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第46話 光と闇 - ダークエクスプロージョン -
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第80層ボスモンスター『アグリオス』は弱っている。
あれだけ立て続けに魔法・物理攻撃を食らえば、もう残りのHPも僅かのはずだ。――であれば、あとは俺の渾身の【オートスキル】をお見舞いしてやれば……きっと活路は開けるはず。
拳に『この世全ての憎悪』をフルチャージ。
その間にも、ヤツの巨大な斧も迫って来た!
ヤツめ、フォルがいるっていうのに、おかまいなしか! もしくは、あの大斧で俺とフォルを引き剥がそうとする作戦か……?
絶対離すものか!!!
「フォル、俺にガッチリ、ギッチリ、モッチリしがみついてくれ!!」
「了解です! こうですか!」
フォルは、両手足でバッチリ俺の体に完全密着してくれた。
ぎゅぅっと力も今まで以上に入っている。
力んでくれるおかげで色々天国だ。
……生きてて良かった……。
――って、そりゃいい!!
ヤツの攻撃のおかげで『ホーリーブレード』が自動発動した。
コレだ!!
この『ホーリーブレード』の上に飛び乗り、それを【移動スキルLv.MAX】でコントロールした。このスキルのおかげで自由自在。自分の思った通りに動く。
「よし、これで高速移動して――」
背後から斧が猛接近してくる。
寸前で『血の煉獄』が発動、押し返し、炎がヤツの体へ到達。ごうごう燃やし始めた。なんという幸運か! そこで発動するとはな!
そうか!
これはフォルの『フォーチュン』の相乗効果もあるに違いない。血がない場合の発動率は中々に悪いし。
コイツと一緒にいると、なにかと【幸運】が格段に跳ね上がるからな。今はそんな『超絶ラッキー』状態に突入しているようだ!! いいぞ!
「フォル……お前がいてくれて良かった。ありがとう、幸運聖女さま」
「……はいっ。今物凄くキスしたいですけど、我慢しておきます♡」
「おう。――って、ヤロウ! アレでもまだ倒れないのか!!」
だが、もうヤツは片膝をついて、息も乱れていた。
もう精魂尽き果てる一歩手前。風前の灯火。
勝てる。
いや、勝つんだ俺は、あの巨人に!!
「いくぞ!!!」
『ダークニトロフィスト』
『聖槍・パニッシャートライデント』
俺は予め集めておいた『この世全ての憎悪』を【ダークニトロ】として両手に付与し、その状態で『聖槍』を持った。これが意外にも、不思議と反発はなかった。
――いける。
これがヤツを滅殺する【光】と【闇】だ。
「終わりだあああああああああッッ!!!!」
光の槍をヤツ目掛け投擲した。
『聖槍・パニッシャートライデント』が高速で『アグリオス』に接近。しかし、突き刺さる寸前でヤツは槍を両手で掴み、受け止めやがった。
拮抗する、俺の槍とヤツの剛腕。
……マジか。
さすが、第80層のボスモンスター。
俺の最大出力を受け止めるか! だが、あのまま押し切れば!!
まずい……! 握りつぶされる!
「……なんてな。
その槍には『この世全ての憎悪』集まっているんだぜ。そいつを『ニトロ』で爆発させる……!」
あとは発動するだけ……。
あの一言を口にするだけ。
「爆破!!!!!」
それを発した瞬間、槍は大きく膨張するや爆散し――
大爆発を引き起こした。
まるで【闇】が爆発しちまったような。
――いや、確かにアレは【ダークエクスプロージョン】となっていた。
「どわぁぁぁぁぁぁあああッ!?」
自分で爆破しておいてなんだが、とんでもない威力だった。もう目の前で何が起きているのかさえ、分からん。
衝撃で『ホーリーブレート』から滑り落ち、俺とフォルはボスから遠く離れた距離で蹲る。真っ暗で、なにも見えない。なにもかも闇に染まりまくった。
「フォル、しっかり掴まっていろよ! く……!」
「あ、兄様……すごい爆風です。みんな飛ばされてしまっていますよ……!」
まずいな。
ちっと、やりすぎちまったらしい……!
