全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第189話 死神と女神

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 みんな一斉に死神スキル『オーバードライブ』を叫んだ。
 全ての速度が上がるだけでなく、攻撃力も十倍以上もね上がるとんでもスキルなのだ。それがみんな適応されるとは、もはや実質、死神勢ぞろいってところだ。


「全員が赤く……だからどうした」


 ドゥーベはひるむこともおくすることもなく、マインドスキルを全員に向けて発動した――だが。


 だが、誰一人倒れることなく、心を破壊された者はいなかった。


「なっ……なぜだ!! なぜ、ひとりも倒れない!!」

「女神スキル1001番目の『アンチマインド』よ。
 ドゥーベ、あなたの心を破壊するスキルは効かないわ! それにね、心はあんたみたいな怪人・・が壊していいものじゃない!!」

 メサイアが激怒し、そう言い放った。


「女神、貴様ァ……私をあんな出来損ないと一緒にするな!! 私は超人・・だ。人間ひとやエルフ、聖者を超えし存在なのだ! そして、いずれは神をも超える」


「だったら、私は女神よ!! 女神を超えられるのなら、やってみなさいよ……! この頓痴気とんちき女!!」


 ダンっとね、一瞬でドゥーベとの距離をつめるメサイアは、白く輝き始めた。――あれは、女神スキル『エーヴィヒ ヴィーダーケーレン』。
 そのうえ、オーバードライブも掛かっている。


『オーバー・シャイニング・ブレイズ・ゴッドフィンガァァァァァァァアァアアアアアアアァアアアアア!!――――――!!!!!』


「バカなッ!!!」


 メサイアの予想外すぎる行動に、驚くドゥーベは完全に呆気に取られてしまっていた。それだけじゃない。みんなが次々とメサイアの後に続いた。


『最終奥義・覇王武光拳!』
『アークシールド!』
『ホーリーグレイル!』
『アメジンググレイス・スレイプニル!』


 フォル、ベル、リース、サイネリアの連携が続く。


「グはぁぁぁあああああッ…………!!」


 それらは、ドゥーベに確実にダメージを与えていた。


『エレメンタルフォース!』
『エンペラークリムゾン!』


 後衛職である、スイカとアグニも大魔法を放った。オーバードライブが上乗せされているとはいえ、なんて力だ……!

 干支ノ助と愉快な仲間たちは、あまりの状況に震えあがっていたが、死神三人衆に背中を押されて、泣く泣く前線へ出ていた。

「くっそおおお、こんなのマジで聞いてねえぞ!!」
「ああああの兄貴は死んだと聞いた……今、かたきを取るぞ!!」
「うおおおおおおおおおおおおお!!」

 彼らは剣を抜き、勇敢にも向かっていった。
 俺はそんなみんなの激闘を見守っていた。なぜなら、今、力を充電中・・・・・だからだ。どんどん魔力をめている。

「サトル。久しぶりだな」
「よ、オルクス。相変わらずイケメンだな」
「きゅ、急に……褒めるな。照れるだろう。それより、俺たちはメサイア様に呼び出されて、いきなり懐かしの死神に変えられてしまった。緊急事態だというのでね」

 だからと言いかけて、プルートが横から入るなり――

「だからね~、サトちゃん。メサイアからぜーんぶ聞いたからね、わたしたち星の都、潰すことにしたよ~☆」

 と、可愛い顔して恐ろしいことを言った。
 いや、正しいけども!

「ボクらは、女神としてのつとめを果たす。ことわりを乱すもの、これすなわち排除する」

 モル子は淡々としながらも、俺の前へ出た。


「なんだ、モル子。俺を守ってくれるのか」


 コクっとうなずくモル子。
 続いて、オルクスとプルートも俺を囲った。どうやら、三人とも察しているらしい。俺がやろうとしていることを。

「ありがとう」

「いいってことさ。これも、メサイア様のため」
「わたしはサトちゃんのためだよ~☆ これが終わったら、デートする~?」
「プルート、サトルさんはメサイア様のパートナーでしょ」

