全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

文字の大きさ
上 下
144 / 474

第144話 白い女神

しおりを挟む
 二人の騎士『プロキシマ』と『ケンタウリ』は人間ではなく、赤い影だった。

「なんだ……二人ともバケモノだったってことか」

「バケモノ? それ以上だ。俺たちはな、コンスタンティン様から『特別な聖杯』を戴いた。それにより、このレイドボスをも上回る力を手にいれた」


「プロキシマ、さっさと殺っちまおうぜ」
「そう慌てるな、こっちは不死身ふじみなんだからな!」


 そうか。コイツらは人間・・だったから――以前、あの『赤い影』は、モンスターとしては認識できなかったわけか。つまり、コイツ等は何者でもない何かだ。


「不死身か――だからと言って、倒せないわけじゃない」


「ほう、なにか手段があるというのか――――!!」

 プロキシマが赤い手を振るってくる。
 砂漠が真っ二つに割れた。なんつー、威力。けど、俺は軽々回避。あれくらいなら、まだ何とかなる。


「飛ばしていくぜ! 【トランセンデンス】からの『オーディール』――!!」


 裁きの光を放ち、ケンタウリに命中させた。


「なんだこの不愉快ふゆかいな光は……! ぐあぁぁぁぁっ……」


 命中はしたが、ほぼ効いていない。
 くそ、だめか。割と本気の一撃だったんだが。

「後ろがガラ空きだぜ!!」

 ……しまった、プロキシマのヤロー、いつの間に俺の背後に!!

「こっちは任せて!!」
「メサイア!」

 メサイアは『素手』で、プロキシマのあの邪悪な赤い腕を掴んだ。

 マジか!!!

「ぐっ……!! なんて力よ……」
「いや……メサイア、お前も十分バカ力だよ」
「し、失礼ね。これでもか弱い女神様よ――!」

 すると、メサイアは白く光り始めた。女神専用スキルか!

 それは【エーヴィヒ ヴィーダーケーレン】というモノだった。

「いやぁ、このスキル取るの苦労したわよ。なんたって、千個以上取ってやっと取れた最強のヤツなんだから――!!」

 え……そんなに!?

 メサイアは力を込めると、プロキシマの腕をちりにした。


「バ、バカなぁぁぁあっぁぁ!! あああぁぁぁぁあァ!!!」


 腕が溶け、取り乱すプロキシマ。……うそだろ、ドロドロに溶けてんぞ。

「な、なにをしたんだ、メサイア」
「これは『永劫回帰』よ。時間は無限であり、物質は有限であるの」
「つ、つまりどういうことだ?」

「わからないわ!!」


 わからないか――――――――――い!!


 てか、そんなドヤ顔で。


「お、おのれええええ!! このクソ女神よくも俺の腕を!!」

「クソ女神ですって!?」

 あ、メサイアのヤツ、すげぇ顔してる。ありゃ、ブチギレたな。


「よくもクソ女神だなんて……!!」


 うおぉぉぉ、メサイアが更に白く光り始めた!

 そして、その勢いでプロキシマに突撃――


『零式・シャイニング・ブレイズ・ゴッドフィンガァァァァァァァアァアァアアアアア!!』



「ひょぼぼぼぼばばばばばばあああああああああああああああああががががああああああああああああああああどういぉぉぉぉぉおおおおおおおおえええええええええええええ!!!!!!」



 プロキシマは爆散した。
 いくら不死身とはいえ、あんな粉々じゃ、再生はできんだろう。


「プ、プロキシマ!! うそだ……やられちまったのかよ。信じられねぇ」


 残りはケンタウリだ。
 ヤツは、不利な状況になりつつあることを実感しているのか、逃げ腰だ。

「っ……」
「メサイア。無茶したな。ちょっと休んでろ」
「ごめん。あとは任せた」
「ああ、任せろ。まだ切り札は残っているからな!」

 ケンタウリ、あいつを倒せば……!

 いや……だがまて。

「おい、ケンタウリ! 一応、聞いてやる。裏切者は誰だ! 教えろ、そうすりゃ命は取らないぞ」

「なんだと……情報を吐けというのか!? バカか! 俺は、コンスタンティン様に忠誠を誓ったのだぞ! 誰か貴様なんぞに!!」

 腕を上げるケンタウリ。

「けど、プロキシマのような死に方はしたくないだろ?」
「く……! 貴様、俺をたばかる気か! ふざけるな!」

「そうか、悪い話じゃないとは思ったんだがな……。フォル、今だ!!」

 俺は、空にいる・・・・フォルに合図を送った。
 さきほど飛び上がって滞空していた。タイミングはバッチリだな。


『秘奥義!! 覇王轟翔波――――――!!』


 赤色が空から降ってくる。


「そ、空からだとォ!? くそォ!!!」


 いまだ!!!


 俺は【オートスキル】発動を任意で発動し、『血の煉獄』を敵に浴びせた。


「ヌゥおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! ガガガガガガアアアア、ヤメ、ロオオオオオオオ!!! ……お、俺は不死身だ……この程度の攻撃で……死ぬかああああああああァァァアア!!」


 さすが不死身か……。
 【エーヴィヒ ヴィーダーケーレン】が使えれば倒せるが、メサイアは、今は疲弊ひへいして倒れている。だから、あれは一度きり。この攻撃に全身全霊をかけるしかない。


「うおぉぉおぉぉおぉぉぉおぉ!!!」


 もはや気合と根性だった。
 俺はただ出来る限りの力を出し尽くし、敵を焦がしまくった。


「ウあぁぁぁあぁぁあぁああぁああ――――――!!!!!」


 叫ぶケンタウリ。効いてる……効いているぞ!
 だが、決定的なトドメは刺せない。くそ、不死身がこれほど厄介だったとは!


 そんな時だった。



『オオオぉぉぉぉぉおっぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!』


 どこからか声が。
 これは――【聖地・モードレッド】の方角から――まさか!!


『俺たちも戦うぞ!!』『聖地が滅びようとしてんだ、黙ってられっか!!』『あの赤いバケモノを倒せばいいんだな!』『あのアンちゃんに加勢しろォォオ!!』『うおぉぉぉぉおぉぉぉ』『っしゃあああああああああああああ』



 こ、これは……!
 聖地・モードレッドの一万の兵。それと、レッドスカーフ。


「理くん。わたしたちもいるよ~」
「サトルさん、あたしたちはあなたと共に!」


 ……ベル。リース! ありがとう。


「みんな!! あの赤い影に、総攻撃を開始せよ!!!」

 レッドスカーフが全軍に指令を送る。



『『『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』』』



 俺とフォルは瞬時に離れ、メサイアを担いで距離を取った。

 その直後、一万の総攻撃が始まった。


「バカなああ!!! こ、こんな大規模の攻撃は……不死身とはいえ、た、耐えられんぞ!! ううあああああ、やめ、やめろおおおおおおおおうああああああああああああ!!!」


 砂漠は燃え上がり、赤く染まった。


 勝ったか……!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...