25 / 473
第25話 リミットブレイク - 守るべきものたち -
しおりを挟む
上空に『ブラックホール』が発生していた。
吸い込まれるような気配こそないが……
そこからドラゴンが……飛翔してきやがった!!
なんだ、あの黒くて、アホほど巨大なドラゴンは!?
そう立ち尽くしていると、どこかの騎士が、
「お、おい……あれは、聖地・パーシヴァルのあれだろ……! レイドボスの『アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン』だぞ!!」
そう慌ただしく説明してくれた……。
「なんだって……!!」
俺は咄嗟に、ドラゴンのステータスを読み取ろうとする――が、
アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン:【Lv.XXXXXX】
<< All Status Unknown >>
「んなアホな! 全てのステータス不明!?」
「そうなのです、サトル殿。
言い忘れていましたが、全てのレイドボスのステータスは解析不可能なのです。そして、この『聖者祭』になると、レイドボス1体が必ず『花の都・フリージア』上空に出現し、【襲撃】をしてくるのですよ」
「なんだってぇ~…。王様、それって国が滅ぶんじゃ!」
「大丈夫です。ボクのスキル『ミレニアム』――強固なバリアが都全体を守っているので、どのような攻撃を受けても突破されません。それが例え、レイドボスでも」
王様はそう自信満々に言い切るが……
いや……確かに、さっきからドラゴンが上空で、バリアを破壊しようと大暴れしていたが……『ミレニアム』だとかいうバリアはビクともしていなかった。レイドボス相手に凄いな。
「こ、これなら平気か……」
と、安堵していると、
ドラゴンが突如、グルリと向きを変えた。
その鋭すぎる視線の方向――それは……
俺の『山小屋』だった。
「おい……あのドラゴン、まさか!!」
しまった、あそこは都の外じゃないか!!
バリア圏外っぽいぞ!!
やべえ……ウッカリしていた!
まずいぞ、なんとかして小屋を守らねば――しかし、時既に遅し! ドラゴンが俺の『山小屋』に狙いを定めやがった!!
ドラゴンは、口からブレスと……
更に、両翼からも莫大な、しかも禍々しいエネルギーを急激に溜めはじめ……
最終的に計7つの塊を溜め――
「まずい、山小屋が破壊されちまう!! させるかよぉぉぉ!! 王様、部分的でもいい! バリアを開放してくれ! 頼む、この通りだ!」
「ええ。サトル殿には、家を守る権利があります。
承知致しました。では、3秒間だけバリアの一部開放をします」
「ありがとう、王様!」
俺は『ニトロ』の超爆発を利用して、跳躍した!
上手くいった……!
昨晩の『ポルターガイスト』襲撃時に練習しまくった甲斐があったぜ。
そうして、空へなんとか吹っ飛び、一部開放された穴から外へ這い出た。そこから、ドラゴンとの距離を一気に詰め――!
「このクソドラゴン、俺の家を狙うんじゃねぇ!!」
正面からじゃあ……一瞬にしてお陀仏だろう。
だったら、あの巨体の死角で、なおかつ存在がバレにくい、尻尾に!
ガバッ!!
――俺は、見事ドラゴンのゴツゴツの尻尾の先にしがみつく事に成功! 尚、ドラゴンの尻尾に俺という存在がすっぽり隠れるほどなので、ドラゴンがいかに巨体か分かるな。
って、そりゃいい!
「くらい、やがれっぇえぇえぇぇ!! 自爆!!」
尻尾にしがみついた状態で、俺は何度も自爆した。何度も何度も何度も自爆しまくって、ドラゴンのHPを削っていった!
ちなみに、俺自身にダメージは一切ない!
昨晩の戦いで、スキルレベルカンストしたおかげだな。
「これだけ自爆攻撃を食らわせれば……」
あまりに自爆しまくったせいで、煙が充満している。視界不良だ。
その煙が段々と晴れてくると――
『グゥゥゥ……!』
ドラゴンは唸り、傷ひとつなくピンピンしていた。
それどころか、俺という存在にすら関心がないようだ。
気をそらすことすら無理なのか!!