 にぎやか死神三人衆は、相変わらず騒がしかった。
 そんな状況にほんわかしていると、ドゥーベの闇攻撃が飛んでくるや、俺たちに襲い掛かってきた。

 だが――


『永劫の扉――イノセンス』


 モル子の前に、大きな扉が出現。
 それが開くと、ドゥーベの闇を飲み込んだ。

「おお、すごいなモル子!」
「いえいえ。お守りする為ですから」


「サトル! 大丈夫?」
「おう、メサイア。モル子が良い働きをしてくれた。そっちこそ、平気か?」
「ええ。みんなオーバードライブのおかげで、ご覧の通りバリバリ戦っているわ。おかげで、ドゥーベをかなり追い詰めてる。でも、あいつも死神ではあるから、そう簡単には……」


 確かに。
 ヤツは物理・魔法攻撃を浴びまくり、ダメージをかなり蓄積してはいるはず。だが、決定打にはなっていない。残りのHPもまだまだ多いのだろう。
 というか、自然回復速度が異常なのかも。
 確か、死神はそんな性質があったと、メサイアに聞いたことがあった。

 あれでは、いつまで経っても戦闘不能にはできない。


「メサイア、俺……」
「ダメ! 今はまだ『力』が足りていないわ。サトル、あんたはあのドゥーベを一撃で葬る力を溜めるの。いい?」
「だ、だけど……」
「安心して。私たちの仲間は、そう簡単には倒されないわ。信じて」

 俺は……

 メサイアを……

 仲間たちを信じる。

「二人とも、イチャイチャしている場合ではないぞ。あのドゥーベとかいうヤツの闇が強くなってきている。油断するな!」

 闇をはじくオルクスが強く警告した。

「そうだな。メサイア、お前はとくに要警戒だ。なぜなら、今唯一の女神だからな。俺から離れるな。ていうか、こっちこい!」

「サ、サトル!?」

 死神三人衆の視線はあったが、気にせず俺はメサイアを抱き寄せ、ぎゅっとした。

「俺は、お前を離さない」
「…………うん。一緒に」


「やれやれ。メサイア様とサトルをお守りするしかないようだな」
「あら~、オルクス。どうしたの、ちょっと複雑そうな顔」
「う、うるさいぞ、プルート!」
「オルクスは、ちょっとだけサトルが好きみたい」
「ば、ばか! 言うなモル!」

 顔を赤くするオルクスは、頭を押さえた。
 へぇ、あのオルクスがね。


 そんな風になごんでいれば――


「貴様らあああああああああああああああああァ!!!!!」


 みんなと激闘中だったドゥーベが飛び出てきた。
 クソ、抜けて来やがったか……!!


 少し焦ったが、オルクスとプルート、そしてモル子は行動を開始した。……三人とも、息をピッタリ合わせ、死神の鎌デスサイズを取り出し、振りかぶった。


「そんな大鎌ごとき!!」


 ドゥーベは必死に回避しようとするが、鎌のスピードの方が遥に速く、彼女の右腕、両足を切断した。


「ぐぅぅぅぁッ!! ――のれええぇええ!!!」


 ダメージは与えたが、ドゥーベはすぐさま切断された部位を『闇』で再生させた。くそ、なんて再生能力だ。化け物か!!

 それから、ドゥーベは至近距離でそれを発動した。


『ダークマインドォォォォ!!!』


 大きな闇がうねりとなり、俺とメサイアの体が吸い寄せられていった。……まず!

 しかし、みんなが次々にドゥーベを押さえつけて――


「み、みんな!! 無茶はよせ!!」

「兄様、これしか方法がないんです!!」「そうだよ、理くん。それにさ、戦闘不能にすりゃいいんでしょ」「サトルさん! あたしたちがドゥーベを押さえつけていますから! トドメを!!」「サトル、あなたを信じていますわ」「なんでもいいから早く!!」「サトルの兄貴ぃぃい! 頼むううう!!」「うおおおおおおおおおおおお!!」「サトルさん、あとはあなた次第」「やっちまえ~!」


 みんなが必死に、ドゥーベの体を押さえつけていた。
 しかし、邪悪な闇がつくばって、みんなへ浸食しはじめていた。くそ、あのままじゃ、みんなが……!


「あと少し……あと少しだ!!!」
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