全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第88話 聖者の怒り - 光明のエンデュランス -

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 聖地全体が球の形で黒く染まっている。
 聖域『グロリアスサンクチュアリ』のおかげで『アルマゲドン』による壊滅的なダメージは外に漏れることはなく済んでいる。

から見ると……こりゃあ、ひでえな。タイダルウェーブのせいか、濁った水が溜まってやらあ……」
「そ、そうね。俯瞰ふかんで見ると、こんな恐ろしい事になっていたなんて……」


 俺とメサイアだけは、今、【聖地・パーシヴァル】の遥か上空に浮いていた。彼女の新スキル『ゼログラビティ』を利用して、完全に滞空・・・・・している状態だ。俺の【ダークニトロ】の爆風とは違い、落ちることは決してない。


 どうして、二人だけで『空』にいるのかといえば――


「聖域を抜けてテレポート・・・・・してきたけど、ここからどうするのよ!?」


 そう、メサイアの言う通り、空までは『テレポート』してきた。
 グロリアスサンクチュアリの影響で『物理・魔法攻撃は無効』になるが『テレポート』はただの『移動スキル』なので、無効にはならない。

 で、まあ――テレポートだが、あの例の『ゴッドエンチャント』の効果だ。アレの効果はこうだ。


----------------------------------------------------------------
 【ゴッドエンチャント】サーガ
 【付与部位】服
 【効果内容】
  服が[聖光]の特殊属性になる。
  以下のスキルが使用可能になる。
  ① [テレポート] Lv.3
  ② [ウィークポイント] Lv.10
  ③ [ゼログラビティ] Lv.10
----------------------------------------------------------------


 今現在、浮いていられるのも、このエンチャントが理由だ。


「さぁて、まずこの凄惨な状況をなんとかしないとな……」


 そろそろ『グロリアスサンクチュアリ』の効果が切れる。
 時間が終われば、外側の別の都や聖地への影響は甚大だろう。


 そうなる前に俺は……!


「トランセンデンスからの――『イミテーション』で……死神たちの【オーバードライブ】を使わせてもらうぜ!」


 よし……まだコピーが残っていた!


「サトル……あんたそのスキル……!」
「ああ、前に死神たちのをコピーしていたんだ。こいつが思いのほか強力で気に入っているんだ」


 俺の体に紫色のオーラが発し始めた。
 その結果……『全ステータス100%』上昇!!


「っしゃああああああああ!! ありえん程の力が沸いてきたぜ!!」


 準備は万端……!
 あとはあの『アルマゲドンの残骸』を処理してしまえば……!



 ――――だが、


「……なっ!!」


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……!


 などと、俺の左腕側に、莫大なエネルギーの塊『ブレス』がかすめていった……


「サ……サトル! あんた左腕が!!」
「辛うじて避けたが…………腕を持ってかれたか……」


 そうか……あのクソドラゴンまだ生きて……!


 から大きな、それは……巨大すぎるドラゴンが羽ばたいてきた。まるで肥えたような……なんてデカさだ……!


 そうか……

 分裂の次は『融合・・』ってところか……!

 もしかしたら『合体』だったかもしれないが、この際どっちでもいい。


 ――あぁ、あのドラゴンはまさしく世界最強だ。
 ……強かった。


 マジで、しつこいくらい、くどいくらい、しぶといほどに……あのドラゴンは最悪だった。俺は、最後に一言いってやりたい……。


「この、アホウドリ・・・・・がああああああああああああああああ!!!!!」


 俺は、持てる力の全てを右手に――


「サトル……スキルレベル最大の【オルクス】も掛けておくわ!!」

「アルマゲドンの残骸と共に消えやがれええええええ……!!」


 全ての想いを、怒りを、この『力』に――――!!



『エンデュランス!!!!!!』



 ――――――。


 【白】と【黒】の光。

 あの時感じた――光とまったく同じ。

 見えるけど、見えない光。

 それは、次第には消えゆく光。

 そこに酷く憤りを感じる。

 俺はどうして『怒る』のだろう。

 あの穏やかな夜は、確かにあったというのに。

 それ・・に身を任せてはいけないと『誰か』が囁く。

 この『声』は――。



「―――れ、―――れ」


「…………」



 ◆ ◆ ◆



 ドラゴンは今度こそ完全に滅した。
 もう現れることは二度とない。


 【聖地・パーシヴァル】は吹き飛び、更地となり、なにも無くなったが……平和は再び訪れた。

 元住民は言う。


「……聖地は、あの『アルバトロス』……いや、ドラゴンに荒地にされていたのです。だから、気に病む必要はありません。あなたは聖地を救ってくれた……それに」


 地下から様子を見に来た美しい『女性』がそう言ってくれた。


「このバカアーサー!!」
「ぎゃぅん!!」

 その『女性』に、アーサー少年はぶん殴られていた。
 どうやら知り合いらしい。


「ご、ごめんなさい……勝手に抜け出して」
「みんな心配している。きちんと謝ること。いいね」
「分かりました……マーリン」


 なるほど、あの女性は『マーリン』というらしい。
 ……ん? マーリンって、あの……まさかな。


「で、では……聖地の再建、頑張って下さい。俺たちは行きます」

「そうですか。あなた方は、次は【聖地・ランスロット】へ向かわれるようですね。あそこは死神に支配され…………それでも向かうのですか」


 ん? なんか肝心な部分が聞き取れなかったけど……。
 まあいいか。


「ああ。俺たちは向かう。それじゃ」


 アーサー少年とマーリンに別れを告げ……
 俺たちは【聖地・パーシヴァル】を後にした。


 ◆


 『家』へ戻り――リビング。


 そういえば、ドラゴンのブレスで吹き飛んだ俺の左腕だが――


「調子はどう?」

 メサイアは隣で、俺の腕を直接確認している。
 ペタペタ触られてちょっとこそばゆい。


「ふむふむ、動くな……まさか腕が元に戻るとはな。驚きだ」


 粉々の塵になったはずの左腕は復活した。
 まー…俺には元から【蘇生スキル】が備わっているし、その副産物かもしれないな。もちろん、真相は分からんけど。


「あ~に~さ~ま~♡」

 フォルが後ろから抱きついてきた。

「サトルさ~ん♡」

 リースも横から突撃してきた。

「じゃあ、わたしは理くんの膝の上で~」


 ベルも……! って、俺の膝の上にベルがー!!
 後ろ向きとはいえ、これは刺激が……ビキニアーマーだし!


「うあぁぁあ! ベル、お前……か、軽いな」
「あ、それ嬉しいな。嬉しいからサービスしてあげるね」

 ――と、ベルはくるっとこっちを向いた。

 顔ちかっ……。

 キスできそうな距離だ……。ぶっちゃけしたい。あのプルプルの桜色の唇に重ね合わせたい。
 ――が、みんなの前で出来るはずもなく。
 その願望、いや欲望は夢となって砕け散った。くそう(血涙)


 ま……
 なんにせよ、最高に幸せなのには変わりはない。

 そんな幸せなひと時を噛み締めていれば――


 コンコン……と、玄関の扉をノックする音が。


「ん。誰だ……?」
「あたしが出ますよ~。サトルさんはそのままで。一応、ケガ人なんですから」
「悪い。頼むよリース」


 しかし、それがまずかった……


「きゃぁあああああああああ!!」


 リースが悲鳴をあげた。
 なんだ……!?
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