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第19話 一方的な婚約
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家の中へ戻り、俺の工房をグレイスに見せた。
「散らかっていて恥ずかしいけどね」
「そんなことはありません。なんて素敵なお部屋なのでしょう」
目を星のように輝かせるグレイスは、楽しそうに試験管を覗く。試作品が入っていて赤、青、黄の液体がそれぞれ揺れ動く。
こんな楽しそうにしてくれると、俺も嬉しいな。
「それは『ダークポーション』と『ホムンクルスポーション』を研究中だったんだ」
「そうなのですね。そのポーションは聞いたことがあります。宮廷錬金術師クラスでないと作れないものだとか。……カイリさんは作れるのです?」
そうだったのか。
でも隠すことでもないし、俺の能力について軽く説明しよう。
「俺はB級の錬金術師だけど、でも上位クラスには負けない程のスキルがあるんだ」
「そうなのですか! カイリさんって実は宮廷錬金術師に匹敵する力をお持ちなのですね」
「まあね。でも、まだ勉強中さ。失敗と成功を繰り返して、それでやっと良い製品が作れるから」
「カイリさんは勤勉でもあるのですね」
なんか尊敬の眼差しを向けられ、俺はむず痒かった。なんだろう……凄く嬉しい。
「良かったら、ポーションを試飲してみるかい?」
「いいのですか! ぜひ飲んでみたいです」
せっかくなのでレッドポーション改を味見してもらう。
グラスを取り、そこへ赤い液体を注ぐ。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
ゆっくりとグラスに口をつけるグレイスは、レッドポーション改の香りと味を楽しんでいた。まるで高級ワインを扱うかのような上品な仕草だ。
「どうかな?」
「まるで高級茶葉……なんと美味しいポーションなのでしょう」
「それは良かった。回復力もばっちりだよ」
「はい、疲れが吹き飛ぶようです! これは午後のティータイムにも合いそうです」
そこまで絶賛してくれるとは、研究した甲斐があった。
そんな中、ベッドで眠りこけていたヴァルハラが“ムクリ”と起き上がり、俺の足元へ寄ってきた。スリスリとされ、俺は抱き上げた。
「どうした、甘えん坊め」
「……あら。その三毛猫ちゃん、可愛いですね」
「ああ、紹介するよ。この猫はヴァルハラというんだ」
「とても可愛い猫ちゃんですね。撫でても?」
「どうかな。他の人に撫でさせたことはないから……」
――それでもと、グレイスは手を伸ばすが……。
『シャ~!!』
とまぁ、ヴァルハラは明らかに威嚇していた。……おいおい。
「ごめん、寝起きが悪いみたいだ」
「い、いえ、いいんです。あたしは昔から猫が懐いてくれないので……はぁ」
ホロリと涙を流すグレイスは、自分の体質の問題だと諦めていた。……それもあったのか?
ヴァルハラは俺の頭の上に乗り、また眠った。どうやらお疲れらしい。それもそうか、徹夜で手伝ってもらったからなあ。寝かせておいてあげよう。
「アトリエはこんなところかな。他には何が見たい?」
「その、えっと……って、カイリさん、頭に猫ちゃんが」
「あー、ヴァルハラはいつもこうなんだ」
「そ、そうなのですか。でも……いいですね」
羨ましそうに見てくるグレイス。その目は恍惚とさえしていた。もしかして、グレイスは猫好きなのか。女の子は可愛いものが好きだし、そうなのかも。
そんな和やかな空気の中、母さんが部屋に入ってきた。
「カイリ、お客さんが来たようよ。あら、この金髪の子は?」
「母さん! ノックして入ってよ。この子は、ウィルソンの妹さんだよ」
「はじめまして、カイリさんのお母さま。あたしはコンキスタドール社を経営するグレイス・フッカーです」
丁寧に挨拶するグレイスに驚く母さん。圧倒さえされていた。
「社長さんなのに礼儀正しい子だねえ。カイリ、こんな美人で可愛い子を離しちゃだめよ!」
「か、母さん。今それより来客だろ」
「ああ、そうだね。玄関前に男の人がいたから行ってあげて」
多分、ウィルソンかな。
「じゃ、行ってくる」
「では、あたしも」
グレイスもついてきた。
玄関を開けると――そこにはウィルソンが……?
あれ。
違うぞ。
ウィルソンじゃない。
髪をオールバックにする背の高い男。二十代前半か後半だろうか。スーツでびっしり決めていた。
「見つけたぞ、グレイス」
「……どうして、貴方が」
どうやら、グレイスを知っているようだ。
この男は一体何者なんだ?
「行くぞ。こんなところに用はないだろ」
「失礼ですね! あたしは今、カイリさんとの用事で忙しいのです。邪魔しないでいただきたい」
「カイリ? ああ、そこのガキか。おい、お前……グレイスは諦めろ。コイツは俺と婚約したんだ」
な!? そうなのか!?
婚約ってそんな関係だったのか……。
「違います! 婚約なんてしていませんし、一方的にそう言っているだけではないですか。しかも、あたしの気持ちを無視して……強引な人は嫌いです」
「そう言っていられるのも今の内だぞ、グレイス。お前の会社を潰すなんて簡単さ。オレと結婚しないと会社は……分かってるな?」
「くっ……」
「まあいい。今日のところは考える時間を与えよう。あと……小僧、グレイスに近寄るな。その女はオレのモンだ。じゃあな!」
背を向け、男は去って行く。
なんか感じが悪いな。
「あの男はなんだい?」
「リランドです。我が社に投資してくれている……伯爵家の息子なんだとか」
マジか。それであんな横柄だったのか。
一方的な婚約とかグレイスは嫌そうだったし、何とかしてやりたいな。
「もし困っているなら……俺を頼ってくれてもいいよ」
「本当ですか! では、カイリさんに恋人になってもらいます」
「んな!?」
「そうすれば、あのリランドも諦めてくれると思うんです。それでいきましょ」
グレイスが俺の恋人に?
それは魅力的すぎる。
彼女を守るためだし、これからの関係を考えれば……やるしかないか。
「散らかっていて恥ずかしいけどね」
「そんなことはありません。なんて素敵なお部屋なのでしょう」
目を星のように輝かせるグレイスは、楽しそうに試験管を覗く。試作品が入っていて赤、青、黄の液体がそれぞれ揺れ動く。
こんな楽しそうにしてくれると、俺も嬉しいな。
「それは『ダークポーション』と『ホムンクルスポーション』を研究中だったんだ」
「そうなのですね。そのポーションは聞いたことがあります。宮廷錬金術師クラスでないと作れないものだとか。……カイリさんは作れるのです?」
そうだったのか。
でも隠すことでもないし、俺の能力について軽く説明しよう。
「俺はB級の錬金術師だけど、でも上位クラスには負けない程のスキルがあるんだ」
「そうなのですか! カイリさんって実は宮廷錬金術師に匹敵する力をお持ちなのですね」
「まあね。でも、まだ勉強中さ。失敗と成功を繰り返して、それでやっと良い製品が作れるから」
「カイリさんは勤勉でもあるのですね」
なんか尊敬の眼差しを向けられ、俺はむず痒かった。なんだろう……凄く嬉しい。
「良かったら、ポーションを試飲してみるかい?」
「いいのですか! ぜひ飲んでみたいです」
せっかくなのでレッドポーション改を味見してもらう。
グラスを取り、そこへ赤い液体を注ぐ。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
ゆっくりとグラスに口をつけるグレイスは、レッドポーション改の香りと味を楽しんでいた。まるで高級ワインを扱うかのような上品な仕草だ。
「どうかな?」
「まるで高級茶葉……なんと美味しいポーションなのでしょう」
「それは良かった。回復力もばっちりだよ」
「はい、疲れが吹き飛ぶようです! これは午後のティータイムにも合いそうです」
そこまで絶賛してくれるとは、研究した甲斐があった。
そんな中、ベッドで眠りこけていたヴァルハラが“ムクリ”と起き上がり、俺の足元へ寄ってきた。スリスリとされ、俺は抱き上げた。
「どうした、甘えん坊め」
「……あら。その三毛猫ちゃん、可愛いですね」
「ああ、紹介するよ。この猫はヴァルハラというんだ」
「とても可愛い猫ちゃんですね。撫でても?」
「どうかな。他の人に撫でさせたことはないから……」
――それでもと、グレイスは手を伸ばすが……。
『シャ~!!』
とまぁ、ヴァルハラは明らかに威嚇していた。……おいおい。
「ごめん、寝起きが悪いみたいだ」
「い、いえ、いいんです。あたしは昔から猫が懐いてくれないので……はぁ」
ホロリと涙を流すグレイスは、自分の体質の問題だと諦めていた。……それもあったのか?
ヴァルハラは俺の頭の上に乗り、また眠った。どうやらお疲れらしい。それもそうか、徹夜で手伝ってもらったからなあ。寝かせておいてあげよう。
「アトリエはこんなところかな。他には何が見たい?」
「その、えっと……って、カイリさん、頭に猫ちゃんが」
「あー、ヴァルハラはいつもこうなんだ」
「そ、そうなのですか。でも……いいですね」
羨ましそうに見てくるグレイス。その目は恍惚とさえしていた。もしかして、グレイスは猫好きなのか。女の子は可愛いものが好きだし、そうなのかも。
そんな和やかな空気の中、母さんが部屋に入ってきた。
「カイリ、お客さんが来たようよ。あら、この金髪の子は?」
「母さん! ノックして入ってよ。この子は、ウィルソンの妹さんだよ」
「はじめまして、カイリさんのお母さま。あたしはコンキスタドール社を経営するグレイス・フッカーです」
丁寧に挨拶するグレイスに驚く母さん。圧倒さえされていた。
「社長さんなのに礼儀正しい子だねえ。カイリ、こんな美人で可愛い子を離しちゃだめよ!」
「か、母さん。今それより来客だろ」
「ああ、そうだね。玄関前に男の人がいたから行ってあげて」
多分、ウィルソンかな。
「じゃ、行ってくる」
「では、あたしも」
グレイスもついてきた。
玄関を開けると――そこにはウィルソンが……?
あれ。
違うぞ。
ウィルソンじゃない。
髪をオールバックにする背の高い男。二十代前半か後半だろうか。スーツでびっしり決めていた。
「見つけたぞ、グレイス」
「……どうして、貴方が」
どうやら、グレイスを知っているようだ。
この男は一体何者なんだ?
「行くぞ。こんなところに用はないだろ」
「失礼ですね! あたしは今、カイリさんとの用事で忙しいのです。邪魔しないでいただきたい」
「カイリ? ああ、そこのガキか。おい、お前……グレイスは諦めろ。コイツは俺と婚約したんだ」
な!? そうなのか!?
婚約ってそんな関係だったのか……。
「違います! 婚約なんてしていませんし、一方的にそう言っているだけではないですか。しかも、あたしの気持ちを無視して……強引な人は嫌いです」
「そう言っていられるのも今の内だぞ、グレイス。お前の会社を潰すなんて簡単さ。オレと結婚しないと会社は……分かってるな?」
「くっ……」
「まあいい。今日のところは考える時間を与えよう。あと……小僧、グレイスに近寄るな。その女はオレのモンだ。じゃあな!」
背を向け、男は去って行く。
なんか感じが悪いな。
「あの男はなんだい?」
「リランドです。我が社に投資してくれている……伯爵家の息子なんだとか」
マジか。それであんな横柄だったのか。
一方的な婚約とかグレイスは嫌そうだったし、何とかしてやりたいな。
「もし困っているなら……俺を頼ってくれてもいいよ」
「本当ですか! では、カイリさんに恋人になってもらいます」
「んな!?」
「そうすれば、あのリランドも諦めてくれると思うんです。それでいきましょ」
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