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第90話 終わりの始まり - バグった女神のステータス -

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 残るは【聖地・ランスロット】のみ。
 そこは『冥界の死女神・アルラトゥ』が完全支配しているという。

 元々は人間も住んでいたらしいが、今は無人。
 聖地内は、人間はおろかモンスターもいないと――メサイアは言う。

「ほう、そんな情報を持っていたのか」
「ええ、まあ~ちょっと、ね」

 メサイアは、ベッドの上で気怠けだるそうに大の字になっている。やる気がなさそうだが……ちょっと体調が悪そうにも見える。

 ちなみに、今ここはメサイアの部屋である。何度か入ったことがあるが、こう長時間滞在するのは初めてだ。

 なんだか落ち着くし、甘いイイ匂いがする。
 これが女の子の部屋ってヤツか……。

「メサイア、お前、ワンピースの肩紐かたひもがずり落ちてるぞ……」
「面倒くさい~そのままでいい~。それよりサトル、抱っこ~」
「なんでだよ! お前はいつから幼児退行したんだ!?」
「なんか最近……だるいのよね。物凄い倦怠感けんたいかんっていうか……起き上がるのも精一杯」

 と、本当に重そうに体を起こすメサイア。肩紐が外れていたので、ワンピースがそのままはだけてしまうワケでして――。

「あ……いやあああああ、見ないでよバカサトル!!」
「だからさっき忠告したろうに。――って、下着くらいつけろよ、なんでノーブラなんだよ、お前……」

「だ、だるくて……本当にだるいの。ちなみに、あまりにだるくて下も穿いてない……」
「ばっ……! 下もかよ! ああ、もう分かった分かった。体調が悪いのなら寝てろ。今は【移動スキル】で『家』は勝手に動いてるから、直に聖地に到着するだろ」

 ――そう、今現在の『家』は高レベルの【移動スキル:クローラー】により『無限軌道キャタピラー』が装着され、戦車の如く移動できるようになった。

 移動速度は、通常の3倍はあるだろうか、中々の速度を誇る。
 しかも不思議と振動はほとんど感じられない。快適である。


 【聖地・ランスロット】まで――あと三日。


 それまでに、パーティメンバー全員のレベルをカンストさせねば。ちなみに、現在のみんなのステータスだが……。


 サトル:【Lv.9997】
 ステータス①:HP800,900 SP98,180 FLEE4980 HIT4980
 ステータス②:ATK299500+SSS DEF49800 AGI6980 INT5950 LUK&Cri198+B
 主スキル:血の煉獄、ホーリーブレード、ダークニトロ、ヒドゥンクレバス、パニッシャートライデント、アブソリュートサイレンス、リミットブレイクα、β、γ、聖槍・アンティオキア、ライトオブジャッジメント、オーディール、トランセンデンス、イミテーション、エンデュランス


 メサイア:【Lv.縺吶∋縺ヲ縺ッ】
 ステータス①:謨代>縺溘a縺ォ
 ステータス②:荳也阜縺ォ逾晉ヲ上r
 主スキル:リグレッション


 リース:【Lv.9874】
 ステータス①:HP128,411 SP27,600 FLEE1000 HIT120
 ステータス②:ATK1 DEF10300 AGI1 INT9999 LUK&Cri99
 主スキル:掃除、プロミネンス、エターナルフロスト、ダークサイクロン、ダイアストロフィズム、ダークコメット、ヘルサモン、ホーリーグレイル、ビッグバン


 フォルトゥナ:【Lv.9986】
 ステータス①:HP333,331 SP50,100 FLEE3000 HIT1230
 ステータス②:ATK105000+S DEF18000 AGI7699 INT3600 LUK&Cri255+SSS
 主スキル:料理、覇王天翔拳、覇王爆砕拳、冥王風神拳、冥王雷神拳、覇王龍星拳、グロリアスヒール、グロリアスブレッシング、グロリアスサンクチュアリ、覇王轟翔波、覇王葬破懺


 ベル:【Lv.9999】
 ステータス①:HP3,000,000+SSS SP9,999 FLEE500 HIT500
 ステータス②:ATK1 DEF300000+SSS AGI1 INT8000 LUK&Cri235+SS
 主スキル:ホーリーシールド、グレイスシールド、ホーリークロス、ロイヤルシールド、エレメントシールド、ヴィーナスシールド、ルーンシールド、エグゼキューションシールド、オーディンシールド、アポカリプスシールド、グロムシールド、グノーシスシールド、ヒーリングシールド、ネメシスシールド、アークシールド、アヴェンジャーシールド、ジェネシスシールド


 とまぁ……この前のドラゴンを倒した事もあり、大幅にレベルアップしたのだった。おかげで、全員『9000』は超えたところだ。

 ベルはついにレベルがカンストしてしまった。
 ので、お祝いを直ぐにするつもりだったが、ベルがみんなカンストしてからでいいと言ってくれたので、そうする事にした。


「…………ん? まてまて……メサイアのステータスおかしくないか?」


 よく見ればバグってやがる。
 そういえば、アイツさっきから「だるい」と連呼していた。……まさかそれに関係があるのか?