「まじか……クソッ!!」
あれだけの超爆発でもダメなのか!
さすが、世界最強のドラゴンってことか……。
ああ、チクショウ! このままでは、ブレスを放たれ、小屋が!
俺は……、俺はどうすりゃ……!
『サトル……サトル!』
――こ、この声、メサイア! 俺の脳に直接!
(メサイア、お前もリースみたいな『テレパシー』が出来たんだな)
『リースの力を借りたの。ねえ、サトル、家を守らなきゃでしょ。アレは私たちの家なのよ』
(分かってる! でも……敵が強すぎてな……)
『わかった……『力』が欲しいのね。
大丈夫よ、あんたには、勝利の女神がついてるのよ。私があんたに力を貸してあげるから』
(メサイア……!?)
『実はね、あんたの【オートスキル】にはリミッターが掛けてあったの。だから、火力もあんまりなかったし、【オートスキル】にセットできる数もたったの四つだった。でも、『リミッター解除』すれば、サトル、あんたの『力』は今の数十倍――いえ、数百倍にも跳ね上がるし、セットできる数も【無限】よ。けどね、身体が耐えきれるかどうか……そこだけが心配ね』
(今は、細かい事を気にしている暇はない! 構わん、やってくれ!)
『……わかった』
『兄様! わたくしも応援していますよ! みんなの家を守りましょう!』
(フォル! よし……!)
『サトルさん。さっきは助けてくれて、有難うございますぅ……』
(リース! いや、いいんだ。俺の方こそ辛い思いをさせてしまって、すまなかった……これが終わったら、デートしよう)
『はい……絶対に!』
(よーし、メサイア。リミッター解除とやらを頼む!)
『まって、サトル。その前に作戦はこうよ――』
まじか! ソレをやるのか! でも名案だ。あんなレイドボスをぶっ倒すよりは、よほど合理的だろう。逃げるが勝ちだ! 命あっての物種だ!
(オーケー。頼むぜ!!)
『サトル、あんたの力を【解放】するわ!!』
「――――――!!」
こ、この『白と黒の光』はいったい……!
それは、俺の身体に溶け込むや……!
<< LIMIT BREAK >>
なにか、よく分からんが【解放】された。
【リミットブレイクⅠ】
効果:全ステータス+3000、全スキルレベル+5、死亡時、一度だけ蘇生できる。蘇生後、【リミットブレイクⅡ】アンロック。
「……こ、これはスゲェ! けど、今はこっちだ」
【運搬スキルLv.MAX】
効果:すべての物体を運びやすいサイズに変換する。個数に関わらず、サイズを自在に変えられる。また、指定した物体を自動的に取得・アイテムストレージへの搬入が可能になる。
「……きたきた! メサイアの言う通りだ……!
作戦通り、これを任意で発動する!」
【運搬スキルLv.MAX】を即座に発動し――、
「今だ!! 『山小屋』をミニチュアに変換し、俺の元へ!!」
それと同時にドラゴンが、
『ヘルインフェルノ・ダークデスブレス(仮)』を放った――!
(仮)ってなんだ!?
……どうやら、スキルでさえ、読み取り不可能らしく、スキルに(仮)が付いてしまうそうだ。多分、そんな感じのスキルだってことだ。
そこまでか……!
などと感心しとる場合じゃない!!
『ヘルインフェルノ・ダークデスブレス(仮)』が猛烈な勢いで迫る中、俺のスキル速度が上回り――、
『山小屋』は瞬時に、ミニチュアサイズに!
そして、それは『自動』で俺の掌に取得された!
