5 / 440
第5話 料理スキル - 聖女が落ちていたから拾ってみた -
しおりを挟む
外の【草原フィールド Lv.50】に出た。
【イノシシの肉】がたくさん転がっている。どんだけ倒しちゃったんだよ、俺。
ついでに、人間も転がっていた。
……またか。
「まあ……あの人間は食えないよな。イノシシの肉一択だなぁ」
俺はそこらじゅうに散乱している【イノシシの肉】を【オートスキル】の『貪欲』でアイテムを回収した。しまくった。
……まとめて一括回収っと!
クッソ便利だ。この『回収スキル』は今後の狩りでも必要不可欠な存在だな。いちいち手で拾っていたら面倒だし、日も暮れてしまう。効率重視サイコー! 面倒臭がりの俺には、神スキルである。
「さて、小屋に戻ろう」
「ま…………待ちなさい!」
ゲッ!
転がっていた人間に肩を掴まれた。
目が据わってる。怖いなぁもう。
そいつは、神々しい聖職者の恰好をしていた。ああいうの、シスター服っていうんだっけ。似合ってるし、可愛いな。
でもって、また少女。
またか。またなのか!
「キミもあのイノシシに襲われたクチか」
「い、いえ……。わたくしは『フォーチュン』に導かれてそれで……気づいたらこんなところに。それより、お腹空きましたのです。なんでもいいので食べ物を分けて戴けませんか……素敵なオジ様」
ぐ~~~っと、少女のお腹から間抜けな音がなった。
す、素敵なオジ様。
オジ様なんて初めて言われたよ。でも、出来ればそこは素敵なお兄さんにして欲しいけどな。でも、不思議と悪い気はしなかった。
「イノシシの肉しかないが」
「そ、それでイイので……戴けませんでしょうか!」
「そのままは食えないぞ。お腹壊すぞ、生肉だし。ちゃんと調理しないとな」
「わ、わたくし、料理はすっごく得意なのですよ! これでも【料理スキル】はカンストしているんです! お願いですから雇って下さい。アテがないんです~!!」
オヨオヨ泣き崩れるプリースト。
なんなんだコイツは。
てか、コイツの瞳……右目が青で、左目が桃色だ。オッドアイってヤツか。
◆
小屋に三人の少女と俺。
さすがにちょっと窮屈になってきた。狭い。けど、だいぶ華やかにもなった気がする!
「それ、誰?」
メサイアがジトっとした目でこちらを見ている。
誘拐でもしてきたの? なんて疑いの眼差しが向けられているが、そんなワケはないので、ここは断固として否定しておかないと、誤解を招いてしまいそうだ。なので、俺は正直に――
「直ぐそこで拾った。一応、プリーストの成りをしとるが、聖女でもあるらしいぞ。名前は知らん」
「自己紹介が遅れました……わたくしは『フォルトゥナ』です! 長いのでどうか、フォルとお呼び下さいまし」
「このフォルは【料理スキル】をカンストしているらしいぞ。ちょうどココに【イノシシの肉】があるし、調理してもらおう」
「そうね。私は【建築スキル】しか取り柄がないし、リースも【掃除スキル】しか取り柄がないし。サトル、あんたは【オートスキル】だけだし、あと寝言多いし」
充分役に立ってるだろ俺は。
……って、寝言多いの俺!?
「しかし困ったな。調理器具がないぞ」
「あります! 全部持っていますです!」
フォルが調理器具を取り出しまくった。
いったい、どこから取り出した!? マジックショーかよ。
あの包丁とかフライパンは……隠し持っていたのか? 暗器の武器……?
「じゃ、イノシシの肉は頼んだ。俺はダリ~から寝る。あとはよろしく」
「寝させないわよ。サトル、あんたは『小屋拡張』どーするか決めるの」
メサイアが足で小突いてきて邪魔してくる。
ん? なんだって『小屋拡張』だぁ?
「小屋を広くできるのか? メサイア」
「そ。私の【建築スキル】で小屋をパワーアップさせるの。だって、気づいたら四人もいるじゃないこの小屋。さすがに狭苦しいわ。だから、広くするの」
「ああ、それには大賛成だ。確かに、四人ともなると中々に狭いな。寝れなくはないが、快適に過ごすなら俺の……いや、各自の部屋も欲しいな」
「それなら増築するべきね。実はね、たくさんの材料さえあれば、家とかお屋敷、努力次第ではお城にも出来るわ。広い方が生活もしやすくなるし、守りも強固になるから。モンスターから身を守れるし、改築次第では『籠城』とか出来るわよ~」
「つまり、俺だけの『マイホーム』を作れるってことか」
そりゃ、すごい!
しかも『籠城』も出来るとか、それはラクチンでいいな。
「そ。ただ【オートスキル】でモンスター倒してるのも退屈でしょ」
「いいね、それ。しかも、小屋の拡張をメサイアがやってくれるなら、俺は考えるだけでいいしな」
「でしょでしょ? それに、掃除と料理はもう優秀な人材がいて困らないし、案外快適な生活が送れるんじゃないかしら!」
サムズアップして、キメるメサイア。
この女神、たまにマトモである。
「オーケー。乗った。ということで、リースもフォルもいいか?」
「は~い」「はいです!」
ふたりとも手を挙げ、アッサリ返事してくれた。
こうなりゃ、俺だけの家を作るっきゃないでしょう!
