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第75話 超ラッキー聖女 - カジノで一発逆転の大勝負 -
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運にはいつも波がある。
今の俺はツイているかどうかといえば、ツイていない方だった。
「負けた……」
ギャンブルとは、つまるところ運否天賦。
運がなければ、負ける。
マズイ……所持金あと10万プル。
時間もあと五分もない。
この状況でどうやって、女神の借金1500万プルを返済したものか……。やっぱり、メサイアには体を売ってもらうしか……。
「それしかないか……」
などと、諦めかけていたその時。
「兄様、どうしたのですか。箪笥の角に足の小指をぶつけた時のような絶望的な顔をして」
「俺はそんな痛々しい顔をしていたのか……。つか、なんだフォルじゃないか」
「元気ありませんね? それより、見てください。このお金!」
「あん?」
顔を上げ、フォルの手元をよく見ると……
「うなっ!? なんだその金銀財宝、お宝の山!」
フォルの手元が黄金に輝いていた。
金だけじゃない、ゴールドやシルバー、プラチナ、ダイヤモンドで埋め尽くされていた。
「どこから拾ってきやがった……。あ、いやまてよ……」
そうか。
すっかり忘れていた!!
この聖女――
Lukカンストの『超ラッキー聖女』だったんだっけ!!!
「お、おい! フォル、頼みがあるんだが」
「お金なら貸しませんよ。これは、恵まれない子供たちのために使うんです! 聖女として当然の……って、兄様!? 顔が……顔が近いです……」
「フォル。メサイアが大変なんだ! このままだと、体を売ることになるかもしれない……」
「え?」
「つまり……かくかくしかじか」
「なるほど!! バカですね!!」
「ああ、バカだよ、本当に!!」
◆
フォルを説得して、メサイアの借金を返済した。
それでも尚余っていたので、そのお金は恵まれない子供たちの為の寄付となった。
「よかったな、メサイア。体を売らなくて」
「本当よ! ありがとおお、ありがとね、フォルぅぅ!」
メサイアは、滝のように泣くと、フォルにしがみついて詫びていた。
「い、いえ。姉様の為ですから。そういえば、リースを見かけませんが」
「そういえば、そうだな。ベルはバニーガール姿でディーラーやっとるし。どこへ行ったやら……」
などと心配していると――
噂をすればやってくる、リース。
「うああぁぁぁん、サトルさ~~~~~ん!!」
「……え?」
ドタバタとリースが走ってやってくる。
――が、その背後には複数の黒服の男たちが……!!
「まてやああああ! このエルフ!!! 金返しやがれえええ!!」
「って、リース! お前もかあああああああ!!!!!」
「サトルさん! サトルさぁぁぁあん!!」
リースが俺にしがみついてきた。
あれー…この光景どこかで見たような……。
「おい、ぽんこつ。聞かなくても分かるが、一応、言ってみろ!」
「いろいろ遊んでいたんですが、負けてしまいましたぁ……。でも、このままじゃマズイと思って、闇金からお金も借りたんです。それでも負けてしまって……うあぁぁあん」
泣き崩れるリース。
あのね……泣きたいのはこっちなんだよ?
「このぽんこつエルフがぁぁぁぁああああ!!」
俺は、リースのすべすべの頬を手加減しながらも、引っ張った。
「ひゃぁぁぁ~~~~~ん!! ふぃたい、ふぃたいでしゅ~~~!!」
たぶん、痛いと言っている。
「おい、フォル。お前のスーパーラッキーで、なんとかしてくれ」
「仕方ないですね~。リースの為ならば一肌脱ぎましょう」
俺は、黒服をもう一度説得して、待ってもらうことにした。
先ほどの完済の前例もあってか、快諾してもらえたのは幸運といえよう。
………………
………………
――そんなワケで、十分後!
「助かったよ、フォル」
「いえいえ! まさかスロットでオスイチ……『ジャックポット』を引き当ててしまうとは……我ながらビックリしました」
ちなみに『オスイチ』とは、お座り一発とか一回転目で当たりを引くの意味である。そんなギャンブル用語だ。
で、フォルは見事に一発でジャックポットを引き当てた。
その額なんと――『1億プル』である。
一気に大金持ちになってしまった……!
「フォルちゃん、ありがとう……本当に感謝しています。それと、皆さん。ご心配をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした……」
深い反省、自責の念もあるのか、リースはペコペコと謝っていた。
「まさか、リースがこれほどギャンブルにのめり込むタイプだとは思いませんでした。意外ですね」
と、フォルは目を丸くしていた。
まあ、少しはフォローしておくか。
「気にするな……っていうのもヘンだけど、まあ、気にするなよ、リース。さっき、メサイアもやらかしたし」
「そ、そうなんですか? ……ギャンブルとは恐ろしいものですね。今回で痛いほど分かりました」
ギャンブルは平常心でなければ、見えない魔物に、あっと言う間に飲み込まれてしまう。……見失うなよ、自分を。
「リース、気をつけなさい。一番やっちゃいけないのが闇金からお金を借りること。それをやってしまったら最後。ある船に乗せられ、ジャンケンで生き残らなきゃいけなかったり、鉄骨渡りで命を懸けなければいけない場合もあるらしいわ」
「お前が言うな、メサイア! っていうか、後半は何の話だよ!?」
まー、ともかく。
リースの借金、驚きの『3000万プル』も何とか返済し……
残り『7000万プル』……!
もっと増やすか……?
