96 / 476
第96話 最終決戦① - 絶望の淵と苦渋の選択 -
しおりを挟む
「……ふふ、ふははははは……」
アルラトゥは不敵に笑う。
「なにがおかしい!!」
「凄い……凄いわ、サトル。まさか『10万体』全てを倒すとは少し驚いたわ。けれどね、ひとつ言い忘れていたわ」
「なに?」
「あの失敗作――『分裂』はね、実験を【108万回】重ねているの。だからね、先ほど召喚した数がその内の『11万体』だったの。つまり、残り『97万体』のストックがある……。今度はその全てを貴方たちにプレゼントするわ。
――Happy birthday to you メサイア」
「んなっ……! さっきのアレが『97万体』だって……!?」
すると、聖地全体を取り囲むように超大量のモンスターが出現し、蠢いていた。その光景を見るだけで吐き気がする。
今度は規模が膨大すぎて、虫のようにビッシリと埋め尽くされるほどにいる。黒い物体だから、それが壁の様に具現化さえしてしまっている。非常に悍ましい光景だ。
くそう……!
10万体ですらスキルを発動しまくって、やっとのことで全部倒したというのに、今度はその更にその上をいくだと…………。
「…………まずいな」
「わー…参ったなぁ。97万体は厳しいな……これは万事休すかな」
さすがのベルもお手上げのようだ。
くそう。何か考えろ俺。なにか手立てがあるはずだ!
リースの『アルマゲドン』は他の聖地や都にまで影響が出ちまう……。それに、あの時のように上手くいく保証もなければ、そんな余裕もない。下手すりゃ全員お陀仏だ。ならば、俺が全力でスキルを発動してもいいが、それだとアルラトゥと戦う体力までは残らない可能性が高い。
……他は……!?
早くしないと『97万』の敵が攻めてくる!!
「サトル、どうするの!?」「サトルさん!」「兄様……」「理くん」
みんな俺の判断を待っている。
「メサイア……。俺は……すまない」
だめだ……手段が何も浮かばない。
この絶対的窮地を覆す方法が何もない。
「…………」
「そう、分かった」
「お、おい……メサイア」
「こうすれば、みんなは助かるでしょ」
メサイアがひとりアルラトゥの方へ向かっていく。
まさか……自身を犠牲にして!
「アルラトゥ! 私は今、自身の心臓に向けてスキルを発動しようとしている……この意味分かる?」
「なるほど、少しは知恵を絞ったようね。
よくぞ気づきました。そう、死んだあなたを吸収しても意味がない。生きた貴女の吸収が絶対条件……。だから、死なれては困る。
分かったわ……モンスターの動きは止めてあげる」
「それでいいわ。私がそっちへ行くから……その代わり、仲間は見逃してちょうだい」
「へぇ、貴女が交渉ね。まー…いいでしょう。一応、腐っても姉妹ということに免じて……一度きり、これっきりの最後の取引よ。もし少しでも妙な真似をすれば……交渉決裂。貴女の仲間は全滅することになる」
「ええ……」
「メサイア……やめろ! お前が犠牲になる必要なんかない!」
「でも、他に手段がないじゃない……! こうするしか……ないのよ」
背を向け、メサイアは歩いて向かっていく。
俺は、このまま何も出来ないまま終わるのか……。
それで本当に良いのか?
――ダメだ。
俺の女神を、メサイアを奪われるわけにはいかない。
諦めたら……そこで負けだ。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
俺は、ただ闇雲に、心の奥底から叫びまくった。
「あらあら、可哀想に。この絶望的な状況に発狂しちゃったのかしら、サトル」
そして、俺は空に向かって叫ぶ――。
「おい!!! 神王!!! あんた神様なんだろ!!! このクソみてぇな状況を分かっているんだろう!! だったら、ぐうたらしてないで、俺たちを助けやがれ!!!!! そうしないと、あんたの世界が終わっちまうぞバカヤロウ!!!!」
「アハハハハハハハハハハ……! サトル、あなたには最高に笑わせてもらったわ。まさか、最期に神へ命乞い!? 滑稽ね……哀れね。神の救いなんて決してない。だってそうでしょう……それが出来たのなら、最初から神自身が此処へ来ればいい。でもそうしない。だって……出来ないのだから。神はね、【死の呪い】に掛かったソフィアが足枷となって動けないのよ」
なんてこった……!
……だったら、もう最後の手段だ……!
玉砕覚悟でヤツを叩き潰す!
「理くん。その顔、腹を決めたようだね。いいよ、一か八かいこっか。キミとなら最後を共にしてもいい」
ベルがそう囁く。
「兄様、わたくしもベルさんに賛成です。かなりギャンブル要素が高いですけど、こう見えて、わたくしのラックはカンストしていますから……きっと上手くいきます!」
フォル。
「みなさんの意見にあたしも賛同します。ベルさん、フォルちゃん。あたしも一緒に」
リース。
そうだな、俺にはまだ頼れる仲間が――!