【イノシシの肉】がたくさん転がっている。どんだけ倒しちゃったんだよ、俺。
ついでに、人間も転がっていた。
……またか。
「まあ……あの人間は食えないよな。イノシシの肉一択だなぁ」
俺はそこらじゅうに散乱している【イノシシの肉】を【オートスキル】の『貪欲』でアイテムを回収した。しまくった。
……まとめて一括回収っと!
クッソ便利だ。この『回収スキル』は今後の狩りでも必要不可欠な存在だな。いちいち手で拾っていたら面倒だし、日も暮れてしまう。効率重視サイコー! 面倒臭がりの俺には、神スキルである。
「さて、小屋に戻ろう」
「ま…………待ちなさい!」
ゲッ!
転がっていた人間に肩を掴まれた。
目が据わってる。怖いなぁもう。
そいつは、神々しい聖職者の恰好をしていた。ああいうの、シスター服っていうんだっけ。似合ってるし、可愛いな。
でもって、また少女。
またか。またなのか!
「キミもあのイノシシに襲われたクチか」
「い、いえ……。わたくしは『フォーチュン』に導かれてそれで……気づいたらこんなところに。それより、お腹空きましたのです。なんでもいいので食べ物を分けて戴けませんか……素敵なオジ様」
ぐ~~~っと、少女のお腹から間抜けな音がなった。
す、素敵なオジ様。
オジ様なんて初めて言われたよ。でも、出来ればそこは素敵なお兄さんにして欲しいけどな。でも、不思議と悪い気はしなかった。
「イノシシの肉しかないが」
「そ、それでイイので……戴けませんでしょうか!」
「そのままは食えないぞ。お腹壊すぞ、生肉だし。ちゃんと調理しないとな」
「わ、わたくし、料理はすっごく得意なのですよ! これでも【料理スキル】はカンストしているんです! お願いですから雇って下さい。アテがないんです~!!」
オヨオヨ泣き崩れるプリースト。
なんなんだコイツは。
てか、コイツの瞳……右目が青で、左目が桃色だ。オッドアイってヤツか。
◆
小屋に三人の少女と俺。
さすがにちょっと窮屈になってきた。狭い。けど、だいぶ華やかにもなった気がする!
「それ、誰?」
メサイアがジトっとした目でこちらを見ている。
誘拐でもしてきたの? なんて疑いの眼差しが向けられているが、そんなワケはないので、ここは断固として否定しておかないと、誤解を招いてしまいそうだ。なので、俺は正直に――
「直ぐそこで拾った。一応、プリーストの成りをしとるが、聖女でもあるらしいぞ。名前は知らん」
「自己紹介が遅れました……わたくしは『フォルトゥナ』です! 長いのでどうか、フォルとお呼び下さいまし」
「このフォルは【料理スキル】をカンストしているらしいぞ。ちょうどココに【イノシシの肉】があるし、調理してもらおう」
「そうね。私は【建築スキル】しか取り柄がないし、リースも【掃除スキル】しか取り柄がないし。サトル、あんたは【オートスキル】だけだし、あと寝言多いし」
充分役に立ってるだろ俺は。
……って、寝言多いの俺!?
「しかし困ったな。調理器具がないぞ」
「あります! 全部持っていますです!」
フォルが調理器具を取り出しまくった。
いったい、どこから取り出した!? マジックショーかよ。
あの包丁とかフライパンは……隠し持っていたのか? 暗器の武器……?
「じゃ、イノシシの肉は頼んだ。俺はダリ~から寝る。あとはよろしく」
「寝させないわよ。サトル、あんたは『小屋拡張』どーするか決めるの」
メサイアが足で小突いてきて邪魔してくる。
ん? なんだって『小屋拡張』だぁ?
「小屋を広くできるのか? メサイア」
「そ。私の【建築スキル】で小屋をパワーアップさせるの。だって、気づいたら四人もいるじゃないこの小屋。さすがに狭苦しいわ。だから、広くするの」
「ああ、それには大賛成だ。確かに、四人ともなると中々に狭いな。寝れなくはないが、快適に過ごすなら俺の……いや、各自の部屋も欲しいな」
「それなら増築するべきね。実はね、たくさんの材料さえあれば、家とかお屋敷、努力次第ではお城にも出来るわ。広い方が生活もしやすくなるし、守りも強固になるから。モンスターから身を守れるし、改築次第では『籠城』とか出来るわよ~」
「つまり、俺だけの『マイホーム』を作れるってことか」
そりゃ、すごい!
しかも『籠城』も出来るとか、それはラクチンでいいな。
「そ。ただ【オートスキル】でモンスター倒してるのも退屈でしょ」
「いいね、それ。しかも、小屋の拡張をメサイアがやってくれるなら、俺は考えるだけでいいしな」
「でしょでしょ? それに、掃除と料理はもう優秀な人材がいて困らないし、案外快適な生活が送れるんじゃないかしら!」
サムズアップして、キメるメサイア。
この女神、たまにマトモである。
「オーケー。乗った。ということで、リースもフォルもいいか?」
「は~い」「はいです!」
ふたりとも手を挙げ、アッサリ返事してくれた。
こうなりゃ、俺だけの家を作るっきゃないでしょう!
27
お気に入りに追加
1,255
あなたにおすすめの小説
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる