全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第96話 最終決戦① - 絶望の淵と苦渋の選択 -

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「……ふふ、ふははははは……」


 アルラトゥは不敵に笑う。


「なにがおかしい!!」
「凄い……凄いわ、サトル。まさか『10万体』全てを倒すとは少し驚いたわ。けれどね、ひとつ言い忘れていたわ」

「なに?」


「あの失敗作――『分裂』はね、実験を【108万回】重ねているの。だからね、先ほど召喚した数がその内の『11万体』だったの。つまり、残り『97万体』のストックがある……。今度はその全て・・を貴方たちにプレゼントするわ。
 ――Happyハッピー birthdayバースデー toトゥ youユー メサイア」


「んなっ……! さっきのアレが『97万体』だって……!?」


 すると、聖地全体を取り囲むように超大量のモンスターが出現し、うごめいていた。その光景を見るだけで吐き気がする。
 今度は規模が膨大すぎて、虫のようにビッシリと埋め尽くされるほどにいる。黒い物体だから、それが壁の様に具現化さえしてしまっている。非常に悍ましい光景だ。


 くそう……!
 10万体ですらスキルを発動しまくって、やっとのことで全部倒したというのに、今度はその更にその上をいくだと…………。


「…………まずいな」
「わー…参ったなぁ。97万体は厳しいな……これは万事休すかな」


 さすがのベルもお手上げのようだ。

 くそう。何か考えろ俺。なにか手立てがあるはずだ!

 リースの『アルマゲドン』は他の聖地や都にまで影響が出ちまう……。それに、あの時のように上手くいく保証もなければ、そんな余裕もない。下手すりゃ全員お陀仏だ。ならば、俺が全力でスキルを発動してもいいが、それだとアルラトゥと戦う体力までは残らない可能性が高い。


 ……他は……!?
 早くしないと『97万』の敵が攻めてくる!!


「サトル、どうするの!?」「サトルさん!」「兄様……」「理くん」

 みんな俺の判断を待っている。

「メサイア……。俺は……すまない」


 だめだ……手段が何も浮かばない。
 この絶対的窮地を覆す方法が何もない。


「…………」
「そう、分かった」
「お、おい……メサイア」
「こうすれば、みんなは助かるでしょ」

 メサイアがひとりアルラトゥの方へ向かっていく。
 まさか……自身を犠牲にして!


「アルラトゥ! 私は今、自身の心臓に向けてスキルを発動しようとしている……この意味分かる?」

「なるほど、少しは知恵を絞ったようね。
 よくぞ気づきました。そう、死んだあなたを吸収しても意味がない。生きた貴女メサイアの吸収が絶対条件……。だから、死なれては困る。
 分かったわ……モンスターの動きは止めてあげる」

「それでいいわ。私がそっちへ行くから……その代わり、仲間は見逃してちょうだい」

「へぇ、貴女が交渉ね。まー…いいでしょう。一応、腐っても姉妹ということに免じて……一度きり、これっきりの最後の取引よ。もし少しでも妙な真似をすれば……交渉決裂。貴女メサイアの仲間は全滅することになる」

「ええ……」
「メサイア……やめろ! お前が犠牲になる必要なんかない!」
「でも、他に手段がないじゃない……! こうするしか……ないのよ」


 背を向け、メサイアは歩いて向かっていく。

 俺は、このまま何も出来ないまま終わるのか……。

 それで本当に良いのか?

 ――ダメだ。

 俺の女神を、メサイアを奪われるわけにはいかない。

 諦めたら……そこで負けだ。


「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 俺は、ただ闇雲に、心の奥底から叫びまくった。


「あらあら、可哀想に。この絶望的な状況に発狂しちゃったのかしら、サトル」


 そして、俺は空に向かって叫ぶ――。


「おい!!! 神王!!! あんた神様なんだろ!!! このクソみてぇな状況を分かっているんだろう!! だったら、ぐうたらしてないで、俺たちを助けやがれ!!!!! そうしないと、あんたの世界が終わっちまうぞバカヤロウ!!!!」


「アハハハハハハハハハハ……! サトル、あなたには最高に笑わせてもらったわ。まさか、最期に神へ命乞い!? 滑稽こっけいね……哀れね。神の救いなんて決してない。だってそうでしょう……それが出来たのなら、最初からアイツ自身が此処ココへ来ればいい。でもそうしない。だって……出来ない・・・・のだから。神はね、【死の呪い】に掛かったソフィアが足枷あしかせとなって動けないのよ」


 なんてこった……!

 ……だったら、もう最後の手段だ……!

 玉砕覚悟でヤツを叩き潰す!


「理くん。その顔、腹を決めたようだね。いいよ、一か八かいこっか。キミとなら最後を共にしてもいい」


 ベルがそうささやく。


「兄様、わたくしもベルさんに賛成です。かなりギャンブル要素が高いですけど、こう見えて、わたくしのラックはカンストしていますから……きっと上手くいきます!」


 フォル。


「みなさんの意見にあたしも賛同します。ベルさん、フォルちゃん。あたしも一緒に」


 リース。


 そうだな、俺にはまだ頼れる仲間が――!
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