全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

文字の大きさ
上 下
132 / 473

第132話 モンスタレースの不正を暴き出せ!

しおりを挟む
 俺は、女神であるメサイアを羽交はがめにした。

 なぜこんな状況になっているかといえば、メサイアのなけなしの『130プル』を奪おうとしたら、逃げたからである。しかも、抵抗しまくりやがって……! 俺の顔に爪痕が(泣)


 全財産の『130プル』を取ろうとすれば、自身の胸の谷間に押し込みやがった!! なんてヤツだ!!


 さすがの俺でも、メサイアの胸に手を突っ込むなんてマネはできない。つーか、ベルとリースのいる前では100%無理だ。なので――

「ベル! メサイアのパッド入りの胸に挟まっている『130プル』を取ってくれ! 取ってくれたら、なんでも言うこと聞いてやる!」

「ほんと!? うん、最高の条件だね。それならいいよ。ごめんね、シア……そういうことだから」
「ベルの裏切者~~!! てか、パッド言うな! 私の胸は普通にあるわ! ねえ、リースは私を助けてくれるわよね!?」

「耳を貸すな、リース! いいか、そのまま静観していてくれ。そうしたら、今度、お父さんに挨拶しに行く!」

「わかりました!!!」

 リースは俺の手に落ちた。


「リースぅ~~~~~~~~~~!!」


 四面楚歌に陥ったメサイア。あ、ちょっと泣いてる。
 ふふ……だがな、これでお前の味方をする者は誰もいなくなったぞ!!


「いけ、ベル!」
「はいさ~」


「いやぁぁぁぁぁぁあ――――――――――!!!!!!」


 ・
 ・
 ・


 なけなしの『130プル』を手に入れた!!<チャリーン


 ……さて、この金の使い道は決まっている。


 ヤツ……ホテルのオーナー『イゾルデ』の不正を暴くには、確かな証拠が必要だ。だから、俺は『千里眼』クレアボイヤンスで視た。


 その『ビジョン』はこうだった――


 イゾルデが誰か・・に依頼して、レース場では通常不可能・・・なモンスターの移動速度を上げてもらっていたのだ。そうすることで、客から金を巻き上げまくっていたのだ。


 詐欺さぎじゃねーか!!


 許せん。
 善良な人々を騙し、己の私腹を肥やし……そして、あろうことか俺の大切なフォルを奪いやがったんだ。あの女狐めぎつねめ!!


 だが、この『ビジョン』を皆にどう伝えるべきか、それが難題だったが……


 女神メサイアはいつだって俺の味方だ。


 ……ま、本人は気付いていないみたいだけど。


 この『130プル』があれば……まだ【最終レース】には参加できる。


 そこで俺は、ヤツ等の不正を暴露する。
 そうすれば、レース参加者は激怒し、返金を求めて大混乱するだろう。


「リースは、最終レースの情報を集めてきてくれ。ベル、お前はモンスターの移動速度を上げている誰か・・を探してくれ。場所はゴニョゴニョっと」

「はいよー。そこだね。分かった」


 さて、あとはメサイアだが――


「………………」


 あぁ……めっちゃ落ち込んでるな。

 あんな豆粒のようにちぢこまって……むぅ。どう声をかけたものか。

 このままも何だかな。

「メサイア……その、すまなかったな。お前の大事な『130プル』を奪っちまって……。悪気はなかったんだ。これも、フォルを取り戻すためだ。協力してくれるよな?」

「当たり前でしょ」

 体を起こし、メサイアは空を仰ぐ。
 どこか遠くを見つめ、

「サトル……あのイゾルデってやつ、やるなら徹底的にボコりましょ! ぎゃふんと言わせるの! その為なら、ジュース代にしかならない『130プル』なんか惜しくはないわ」

「ああ、それでこそだ。だからな、メサイア……女神専用スキルの出番だ。確か、モンスターとかの正体を暴く……鑑定スキル的なのあったよな?」

「ああ! それね、あんまり役に立たないと思って、取るかすっごく悩んだんだけどね。でもスキルポイントがアホみたいにあったから、ほとんど取っちゃった。
 ……うん、取ってある。スキルの名は『ヴァールハイト』。効果は『種族問わず、対象の正体を暴くことが出来る。また、支援・補助・異常など掛かっている【状態】をサーチ、強制表示する。対象の【状態】だけ表示することも可能。パーティ・ギルド間での情報共有も出来る。また任意で、全体へ情報公開も出来る』ね」


 まじか……!


「メサイア……抱きしめていいか……」
「ひゃっ!? もういきなり抱きついているじゃないっ……。もう……。
 でもそうね、私もフォルを助けたい」

「行こう。イゾルデの不正を皆に知らしめるんだ!」


 いざ、モンスタレース会場へ……!


 そうそう、モンスターレース会場へ入るには入場料が『10プル』掛かるのだ。これは、ひとり『10プル』なので、俺、メサイア、ベル、リースで『40プル』必要となる。

 が……世間的には、リースは子供にしか見えないらしく……『入場料無料』だった。さっきもそうだったけどな。幸い、リースは気にしていないようだ。ま……本人がいいなら、いっか。

 なので、『30プル』を支払い……


 残り『100プル』……なんとレースに投資できるギリギリの額だった。


「よし、ベルは行動開始したな。リースも情報収集へ行った。レース開始まではもう少しだけ時間がある。最終レースだから早くしてくれよ~…!」

「情報収集完了しました!」

 リースがもう戻って来た。

「はやっ!!!」
「えへへ……本気だしちゃいました。もう全て把握済みですよ♪」

 行動開始3分で終わった。ラーメンかよ。

「で、どんな感じなんだ?」

「はい。えっとですね――」


 一番人気:世界一素早いゴブリン
 二番人気:エレクトロスパイダー
 三番人気:ジャスティス
 四番人気:ギルドから追放されし勇者・ケイ
 五番人気:獣人・ドドド
 六番人気:【食べられたため棄権】


 ――ふむふむ。

 って、六番人気、食われとる――――――――――!?


「六番人気にいったい何があったんだ……」
「さ、さあ……」


 どうやらこの五名(?)で最終レース開始のようだ。
 ふむ……名前からして一番人気が固そうだが……。


 俺の『千里眼スキル』によれば――なるほどね。
 一番人気が固いが、どうやら……まったく人気のない、明らかに鈍足っぽい五番『獣人・ドドド』に【速度増加】が掛かるようだ。やっぱりそう来るのか。

 リースから聞くところによれば、ほぼ九割の人間が一番人気に高額投資しているという。そりゃそうだよな……【最終レース】でしかも分かりやすい名前の『世界一素早いゴブリン』ときたものだ。狙いすぎだが、人間つーのは、シンプルに分かりやすいヤツを選びたがる傾向にあるものだ。


 それじゃ、俺は適当に『ギルドから追放されし勇者・ケイ』にでも『100プル』を賭けておくか。特に理由はないけどな!

 尚、俺は別に勝つ必要はない。
 ただ一般客と同じようにレースを見守っていればいい……その時が来るまで。


『ぱぱぱぱぱぱ~~~~~~ん♪』


 おっと、ファンファーレだ。
 いよいよレースが始まる。


 ヤツの――イゾルデの不正をここで……
 ぶちまけてやる。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~

桜井正宗
ファンタジー
 元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。  仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。  気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...