全スキル自動攻撃【オートスキル】で無双 ~自動狩りで楽々レベルアップ~

桜井正宗

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第9話 新スキル・千里眼 - お風呂完成したよ -

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 風呂が完成した。

 相変わらずのヒノキ風呂もどきだが、今度はちゃんと『鉄』を紐状ひもじょうにしたもので周囲を固め、鉄骨構造に仕立て上げた。

 これで頑丈がんじょうに、より強固になった。――ハズだ。多分大丈夫だろ。多分な。ちなみに、作ったのはもちろんメサイアだ。


 こうして一緒に生活すると感じるが【建築スキル】は、かなり万能だな。


「サトルさ~ん。一緒にお風呂に入りませんかぁ~? お背中お流ししますよぉ~」


 風呂が完成した途端とたん、リースから誘われた。

 マジか!

 マジか!(思わず二度確認した)


 リースには、羞恥心しゅうちしんという概念がいねんが存在しないのか!?

 エルフだからか?
 あんまり気にしないのだろうか。

 こりゃ、逆に好機チャンスか!?
 …………って、そんなワケない。


「こ、断る……!」
「どうしてですかぁ? あたしじゃ、ダメなんです……?」


 なんて、ちょっと涙目でうったえかけられるものだから、心苦しいものが……いやしかし、一緒に風呂って色々マズいだろう。

 あと、メサイアとフォルからも痛い目線が突き刺さっていた。くそう、そんなゴミを見るような目で見るな俺を。心がチクチクするじゃないかッ。


「リ、リース。すまないが、俺にはその勇気がない。キミはなんていうか……出てるところ出てるし、刺激が……強すぎるんだ。だから、俺と一緒に入ったら風呂が赤く染まるだけだぞ」


 いつもあんな薄っぺらい布切れのような服だし、割とスケスケだし……あれだけでも充分エロいっていうに……裸とか異次元だ。見たら間違いなく、噴水のような鼻血を噴き出してぶっ倒れる自信がある。


「そ、そうですかぁ……残念です。でもでも、いつかきっと一緒に入って下さいね」
「いつかね……」


 そのいつかはおとずれないだろう。

 たぶん、ね……?


 ◆


 リースとフォルが風呂へ行った。
 あの華奢きゃしゃな二人なら、あの狭さでもなんとか問題ないだろう。

 因みに、風呂の広さは一畳ほどだが補強も兼ねたので、実際はもっと狭い。なかなかに窮屈きゅうくつなので、そのうち風呂も広くしたいものだ。


 あと、お湯はリースの【魔法スキル】で出してもらった。【掃除スキル】以外も色々あるそう。さすが高レベルのエルフだな。


 ――なんて感心していると。


『フォルちゃん、そこ触らないでなのですぅ~。くすぐったいですよぉ~』


 なんて、リースの声が聞こえてしまった。
 そうか……小屋が狭いし、壁だって薄いから筒抜つつぬけじゃないか!


「ご、ごくり……」


 しばらく……ちょっとだけ聞き耳を立ててみることにした。


『わぁ、リースって胸が大きいのですね~』



「ブッーーーーーー!!!」



 あまりにダイレクトな内容だったので、俺は口にふくんでいた茶を盛大に噴いてしまう。


「んゲッホゲッホぅぇ……!」


 オイオイ。丸聞こえだぞ、フォル!
 いくらなんでも声もデカすぎだ!


『フォルちゃん……。さ、触らないで下さいなのですよぉ……』


 風呂で一体ナニが、ナニが起ころうとしているんだー!?


 よ、よし、集中だ。
 もっと精神集中コンセントレーションして、俺はこれを聞いていた――――いィッ!?


「うわッ……!」
「サトル、なにをそんなニヤニヤしてるのよ?」


 風呂を作ってから疲れ果てて、ずっと睡眠モードだったメサイアが目を覚ましていた。
 どうやら体力が回復したらしい。【建築スキル】を使うとかなり疲れるみたいだが、そんなに疲れるものなのか。謎だ。


「メサイア、おはよ」
「うん、おはよ。で、何してたの?」

「い、いやぁ……あぁほら、風呂完成したろ。今は、リースとフォルが入っているんだ。俺はその間、次の改築構想にふけっていたってところさ」

「ああ、そうなんだ。私はてっきり、リースとフォルのお風呂をのぞいていたりしていたのかと思ったわ」

「覗くか!!」

 てか、フォルの聖魔法でドアロックが掛かっているから開けられんし。声はそう、偶然聞こえてしまったんだ。偶然な。

 メサイアの監視の目もあるし、残念だが、ここまでか。


「さて……そろそろスキルでも取得すっか」


 現在は二種類のスキル『煉獄れんごく』と『ヒドゥンクレバス』を【オートスキル】に設定しているが、そろそろ他のスキルも取得して、発動できるようにしてもいいかもしれない。【オートスキル】の枠自体はあと二つある。最大四つのスキルを自動発動可能にできるようなのだ。


 今後、強いモンスターにも対応できるよう、なにか取ろうかな……と。スキルリストに目をやると、気になるモノがあった。


「ほう……『千里眼』クレアボイヤンスとな」


 説明欄によれば、どうやら遠くの様子を見たり、透視も出来るようだ。

 ただ、あまりに便利なせいかスキルポイントもかなり必要だ。ポイントは多く必要だが、例のロボットのボスモンスターを倒した時に、かなり経験値を稼いだので今なら余裕で取得できる。少し余るしいいだろ。


 ん、まてよ……?
 こ、これは……!

