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第78話 勝利の美酒 - ビールがキンキンに冷えてやがる! -
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裏カジノから逃走した俺たち。
『100億プル』もの大金を手に入れ、無事に家への生還を果たした。
まさか、フォルが『テレポート』できたとはね。
つい最近――『Lv.7777』になり、装備しているシスター服【グロリア】の効果【神智覚醒】が解放され、強力なスキルを複数覚えたらしい。それだけでなく、ステータスも数倍跳ね上がったとか何とか。いつの間に。
そんなワケで……裏カジノの地下にあった金庫室で、黒服総勢100名近くに襲われかけたが……その前に『テレポート』で脱出できた。
「でかしたぞ、フォル!」
「いえいえ! これも『フォーチュン』の導きですから」
えっへんとその大きな胸を張った。
「よ~~~し、みんな今日は祝杯だ!! 飲むぞ~~!!」
「「「「おぉぉぉ~~~~~~~!!!!!!」」」」
予め買っておいた名酒『ハニーワイン』で乾杯だ。
ただし、俺だけはビールである。
「みんな……! 乾杯!」
「「「「かんぱ~~~~~~~い!!!!!!」」」」
ゴクゴク……と、俺はビールを貪るようにして……流し込んだ!
「かぁぁぁぁぁあああッ!! キンキンに冷えてやがるぅ~~~~~!! ありがてえぇええ!!」
うまい、うますぎる……!!
涙がでそうだ!!
「このお酒、本当に美味しいわね~。もう体が火照ってきたわ」
「メサイアお前、酒に弱いのか?」
「う~ん。あんまり嗜まない方だから、でも嫌いじゃないわよ~。ていうか、サトル、お城にするの本気? それよりも土地を買いましょうよ、いっそ、街を作っちゃうのよ。で、王様にでも神様にでもなればいいじゃない! あと、ちゅ~して」
「あたしも、ちゅ~してくださーい♡」
うわ、なんか絡んできた!
メサイアとリースのヤツ、既に酔ってんなぁ……。
「お前らな!?」
仕方ねぇ、ちゅーしてやろうと思ったが、メサイアとリースはでろ~んとソファに沈んだ。
酔うのもそうだが、二人とも寝るのはえーな!!
「やれやれ、ちと早いが月見酒と洒落込むか」
台所に忍ばせてある晩酌セットを持ち出し、俺は外へ――。
「兄様、わたくしも!」
フォルは酔っていないんだな。
ふむ、相手はいた方が楽しいな。
「じゃ、付き合ってくれ。ベルは……うわっ、なんか知らんがいつの間にか全裸で、しかも仰向けで寝ているじゃないか……! ベルに何があった!? あぁもう……フォル、すまないが丸裸のベルを何とかしてくれ……! 俺は先に外に出てる」
「わぁっ! なんてこと! あ……兄様、決して見てはいけませんよ! 見たら、目を潰しますからね!?」
いや、既にチラッと見ちゃったけど……。
それは言わないでおこう……。
◆
今宵は――こんなにも、月が綺麗――だなぁ――。
まん丸のお月様が輝いている。
ただし、色は『緑』と『紫』と『桃』色である。
つまり、この異世界には三つの月が存在するのだ。
「まぶしいな……」
「ええ、今更ですけれど、まぶしいですね。あ、そうでした! はい、兄様。ご一献」
――と、お酌をしてくれるフォル。
分かってるな。
「っとと……」
徳利から盃に、溢れんばかりの酒が注がれる。
良い感じにひたひただ。
家の前にあるベランダで綺麗なお月さんを見ながら、聖女と二人きり。
うむ……酒が最高に美味いな。
「フォル、お前も飲め」
「……え。わたくしは……それに、盃はひとつしかないですよ」
「これでいいだろう」
「こ……これは、兄様の…………そ、その、間接キスになってしまいますけれど……」
「ム。……そうだな、やっぱり止めて――」
「飲みます!」
盃を渡し、今度は俺が。
なんだかんだ酌み交わす形になってしまったが、たまにはこんな時があってもいいだろう。
「…………」
「どうした?」
「……い、戴きます」
ひょっとして、意識してんのか。可愛いヤツめ。
「…………美味しい。すっごく美味しいです! お酒ってこんなに美味しいんですね、兄様」
「まあな。俺は、フォルがいるから普段の数十倍は美味しく感じられるよ」
「……そ、そうなんですね。嬉しい……。そ、その……兄様……いえ、サトル様」
「――ん。どうし……」
返事をする前に、フォルから唇を奪われた。
えっと……?
あれ――どうなってん、だ。
頭がちょっとだけ……ぼうっとする。
俺らしくもないけれど、少し、酔ったかな。
「…………サトル様、心より愛しています」
酔いすぎたか――そんな幻聴が聞こえたような。
……それから、周囲から複数の気配がして……まずい。酔ったらしい……意識が。
ぼやける視界の中に、黒服の男たちの姿が……!
しまった……追ってきやがったか!!