「お、おい! メサイア、ちょっと聞きたいんだが……」
「なによ……」
「お前、ステおかしいぞ。なんかスキルも『リグレッション』ていうのしかないし、調子が悪いのと関係あるのか?」
「なに言ってるのよ。そんなワケ…………え?」

 それを見ると、メサイアは驚いていた。

「あ……ああ、そっか。わたし、死神に戻りつつあるみたいね」
「え、死神になるとステータスこうなるのか?」
「うーん、多分? よく分かんない」
「分かんないってお前……。キスしておくか……」

 そう、なぜか俺とキスすると女神に戻るらしい。
 その理由は定かではないが――ともかく、手遅れになる前に。

「メサイア……いいよな」
「……んっ」

「――――――」

 確認する前に、唇が重なった。

 …………そんな、がっつかれるとは思わなかったが。まあいいか。


 ◆


 死神たちはまだ寝ている。
 どうやら相当疲れていたらしい。……どんだけ道に迷っていたんだよ。

 死神たちは寝かせておくことにし、俺は台所で料理しているフォルの可愛いお尻に触れてみた。

「えい」
「きゃあぁ!? ……あ、兄様! あの、これはいったい……」
「親愛の証」
「そ、それは嬉しいですけれど、突然触るのは如何なものかと」
「ほう。突然俺の部屋に入ってきて、突然俺の腹筋をめ回すのはいいのか~、へえ~、知らなかったな」
「うぐっ……」

 これは昨晩のお返しなのだ。
 フォルのヤツ、こっそり俺の部屋に忍び込んで襲って来やがったからな。まったく、とんでもないヘンタイ聖女である。けしからん。

「ついでに頭もでちゃおうっと」
「そ、それは……すっごく嬉しいです♡」

 目を細め、気持ちよさそうにしている。

「それで兄様、今日はご飯を食べ終わったら……夜は、狩りに出られるのですね?」
「そそ。この先【聖地・ランスロット】の前にある『森』には『Lv.9000』相当のモンスターばかりが生息しているらしい。まあ、たぶん、アルラトゥが聖地防衛のために、好き放題に配置したんだろうけどな。そいつらを狩りまくって最終レベリングする」

「なるほど。今回でみんなのレベルをカンストさせるんですね」
「そーゆーコト。だから、美味い飯を頼むぜ」
「はい! 腕によりをかけて作りますね」

 フォルは料理に戻った。
 ……やっぱり、イイ尻してんなぁ……。


 ◆


 気絶していたリースが復活した。その第一声が――

「裸のヘンタイを見ました……」
「リース。そりゃ、キミのお父上だ」


「………………お父さん?」


「そ。キミの親父さん。もう捨てちまったけどな」
「いやああああああああああああああああああ!!!」

 なにか悪夢を思い出したのか、リースは取り乱した。

「お、落ち着けリース! 悪夢は去った! 去ったんだ!」
「……うあぁぁぁん、サトルさあああん!」
「よしよし、怖かったんだな。俺の胸で好きなだけ泣くといい」

 こりゃもうトラウマものだぞ。
 あの親父さん、娘になんてことを……。

「サトルさぁぁぁん、もうあたしにはサトルさんしかいません。一緒に幸せな家庭を築いていきませんか……。あたし……あんなお父さんのところへ帰りたくないです」

「まあまて、リース。あんなお父さんかもしれないが、それでも父親だろう。滅多なことを言うもんじゃない。あー…ほら、裸なのは娘と会えないストレスとかあったのかもしれないし、親父さんの気持ちもんで(?)やるべきじゃないかなー…」

 俺は、もっともらしく言ってみたのだが……

「いやです」

 リースは全力で拒否した。
 顔がまるで笑ってない。

 ま、まあ…………時間が解決してくれるだろう。


 ◆


 【 ナイトメア・フォレスト 】


 腹を満たした後、俺たちは外へ出た。
 夜のフィールド・ダンジョンは危険度が増すのだが、そのリスクは承知の上。夜は、モンスターが強くなる代わりに、経験値も増すのでレベリング効率はむしろ上がる。

 今の俺たちなら、たぶん何とかなるだろう。

「よし……みんな、森に入るぞ! 覚悟はいいな!?」

「「「はーい」」」

「やだー!!」


「おい、ひとり駄々だだをこねてるじゃないか。手を挙げなさい!」
「だるい~疲れた~もう帰る~」

 あー、メサイアね。
 まだ、だるいのかよ。仕方ないヤツだ。

「メサイアは俺が背負ってでも連れていく! ベルは、すまんが壁役として先行してくれ。リースは俺のそばにいること。フォルもな」

「りょーかい。じゃ、みんな、わたしの盾から離れないようにね~」


 俺たちはついに……
 最後のレベリングへ向かった!
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