「よっし、成功だ!! まさか【運搬スキルLv.MAX】が使えるとはな……こいつぁ便利すぎるぞ!!」
かつて『山小屋』があった場所は、もう何もない更地の状態だ。
そこにブレスが打ち放たれ、暗黒の炎が広がるや、大穴が空き、被害が少ない場所ですら、荒野へと変貌を遂げていた。
「……な、なんつーパワーだ。無茶苦茶だぞ、あのドラゴン! あんなもんが山小屋に直撃していたら……チリも残らずだ」
でもって『ニトロ』の爆発の反動を使って、戻る!!
王様が察してくれたのだろう、バリアが一部開放されている。
目の前でニトロを爆破させ、その衝撃で一部開放されたバリアの穴に入る。上手く自身をホールインワンさせ、すぐにその開放されていたバリアは封された。
なんとか爆風を利用、ジェット噴射の要領で微調整しまくって軟着陸。メサイアたちの元へ戻った。
「っぶねぇ~~~! 死ぬかと思った!」
「サトル! やったわね!!」
わあああぁぁぁ~~~!!
――と、みんな歓喜歓声を上げていた。
メサイア、リース、フォルは俺に駆け寄り、傍で喜び、涙していた。抱きついてきた!
「サトルさぁぁぁぁん! ご無事で良かったですぅ~! あんなバケモノドラゴンを相手に凄かったですよぉ~~~!」
わんわん泣きじゃくるリース。
世紀末共の件といい、いろいろあっただけに仕方ない。
頭を撫でてやろう。
「ご無事でなにより、兄様ぁ!!」
「おいおい、みんな、あんまりギュウギュウしてくれるな。周りからの注目度バツグンすぎて恥ずかしいぞ……! まあ、嬉しいけどさ……。それに『家』が潰れちまうよ」
掌には『山小屋』のミニチュアが。
これで家の移動も、あの薄気味悪い『オッサン』使わなくていいな。
「サトル、よくぞ家を守ったわ!! 頑張った子にはナデナデしてあげるわ!」
俺はリースをナデナデしていたが、メサイアが俺をナデナデしてきた。
なんだ、この光景……。
「じゃあじゃあ、あたしは、ちゅ~してあげるのですよ!」
リースが顔を勢いよく近づけてくる。すると、右頬にちゅ~された。そっちか! いやでも、最高だ……幸せだ。生きていて本当に良かった。
「あぁ~! リースずるいのですよ~! じゃ、わたくしは兄様の左頬を!」
フォルもまた顔を猛接近させ、左頬にちゅ~と。
「………………」
幸せ過ぎて、どうにかなりそう。
つっても……あのドラゴンは健在なんだけどな。
そう、倒してはいない。
あくまで『山小屋』を守っただけ。
……とはいえ、王様のバリアで入ってこれないみたいだし、山小屋は何とかなったからいいけど。
しばらくすると、ドラゴンは諦め――黒い穴へ戻っていった。
帰った……のか。
「終わったようです。皆様、ケガはありませんね。
サトル殿、いろいろあった直後で申し訳ないのですが……『聖者』の道をゆく者が3名おります。その選別を致しますので、こちらへ」
――もっとも、その権利はもう俺にあると、王は小声で耳打ちしてきたが。一応、祭りの形式としてやっておきたいとのことだった。
「まじか……仕方ない。リース、フォル。メサイアも」
「あぁん、兄様~」「サトルさん……」
ふたりとも惜しそうに俺から離れた。
「みんな、行ってくるよ。終わったらどっかに家を戻して、ゆっくりしよう」
「わかった。でも、サトル。これが終わったら話があるから」
メサイアは少し困ったような顔をしていた。
ん~? どうしたんだろうな。
吸い込まれるような気配こそないが……
そこからドラゴンが……飛翔してきやがった!!
なんだ、あの黒くて、アホほど巨大なドラゴンは!?