「フォル…………まずい。ヤツ等だ……! ぐっ、俺、こんな泥酔ありえないんだが……だめだ」
どうしたことか……
そこでぱたりと、俺は意識を失ってしまった。
◆
――次の日。
俺は、何故か知らんが『大監獄』の中に閉じ込められていた。
「なんじゃここぉぉぉおおおおオオオオオオ!!!!?」
『100億プル』もの大金を手に入れ、無事に家への生還を果たした。
まさか、フォルが『テレポート』できたとはね。
つい最近――『Lv.7777』になり、装備しているシスター服【グロリア】の効果【神智覚醒】が解放され、強力なスキルを複数覚えたらしい。それだけでなく、ステータスも数倍跳ね上がったとか何とか。いつの間に。
そんなワケで……裏カジノの地下にあった金庫室で、黒服総勢100名近くに襲われかけたが……その前に『テレポート』で脱出できた。
「でかしたぞ、フォル!」
「いえいえ! これも『フォーチュン』の導きですから」
えっへんとその大きな胸を張った。
「よ~~~し、みんな今日は祝杯だ!! 飲むぞ~~!!」
「「「「おぉぉぉ~~~~~~~!!!!!!」」」」
予め買っておいた名酒『ハニーワイン』で乾杯だ。
ただし、俺だけはビールである。
「みんな……! 乾杯!」
「「「「かんぱ~~~~~~~い!!!!!!」」」」
ゴクゴク……と、俺はビールを貪るようにして……流し込んだ!
「かぁぁぁぁぁあああッ!! キンキンに冷えてやがるぅ~~~~~!! ありがてえぇええ!!」
うまい、うますぎる……!!
涙がでそうだ!!
「このお酒、本当に美味しいわね~。もう体が火照ってきたわ」
「メサイアお前、酒に弱いのか?」
「う~ん。あんまり嗜まない方だから、でも嫌いじゃないわよ~。ていうか、サトル、お城にするの本気? それよりも土地を買いましょうよ、いっそ、街を作っちゃうのよ。で、王様にでも神様にでもなればいいじゃない! あと、ちゅ~して」
「あたしも、ちゅ~してくださーい♡」
うわ、なんか絡んできた!
メサイアとリースのヤツ、既に酔ってんなぁ……。
「お前らな!?」
仕方ねぇ、ちゅーしてやろうと思ったが、メサイアとリースはでろ~んとソファに沈んだ。
酔うのもそうだが、二人とも寝るのはえーな!!
「やれやれ、ちと早いが月見酒と洒落込むか」
台所に忍ばせてある晩酌セットを持ち出し、俺は外へ――。
「兄様、わたくしも!」
フォルは酔っていないんだな。
ふむ、相手はいた方が楽しいな。
「じゃ、付き合ってくれ。ベルは……うわっ、なんか知らんがいつの間にか全裸で、しかも仰向けで寝ているじゃないか……! ベルに何があった!? あぁもう……フォル、すまないが丸裸のベルを何とかしてくれ……! 俺は先に外に出てる」
「わぁっ! なんてこと! あ……兄様、決して見てはいけませんよ! 見たら、目を潰しますからね!?」
いや、既にチラッと見ちゃったけど……。
それは言わないでおこう……。
◆
今宵は――こんなにも、月が綺麗――だなぁ――。
まん丸のお月様が輝いている。
ただし、色は『緑』と『紫』と『桃』色である。
つまり、この異世界には三つの月が存在するのだ。
「まぶしいな……」
「ええ、今更ですけれど、まぶしいですね。あ、そうでした! はい、兄様。ご一献」
――と、お酌をしてくれるフォル。
分かってるな。
「っとと……」
徳利から盃に、溢れんばかりの酒が注がれる。
良い感じにひたひただ。
家の前にあるベランダで綺麗なお月さんを見ながら、聖女と二人きり。
うむ……酒が最高に美味いな。
「フォル、お前も飲め」
「……え。わたくしは……それに、盃はひとつしかないですよ」
「これでいいだろう」
「こ……これは、兄様の…………そ、その、間接キスになってしまいますけれど……」
「ム。……そうだな、やっぱり止めて――」
「飲みます!」
盃を渡し、今度は俺が。
なんだかんだ酌み交わす形になってしまったが、たまにはこんな時があってもいいだろう。
「…………」
「どうした?」
「……い、戴きます」
ひょっとして、意識してんのか。可愛いヤツめ。
「…………美味しい。すっごく美味しいです! お酒ってこんなに美味しいんですね、兄様」
「まあな。俺は、フォルがいるから普段の数十倍は美味しく感じられるよ」
「……そ、そうなんですね。嬉しい……。そ、その……兄様……いえ、サトル様」
「――ん。どうし……」
返事をする前に、フォルから唇を奪われた。
えっと……?
あれ――どうなってん、だ。
頭がちょっとだけ……ぼうっとする。
俺らしくもないけれど、少し、酔ったかな。
「…………サトル様、心より愛しています」
酔いすぎたか――そんな幻聴が聞こえたような。
……それから、周囲から複数の気配がして……まずい。酔ったらしい……意識が。
ぼやける視界の中に、黒服の男たちの姿が……!
しまった……追ってきやがったか!!
「フォル…………まずい。ヤツ等だ……! ぐっ、俺、こんな泥酔ありえないんだが……だめだ」
どうしたことか……
そこでぱたりと、俺は意識を失ってしまった。
◆
――次の日。
俺は、何故か知らんが『大監獄』の中に閉じ込められていた。
「なんじゃここぉぉぉおおおおオオオオオオ!!!!?」
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