闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗

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第27話 新型の魔力回復ポーション誕生?

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ブルーポーションの代替品を作るべく、俺は研究に没頭。ヴァルハラとグレイスが手伝ってくれるし、助かった。

二人とも様々なハーブと薬品を組み合わせてくれていた。だが、ヴァルハラが調合を間違えてポーションを爆発させてしまった。


『――ドォン!!!』


小規模の爆発で済んだが、ヴァルハラの顔は真っ黒になっていた。


「カイリさん、こちら全部試しましたが……魔力は回復しませんでした」
「いや、まてヴァルハラ。今、爆発したぞ! 顔が真っ黒じゃないか、大丈夫か!?」
「えへへ、失敗しちゃいました」


笑っているが、笑いごとではない。一歩間違えれば大惨事だった。


「大丈夫ですか、ヴァルハラちゃん!」


グレイスも駆けつけてくれた。
真っ黒になったヴァルハラの顔をタオルで拭ってくれた。


「だ、大丈夫ですよ、グレイスさん」
「真っ黒になっているじゃないですか。これはお風呂に行かないとですね。カイリさん、ちょっとヴァルハラちゃんをお風呂に入れてきますね」

「ああ、そっちは任せた。俺は片付けをしているよ」


グレイスは、真っ黒になったヴァルハラを連行。風呂へ行った。
……さて、片付けでもするか。


真っ黒になったポーションを廃棄しようとするが――異変があった。

なんだ、ドス黒かったポーションの色が変化している。

どんどん色が変化して、やがて透明となった。


これはいったい、どういうことだ。


試しに飲んでみるか……?
試験管を手に取り、俺はスプーンに一滴垂らした。臭いを嗅いでみると、特に異臭はなかった。

こうなったら試飲してみるか。

腹を壊す覚悟で俺はその透明な液体を飲んだ。


「…………!」


……これは……ただの水なのか?


いや、違う。
魔力がかなり回復している。

これはブルーポーションの効果を持つ透明な液体だ。つまり、ヴァルハラのアレは失敗なんかじゃなかったんだ。

ヴァルハラのヤツ、いったいどうやってこれを!?
量産できれば、ブルーハーブに頼らなくとも魔力を回復できるってことだぞ。


テンションが上がって、俺は風呂場を目指した。


走って向かい、戸を開けてた。


「なあ、ヴァルハラ! さっきの失敗したポーションだけど……あ!!」


目の前には裸のヴァルハラとグレイスがいた。
どうやら、グレイスがヴァルハラの髪を洗っていたようで……背を向けている状態だが、二人とも固まって俺を見ていた。

……やっべ、ポーションのことで興奮して忘れていた!!!


「……カイリさん! ちょ、どうして! 覗きですか!?」
「えっと……カイリさん、その……見ないでください!!」


ヴァルハラもグレイスも大混乱。
俺は二人の透明な肌に目を奪われて――って、ダメだ!!


「す、すみませんでしたあああああああ……!!」



――数分後――


「……カイリさん、お風呂に突撃するだなんてどういうことですか!」
「す、すまない……ヴァルハラ。別に覗くつもりはなかった」
「じゃあ、どういうことですか! わたしはともかく、グレイスさんか顔真っ赤で今にも死にそうですよ!?」

確かに、グレイスはずっと俯いていた。
悪いことをしてしまった。


「グレイス、俺が悪かった」
「い、いいのです! カイリさんになら……見られても……」
「え?」

「い、いえ! なんでもないです! とにかく、あたしは平気なので……その、ヴァルハラちゃん、カイリさんを許してあげましょう」


グレイスは寛大だった。
こんな俺を許してくれるとか女神かよ。


「グレイスさんがそこまで言うなら……。で、カイリさん、理由を聞きましょうか」


俺は、ヴァルハラの作った失敗ポーションが実は“魔力を回復する”という事実を伝えた。すると、ヴァルハラもグレイスも驚いていた。


「「ええっ!?」」


「本当だ。試しに舐めてみただが、微量でかなり魔力を回復したんだ。ヴァルハラ、あれはどうやって作ったんだ?」

「……そ、それは」


レシピを聞いて俺は驚いた。
ヴァルハラのあまりに適当な調合に……頭を抱えるしかなかった。だが、これでブルーハーブは必要なくなった。
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