そう立ち尽くしていると、どこかの騎士が、
「お、おい……あれは、聖地・パーシヴァルのあれだろ……! レイドボスの『アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン』だぞ!!」
そう慌ただしく説明してくれた……。
「なんだって……!!」
俺は咄嗟に、ドラゴンのステータスを読み取ろうとする――が、
アルティメット・デス・アナイアレイション・ドラゴン:【Lv.XXXXXX】
<< All Status Unknown >>
「んなアホな! 全てのステータス不明!?」
「そうなのです、サトル殿。
言い忘れていましたが、全てのレイドボスのステータスは解析不可能なのです。そして、この『聖者祭』になると、レイドボス1体が必ず『花の都・フリージア』上空に出現し、【襲撃】をしてくるのですよ」
「なんだってぇ~…。王様、それって国が滅ぶんじゃ!」
「大丈夫です。ボクのスキル『ミレニアム』――強固なバリアが都全体を守っているので、どのような攻撃を受けても突破されません。それが例え、レイドボスでも」
王様はそう自信満々に言い切るが……
いや……確かに、さっきからドラゴンが上空で、バリアを破壊しようと大暴れしていたが……『ミレニアム』だとかいうバリアはビクともしていなかった。レイドボス相手に凄いな。
「こ、これなら平気か……」
と、安堵していると、
ドラゴンが突如、グルリと向きを変えた。
その鋭すぎる視線の方向――それは……
俺の『山小屋』だった。
「おい……あのドラゴン、まさか!!」
しまった、あそこは都の外じゃないか!!
バリア圏外っぽいぞ!!
やべえ……ウッカリしていた!
まずいぞ、なんとかして小屋を守らねば――しかし、時既に遅し! ドラゴンが俺の『山小屋』に狙いを定めやがった!!
ドラゴンは、口からブレスと……
更に、両翼からも莫大な、しかも禍々しいエネルギーを急激に溜めはじめ……
最終的に計7つの塊を溜め――
「まずい、山小屋が破壊されちまう!! させるかよぉぉぉ!! 王様、部分的でもいい! バリアを開放してくれ! 頼む、この通りだ!」
「ええ。サトル殿には、家を守る権利があります。
承知致しました。では、3秒間だけバリアの一部開放をします」
「ありがとう、王様!」
俺は『ニトロ』の超爆発を利用して、跳躍した!
上手くいった……!
昨晩の『ポルターガイスト』襲撃時に練習しまくった甲斐があったぜ。
そうして、空へなんとか吹っ飛び、一部開放された穴から外へ這い出た。そこから、ドラゴンとの距離を一気に詰め――!
「このクソドラゴン、俺の家を狙うんじゃねぇ!!」
正面からじゃあ……一瞬にしてお陀仏だろう。
だったら、あの巨体の死角で、なおかつ存在がバレにくい、尻尾に!
ガバッ!!
――俺は、見事ドラゴンのゴツゴツの尻尾の先にしがみつく事に成功! 尚、ドラゴンの尻尾に俺という存在がすっぽり隠れるほどなので、ドラゴンがいかに巨体か分かるな。
って、そりゃいい!
「くらい、やがれっぇえぇえぇぇ!! 自爆!!」
尻尾にしがみついた状態で、俺は何度も自爆した。何度も何度も何度も自爆しまくって、ドラゴンのHPを削っていった!
ちなみに、俺自身にダメージは一切ない!
昨晩の戦いで、スキルレベルカンストしたおかげだな。
「これだけ自爆攻撃を食らわせれば……」
あまりに自爆しまくったせいで、煙が充満している。視界不良だ。
その煙が段々と晴れてくると――
『グゥゥゥ……!』
ドラゴンは唸り、傷ひとつなくピンピンしていた。
それどころか、俺という存在にすら関心がないようだ。
気をそらすことすら無理なのか!!
「まじか……クソッ!!」
あれだけの超爆発でもダメなのか!
さすが、世界最強のドラゴンってことか……。
ああ、チクショウ! このままでは、ブレスを放たれ、小屋が!
俺は……、俺はどうすりゃ……!
