全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第87話 聖域スキル - グロリアスサンクチュアリ -

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 世界を滅ぼす訳にはいかない。
 世界を守りつつも、レイドボスであり、分裂・・しまくった『アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン』約30体を倒さなきゃならない。


 その為にも、俺だけじゃない――みんなの力が必要だ。

 よし、作戦を決行する前に、もう一度確認しておこう。


「アーサー少年。元街の住人は、今は全員地下で避難生活をしているんだな?」
「は、はい。今日、地上に出ているのは僕だけです」

 ちなみに、アーサーはこっそり抜け出して地上に出ていたらしい。しかも、たった一人で。それ以上は聞いても口を噤むだけだった。
 なにか言いにくい事情があるようだな。


「分かった。よし、作戦を説明するぞ。
 今、ベルの盾でドラゴンのブレスは防げているから、俺たちは問題ない。
 街の住人も全員地下にいるし、【聖地・パーシヴァル】内の地上に人間が一切いないことを『千里眼』クレアボイヤンスでも把握済みだから確実だ。
 あとは、俺の指定するタイミングで、リース……『アルマゲドン』をぶっ放せ。それと同時に、フォルの『グロリアスサンクチュアリ』で聖地全体を覆ってもらう。これで、外側は滅びないってワケだ。俺たちは、ベルの『盾』で守られるから大丈夫なはず……だろ?」

「わたしは、リースちゃんの『アルマゲドン』を耐えればいいんだね。分かった。任せて。
 ――でも、さっき言った通り、理くんがわたしを支えてほしいな。世界滅亡級のスキルを耐えなきゃならないとなると、さすがにひとりは厳しいから」


「ああ、それくらい任せろ。てことだ、リースとフォルもいいな?」


 リースは緊張の面持ちでうなずくと、

「りょ、了解しました……その、がんばります……」

 そう身を震わせながら言った。
 ありゃ……緊張しすぎだ。ガチガチじゃないか。

「リース。大丈夫ですよ。わたくしの聖なる力で世界が滅びぬよう『聖域』の力で守護いたしますから」

 と、フォルはリースを包む。
 すると、リースは落ち着きを取り戻していた。さすが聖女様。

 その状況に感心していると、

「ちょっと、サトル」

 メサイアがひじで俺を小突いてきた。

「なんだ、メサイア」
「私の出番は!?」
「あー、そうだった。完全に忘れていたわ」
「ひ、酷くない!? 私にも何か出来ることないの!?」
「ない」
「え……」
「ない」
「二度も言わないでよ! 噛みつくわよ!!」

「ひゃええええええええ!! このバカ!! すでに俺の手に噛みついてるじゃないか!!」

 いや……甘噛み・・・だったけどさ。
 唇が柔いし……唾液とかちょっと際どいな、それ……。

「あのな。メサイア、人には出来る事と出来ない事があるんだぜ……」
「そ、そんな言い方しなくたって……」
「というのは冗談だが」
「な、なんだ……やっぱりあるのね?」

「ああ、ちょっと服を脱げ・・・・

 その瞬間、左頬に強烈なビンタが飛んでくるや、それをモロに食らってしまった。


「ぶゅげええええええええええええええええ!?」


「このバカサトルッ!! こんな状況下で脱げ!? 最低よ!」
「クソいってぇ~! なにしやがる! 人の話は最後まで聞けよ……服装備に『エンチャント』したいんだよ!」

「え…………私の服に?」

「そうだよ。お前の服ってあんまり良い効果じゃなかっただろ。この前、旅立つ前に『最強のエンチャント素材』を入手しておいた。それを付与するから」
「それでどうなるの?」
「それは……エンチャントしてからのお楽しみだ」
「……そ、そう。私の早とちりだったのね。痛かったわよね、ごめん」

 反省したメサイアが俺の頬を擦ってくれる。

「そんな落ち込むなよ。俺も……確かにいきなり脱げはなかったな。すまん」
「ううん、いいの。サトルの役に立てるのなら、私はなんでもする。だから……脱ぐ」


 …………。

 メサイアは、マジで服を脱いだ。

 露わになる白い肌。もうひとつの姿。……やっぱり黒か。

 ……ゴクリ。


「……ぎょ……凝視するのは禁止っ!」

 ぷすっとチョキで俺の目が潰された。


「ほぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


 なんで!? なぜ!? なぜ俺の目を潰したあああああああああ!!

 前は散々見せてきたクセに!!!

 こんな時に恥ずかしがるな!!

 などと、目を抑えながら地面をゴロゴロ転がっていると、

「もう、兄様ってば……はい、グロリアスヒールです!」
「お……視力が回復した。すまん、フォル」
「みなさん待っていますから、早く作戦実行を」
「おっと、すまん! そうだな、遊んでいる場合じゃない。メサイアの服にエンチャントして……と。オッケー! これでお前の服は最強だぞ!」

「あ……ありがと」

 俺が服を返すと、どこか嬉しそうにメサイアは服を抱きしめていた。



「……待たせたな、みんな……! 作戦開始ィィィ!!!!!」



 その開始の合図と共に、リースは世界滅亡スキル『アルマゲドン』を発動した。もちろん、詠唱はないから即時に超巨大隕石は降ってくる。


 ――今だ!!


「フォル!」
「お任せを! 『グロリアスサンクチュアリ』!!」


 今度は、フォルが『グロリアスサンクチュアリ』を発動。
 【聖地・パーシヴァル】全体を覆うことに成功した。


 この状況を全て『千里眼』クレアボイヤンスでリアルタイムに確認している。


 ――よし、『アルマゲドン』が流星となって落ちてくる。


 それがドラゴンの頭上どころか、聖地全体に問答無用で落ち――



 少し、光が射した瞬間だった。



「――――――!!!!!」



 【聖地・パーシヴァル】内のなにもかもが吹き飛んだ。



「うおおおおおぁぁッ!!」

 な、なんて……大爆発! なんて……衝撃波の嵐だ……!

 盾の中でも吹き飛ばされそうになるほどの衝撃。
 体が引き裂かれそうになるような嫌悪感。
 狂乱する爆雷。鼓膜を破壊しかねない轟音。
 地獄の底のような圧倒的な天変地異。
 降り注ぐ死の灰。

 これが……『終焉』……か。

「煙が充満して……なにも見えん!」
「くっ……!! こ、これが……世界終焉の…………『アルマゲドン』の力……! む、無理……理くん!」


 まずい、ベルを支えねば……!
 『千里眼』クレアボイヤンスを頼りに、ダッシュでベルのもとへ向かい、彼女の体を支えた。


「が、頑張れよ!! 俺がいるからよ!! ……って、オイ!」


 『盾』からピキピキとイヤな音がしているぞ……

 ウソだろ……!?

 ベルの『盾』がもたないっていうのか!?

 確かに、とんでもない衝撃が連続で続いているが……!


「うぅ……リースちゃん、ここまでとは聞いてなかったよ」

「ご、ごめんなさい! あたし、これでも抑えた方だったんですけど……」

「落ち込むな、リース。お前はよくやった! 『千里眼』クレアボイヤンスで確認したが、あのドラゴン共は塵となって消えたぞ! あとはこの『アルマゲドン』を耐え凌ぐだけ! みんな、離れるなよ!!」


 と、俺が激励した瞬間――



 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!



 激しい稲妻のような衝撃が『盾』を容赦なく、激しく叩いた。
 その度に『盾』はピキピキとヒビが……まずい!


「今のはアルマゲドンの第二の衝撃波らしい……まずい! しかも、おまけに『タイダルウェーブ』が発生している!! 大津波だ!!」


 聖地は、土埃や火煙が大量に充満して、視界ゼロ。
 もう何が起きているか分からない。

 そこに『大津波』だって!?


「…………まあ、これは想定内・・・だったけどな……!」


 あとは『アルマゲドン』から発生した副作用スキル『タイダルウェーブ』を何とかすりゃいいだけだ。それで全ては終わる。


 だからこそ俺は、神王【アルクトゥルス】に託された『ゴッドエンチャント』をメサイアの服に付与したんだ。


 さあ……聖地を救おうぜ!!
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