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第1話 転生の書 - 女神らしき少女と出会った -
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ねむい。だるい。動きたくない。
なにもやる気が起きない。
つい最近、三十九歳になったおっさん――
【彼岸花 理】こと俺は、な~~~にもしたくなかった。何事も面倒で、とにかくやる気が出ないのだ。
でも、ゲームだけは大好きで、
オンラインゲームにハマっていた。没頭していた。
中でも最近話題の【サクリファイスオンライン】はドハマリしていた。熱中するあまり、飲まず食わずで朝までプレイしていた。
で、また起きたらプレイ。
なんて事を繰り返し、ふと【倉庫】に見た事もないアイテムが入れられていた。
「なんだ~コレ? 誰かが勝手に送り付けたのか~」
このゲーム、プレゼント機能を利用して【倉庫】にアイテムを送り付けられる機能があった。それを悪用するプレイヤーも後を絶たないが、俺もやられたらしい。まったく、面倒なことをしてくれる。
それを【倉庫】から取り出し、一応、中身が気になったのでアイテム鑑定も行い、捨てようとした時だった。
「……? 【転生の書】? こんなアイテム実装されていたっけ」
聞いたことのないアイテムだった。
しかも説明欄にはなにも記載されていない、不気味な感じ。未実装のバグアイテムだろうか? だとしたら、エラーを吐く前に捨てておこうと思ったら。
「あっ、使用しちまった!!」
ポチッ……と、その意味不明なアイテムを展開してしまっていた。――すると、なぜか画面から光がリアルに飛び出してきた……!
うそでしょ?
◆
光に包まれると、天国のような場所に投げ出されていた。
どこかで見覚えのあるような『空中庭園』。
虹が掛かっており、花が辺り一面に。白い鳥たちも羽ばたいている。
そんな【楽園】だった。
なんだっけ、ここ……?
面倒だから名称も覚えてないや。
「って、なんじゃここ!!」
俺はいつの間にこんな神秘的な場所に移動したんだ。さっきまでゲームしていたはずなのに。
そんな絶景の場所に、ひとりポツンと少女がいた。綺麗な少女だなぁ。まだ後ろ姿だけど。でも、あのほっそりとしたボディライン。腰まで伸びる黒髪ロングは、美しい。あれだけで胸がトキめいてしまう。
「ようこそ、選ばれし者。あなたにひとつだけ素敵なスキルを差し上げますよ。さあ、なにがいいですか?」
「いや……そんな背を向けられて……言われてもね? え? スキル?」
「そ、そうでしたっ! ごめんなさい!」
クルッと、そいつはこちらを向いた。
マジか……。
むちゃくちゃ可愛い。この楽園のように美しく、花のように可愛い。でも、なんで……黒いワンピース姿なのだろうか。そこは普通、白じゃ。ていうか、あの手に持ってる【黒い魔導書】も何だろう!? なんだか不穏な感じがしないでもない。
にしても、スキル……。
スキルねぇ?
くれるんなら貰っておこう。
えーっと、じゃあ~……。
「おススメをくれ」
「お、おススメですか? 普通の方は、一撃必殺のキラースキルだったり……中にはお金を無限に出せるスキルなどを手にされてる方もいましたね。ですが……そうですね、あなたはまともに戦うタイプではなさそうなので――」
おい、サラッと失礼だぞコイツ!
「では、疲れている顔のあなたには【オートスキル】はいかがでしょうか!」
「おまえな。この顔は生まれつきだ。……ん、【オートスキル】だって? なんだその便利そうな、いや確実に便利で、楽で、最強そうなスキル! いいな、それでいい! そいつをくれ!」
「分かりました。それでは、【彼岸花 理】さん。あなたとの契約は完了しました。あなたは今後【オートスキル】を遺憾なく発揮下さい」
「あんた、どうして俺の名を!」
「……ふふっ。それは秘密です。またいつか会いましょう。それでは」
俺は、謎の光に包まれた。
うわっ、なんだこの光!!
「まて、まってくれよ、あんた! すまんが、急にやる気が出なくなった! やっぱり帰る!」
「ちょ……、えぇ!? そんなこと急に言われましても。というか、服を掴まないでくださいよ~! あ……転移が!!」
ぎゅぅ~~~~~~~~~ん、と、
なにやら光が増大していた。
アレ。これマジなヤツ?
「う、うあぁぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~!!」
………………
………………
なにもやる気が起きない。
つい最近、三十九歳になったおっさん――
【彼岸花 理】こと俺は、な~~~にもしたくなかった。何事も面倒で、とにかくやる気が出ないのだ。
でも、ゲームだけは大好きで、
オンラインゲームにハマっていた。没頭していた。
中でも最近話題の【サクリファイスオンライン】はドハマリしていた。熱中するあまり、飲まず食わずで朝までプレイしていた。
で、また起きたらプレイ。
なんて事を繰り返し、ふと【倉庫】に見た事もないアイテムが入れられていた。
「なんだ~コレ? 誰かが勝手に送り付けたのか~」
このゲーム、プレゼント機能を利用して【倉庫】にアイテムを送り付けられる機能があった。それを悪用するプレイヤーも後を絶たないが、俺もやられたらしい。まったく、面倒なことをしてくれる。
それを【倉庫】から取り出し、一応、中身が気になったのでアイテム鑑定も行い、捨てようとした時だった。
「……? 【転生の書】? こんなアイテム実装されていたっけ」
聞いたことのないアイテムだった。
しかも説明欄にはなにも記載されていない、不気味な感じ。未実装のバグアイテムだろうか? だとしたら、エラーを吐く前に捨てておこうと思ったら。
「あっ、使用しちまった!!」
ポチッ……と、その意味不明なアイテムを展開してしまっていた。――すると、なぜか画面から光がリアルに飛び出してきた……!
うそでしょ?
◆
光に包まれると、天国のような場所に投げ出されていた。
どこかで見覚えのあるような『空中庭園』。
虹が掛かっており、花が辺り一面に。白い鳥たちも羽ばたいている。
そんな【楽園】だった。
なんだっけ、ここ……?
面倒だから名称も覚えてないや。
「って、なんじゃここ!!」
俺はいつの間にこんな神秘的な場所に移動したんだ。さっきまでゲームしていたはずなのに。
そんな絶景の場所に、ひとりポツンと少女がいた。綺麗な少女だなぁ。まだ後ろ姿だけど。でも、あのほっそりとしたボディライン。腰まで伸びる黒髪ロングは、美しい。あれだけで胸がトキめいてしまう。
「ようこそ、選ばれし者。あなたにひとつだけ素敵なスキルを差し上げますよ。さあ、なにがいいですか?」
「いや……そんな背を向けられて……言われてもね? え? スキル?」
「そ、そうでしたっ! ごめんなさい!」
クルッと、そいつはこちらを向いた。
マジか……。
むちゃくちゃ可愛い。この楽園のように美しく、花のように可愛い。でも、なんで……黒いワンピース姿なのだろうか。そこは普通、白じゃ。ていうか、あの手に持ってる【黒い魔導書】も何だろう!? なんだか不穏な感じがしないでもない。
にしても、スキル……。
スキルねぇ?
くれるんなら貰っておこう。
えーっと、じゃあ~……。
「おススメをくれ」
「お、おススメですか? 普通の方は、一撃必殺のキラースキルだったり……中にはお金を無限に出せるスキルなどを手にされてる方もいましたね。ですが……そうですね、あなたはまともに戦うタイプではなさそうなので――」
おい、サラッと失礼だぞコイツ!
「では、疲れている顔のあなたには【オートスキル】はいかがでしょうか!」
「おまえな。この顔は生まれつきだ。……ん、【オートスキル】だって? なんだその便利そうな、いや確実に便利で、楽で、最強そうなスキル! いいな、それでいい! そいつをくれ!」
「分かりました。それでは、【彼岸花 理】さん。あなたとの契約は完了しました。あなたは今後【オートスキル】を遺憾なく発揮下さい」
「あんた、どうして俺の名を!」
「……ふふっ。それは秘密です。またいつか会いましょう。それでは」
俺は、謎の光に包まれた。
うわっ、なんだこの光!!
「まて、まってくれよ、あんた! すまんが、急にやる気が出なくなった! やっぱり帰る!」
「ちょ……、えぇ!? そんなこと急に言われましても。というか、服を掴まないでくださいよ~! あ……転移が!!」
ぎゅぅ~~~~~~~~~ん、と、
なにやら光が増大していた。
アレ。これマジなヤツ?
「う、うあぁぁぁぁああああ~~~~~~~~~~~~~~~!!」
………………
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