『サトル……サトル!』
――こ、この声、メサイア! 俺の脳に直接!
(メサイア、お前もリースみたいな『テレパシー』が出来たんだな)
『リースの力を借りたの。ねえ、サトル、家を守らなきゃでしょ。アレは私たちの家なのよ』
(分かってる! でも……敵が強すぎてな……)
『わかった……『力』が欲しいのね。
大丈夫よ、あんたには、勝利の女神がついてるのよ。私があんたに力を貸してあげるから』
(メサイア……!?)
『実はね、あんたの【オートスキル】にはリミッターが掛けてあったの。だから、火力もあんまりなかったし、【オートスキル】にセットできる数もたったの四つだった。でも、『リミッター解除』すれば、サトル、あんたの『力』は今の数十倍――いえ、数百倍にも跳ね上がるし、セットできる数も【無限】よ。けどね、身体が耐えきれるかどうか……そこだけが心配ね』
(今は、細かい事を気にしている暇はない! 構わん、やってくれ!)
『……わかった』
『兄様! わたくしも応援していますよ! みんなの家を守りましょう!』
(フォル! よし……!)
『サトルさん。さっきは助けてくれて、有難うございますぅ……』
(リース! いや、いいんだ。俺の方こそ辛い思いをさせてしまって、すまなかった……これが終わったら、デートしよう)
『はい……絶対に!』
(よーし、メサイア。リミッター解除とやらを頼む!)
『まって、サトル。その前に作戦はこうよ――』
まじか! ソレをやるのか! でも名案だ。あんなレイドボスをぶっ倒すよりは、よほど合理的だろう。逃げるが勝ちだ! 命あっての物種だ!
(オーケー。頼むぜ!!)
『サトル、あんたの力を【解放】するわ!!』
「――――――!!」
こ、この『白と黒の光』はいったい……!
それは、俺の身体に溶け込むや……!
<< LIMIT BREAK >>
なにか、よく分からんが【解放】された。
【リミットブレイクⅠ】
効果:全ステータス+3000、全スキルレベル+5、死亡時、一度だけ蘇生できる。蘇生後、【リミットブレイクⅡ】アンロック。
「……こ、これはスゲェ! けど、今はこっちだ」
【運搬スキルLv.MAX】
効果:すべての物体を運びやすいサイズに変換する。個数に関わらず、サイズを自在に変えられる。また、指定した物体を自動的に取得・アイテムストレージへの搬入が可能になる。
「……きたきた! メサイアの言う通りだ……!
作戦通り、これを任意で発動する!」
【運搬スキルLv.MAX】を即座に発動し――、
「今だ!! 『山小屋』をミニチュアに変換し、俺の元へ!!」
それと同時にドラゴンが、
『ヘルインフェルノ・ダークデスブレス(仮)』を放った――!
(仮)ってなんだ!?
……どうやら、スキルでさえ、読み取り不可能らしく、スキルに(仮)が付いてしまうそうだ。多分、そんな感じのスキルだってことだ。
そこまでか……!
などと感心しとる場合じゃない!!
『ヘルインフェルノ・ダークデスブレス(仮)』が猛烈な勢いで迫る中、俺のスキル速度が上回り――、
『山小屋』は瞬時に、ミニチュアサイズに!
そして、それは『自動』で俺の掌に取得された!
「よっし、成功だ!! まさか【運搬スキルLv.MAX】が使えるとはな……こいつぁ便利すぎるぞ!!」
かつて『山小屋』があった場所は、もう何もない更地の状態だ。
そこにブレスが打ち放たれ、暗黒の炎が広がるや、大穴が空き、被害が少ない場所ですら、荒野へと変貌を遂げていた。
「……な、なんつーパワーだ。無茶苦茶だぞ、あのドラゴン! あんなもんが山小屋に直撃していたら……チリも残らずだ」
でもって『ニトロ』の爆発の反動を使って、戻る!!
