけだったとは。……まいったな、一文無しだし……下着をどう調達したものか。
ヨダレを垂らし、幸せそうに寝ているネメシアを見つめた。
「下着が欲しい……。しゃーない。デコピンして叩き起こすか……」
――その瞬間だった。
『た、大変だーーーーーー!!!! 王国に大量のスライムが侵入してきたぞ!!』
必死の叫び声がした。
外でなにかあったようだな。ん、スライムだって?
「まじかっ! そりゃヤベーな。この異世界の聖女として【討伐クエスト】を……でも、下着がほしぃ~……スースーするんだよぉぉぉ……!」
なんだ、この圧倒的な羞恥心…………。
く…………一応、腐っても女だからか、俺。
大量のスライムも大変だが、俺も大変だった。
「おはよー。ヘデラ。……って、なんでハダカ!?」
「うわ、いきなり目を覚ましやがった! ……み、見るなよ……恥ずかしいだろうが…………」
「あ、あ~~~…うん。あんた本当に女だったんだ。ごめん。その裸を見るまでオネエなんじゃないかと、ずっと疑ってた。てか、形も綺麗だし、大きいわねェ……」
「お前な……。ああもうジロジロ見ないでくれよ、恥ずかしい。……それより、悪いんだが下着を買えるだけの金を少し恵んでくれないか……さすがに、スースーして困っている」
「え、下着持ってないの? う~~~ん。そうね、でもヘデラとわたしって、そんなに体形に差がなさそうだし~」
ネメシアは、ごそごそっと例の『ホワイト』に手を突っ込む。
するとそこから女性物の『下着』を取り出した。
「え、それストレージにもなるのか。便利だなー」
「うん。これがわたしのアイテムボックス的な。はい、貸してあげる」
「おう、わりぃな。…………えーっと、すまん。つけ方が分からん」
「!? え……え? あんた、やっぱり……」
この上ない疑いの眼差しが向けられる。
あ、まずい。
「違うって。この世界に来たばかりで記憶が曖昧つーか……昨晩飲みすぎて、ちょっとボケてんだ俺。だから、頼む」
実は女神に記憶を【消去】されてるとは言えなかった。基本的な知識はあるけどさ。つっても女の方の作法なんてまるで記憶にない。
「なんだ、そゆーこと。仕方ないわね~」
納得し、しぶしぶとネメシアは俺に下着を丁寧につけてくれた。
「むぅ? ちょっと胸が……苦しいぞ」
「う、うっさいわ! あんたがちょっと大きいのよ……なんかムカつくわね」
「嫉妬はよせ。……ぉ、ありがと。やっとしっくりきたわ。ちょっと胸がきついけど」
「くぅ~~~…ちょっと可愛いからって! はい、これね」
「あん?」
「お小遣いよ。これで下着でもなんでも買えるでしょ」
「……ありがとう」
「なんでそこだけバカ真面目なのよ。調子狂うわね」
少しくらい感謝しないとバチが当たるってもんだ。
だから――
『ぴんぽんぱんぽ――――――――――ん』
そこで謎の放送が入った。
「お? なんだ?」
『緊急事態です! スライムが王国を破壊しています。居住区にお住いの方は至急、避難してください。繰り返します――んぎゃああああああああああああァ!!』
って、襲われてる――――――――――!?