 つまり、風呂も覗けてしまうのでは。
 いや、違う違う。


 俺は、あくまで小屋の外の様子を探るために取得するんだよ? この『千里眼』クレアボイヤンスさえあれば、いちいち外に出なくてもいいワケだしな。


 ということで――
 俺は『千里眼』クレアボイヤンスを覚えた!


「よしよし」
「どうしたのサトル。なにかスキルを覚えたの?」
「あ~…ちょっとな。試しに使ってみるよ」

 誤魔化すようにして、俺はさっそく『千里眼』クレアボイヤンスを発動!


「……さてさて」

 本当にえるのか?


 風呂の中が!!


 さりげなく風呂の方向へ視線を。すると、視界がモヤモヤ~っと、してきた。そうしていれば、ビジョンが浮かんできた。


 こ、これは……!


 後ろ姿でよくは見えないが、裸らしきリースとフォル! 見えた!!


 い、いかん…………つい興味本位で覗いてしまったが、これはスゴイ。

 湯気で全ては見えないが、楽しく洗いっこしている二人の姿が見えている。
 こりゃいい。しばらく眺めていよう――。

 そう『千里眼』クレアボイヤンスで風呂の中を覗いていれば、


『あれ? この目玉・・なんでしょうか。えいっ』


 ――と、フォルが指でソレ・・を突いた。


 次の瞬間――


「んぎゃぁぁぁぁあぁああっ!! 俺の目が……目がぁぁぁぁぁあああッ!!」


 俺の目が突かれ、ダメージが貫通しやがった!!

 いてええええ、痛すぎる!! 失明しちまう!!


 そんな俺の奇行に、メサイアはドン引きしていた。そんな引くなよ。俺だって、まさか向こうに目玉が出現していて、それを指で突かれるとは思わなかったんだよ。


 ていうか、目玉が出るのかよ!!


 そういう説明はちゃんと書いておけよな!
 ある意味、バレバレじゃないか。

 あ、いや、スキルレベルが低すぎて、そういう条件になっているのか。くそう!


「くぅ…………」

「あ、あんた……大丈夫? ついに頭がイカれたの?」
「イカれとらんわ! イテテ……」
「ど、どうしたのよ、サトル。目が充血しているじゃない……! 真っ赤よ!? なにかあったの?」

「ちょっとした不幸がな……」

 だがしかし、一瞬。
 ほんの一瞬だが、フォルの谷間だけが見えたよ。
 わずか0.02秒だったけど!


 そ、そうか。この『千里眼』クレアボイヤンス、スキルレベルが低すぎると『目玉が出現してしまう』というデメリットが存在するのか。まったく、使えるような使えないようなだな。……まあ、スキルレベルを上げればいいんだけど、消費ポイントが多すぎてしばらく無理だな。

 あと、反省点として、距離が近すぎたのもあったかも。次回はやるにしても、もっと遠くから、バレないよう眺めるべきだな。

 次回へのリベンジを心に誓っていれば、リースとフォルが楽しそうに風呂から出てきていた。なんだもう出ちゃったのか。


「サトルさ~ん。イイお湯でしたよぉ~」


 リースは、よっぽど風呂が気持ち良かったのか、とろけた破顔はがんを向けてくる。なんて幸せそうな顔してんだか。でも、作った甲斐かいはあったってもんだ。いろんな意味で。


「そういえば、なんか目玉みたいのが宙に浮いていましたけれど~」

 などと、フォルが首をかしげていた。


「!!」


 まずい。
 どう……誤魔化す!?

 いや、そもそも誤魔化せるのか……?
 誤魔化すしかないだろ!!

 ヘンタイのレッテルを貼られる前に!


「あ、それはだな……」


 なにか言え、俺! 
 この場を切り抜けるんだ!


 あぁ…………ダメダ、思いつかん……!!


 俺は、汗を滝のように流していると――


「ああ、それ私。ほら、お風呂一度壊れたでしょ。二人の様子が気になったから、ちょっと覗かせてもらったの。黙ってて悪かったわね」

 え……?
 メサイアがかばってくれた!?

 あのウィンクは間違いなく『感謝しなさいよね!』的な合図だった。


「そうだったのですね! わたくしはてっきり、兄様あにさまが覗いてきたのかと。でも、メサイア様がそうおっしゃるのなら、間違いはないですね。安心しました」


 ちょっとだけ俺を疑うフォル。が、メサイアのおかげもあり、俺は事なきを得た。

 ほっ……。

 ちなみに、フォルは何故か俺の事を『兄様あにさま』と呼ぶ。オジ様は止めろと散々指摘したからだが。


 ともかく……


 助かった。


 メサイアには感謝しなくちゃな。
 でも、どうして?
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