闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗

文字の大きさ
上 下
28 / 43

第28話 ニューポーション完成! 爆益の予感

しおりを挟む
ヴァルハラのレシピはこうだった。


①ブルースライムの欠片
②グリーンハーブ
③サトウ


と、あまりに適当な内容に俺はぶったまげた。


「こんなレシピで魔力回復ポーションが作れるのか」


ブルースライムは草原とかによく生息しているし、誰でも狩れるモンスターだ。グリーンハーブもそこら中に自生しているから入手は容易い。
唯一、サトウだけはお店で買わないといけないけど。


「カ、カイリさん怒ってます?」

「いや、怒ってないよ、ヴァルハラ。こんな簡単なレシピで魔力回復ポーションを作れるとか大発見だ。このレシピは秘密にしないとな。これが広まってしまえば商売に影響が出てしまう。ヴァルハラもグレイスも内密に」

グレイスは頷いた。

「そうですね、利益に関わる問題ですから。材料は、我がコンキスタドール社が集めましょう」
「助かるよ、グレイス。とりあえず、在庫分で量産してみるか」


俺はさっそく透明ポーションを作ることにした。
もちろん『全種類ポーション製造』を使って。


――五分後――


ある分の材料でポーションを作り終えた。
このポーションは無名だから……そうだな。

「ヴァルハラ、発見者はお前だ。ポーションに名前を付けてくれないか」
「わ、わたしですか!? う~ん……難しいですね」

悩んでいるようで名前は中々決まらない。俺も考えてみるが……相応しい名前がないな。

「新しくできた未知のポーションだからなぁ」
「――あ! カイリさん、それですよ!」
「え?」

「ニューポーションでどうでしょうか!」

なかなか安直だが、シンプルで悪くない。とりあえず『ニューポーション』にするか。

「決まりだな。もし不評なら後で変えればいいし」
「ありがとうございます!」

というわけで、ニューポーションは300個も出来た。材料がかなり安物だったし、ブルーポーションと同じ相場で売れると考えれば、かなり利益が出る。

現在、ブルーポーションの相場が高騰して1個で8000ベルもする。全て売れれば200万以上の利益か。すげえな。

「俺はさっそくニューポーションを売りにいく。二人もついてくるか?」


ヴァルハラは――

「わたしは猫の姿でカイリさんの頭で寝ようと思います」
「分かった。そうしてくれ」

どうやら、お疲れのようだな。

グレイスは――

「あたしも付いていきますよ。同行させてください」
「分かった。一緒に行こう」

ニューポーション300個を特殊な手提カバンに詰めた。
錬金術師専用のこのカバンは、アイテムを最大三万個は保管できるようになっていた。グレイスの経営するコンキスタドール社の製品らしい。


家を出て――久しぶりに露店街を目指した。


オルドリン商会に立ち寄ると、相変わらずパイプを吹かすバズさんがいた。


「よう、カイリ。今日も商売か」
「新型のポーションが完成したんだ。売ってもいい?」
「構わんが……」
「どうしたの?」
「それがな……ちと厄介なことになっていてな」
「厄介なこと?」


バズさんによれば、アークトゥルス帝国の貴族が来訪しているらしく、商売を邪魔しているようだった。……貴族だって?

まさか、爆炎の錬金術師アシャか赤いローブの人物ベガか?

「カイリ、その貴族を何とかしてくれないか。まともな商売が出来なくなって大変なことになっている」
「分かった。追い出せそうなら追い出すよ」
「頼む」

商会を出ると、グレイスが不安がっていた。

「……カイリさん、露店街でいったい何が起きているのでしょう」
「最近物騒な客が多いからね。大丈夫、グレイスのことは俺が守る」
「嬉しいですっ」

手を握られ、俺は頭がぼうっとした。

そんな時だった。
露店街の中央あたりが騒然となっていた。


「我が名はベガ!! この辺りにカイリという者が潜んでいるはずだ!! ヤツを出せ!!」

やっぱりアイツか!!
しかも俺を探しているようじゃないか。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

嫌味なエリート治癒師は森の中で追放を宣言されて仲間に殺されかけるがギフト【痛いの痛いの飛んでいけぇ〜】には意外な使い方があり

竹井ゴールド
ファンタジー
 森の中で突然、仲間に追放だと言われた治癒師は更に、 「追放出来ないなら死んだと報告するまでだ、へっへっへっ」  と殺されそうになる。  だが、【痛いの痛いの飛んでけぇ〜】には【無詠唱】、【怪我移植(移植後は自然回復のみ)】、【発動予約】等々の能力があり······· 【2023/1/3、出版申請、2023/2/3、慰めメール】

異世界チートはお手の物

スライド
ファンタジー
 16歳の少年秋月悠斗は、ある日突然トラックにひかれてその人生を終えてしまう。しかし、エレナと名乗る女神にチート能力を与えられ、異世界『レイアード』へと転移するのだった。※この作品は「小説家になろう」でも投稿しています。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。  どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!  スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!  天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。

勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
クロード・ディスタンスは最強の魔法使い。しかしある日勇者パーティーを追放されてしまう。 勇者パーティーの一員として魔王退治をしてくると大口叩いて故郷を出てきた手前帰ることも出来ない俺は自分のことを誰も知らない辺境の地でひっそりと生きていくことを決めたのだった。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...