「おぉふぅ……。頭いてー…なにがあったっけ」
飲みすぎて何も覚えていない。激しく記憶喪失だ。
えーっと……『ヘンな髪色のゴスロリ無職女』と『ヘンなコックの銃使いメイド』と……。あ、あと『喋る不気味猫』か。そんな愉快な仲間たちと宴会していたら、いつの間にか寝落ちしていたんだった。
みんな逆さまぶっ倒れ、ゴミのように散乱していた。あるいはゴミ箱につっこんでいた。ネメシアが。おいおい、寝相悪すぎだろう。
「はぁ……。なんで、どいつもこいつも裸に近い状態になっているんだか」
俺も人のことは言えんけど。
あ……そういえば、俺は下着すらつけていなかった。
今更過ぎるが下は全裸だった。
「うわっ!! 昨日は泥酔いしてたから気づかなかったけど、こ、これは恥ずかしい……くっ、あのNPC女神、下着くらい用意しておけよな……ケチくせえ」
なーんか、ずっとスースーすると思ったが、装備品が『聖なるシスター服』だけだったとは。……まいったな、一文無しだし……下着をどう調達したものか。
ヨダレを垂らし、幸せそうに寝ているネメシアを見つめた。
「下着が欲しい……。しゃーない。デコピンして叩き起こすか……」
――その瞬間だった。
『た、大変だーーーーーー!!!! 王国に大量のスライムが侵入してきたぞ!!』
必死の叫び声がした。
外でなにかあったようだな。ん、スライムだって?
「まじかっ! そりゃヤベーな。この異世界の聖女として【討伐クエスト】を……でも、下着がほしぃ~……スースーするんだよぉぉぉ……!」
なんだ、この圧倒的な羞恥心…………。
く…………一応、腐っても女だからか、俺。
大量のスライムも大変だが、俺も大変だった。
「おはよー。ヘデラ。……って、なんでハダカ!?」
「うわ、いきなり目を覚ましやがった! ……み、見るなよ……恥ずかしいだろうが…………」
「あ、あ~~~…うん。あんた本当に女だったんだ。ごめん。その裸を見るまでオネエなんじゃないかと、ずっと疑ってた。てか、形も綺麗だし、大きいわねェ……」
「お前な……。ああもうジロジロ見ないでくれよ、恥ずかしい。……それより、悪いんだが下着を買えるだけの金を少し恵んでくれないか……さすがに、スースーして困っている」
「え、下着持ってないの? う~~~ん。そうね、でもヘデラとわたしって、そんなに体形に差がなさそうだし~」
ネメシアは、ごそごそっと例の『ホワイト』に手を突っ込む。
するとそこから女性物の『下着』を取り出した。
「え、それストレージにもなるのか。便利だなー」
「うん。これがわたしのアイテムボックス的な。はい、貸してあげる」
「おう、わりぃな。…………えーっと、すまん。つけ方が分からん」
「!? え……え? あんた、やっぱり……」
この上ない疑いの眼差しが向けられる。
あ、まずい。
「違うって。この世界に来たばかりで記憶が曖昧つーか……昨晩飲みすぎて、ちょっとボケてんだ俺。だから、頼む」
実は女神に記憶を【消去】されてるとは言えなかった。基本的な知識はあるけどさ。つっても女の方の作法なんてまるで記憶にない。
「なんだ、そゆーこと。仕方ないわね~」
納得し、しぶしぶとネメシアは俺に下着を丁寧につけてくれた。
「むぅ? ちょっと胸が……苦しいぞ」
「う、うっさいわ! あんたがちょっと大きいのよ……なんかムカつくわね」
「嫉妬はよせ。……ぉ、ありがと。やっとしっくりきたわ。ちょっと胸がきついけど」
「くぅ~~~…ちょっと可愛いからって! はい、これね」
「あん?」
「お小遣いよ。これで下着でもなんでも買えるでしょ」
「……ありがとう」
「なんでそこだけバカ真面目なのよ。調子狂うわね」
少しくらい感謝しないとバチが当たるってもんだ。
だから――
『ぴんぽんぱんぽ――――――――――ん』
そこで謎の放送が入った。
「お? なんだ?」
『緊急事態です! スライムが王国を破壊しています。居住区にお住いの方は至急、避難してください。繰り返します――んぎゃああああああああああああァ!!』
って、襲われてる――――――――――!?
0
お気に入りに追加
1,266
あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
月が導く異世界道中
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
漫遊編始めました。
外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる
けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ
俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる
だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる