全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第64話 夢のマイホーム - だが世界は暗黒時代へ -

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 家へ帰る道中、またも敵と遭遇した。
 エンカウント率高いなぁ、オイ。

「今度はナンダ……」

『ククク……。待ちわびたぞ聖者共め!!』
「あ、お前は……!! さっき上空にいた四天王だとかの……!! 名前忘れたけど……!!」

 ヤロウ。俺のスキルが直撃していたのに、生きてやがったのか!!

 だがしかし、どこかおかしい。

「おまえ……体が半分・・しかないじゃないか! キモチワリー!」
『聖者、貴様のせいだろうが!! 貴様があんな【聖櫃アーク】を放ったからだ……! おかげでオレの体はこの通り、左半分が消えて無くなった!!』

「どうしてその状態で生きていられるんだよ!?」

『我は『ナイトゴーント』。そう簡単には――くたぶらぁああああああああああああ!?!?!?』

「何事!?」


 ナイトゴーントが超回転して、吹っ飛んだ。
 今度こそ粉微塵に。

 あ~あ、リースか。
 リースが無言のまま『ダークサイクロン』をヤツの足元から発動していた。


「よし、家はもうすぐだ! 向かうぞ、みんな」


 ◆


 長い時間を経て、ようやく『家』は完成した。


 完成していた!!!


「おお~~~~っ!!」

 あまりに立派な家に俺は驚いた。
 西洋風の落ち着きのある大きな家がそこにはあった。


 言わずもがな、二階建てだ!


「我ながら驚いたわ。ここまで立派な家が完成するとはね……」

 【建築スキル】を使用した本人ですら、ビビっていた。まあ、これもメサイアのおかげなんだけどね。

「大きな家~♪ とても、おしゃれな家ですね! あたしの故郷【アヴァロン】にある家に似ています。なんだか懐かしい」
「あ……兄様、二階があるですよ。二階が! かつての山小屋の原形まるでありませんね。びっくりしました」

 リースもフォルも完成した『家』に深く感心していた。

「ベル、お前はなにか感想はないのか?」
「いや~。これでも、とても驚いているつもりなんだけどね。あまりの変化に戸惑いを隠せないよ」
「どこかだよ。表情にまるで変化がないし、冷静沈着じゃないか」
「いやいや。あまりに現代風の建物だったものだから、若干のパラダイムシフトを感じているよ」

 ……ふむ。
 ベルの尻尾を見ると、あ~、なるほど。
 意外やソワソワしていたな。

「よし、みんな『家』に入るか!」


「「「「おおおおお~~~~~!!!」」」」


『ま…………まて~……い……』

「へ?」

 どこからか声がした。
 これって、あの魔王の四天王だとかの『ナイトゴーント』の声じゃ……まだ生きてんのかよ!?

 どこだ……?

 ヤツの姿が見えない。

「……」

 気配はほとんど感じられない。
 まさか、俺と同じ『インビジブル』が使えるのか!?

『こ……こコだ……』
「ここ?」

 地面から声が聞こえた気がしたので、視線を落とした。
 すると――『ナイトゴーント』の腕だけ・・・が落ちていた。


「腕がシャベッタアアアアアアアアアア!!!!!」


 腕が喋るとか怖すぎるだろ!
 どこのホラー映画だよ。

「テメーはさっさとくたばれや!!!!!!」

 俺は『ナイトゴーント』の腕を蹴り上げ、今度こそ滅した。
 今度こそ成仏した。

「サトル。なに遊んでるの? もう皆、家に入っちゃったわよ」
「遊んでるつもりはないぞ、メサイア。モンスター討伐していたんだ。てか、みんなもう家に入ったか。よし、一緒に入るか」

「当たり前じゃない。だって、一緒に建てた家だから。サトルと一緒に『家』に入りたいの」
「よーし。ならお手を拝借、女神様」
「うん」


 手を繋ぎ、俺たちは新しい家へ。


 ◆


 唐突だが、世界はついに『闇』に包まれた。

 どうやら……『冥界の死女神・アルラトゥ』が大きく動き出したようで、かつて魔王が支配していた『聖地・アーサー』とドラゴンが支配していた『聖地・パーシヴァル』へ侵攻したようだ。


 その結果、呆気なく陥落。
 ヤツは、他の聖地をたった数日で手中にしてしまったのだ。

 よって……
 この世界は、完全なる『闇の世界』ダークネスワールドへ変貌した。


 ――なんて、物騒すぎる話をベルがしてくれた。


「まじか」
「まじだよ」
「ふむ。それより、ベル。それにメサイア、リース、フォル! みんなこんなだだっ広いリビングだっていうのに、なんでソファに集中してんだよ!?」

 『山小屋』の時とほぼ変わらず、密着状態だった。

 メサイアは「なかなか習慣が抜けなくて……」と、はにかむ。

「み、右に同じです」リースも。
「こうしないと落ち着かないのですよ~」フォルも。

「なんだか、わたしもクセになっちゃって……」

 ベルすらも。


 ふ~~~~~む。


 ま、いいか。


「でも、腹は減ったな。フォル、なにか作ってくれ。リース、風呂を頼む」

「はーい」
「お任せですよ~」


 フォルは料理へ。
 リースは風呂の準備へ出た。


「ベル、肩を揉んでくれ」
「いいよ」
「いいのかよ。じゃ、頼む」
「うん。それくらいお安い御用さ。それに、昔はよくお互いをマッサージし合ったじゃないか。胸も含めて」


「ブッーーーーーーーーー!!!」


 む、胸ぇ!?
 揉んだのか、昔の俺! 覚えてねーけどな!!


「ま、まあいい。……メサイアは膝枕してやる」
「え……普通、逆じゃないの!?」
「いやほら、俺、今はベルに肩揉んでもらっているし。だから、膝枕してやるのさ。それにメサイアは家を建てた時の疲労が溜まっているだろう。たまにはねぎらってやらないとな。ほら、頭」
「……そ、そう。嬉しい事言ってくれるわね。じゃ、遠慮なく」

 俺の膝に、メサイアの頭が。
 ちっさ。こいつの頭、ちっさいな。

「…………」


 ベルからは肩をマッサージされ……
 俺の膝にはメサイアが寝ている。

 なんだろ、この不思議空間。

「どうだ、メサイア」
「わ、悪くないわね。膝枕ってイイモノね。……意外な発見」

 今更、顔を赤くするメサイア。
 ホント、今更だな。

 よし、ちょっと頭でも撫でて――


 撫でてやろうと思ったのだが、


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 ……ハイ?


 『』からそんな物騒なメッセージが出現しまくっていた。


 いきなり何だ!?
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