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第206話 しゃべる猫 - なんだこの化け猫は! -

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 ぼったくりバー『えんじょい』を後にした。

 俺とネメシア、それと新たに加わった『自称・銃使いコックガンスリンガー』のへっぽこネコミミメイドを仲間に迎え入れたわけだが……うん、何とかなる、かなーと思いたいような、気もする。


 とりあえず、飲み過ぎて夜も遅い。


 近くで宿を取った。もちろんネメシアのありがたいお金で。まあ、俺もいつの間にか貢献こうけんしていることになっているし、いいでしょ。

「ネメシア、お前本当に金があったんだな」
「いやね、ヘデラとトーチカのおかげでかなり・・・儲けさせて戴きましたっ! 『激カワ聖女』と『ネコミミメイド』よ!? なにこのスペシャル盛り合わせセット。ヤバすぎでしょー。二人ともありがとね。これからも、がんばって冒険しましょうね!」


「冒険もなにも、まだ『ぼったくりバー』にしか滞在してねーけどな。あ、それより目的だよ。俺たちはこれから何をするんだ。そこんとこ詳しく」


「ふぁぁ~おやすみ~」

「寝かせるかッ!!」


 すでに寝間着ねまき姿で寝ようとするネメシア。
 俺は寝させまいと、彼女のそこそこある胸をワシっとつかんだ。


「きゃぁ!? ヘンタイ、ヘンタイ~~~~~~~~ちかん!!」


 ジタバタ大暴れるネメシア。
 見かけによらず力つえぇな! 怪力女か!

「あのな、女同士・・・だぞ。問題はない。それに、近所迷惑だから大声出すな」

「あ……そか。ついあんたを男と誤認しちゃうのよね。めんごめんご。あ、今ので【50,000セル】のウルチャげっと☆」

「もうすぐトーチカもトイレから戻って来る。説明頼むぞ、ネメシア」

「はぁ~~~~~~い」

 そこで『ガチャ』と扉が開き、トーチカが赤い顔して帰って来た。

「なんだ、逆上のぼせたか? トーチカ」
「そりゃ、お風呂でしょ」と、ネメシアからツッコミが入るが、俺は全力でスルーした。

「……ねこちゃん……」


 トーチカが両手で掴んでいる黒猫。尻尾しっぽに赤いリボンをつけた何だかやたら美人猫だった。へぇ、可愛いな。
 つか、どっから拾ってきやがった。
 さすがに、ネメシアもこれ以上養うのは厳しいだろう――

 とか幸先を案じていると、


『はじめまして、よろしくお願いします』


 猫がしゃべった。


 猫が…………シャベッタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?


 なんと……この異世界の猫は喋るらしい。


 黒猫の名は『エコ』。
 なんかやたら、セクシーなお姉さんボイスをしていた。めちゃくちゃ良い声してるやん……。どうしてそうなった。


 そんなわけで、どうやら猫は『メス』らしい。
 声で判断した。セクシーだし。

「ほーん。黒猫のエコね。また変なのが増えたな」

「変なのとは失礼ですね。
 あ、でも貴女あなたさまは聖女さまではありませんか。私は『サポート役』で任命されました。ちょうどそこで、トーチカさんに拾われたので助かりましたですよ。危うくヘンタイ貴族に拾われるところでしたので……」


 ヘンタイ貴族~? どこかで聞き覚えが。


「りょーかい。じゃ、喋る不気味黒猫も交えて……ネメシア。説明たのんます」
「ちょ! 不気味……!」

 黒猫はショックを受けていたが、いやだってね。


「分かったわよ。直感的に、これ以上はヘンなの増えないと思うし、説明を始めるわ」

 観念したのか、ようやく俺たちの『目的』を話すつもりになったようだ。


「あ、その前にお酒お酒~っと」
「おまえ飲みすぎだ。少しはひかえ――――エッ!?」


 ネメシアは、なにもない・・・・・ちゅうに手を伸ばしていた。いや、マジで何もないところだぞ。

 でも手が……腕がなんか『白い穴』にもぐっていた。

 え、なになんの手品マジックだ?

「なんじゃそら……。
 お前も不気味系だったのか……マジでドン引きしておくわ」

「ちょっと~ヘデラ!
 もぉー…これね、説明すると、わたしの【極スキル】なのよ」


「極スキル?」


「そ。極スキル。これはね、この世界の重要な【スターレベル】を極めないとゲットできないものなの。ま、簡単にいえば特別なスキルってことね」

「特別……へえ、そりゃ面白そうだ。俺にもその【極スキル】が扱えるようになるのかな」


「うん。【スターレベル】を上げればね。 
 ――で、わたしのこれは『ホワイト』っていうの。シンプルだけど、すっごく便利なんだから。まー貯蔵系スキルっていうのか……詳しく説明するとなると、これが結構複雑なのよねー」


 超絶面倒臭そうな顔をするネメシア。
 頭を押さえているところを見ると、どうやら、その『ホワイト』とやらは、だいぶフリーダムな感じらしい。


「ぷっは~~~! やっぱりこのお酒はサイコーだわぁ」
「酒はいいから」
「まってまって。ほら、みんなも」

 配られるやたら高級感のあるさかずき

 結局、俺もトーチカも喋る不気味黒猫も酒を飲んだ。


 全員――ぶっ倒れた。
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