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第85話 聖女の秘奥義スキル - 覇王轟翔波 -

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 【 聖地・パーシヴァル 】


 聖地はかつて、レイドボス『アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン』に支配されていた。

 その痕跡は今でもそこ・・にあった。


「なんだこりゃ……」
「これは……レイドボスのアルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴンの巣だった場所のようね」


 メサイアは、冷静にそう説明してくれる。

 街だった・・・・場所には、ドラゴンの巣の跡。
 街全体がドラゴンの巣になってしまっていたのだ。だが、当のドラゴンはもうアグニとスイカの手によって討伐されてしまったから、ヤツの姿は当然あるワケない。

 あのドラゴンとは、俺も一戦交えたがバケモノだった。
 しかし、それは当時の話。

 今なら確実に、余裕でワンパンできただろうな。


「ドラゴンはもう倒したんですよね? どうして、街の人たちは戻って来ないんでしょうか?」

 ハテナと、リースは首をかしげた。
 俺もそれは思うところだが、

「うん。リースちゃん、それなんだけどね。今、元・街の住民に聞いてみたんだけど、ドラゴンは別名『アルバトロス』と呼ばれ、さげすまれていたんだけど――意味は、アホウドリらしいよ」

「アホウドリね。そりゃ、あんなバケモノドラゴンに街をメチャクチャにされちまったんだ……そう呼びたくもなるわな。気持ちは分かる。……ん? って、おい。ベル。元・街の住民だって!?」

「そ。ほら、このコ。すぐそこを歩いていたから。この少年だよ」

 よ~く見ると、そこには金髪の少年がいた。
 ベルに背後から捕まっている。……なんで、そんな状態?

 それに、少年の耳がちょっと……いや、かなり赤いけど……あ~、ベルのビキニアーマーのせいか。ありゃ、子供には刺激が強すぎるぞ。目の毒だな。

 つーか、そこ代われ!!

「少年、名前は?」
「……僕は『アーサー』です。突然やってきたドラゴンに街を滅ぼされてから、地下でずっと避難生活をしていたんです」

「アーサーくんか。ほーん……『アーサー』!?」
「は……はい」

 ま、まさかな……。
 でも幼すぎるし――関係ない、か。

「理くん。こんな可愛い少年を怖がらせちゃダメだよ」
「そうですよ、サトルさん」

 いつもの淡々としたテンションで、ベルは少年を背後からぎゅっとしていた。ついでに、リースからもナデナデされて……!


 ……おい。
 ちょっと、ほんのちょっとだけ殺意が沸いてきたぞ……。


「あら~! 兄様ぁ~! まさかあの少年に……!」
「なんだよ、ヘンタイ聖女。ニヤニヤして気色悪いぞ」
「ひ、ひどいです!! せっかく、わたくしが代わりにハグして差し上げようかと……。あれ………」

 そこで突然、フォルの顔色が変わっていく。
 なんだ、そんなバケモノでも見たような顔して。つーか、俺を? そっちこそ失礼じゃないか! ――と、フォルの顔を引き伸ばしてやろうかと思った、その時だった。


「あ…………兄様! みんな!! 避けてください! 空です!!」


「え……」


 空?


 ――って、いかん!!
 この禍々しい気配は……レイドボス!! やっぱりいるのか!!


 でも――この気配はまさか!!!


      レイドボス発見
 << Enemy spotted:Raid Boss >>



 その警告メッセージと同時に、眼前には蒼白いブレスが――!!


「サトルくん! 少年を頼むよ!」


 焦っていると、ベルが俺にアーサーを押し付けてくる。俺かよ!?
 が、ベルはマッハで飛び出し、跳躍していくとブレスの前で――


「ホーリーシールド!!」


 超巨大な盾を召喚し、その業火であるブレスを防いだ。


「――っぶねぇ、ナイスだ。ベル! つーか、いきなりブレス……」


 『千里眼』クレアボイヤンスで敵の情報を探ると……


「バ……バカな! だって、おかしいだろ……ヤツは!!」


 そうだ、アグニとスイカが討伐済みだ……なのに、どうして!

 空を猛スピードで飛翔し続ける巨大なドラゴン。

 それは――


 『アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン』だった。


「サトル! どうしてアレがいるのよ!」

 メサイアが俺の背後に隠れ、あたふたしている。

「さあ、分からん。あのクソドラゴンは、アグニとスイカのペアが倒した。それは事実。短い間だったが、パーティを共にした彼女たちが嘘をつくとは思えないからな」

「だとしたらアレは何なのよ!」
「俺が知るか! おい、アーサー少年。なんか知らんのか、あのドラゴンについて」

「……そ、その、僕にも分からないんです。
 確かな事は……二週間前、あのドラゴンは『二人の聖者』によって倒されたんです。でも、その三日後・・・には再び現れ、街を滅ぼし……また支配されてしまったんです。悔しいですが、情報はそれだけしか……」


「やっぱり、アグニとスイカが一度は倒していたんだ! けど、三日後にまた現れた……? 復活でもしたのか。いや、倒されたのだから復活はあり得ない……だとしたら……」



『秘奥義!! 天地開闢・覇王轟翔波――――――!!』



 って、いつの間にか、フォルが奥義を放ってるじゃないか!!
 いやまて――『秘奥義』だってー!?


 超特大の波動砲がドラゴン目掛けて向かっていった。

 な、なんて大きさ……! 衝撃……!

 今までの奥義を遥かに凌駕する、圧倒的なまでの超火力だった。


『恋しさのプロミネンス!! 切なさのエターナルフロスト! 心強さのダークサイクロン! 怒りのダイアストロフィズム!!』


 リースも!
 お馴染みの大魔法で、暴風の如く空を荒らした。


「みんな、血の気が多いな! よし、俺も『聖槍・アンティオキア』と新しい槍スキル『聖槍・アルメニア』を――ほいさ!!」


 両手に槍を持ち、それを同時に投げた。


 すると、槍はソニックブームを起こし、一瞬でドラゴンの翼を穿うがった。

 飛行能力の破壊に成功。

 それから『秘奥義』、『大魔法』の全てが命中。


『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォ!!!!』


 それをモロに食らい、ただ弱々しく墜落していくドラゴン。

 その途中で、ドラゴンは塵となり――消えていった。

 勝った!

 やはり、今の俺たちのレベルならヤツは敵ではなかったな。


「や、やったのね。みんな!!」


 棒立ちだったメサイアが跳ねて喜ぶなり抱きついてくる。
 ……よ、よし……さっきのアーサー少年の件は不問にしておくか。


「ま、まあ……さすがに楽勝だわな。つーか、メサイア。ビクビクしてないでお前も少しは動――」



      レイドボス発見
 << Enemy spotted:Raid Boss >>



 空からまた・・『アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン』が出現した・・・・



 「…………は?」



 はぁあああああああああああ!?
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