アルラトゥは不敵に笑う。
「なにがおかしい!!」
「凄い……凄いわ、サトル。まさか『10万体』全てを倒すとは少し驚いたわ。けれどね、ひとつ言い忘れていたわ」
「なに?」
「あの失敗作――『分裂』はね、実験を【108万回】重ねているの。だからね、先ほど召喚した数がその内の『11万体』だったの。つまり、残り『97万体』のストックがある……。今度はその全てを貴方たちにプレゼントするわ。
――Happy birthday to you メサイア」
「んなっ……! さっきのアレが『97万体』だって……!?」
すると、聖地全体を取り囲むように超大量のモンスターが出現し、蠢いていた。その光景を見るだけで吐き気がする。
今度は規模が膨大すぎて、虫のようにビッシリと埋め尽くされるほどにいる。黒い物体だから、それが壁の様に具現化さえしてしまっている。非常に悍ましい光景だ。
くそう……!
10万体ですらスキルを発動しまくって、やっとのことで全部倒したというのに、今度はその更にその上をいくだと…………。
「…………まずいな」
「わー…参ったなぁ。97万体は厳しいな……これは万事休すかな」
さすがのベルもお手上げのようだ。
くそう。何か考えろ俺。なにか手立てがあるはずだ!
リースの『アルマゲドン』は他の聖地や都にまで影響が出ちまう……。それに、あの時のように上手くいく保証もなければ、そんな余裕もない。下手すりゃ全員お陀仏だ。ならば、俺が全力でスキルを発動してもいいが、それだとアルラトゥと戦う体力までは残らない可能性が高い。
……他は……!?
早くしないと『97万』の敵が攻めてくる!!
「サトル、どうするの!?」「サトルさん!」「兄様……」「理くん」
みんな俺の判断を待っている。
「メサイア……。俺は……すまない」
だめだ……手段が何も浮かばない。
この絶対的窮地を覆す方法が何もない。
「…………」
「そう、分かった」
「お、おい……メサイア」
「こうすれば、みんなは助かるでしょ」
メサイアがひとりアルラトゥの方へ向かっていく。
まさか……自身を犠牲にして!
「アルラトゥ! 私は今、自身の心臓に向けてスキルを発動しようとしている……この意味分かる?」
「なるほど、少しは知恵を絞ったようね。
よくぞ気づきました。そう、死んだあなたを吸収しても意味がない。生きた貴女の吸収が絶対条件……。だから、死なれては困る。
分かったわ……モンスターの動きは止めてあげる」
「それでいいわ。私がそっちへ行くから……その代わり、仲間は見逃してちょうだい」
「へぇ、貴女が交渉ね。まー…いいでしょう。一応、腐っても姉妹ということに免じて……一度きり、これっきりの最後の取引よ。もし少しでも妙な真似をすれば……交渉決裂。貴女の仲間は全滅することになる」
「ええ……」
「メサイア……やめろ! お前が犠牲になる必要なんかない!」
「でも、他に手段がないじゃない……! こうするしか……ないのよ」
背を向け、メサイアは歩いて向かっていく。
俺は、このまま何も出来ないまま終わるのか……。
それで本当に良いのか?
――ダメだ。
俺の女神を、メサイアを奪われるわけにはいかない。
諦めたら……そこで負けだ。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」
俺は、ただ闇雲に、心の奥底から叫びまくった。
「あらあら、可哀想に。この絶望的な状況に発狂しちゃったのかしら、サトル」
そして、俺は空に向かって叫ぶ――。
「おい!!! 神王!!! あんた神様なんだろ!!! このクソみてぇな状況を分かっているんだろう!! だったら、ぐうたらしてないで、俺たちを助けやがれ!!!!! そうしないと、あんたの世界が終わっちまうぞバカヤロウ!!!!」
「アハハハハハハハハハハ……! サトル、あなたには最高に笑わせてもらったわ。まさか、最期に神へ命乞い!? 滑稽ね……哀れね。神の救いなんて決してない。だってそうでしょう……それが出来たのなら、最初から神自身が此処へ来ればいい。でもそうしない。だって……出来ないのだから。神はね、【死の呪い】に掛かったソフィアが足枷となって動けないのよ」
なんてこった……!
……だったら、もう最後の手段だ……!
玉砕覚悟でヤツを叩き潰す!
「理くん。その顔、腹を決めたようだね。いいよ、一か八かいこっか。キミとなら最後を共にしてもいい」
ベルがそう囁く。
「兄様、わたくしもベルさんに賛成です。かなりギャンブル要素が高いですけど、こう見えて、わたくしのラックはカンストしていますから……きっと上手くいきます!」
フォル。
「みなさんの意見にあたしも賛同します。ベルさん、フォルちゃん。あたしも一緒に」
リース。
そうだな、俺にはまだ頼れる仲間が――!
0
お気に入りに追加
1,267
あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる