闇の錬金術師と三毛猫 ~全種類のポーションが製造可能になったので猫と共にお店でスローライフします~

桜井正宗

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第26話 ブルーポーション大量生産

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目から怪光線ビームを放つヴァルハラは、赤いローブの人物を吹き飛ばす。


「ぐ、ぐぉおおおお!? な、なんだ猫の目から急に光があああああああああああ……!?」


圧倒的な魔力にローブの人物の姿が消え去った。

……ふぅ。


「助かったよ、ヴァルハラ」
「いえいえ、これくらいお安い御用です。ただ、倒したわけではなさそうなので……また現れるかもしれませんね」

「その時はその時だ」


* * *


家へ戻り、母さんの無事を確認。
以降は父さんが看病してくれるということで、俺は部屋へ戻った。


「……疲れた」


ベッドに倒れる俺。
今日はいろいろありすぎた。
ポーションを作る気力もなく――俺は夢の中へ落ちた。







――眠い。眠くて眠くてたまらない。
けれど、誰かが俺の体を擦って……起こしてくる。

「……誰だ。俺はまだ眠いんだ」
「起きろ、カイリ」
「え……この声……って、まさか!」

起き上がると、そこにはウィルソンがいた。

「よ、カイリ」
「ど、どうしてここにいるの、ウィルソン!」
「どうしてって……お前の両親にきちんと挨拶したぞ。で、部屋で眠っているから入っていいって言われたからさ」

「そ、そうだったのか」

「なんだかお疲れだな、カイリ。なにかあったのか?」
「いや、なんでもないよ。それより、赤いローブの男って噂になってない?」

「赤いローブ? そんな怪しい人物は聞いてないな」

「そうか。昨晩、赤いローブの人物……ベガってヤツに狙われたんだ。帝国は俺を狙っているらしい」

「マジか。いよいよ有名人だな、カイリ」
「いつの間にかね」
「これからどうするんだ?」

「今まで通り、このアトリエでポーションを研究して露店で商売かな」

フォーマルハウトの話は蹴っちゃったし、帝国からは狙われているようだし……なら、いつも通りにしているのがいいかなって思った。

「カイリがそれでいいなら、いいんじゃないか」
「そうする。ウィルソンも俺のポーション製造を手伝ってくれないか」
「いいよ。妹との約束もあるからな」


今日からウィルソンが俺の部屋を通うようになった。グレイスもたまに顔を出してくれる。


二人と一匹でひたすら高品質のポーションを作りまくった。
特に、高需要のブルーポーションはたくさん量産した。

ブルーハーブは、コンキスタドール社が総力を挙げて確保してくれた。


100個、1000個、10000個……。


持ちきれない量を作って、ついに工房にも入らなくなった。ので、コンキスタドール社の倉庫を借りれることになった。


完成後、露店街へ赴いてはブルーポーションを売りさばく日々。売り上げはどんどん伸びていった。


――あれから、二週間後。


「カイリ、もうブルーポーションの在庫はなくなった」
「マジか、ウィルソン」
「残念だがここまでだ。コンキスタドール社の社員を各地へ派遣してブルーハーブを確保していたが、もう見当たらないらしい」

「そっか……ここまでか。でも十分な利益が出たよ」

「ああ、我が社も潤った。カイリに感謝する」
「いやいや、俺も随分と儲けさせてもらったし、ありがとう」


ガッチリと握手を交わし、喜びを分かち合った。
人々の役に立てたし、これで十分だ。
けど、ブルーポーションが入手できなくなり、困る冒険者は今後多くなりそうだ。

「これからは代替品を考えないといけないかもな」
「……そうだね、ウィルソン。なにか開発してみるか」
「それがいい。カイリになら何か生み出せるさ」


……やってみるしかないかな。
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