「理くん! 助けにきたよ、わたしの盾の中に!」
「おお、ベル! ナイスシールド! てか、よく見えるな!」
「ああ! わたしの眼は特別だからね。それに、みんなも回収しておいた」
いつの間にか全員、ベルの盾の中に集合していた。
しっかし、ベルの盾は本当に巨大で頑丈だな……。
確か、大きさは俺の身長三人分は優にあった。おかげで助かったけどな。
――まだ続く、闇爆発。
――弾け飛ぶ連鎖爆発。
『千里眼』によると、それら衝撃波が爆炎となって顕現していた。これはもう言ってしまえば、この世の終焉。ヤツどころか、地面を大きく削り、空間さえ捻じ曲げ始めていた。
更に見ると、『アグリオス』は【ダークバーン】によって焼却中らしく、その激しさは、もはや地獄すら生ぬるい状況だった。
ヤツはもう、あの『闇炎』から脱出不可能となった。
最後まで焼かれ、斃れるまでそのままだ。
そうして待つこと五分弱。
爆発の炎と【闇】がやっと収まり――
そして、
【Good Job!!】
【Congratulations!!】
「………………」
みんな、顔を合わせた。
本当に勝利したのか確信が持てず、誰しもが疑心暗鬼に陥りかけていたが――この静けさは…………!
俺は盾から顔を少し出し、確認した。
……マジか。
ヤツの姿が塵となって消えていた。
「やった……」
つぶやいた言葉は確信へと変わり、みんなして胸をなでおろし……
「「「「「「やったああああああぁぁ~~~~~~!!!!!」」」」」」
飛び跳ねた!
「おお…………っしゃぁぁぁああああッ!! ついに『第80層』のボスモンスターを倒したんだ! これで『第99層』にある【虹】へ……『神王』のもとへ行けるんだな!」
「おめでとう、サトル! 今回は死なずによく頑張ったわ!」
「俺はこれでやっと……このクソだるい試練から解放されるんだよな。『聖者』にしてもらえるんだよな!? メサイア」
「ええ。もう80層のボスを倒しちゃったから、道中はあるけど、あとは『第99層』へ向かうのみ。そこにある【虹】を使えば、もう【虹の空中庭園】よ」
……やっと。
やっと、ここまで!
「お疲れ様です。サトルさん。フォルちゃんも怪我ないですか?」
「ああ、ありがと。リース」
「ええ、今『グロリアスヒール』しましたし、わたくしは平気ですよ~」
みんな、フォルのヒールで回復していく。
よし、これなら。
「よし、みんな……!」
「もう行くのかい、理くん」
「いったん、家へ帰るぞーーーーーー!!!!!」
疲れたし、もう虹へはいつでも行ける。
お腹も空いたし、いったん万全にしてから行く事にした。
考えすぎかもしれないが……
俺は、この先にも何かあるような気がしていたんだ。
だから一度、万全を期すためにも、体を休めてからの方がいいと考えた。
せめて……1日だけ。
あれだけ立て続けに魔法・物理攻撃を食らえば、もう残りのHPも僅かのはずだ。――であれば、あとは俺の渾身の【オートスキル】をお見舞いしてやれば……きっと活路は開けるはず。
拳に『この世全ての憎悪』をフルチャージ。
その間にも、ヤツの巨大な斧も迫って来た!
ヤツめ、フォルがいるっていうのに、おかまいなしか! もしくは、あの大斧で俺とフォルを引き剥がそうとする作戦か……?
絶対離すものか!!!
「フォル、俺にガッチリ、ギッチリ、モッチリしがみついてくれ!!」
「了解です! こうですか!」
フォルは、両手足でバッチリ俺の体に完全密着してくれた。
ぎゅぅっと力も今まで以上に入っている。
力んでくれるおかげで色々天国だ。
……生きてて良かった……。
――って、そりゃいい!!
ヤツの攻撃のおかげで『ホーリーブレード』が自動発動した。
コレだ!!
この『ホーリーブレード』の上に飛び乗り、それを【移動スキルLv.MAX】でコントロールした。このスキルのおかげで自由自在。自分の思った通りに動く。
「よし、これで高速移動して――」
背後から斧が猛接近してくる。
寸前で『血の煉獄』が発動、押し返し、炎がヤツの体へ到達。ごうごう燃やし始めた。なんという幸運か! そこで発動するとはな!
そうか!
これはフォルの『フォーチュン』の相乗効果もあるに違いない。血がない場合の発動率は中々に悪いし。
コイツと一緒にいると、なにかと【幸運】が格段に跳ね上がるからな。今はそんな『超絶ラッキー』状態に突入しているようだ!! いいぞ!
「フォル……お前がいてくれて良かった。ありがとう、幸運聖女さま」
「……はいっ。今物凄くキスしたいですけど、我慢しておきます♡」
「おう。――って、ヤロウ! アレでもまだ倒れないのか!!」
だが、もうヤツは片膝をついて、息も乱れていた。
もう精魂尽き果てる一歩手前。風前の灯火。
勝てる。
いや、勝つんだ俺は、あの巨人に!!