王様が察してくれたのだろう、バリアが一部開放されている。
目の前でニトロを爆破させ、その衝撃で一部開放されたバリアの穴に入る。上手く自身をホールインワンさせ、すぐにその開放されていたバリアは封された。
なんとか爆風を利用、ジェット噴射の要領で微調整しまくって軟着陸。メサイアたちの元へ戻った。
「っぶねぇ~~~! 死ぬかと思った!」
「サトル! やったわね!!」
わあああぁぁぁ~~~!!
――と、みんな歓喜歓声を上げていた。
メサイア、リース、フォルは俺に駆け寄り、傍で喜び、涙していた。抱きついてきた!
「サトルさぁぁぁぁん! ご無事で良かったですぅ~! あんなバケモノドラゴンを相手に凄かったですよぉ~~~!」
わんわん泣きじゃくるリース。
世紀末共の件といい、いろいろあっただけに仕方ない。
頭を撫でてやろう。
「ご無事でなにより、兄様ぁ!!」
「おいおい、みんな、あんまりギュウギュウしてくれるな。周りからの注目度バツグンすぎて恥ずかしいぞ……! まあ、嬉しいけどさ……。それに『家』が潰れちまうよ」
掌には『山小屋』のミニチュアが。
これで家の移動も、あの薄気味悪い『オッサン』使わなくていいな。
「サトル、よくぞ家を守ったわ!! 頑張った子にはナデナデしてあげるわ!」
俺はリースをナデナデしていたが、メサイアが俺をナデナデしてきた。
なんだ、この光景……。
「じゃあじゃあ、あたしは、ちゅ~してあげるのですよ!」
リースが顔を勢いよく近づけてくる。すると、右頬にちゅ~された。そっちか! いやでも、最高だ……幸せだ。生きていて本当に良かった。
「あぁ~! リースずるいのですよ~! じゃ、わたくしは兄様の左頬を!」
フォルもまた顔を猛接近させ、左頬にちゅ~と。
「………………」
幸せ過ぎて、どうにかなりそう。
つっても……あのドラゴンは健在なんだけどな。
そう、倒してはいない。
あくまで『山小屋』を守っただけ。
……とはいえ、王様のバリアで入ってこれないみたいだし、山小屋は何とかなったからいいけど。
しばらくすると、ドラゴンは諦め――黒い穴へ戻っていった。
帰った……のか。
「終わったようです。皆様、ケガはありませんね。
サトル殿、いろいろあった直後で申し訳ないのですが……『聖者』の道をゆく者が3名おります。その選別を致しますので、こちらへ」
――もっとも、その権利はもう俺にあると、王は小声で耳打ちしてきたが。一応、祭りの形式としてやっておきたいとのことだった。
「まじか……仕方ない。リース、フォル。メサイアも」
「あぁん、兄様~」「サトルさん……」
ふたりとも惜しそうに俺から離れた。
「みんな、行ってくるよ。終わったらどっかに家を戻して、ゆっくりしよう」
「わかった。でも、サトル。これが終わったら話があるから」
メサイアは少し困ったような顔をしていた。
ん~? どうしたんだろうな。
20
お気に入りに追加
1,266
あなたにおすすめの小説

無限初回ログインボーナスを貰い続けて三年 ~辺境伯となり辺境領地生活~
桜井正宗
ファンタジー
元恋人に騙され、捨てられたケイオス帝国出身の少年・アビスは絶望していた。資産を奪われ、何もかも失ったからだ。
仕方なく、冒険者を志すが道半ばで死にかける。そこで大聖女のローザと出会う。幼少の頃、彼女から『無限初回ログインボーナス』を授かっていた事実が発覚。アビスは、三年間もの間に多くのログインボーナスを受け取っていた。今まで気づかず生活を送っていたのだ。
気づけばSSS級の武具アイテムであふれかえっていた。最強となったアビスは、アイテムの受け取りを拒絶――!?

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています


日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる