全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

文字の大きさ
上 下
177 / 475

第177話 筋肉ムキムキのヘンタイ男

しおりを挟む
 バトルロイヤル――二日目。

 次の日。
 いつものような朝を迎え、いつものような日常で、ぱぱ~と時間が過ぎれば準備は万端ばんたんとなった。

 さっさと、この面倒なバトルロイヤルを終わらせねば。
 残りは『七剣星』と『マックノート家』だけ。

「メサイア、頼む!」
「じゃあ、ホワイト解放するわよ。心の準備はいい?」

「大丈夫だ、問題ない!」


 ◆


 【 魔法の森・ブロセリアンド 】


 相変わらずの森、森、森。いい加減に見飽きた光景だが、今のところ敵の気配はない。むしろ、静かすぎるくらいだ。

「……どうなってる。ぜんぜん人間ひとと遭遇しないな」
「そ、そうね……。どうなっているのかしら」

 メサイアも同感のようで、困惑していた。
 いったい、どうなっちまっているんだ。もしかして、昨晩、七剣星が暴れまくったか。それでもう生存者も少ないってことかな。

「あの、サトルさん……」
「――ん、どうしたリース」
「今、言っておきたくて……その、お母さんのことで、ここまで動いてくださって本当にありがとうございました。あたしのわがままばかりを聞いてくださって……」

「んや、お礼はいいさ。それにまだリースの母さんを奪還はしていないからね。でも、きっとベルとサイネリアが今、手を打ってくれているはず」
「はい……。本当にありがとう」

 目をうるませるリース。
 だが、涙をグっとこらえて、足を前に進めた。

 うん、リース。その涙は勝利したあかつきに取っておくんだ。

「約束しよう。エルフはきっと、いや、絶対に自由になる。そして、この星の都を本来あるべき姿に戻す」
「はい、あたしも頑張ります。一人はみんなのために、みんなは一人のために、ですよね」

 それは俺のモットーだった。
 覚えていてくれたんだな。

「サトルさん。それと……その、これが終わったら……本当に結婚しませんか」


「――――――」


 刹那、俺の中の時が止まった。
 えーっと……これはプロポーズってヤツだろうか。

 普通、男の方からするものだけど。まさか、リースからそう言ってくれるなんて……いや、めちゃくちゃ嬉しい。すっごく嬉しい。

「うん、そうだな。終わったら結婚しよう」

 そこでリースは顔をパァァっと輝かせ、今まで一番の笑顔を見せた。
 かわいい……。

 でも、まって欲しい。


 これって……死亡フラグでは・・・・・・・!?


 ……ま、まあ、大丈夫だよな。きっと。


「むう! 兄様! リース! ベタベタしすぎです!」


 お、おっと……。
 最近、我慢弱いフォルが俺の肩に乗ってきた。

「おい、フォル。強制肩車かよ」
「重いとか言ったら許しませんよ」
「フォルの体重は43kgだろ。知ってるよ」
「え!! なぜご存じで!?」
「ふふ……」

 俺の隠しスキルだけどな。
 肩車してくるヤツが悪い。

「くぅ……。聖女わたくしの体重を知っているのは、男性では兄様くらいですね。でもいいんです。兄様になら、わたくしを全て知って欲しいですから♡」

「もう知ってるけどな。おっと、きたきた。やっとお出ましだ……!」

 フォルとそんなヤリトリをしていたら、急に現れた。


「我が名は『メラク』である! 裏切者のミザールを抹殺しに来た」


 おし、いきなり『七剣星』が出てきたぞ。
 てかもう残ってるの七剣星だけじゃなかろうか。


「これはこれは、メラク殿。団長はお元気かえ~?」
「ミザール! 団長は貴様の裏切りにお怒りだ!! 処刑せよとの命令だ。死ねええええええッ!!」

 いきなり攻撃してくるメラク。問答無用かよ!

 だったら、俺は――


『トランセンデンス発動……!』


 全能力を底上げ倍増させ、さらに――

 フォルにかなり振りに『エンジェルラダー』を発動してもらった。なつかしのマッスルスキルである。これは、筋肉増強を極端にうながすもので、『ATK』も三倍となると後に判明した。


 さらに!!


『オルクス!!』


 こちらもまた、なつかしのスキル。
 単純に火力三倍になるヤツだ。


「うぉおぉぉぉぉぉぉぉッ――――!!!!」
「――――な!! なんだ! 筋肉ムキムキのヘンタイ男が向かって――!!」



『聖者スキル・スターダストナックル!!!!!!!!』



 俺はメラクの鳩尾みぞおちに拳をメリ込ませた。


「ぶげげげゲゲゲゲゲゲえげえええええええええええええええええばばばばばばえべべべべべべああああああああああぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!」

「爆☆散!!」


 大爆発が起きて、メラクは【戦闘不能】になった。
 強制送還で姿を消した。


「……はやっ!! サトル、早すぎない!?」

 あまりに一瞬で、メサイアはてんやわんや状態だった。

「落ち着け。これもメサイアとフォルのなつかしスキルのおかげさ」
「えぇ……こんなんでいいの!? なんか釈然としないわね……」
「敵を【戦闘不能】にすりゃいいわけだからな。殺し合いじゃないしな」
「そ、そうだけど。……そうね、勝てばいいのよ勝てば」

 やっと納得したのか、メサイアは吹っ切れた。

 火力倍増しまくったおかげで、七剣星を倒すくらいは何とかなりそうだな。この調子で残りは――ドゥーベ、フェクダ、メグレズ、アルカイド&ベネトナシュだ。


「サトルはん。やりおるなぁ。正直、ここまでとは思わなかった。あんさんを敵に回さんで良かったでよ」


 ミザールは、なんだか安堵あんどしていた。


「メラクは勝手に突っ込んできてくれたっていうか、ミザールを狙っていたからな。おかげで、隙だらけだった。俺のことなんか目にも入ってなかったようだからな、ラッキーだった」

 もしかしたら、フォーチュンのおかげかもな。
 なんて、俺はフォルを見つめた。

「え、わたくし♡」
「んや、なんでもないわ」
「筋肉ー!!」
「うわ、ヘンタイ聖女がいきなり飛び上がってきた!!」

 俺は緊急回避し、たまたま近くにいたメサイアを盾にした。
 すると、フォルはメサイアに抱きつく形となった。

「サトル、私を盾にしないでよ。おかげで、フォルが私の腹部をペロペロしようとしているじゃない」
「それはそれで見てみたいな」
「ふーん。そういうのが趣味なの?」
「女の子同士ってのもいいと思うぜ」
「ふ~ん…………」

 あ――メサイアのヤツ、目がかなりうつろだ。
 なんだ、つまらん。

 なんて会話をしていた時だった――。


『よくぞ言った!! メラクが一撃でやられたことには驚いたが、だが、それよりも……そこの二人! 素晴らしい!』


「へ?」


 しゅたと、忍者のごとく現れたのは『女』だった。
 ミザールはすぐにその女の名を言った。

「メグレズ」
「そう、私は『メグレズ』です! レズです・・・・!!」

 女はそう真顔で言った……。


 なんだこのヘンなヤツ!?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...