ざわ……。
ざわざわ……。
今の俺はツイているかどうかといえば、ツイていない方だった。
「負けた……」
ギャンブルとは、つまるところ運否天賦。
運がなければ、負ける。
マズイ……所持金あと10万プル。
時間もあと五分もない。
この状況でどうやって、女神の借金1500万プルを返済したものか……。やっぱり、メサイアには体を売ってもらうしか……。
「それしかないか……」
などと、諦めかけていたその時。
「兄様、どうしたのですか。箪笥の角に足の小指をぶつけた時のような絶望的な顔をして」
「俺はそんな痛々しい顔をしていたのか……。つか、なんだフォルじゃないか」
「元気ありませんね? それより、見てください。このお金!」
「あん?」
顔を上げ、フォルの手元をよく見ると……
「うなっ!? なんだその金銀財宝、お宝の山!」
フォルの手元が黄金に輝いていた。
金だけじゃない、ゴールドやシルバー、プラチナ、ダイヤモンドで埋め尽くされていた。
「どこから拾ってきやがった……。あ、いやまてよ……」
そうか。
すっかり忘れていた!!
この聖女――
Lukカンストの『超ラッキー聖女』だったんだっけ!!!
「お、おい! フォル、頼みがあるんだが」
「お金なら貸しませんよ。これは、恵まれない子供たちのために使うんです! 聖女として当然の……って、兄様!? 顔が……顔が近いです……」
「フォル。メサイアが大変なんだ! このままだと、体を売ることになるかもしれない……」
「え?」
「つまり……かくかくしかじか」
「なるほど!! バカですね!!」
「ああ、バカだよ、本当に!!」
◆
フォルを説得して、メサイアの借金を返済した。
それでも尚余っていたので、そのお金は恵まれない子供たちの為の寄付となった。
「よかったな、メサイア。体を売らなくて」
「本当よ! ありがとおお、ありがとね、フォルぅぅ!」
メサイアは、滝のように泣くと、フォルにしがみついて詫びていた。
「い、いえ。姉様の為ですから。そういえば、リースを見かけませんが」
「そういえば、そうだな。ベルはバニーガール姿でディーラーやっとるし。どこへ行ったやら……」
などと心配していると――
噂をすればやってくる、リース。
「うああぁぁぁん、サトルさ~~~~~ん!!」
「……え?」
ドタバタとリースが走ってやってくる。
――が、その背後には複数の黒服の男たちが……!!
「まてやああああ! このエルフ!!! 金返しやがれえええ!!」
「って、リース! お前もかあああああああ!!!!!」
「サトルさん! サトルさぁぁぁあん!!」
リースが俺にしがみついてきた。
あれー…この光景どこかで見たような……。
「おい、ぽんこつ。聞かなくても分かるが、一応、言ってみろ!」
「いろいろ遊んでいたんですが、負けてしまいましたぁ……。でも、このままじゃマズイと思って、闇金からお金も借りたんです。それでも負けてしまって……うあぁぁあん」
泣き崩れるリース。
あのね……泣きたいのはこっちなんだよ?
「このぽんこつエルフがぁぁぁぁああああ!!」
俺は、リースのすべすべの頬を手加減しながらも、引っ張った。
「ひゃぁぁぁ~~~~~ん!! ふぃたい、ふぃたいでしゅ~~~!!」
たぶん、痛いと言っている。
「おい、フォル。お前のスーパーラッキーで、なんとかしてくれ」
「仕方ないですね~。リースの為ならば一肌脱ぎましょう」
俺は、黒服をもう一度説得して、待ってもらうことにした。
先ほどの完済の前例もあってか、快諾してもらえたのは幸運といえよう。
………………
………………
――そんなワケで、十分後!
「助かったよ、フォル」
「いえいえ! まさかスロットでオスイチ……『ジャックポット』を引き当ててしまうとは……我ながらビックリしました」
ちなみに『オスイチ』とは、お座り一発とか一回転目で当たりを引くの意味である。そんなギャンブル用語だ。
で、フォルは見事に一発でジャックポットを引き当てた。
その額なんと――『1億プル』である。
一気に大金持ちになってしまった……!
「フォルちゃん、ありがとう……本当に感謝しています。それと、皆さん。ご心配をお掛けしてしまい、申し訳ありませんでした……」
深い反省、自責の念もあるのか、リースはペコペコと謝っていた。
「まさか、リースがこれほどギャンブルにのめり込むタイプだとは思いませんでした。意外ですね」
と、フォルは目を丸くしていた。
まあ、少しはフォローしておくか。
「気にするな……っていうのもヘンだけど、まあ、気にするなよ、リース。さっき、メサイアもやらかしたし」
「そ、そうなんですか? ……ギャンブルとは恐ろしいものですね。今回で痛いほど分かりました」
ギャンブルは平常心でなければ、見えない魔物に、あっと言う間に飲み込まれてしまう。……見失うなよ、自分を。
「リース、気をつけなさい。一番やっちゃいけないのが闇金からお金を借りること。それをやってしまったら最後。ある船に乗せられ、ジャンケンで生き残らなきゃいけなかったり、鉄骨渡りで命を懸けなければいけない場合もあるらしいわ」
「お前が言うな、メサイア! っていうか、後半は何の話だよ!?」
まー、ともかく。
リースの借金、驚きの『3000万プル』も何とか返済し……
残り『7000万プル』……!
もっと増やすか……?
ざわ……。
ざわざわ……。
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