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第151話 新世界より

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 各聖地を巻き込み、大戦争へと発展した『コンスタンティン』との衝突から一週間後。俺は今、【聖地・モードレッド】にいた。

 そこで、ギルド全員と久々の合流を果たし、勝利を分かち合った。


「――村雨は?」


 俺は、ぽむぽむに聞いた。
 彼は最初こそ神妙な面持おももちだったが。

「……あいつは俺を心底憎んでいたようだ。けれど、みんなを裏切ったのは事実。だから、今は深く反省させるために、ある聖地で軟禁なんきんしている。その場所は口外禁止なので特定に繋がるようなことは言えないけどな。 
 とにかく……サトルたちには大変迷惑を掛けたな」

 ぽむぽむは深く頭を下げ、弟の分まで謝罪した。
 いやお前が悪いんじゃない。それにもうこれは済んだことだ。

「んや、いいんだよ。で、これからどうするんだ?」

「おう。俺たちは冒険を続ける。それがギルドってもんだろ」
「そうだな。気を付けて」

 俺は『サンフラワー』のギルドたちと別れた。
 がんばれよ、ぽむぽむ。応援しているぞ。


 ――と、思ったのだが。

 聞き覚えのあるような、ないような声が俺を呼んでいた。


「旦那ぁ! 俺たちやりましたよ、旦那のために!」
「チョースケ兄貴の分までがんばりやしたっ!!」

 あれは、あのすっかりあか抜けた男たちは『グースケ』と『パースケ』じゃないか! マジでモヒカンないと一瞬、誰だか分からんな。なにか分かりやすい目印めじるしを付けてほしいものだが。

「おぉ、お前たち。そうだな、よくやった。これからも『情報屋』として頑張るんだぞ。道を踏み外すなよ!」


「ええ! 『テラボンバー』は永久に不滅ふめつです!!」


 だが、俺は――


 【 ギルド テラボンバー を脱退しました 】


「ええええええええええええッ!!」
「兄貴、そんな! 一生居てもよかったんですぜ!?」

 グ&パーはあわてていた。だが、これでいい。

「すまん。俺はたちはギルドに所属しょぞくするタイプじゃないんだ。これからは少し、ちょっと『家』でゆっくりしようかなって思うんだ」

「そうですかい。わかりやした! 旦那の想いを尊重そんちょういたしやす。
 それじゃ、オレらは旅立ちます! 旦那と同じように『聖地巡礼』をしてみようかと思うんで!」
「お世話になりやしたー!! またどこかで会いましょう、旦那ァ! いつでもオレら『テラボンバー』を頼ってきて下さい!! なんでもします!!」


 グースケとパースケは手をブンブン振りながら去っていった。

 あいつら、すっかり『普通の冒険者』だな。
 頑張れよ、チョースケの分まで――。


 ◆


 【 聖地・アーサー 】


 俺は遠くから【円卓の騎士】を静かに見守っていた。

 彼らはこの偉大なる聖地に集結し、今、アーサー王をたたえ、聖地繁栄を誓っていた。この世の悪を滅し、自由と平和、秩序――そして、愛を守るために。


 アーサー王は、俺に視線を送って来る。

 俺もまた『がんばれよ』とエールを送った。


 ◆


 花の都への帰り際――

 パロのメイドの件も完了した。

 彼女たちは買収ではなく、詳しく聞けばただ単におどされていただけのようだ。最高指導者プロビデンスマスター――ドクトリンのヤツ、案外ケチだったんだな。


 それからパロは【聖地・パロミデス】へメイドと共に、無事帰還したようだ。


 ◆


 【 花の都・フリージア 】


 俺たちは、花の都に戻り、家を建てた。
 今回は『固定』されているので、移動はもう不可能だ。

 これからは、この『家』で暮らしていく。

「立派な家っていうか、カントリーハウスね」

 メサイアの言う通り、もはや家というよりかは【貴族邸宅】とかそんなレベルだった。これだけ広々ひろびろしていれば、将来的にも困らないだろう。
 一応、子供とか出来たらな。ないと思うけど。

「戻りましたよー、サトルさん。ただいまです♪」
「今日の晩御飯ばんごはんは、腕によりをかけて作りますね~♪ ちなみに、兄様の大好きなハンバーグですよ~♡」

「お、リースとフォル。おかえり」

 二人は買い物へ行っていた。

「そういえば、ベルはどこへ行ったんだ? 朝っぱらから見かけないけど」
「ベルなら例のバイトみたいよ~。そろそろ帰ってくる頃じゃないかしら」

 メサイアが言った通り、タイミング良くベルが帰宅してきた。

「今仕事から帰ってきた。みんなただいま~」
「おう、お疲れ。ベル。今日も仕事はかどったか」
「うん、旦那さまのおかげで♪」


 ――とベルは唐突とうとつに腕をからめてきた。


 ベルは服装といい、雰囲気といい随分と変わったな。
 今はあの露出度90%超えのビキニアーマーを止め、すっかりお姉さんっぽいブラウスを身に着けていた。とても落ち着いていて、大人って感じだなぁ。色気がある。

「あー! ベルさんズルいです! 兄様はわたくしのモノですよ!」
「いえ、あたしのモノです! この前、アヴァロンへ――お父さんのところへ挨拶だってしたんですから! もう立派な公認ですよ~! 結婚式だってたぶんそのうち!」


 ワーワーと大騒ぎになり、周囲に人だかりが出来ていた。


「ねぇママーあれなーに?」「見ちゃいけません!!」


 うわ、恥ずかしい! めっちゃ見られてるー!


「み……みんな、家へ入ろう」


 ◆


「――――――」



 こうして、俺たちの長い旅路たびじは終わった。

 あの戦争が終わってからの長い長い『聖地巡礼』も終わった。

 全ての聖地をめぐり終え、俺たちは今――



 花の都・フリージアで幸せに暮らしている。
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