全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第133話 みやぶる女神の力 - ヴァールハイト -

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 モンスターレースの【最終レース】が始まった……!
 5名(?)のモンスターたちが一斉に飛び出す。


「っしゃぁぁいけやあああ!!!」「俺はお前に賭けてんだぞおお、ジャスティス!!」「こりゃどう見たってゴブリンだろ!」「ああ、ちげえねえ!!」「オラ、全財産をゴブリンに賭けたんだ……これに勝ったら借金を全部貸すんだ!!」


 それぞれの想いが怒声となって飛び交う。

 すげえ……なんてヤツらだ。みんな本気なんだ……それなのにイゾルデのヤツ!

 さて、出だしは……うん、やっぱり『一番人気:世界一素早いゴブリン』がリードしている。ゴブリンは開始一分もしないうちに半分まで来ている。はえええ!

 だが、このレースは不正!


 その時、『光』が空で花火となった。


 あれは……ベルの合図!


 そうか、見つけたんだな。イゾルデの協力者を!


「メサイア、準備はいいな」
「ええ。ヴァールハイトを五番人気:獣人・ドドドに使えばいいのよね!」

「ああ、それであの獣人に『速度増加』の支援が掛かっていると……不正があると参加者に知らしめることが出来る!!」

 よし、支援スキルが掛かったぞ!!

 あの『五番人気:獣人・ドドド』ってヤツ、あからさまに足が速くなってやがる――!!

 みんなもザワついて、絶望している者もいる。

 なんだあの爆走っぷり、ゴブリンを簡単に追い抜く勢いだぞ……!

 案の定、ゴール手前になって――ドドドは超加速。ゴブリンをギリギリで追い抜こうとしていた。今だあああああああああああああああああああ!!


「今だメサイア……!!」
「ヴァールハイト……!!」


 メサイアがモンスター情報開示スキル『ヴァールハイト』を発動――。

 すると、『五番人気:獣人・ドドド』の頭上に【速度増加】の表示が出現。そのままゴールした。


「………………」


 会場はシ~ンとなった。


「………………おい……ありゃあ………どう見ても、不正だよな」


 ひとりの客がそうつぶやいた。

 俺はそれに乗じて――


「あれは明らかな不正だああああああ!!! このモンスタレースの主催者『イゾルデ』は不正を働いて、俺たちの金を巻き上げてやがったんだ!!!! みんな、こんなの許せるか!? 証拠はあの『五番人気:獣人・ドドド』にハッキリ明確にキチッと現れている!!」

 更に、

 ベルが登場し、協力者を捕まえてきた。

「みなさーん。この人が犯人でーす!」
「あ……あれが、協力者……む、女!? 角の生えた……なんだ、どこかで見た覚えが……」

 俺は、その女をどこかで見た覚えがあった。
 どこだ。どこで見た!?

 ……と、とにかく、ヤツが協力者だったか。

「……まいったね。まさか捕まってしまうとは。……はい、素直に認めます。私はイゾルデに協力し、モンスターレースで不正をしておりました。全ての責任はイゾルデにありますので、私はここでお暇させていただきますね~」

「なにっ!? 逃がすかよ!!」

 逃げようとする角女。――が、どろんと姿を消した。

 えっ……消えた。

「うわっ、びっくりした」

 ベルは突然消えた角女に驚いていた。


 ……ま、とにかくだ。


「不正だって……」「うそだろ……」「今まで俺たちを騙していたのかよ」「はぁ!? ふっざけんなよ!! オラは借金までしたっていうのに!!」「許さん、絶対にだ!!」「イゾルデっていやぁ、あの超高級ホテルのオーナーだろ!?」「そうか、俺たちから巻き上げた金で、あんなホテルを建てやがったんだ!!」


 みんなの憎悪がふくれ上がっていく。
 俺もそれに混ざり、さらに焚きつけてやった。


「ホテルに乗り込むぞー!!!」


「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」」

 レース参加者は怒りのまま、ホテルへ向かった。


「……お、お……ここまで怒りが爆発するとはな」

 軽くびびったぞ俺。


「サトル、やったわね」
「ああ、これもメサイアのおかげだ。だが、まだイゾルデにトドメを刺しちゃいない。行くぞ」

「うん。ここまで来たからには謝ってもらわなきゃね!」

 俺たちもホテルへ向かった。


 ◆


 ホテルへ向かい、オーナー室へ乗り込む。

 ちょうど帰ってきていたのか、イゾルデが問い詰められまくっていた。


「不正とはどういう事だ!!」「全部説明しやがれ!!」「金返せ!!!」「いや、全額を返金してもらう、それまで絶対に帰らん!」「このペテン師!!」「こんな薄汚いホテルぶっ壊してやる!!!!」「なにがモンスターレースだよ、潰れてしまえ!!」「早く説明しろババア!!」


 あわわわ……。なんかスゲェことになっちまった。


 だが、あえて言わせてもらおう……!!



 ざまあみやがれッ!!!!!



「………………く」


 イゾルデは無言のまま頭を抱えていた。
 まさか半日も掛からず不正がバレるとは思わなかったのだろう。完全な自業自得だ。因果応報だ。散々、裏で甘い蜜を啜りまくっていたのだ、当然の罰だ。


 俺は前へ出る。


「イゾルデ、みんなへの謝罪と、今までのモンスターレースの全額返金を要求する。それと、俺のフォルを返しやがれ。迅速かつ丁寧にな」


「………く……。…………くぅぅぅぅぅううう……」


 ガクっと項垂れ、悔しそうに――いや、完全に悔しがっていた。
 ぷるぷると震え、涙目となっていた。


「イゾルデ……。こっちを見ろイゾルデ!!!」


 俺が大声で名前を叫ぶと、イゾルデは驚いていた。


「……わ、わたしは…………ただ、トリスタン様のために……」


「んなもん知るかッ!!!!!! さっさと謝りやが―――――」


 え……?


 激しく恫喝していると、女騎士が現れ、そいつが代わりに……頭を下げていた。


「な――――」


 つーか……誰だよ?

「この度は、我が相棒・イゾルデがご迷惑をお掛けした。お金は全額返金するとを約束します。ですので、ここは一旦、私に免じて戴きたい」

 女騎士は顔を上げた。


 すると、レース参加者全員が、その名前を一斉に口にした。



「「「「「「ト…………トリスタン様!?」」」」」」


 なにっ! あの女騎士が……『トリスタン』だって!?


 女だったのかよ!!
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