「いくぞ!!!」
『ダークニトロフィスト』
『聖槍・パニッシャートライデント』
俺は予め集めておいた『この世全ての憎悪』を【ダークニトロ】として両手に付与し、その状態で『聖槍』を持った。これが意外にも、不思議と反発はなかった。
――いける。
これがヤツを滅殺する【光】と【闇】だ。
「終わりだあああああああああッッ!!!!」
光の槍をヤツ目掛け投擲した。
『聖槍・パニッシャートライデント』が高速で『アグリオス』に接近。しかし、突き刺さる寸前でヤツは槍を両手で掴み、受け止めやがった。
拮抗する、俺の槍とヤツの剛腕。
……マジか。
さすが、第80層のボスモンスター。
俺の最大出力を受け止めるか! だが、あのまま押し切れば!!
まずい……! 握りつぶされる!
「……なんてな。
その槍には『この世全ての憎悪』集まっているんだぜ。そいつを『ニトロ』で爆発させる……!」
あとは発動するだけ……。
あの一言を口にするだけ。
「爆破!!!!!」
それを発した瞬間、槍は大きく膨張するや爆散し――
大爆発を引き起こした。
まるで【闇】が爆発しちまったような。
――いや、確かにアレは【ダークエクスプロージョン】となっていた。
「どわぁぁぁぁぁぁあああッ!?」
自分で爆破しておいてなんだが、とんでもない威力だった。もう目の前で何が起きているのかさえ、分からん。
衝撃で『ホーリーブレート』から滑り落ち、俺とフォルはボスから遠く離れた距離で蹲る。真っ暗で、なにも見えない。なにもかも闇に染まりまくった。
「フォル、しっかり掴まっていろよ! く……!」
「あ、兄様……すごい爆風です。みんな飛ばされてしまっていますよ……!」
まずいな。
ちっと、やりすぎちまったらしい……!
「理くん! 助けにきたよ、わたしの盾の中に!」
「おお、ベル! ナイスシールド! てか、よく見えるな!」
「ああ! わたしの眼は特別だからね。それに、みんなも回収しておいた」
いつの間にか全員、ベルの盾の中に集合していた。
しっかし、ベルの盾は本当に巨大で頑丈だな……。
確か、大きさは俺の身長三人分は優にあった。おかげで助かったけどな。
――まだ続く、闇爆発。
――弾け飛ぶ連鎖爆発。
『千里眼』によると、それら衝撃波が爆炎となって顕現していた。これはもう言ってしまえば、この世の終焉。ヤツどころか、地面を大きく削り、空間さえ捻じ曲げ始めていた。
更に見ると、『アグリオス』は【ダークバーン】によって焼却中らしく、その激しさは、もはや地獄すら生ぬるい状況だった。
ヤツはもう、あの『闇炎』から脱出不可能となった。
最後まで焼かれ、斃れるまでそのままだ。
そうして待つこと五分弱。
爆発の炎と【闇】がやっと収まり――
そして、
【Good Job!!】
【Congratulations!!】
「………………」
みんな、顔を合わせた。
本当に勝利したのか確信が持てず、誰しもが疑心暗鬼に陥りかけていたが――この静けさは…………!
俺は盾から顔を少し出し、確認した。
……マジか。
ヤツの姿が塵となって消えていた。
「やった……」
つぶやいた言葉は確信へと変わり、みんなして胸をなでおろし……
「「「「「「やったああああああぁぁ~~~~~~!!!!!」」」」」」
飛び跳ねた!
「おお…………っしゃぁぁぁああああッ!! ついに『第80層』のボスモンスターを倒したんだ! これで『第99層』にある【虹】へ……『神王』のもとへ行けるんだな!」
「おめでとう、サトル! 今回は死なずによく頑張ったわ!」
「俺はこれでやっと……このクソだるい試練から解放されるんだよな。『聖者』にしてもらえるんだよな!? メサイア」
「ええ。もう80層のボスを倒しちゃったから、道中はあるけど、あとは『第99層』へ向かうのみ。そこにある【虹】を使えば、もう【虹の空中庭園】よ」
……やっと。
やっと、ここまで!
「お疲れ様です。サトルさん。フォルちゃんも怪我ないですか?」
「ああ、ありがと。リース」
「ええ、今『グロリアスヒール』しましたし、わたくしは平気ですよ~」
みんな、フォルのヒールで回復していく。
よし、これなら。
「よし、みんな……!」
「もう行くのかい、理くん」
「いったん、家へ帰るぞーーーーーー!!!!!」
疲れたし、もう虹へはいつでも行ける。
お腹も空いたし、いったん万全にしてから行く事にした。
考えすぎかもしれないが……
俺は、この先にも何かあるような気がしていたんだ。
だから一度、万全を期すためにも、体を休めてからの方がいいと考えた。
せめて……1日だけ。
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