全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第156話 超巨大洞窟ダンジョン

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 翌朝。
 朝食を食べていれば、メサイアがこんなことを言った。

「そういえば、そのお嬢様誰よ。なんかやたら豪華なドレスだけど。舞踏会イベントなんてあったかしら」

「ああ~」

 そいや、すっかり馴染んでいたので紹介し忘れていた。
 紹介しようと思ったら、サイネリアが率先して自分を紹介し始めた。


「そうでしたわ。わたしは『サイネリア』です。以後見知りおきを」


 やはり挨拶は丁寧ていねいだった。

「私はメサイアよ。一応、女神」
「へえ……め、女神? 御冗談でしょう?」
「ほ……本当よ。ねえ、サトル」

「え、そうだっけ」

「…………」

「冗談だって。そんな女神らしくないヤバイ目つきしたら、余計に疑われるぞ。……ああ、断言する。メサイアは本物の女神だよ」

「そうなのですか。へえ、女神は初めて見ました。本当に実在していたんですのね。そこの可愛らしいエルフは、リースさんでしたわね。よろしく」

「え、はい。あれ、なんであたしの名前……」

「昨日、あれだけ目立っていましたからね。印象が強かったってことです。そちらの銀髪のクールな片目隠しの女性ひとは?」


「久しぶり、サイネリア。多分覚えてないだろうけど、わたしはハーデンベルギア。花の都でよく会ったけどね」


「ハーデンベルギア…………あ!
 あなた、花の都の……王様に仕えていらした……。数年前のことなので、すっかり忘れていました。ええ、記憶を丹念に掘り起こし、確かに思い出しましたわ。再びお会いできてとても光栄です」

 ベルに対し、サイネリアはスカートをまみ上げ、深くお辞儀した。そういえば、あの挨拶は『カーテシー』というそうな。以前、ベルから教えてもらった。


 にしても……まるで違う対応だな。

 とにかく――これで全員とは挨拶を交わした。


 とか思ったんだが。
 サイネリアはどこか適当なくうを見ながら――

「あ~そうそう、もうひとりいました。誰でしたっけね、無名すぎて忘れてしまいましたわぁ~」

 そう嫌味たらしく、溜息を交えて言葉をらした。
 ……おいおい。


「…………ぐ」


 あれは完全にフォルのことだ。
 本人は歯をギリギリさせながら、サイネリアをかつてないほど鋭くガンを飛ばしていた。ありゃ、一触即発だぞ。


 で、毎度のことながら火花がバチバチと。

 この聖女と令嬢――本当に仲が悪い。

 やれやれと俺は、朝食のトーストを頬張った。


 ◆


 サイネリアの勧めで、この霊山付近にある都へ向かうことに。

「そこは天空の星の都と呼ばれていまして、名を『アステリズム』といいます。霊山『アヴェレスト』と深い繋がりありますの。古い伝承もありましてね、詳しい事は到着したらお話しますわ」


 そんなわけで、俺たちはその『星の都』を目指し徒歩で向かっていた。

 ――のだが。


「この怪しげな洞窟の先にあるのか」

 今俺たちの目の前には『超巨大洞窟ダンジョン』があった。
 あの霊山『アヴェレスト』の反対側にこんな出入口があったとはね。

「大きいわね。下が真っ暗でなにも見えないわ」

 そう腰を下ろし、深淵を見下ろすメサイア。
 髪をかきあげる仕草が俺的ポイント高かった。いや、そこじゃないな。


「メサイアよ。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているらしいぜ」


「サトル、あんたバカァ?」
「どっかの女パイロットみたいな言い方するんじゃない」


 なんてやっとると、メサイアの目の前に『ナニカ・・・』が現れやがった。


「きゃぁ!? な、なになに! 怖い」

 メサイアは急に飛び出してきた物体に驚き、俺にしがみついた。

 で、よく見るとそれは人間ヒトだった。


「なんだぁ、あんたぁら……あ、サイネリア様じゃねーべかぁ」


「御機嫌よう、ミザール。丁度いいところでしたわ。彼と彼女たちは『力』です。きっとわたしたちを導いて下さることでしょう」


 サイネリアは、ミザールだとかいう中年とそんな会話をしていた。なるほど、どうやら知り合いらしい。んー、にしても、あのミザール……なぜ白衣を?
 その見た目通り、医者かもしれんけど。


「そっか。これのことだったんだ」
「どうした、ベル。勝手に納得してないで教えてくれよ」
「うん、理くん。この洞窟はね、星の都『アステリズム』に繋がっているんだよ。だから、あの男性医師は外界に出てきたんだろうね。そんな話を神王様から聞かされたことがあったよ」

 そうベルは状況を説明してくれた。
 そういうことか。巨大洞窟だと思っていたアレは、星の都を繋ぐものだったと。……でも、どういう構造なんだか。


「分かりやした。お嬢がそう申すんであれぃば……。でぃは、オイラはちっ~と野暮用ですわぁ。あとはメグレズ伯爵にご報告をなすってくだせい~」


 ペコっと頭を下げて、ミザールは霊山の方向へ去った。医者にしては、なんか言葉がすげぇなまってる人だなぁと俺は思った。


「では参りましょう。この洞窟に入れば向こうは『アステリズム』ですから」


 少し緊張。初めて入る街っていうのはワクワクするな。
 この先にはどんな街があるのだろうか。


 そうして、視界ゼロの暗闇を歩く。

 なにもない――ただの闇の中を。


 メサイアが自然と手を繋いできた。
 負けじと……ベ、ベルも。勝者はこの二人か。

 どこかでフォルの悔しそうな声が響く。リースもしょんぼりしているような気配だ。……あれ、そういえば、サイネリアの気配がないような。


「ここですわ。さあ、もう直ぐです」


 着いた。
 ここが…………星の都?


 ◆ ◆ ◆


 一方その頃、ある場所では……。


「……ほう、サイネリアが『力』を」
「はい……ドゥーベ様。『力』にはエルフもおりますゆえ」

「そうか。そろそろエルフ共があの存在・・・・を察知する頃合いだとは思っていたが、早かったな。時は満ちた……ということか」

 ドゥーベは静かに笑う。
 すると部下は、こうつぶやいた。


「神は死すべき存在です……」


「――いいや、すでに神は死んだ。
 奴ら……畜群ヒトは我らを恐れ『怪人』などと侮蔑するすが――違う。我らは『超人』だ。畜群ヒトの一歩先を――いや、それ以上をいく崇高なる存在。人智を超越し、トランスヒューマニズムの理念を智見し、体現するパイオニア」


「星は我々に」
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