5 / 43
第5話 大手ギルド解散!?
しおりを挟む
平和な日々がはじまった。
あの撃退以降、フェンリルの気配はない。
俺は家に帰ってはレッドポーション改を作り続けた。
改造ポーションの噂はどんどん広まり、今や列ができるほどの盛況っぷり。
高需要のおかげでもあって、少し高く売れるようになった。
それに感謝されるようにもなった。
「ありがとう、カイリ。このポーションは回復力が素晴らしい」「コスパ最高だよね。接近物理職には助かる」「もっとたくさん作ってくれ!」「予約とかできないの~?」「全部欲しいなぁ」「宮廷錬金術師を超えとるよ、これは!」
絶賛の嵐。
まさかお客さんから喜びの声が貰えるとは、俺も嬉しかった。
「良かったですね、カイリさん」
「君のおかげだよ、ヴァルハラ」
「いえいえ、わたしはキッカケを与えたに過ぎません。力をどうするかはカイリさん次第でしたし」
「けど……いや、分かった」
「それで、お金はどうです?」
「ああ、レッドポーション改を売り続けたおかげで、金貨二枚分になったよ。次の製造に必要な金は貯まった」
フォーゲル銅貨1000ベル、
バーナム銀貨10000ベル、
ハーシェル金貨100000ベル、
と、それぞれの価値がある。
それが今回は金貨二枚分――つまり、20万ベルを獲得した。
これは、まともに働いても得るまでに二ヶ月か三か月以上は掛かる。
「あの、カイリさん。貨幣って硬貨とベルどっちがいいんです?」
「どっちも全地域で使えるよ。でも、場所によっては金貨の価値が下がっていたり、上がっていたりする。その場合は、ベルで所持する方がいいのかもね」
このアルデバラン王国にいる限りは、どっちでもいいといった感じだ。
この資金を元手に、次の改造ポーションを作る。
魔力を三回も回復できる『ブルーポーション改』、状態異常を三回も回復できる『グリーンポーション改』、一定の間だけ攻撃速度と攻撃力を三倍アップする『ダークポーション』、人造傭兵を召喚する『ホムンクルスポーション』……などなど中級から上級のものまで手をつけていこうと考えた。
そうして家に帰ると父さんと母さんが出迎えてくれた。
「おかえり、カイリ!」
「おかりなさい、カイリ」
父さんが俺の肩を叩き、ニコニコしていた。
「今日どうだった、カイリ。また売り上げが上がったのか?」
「まあね。今日で二十万も貯まった」
「二十万!? 凄い稼ぎじゃないか、これで引越しも出来るぞ」
「いや、家とかまだ先の話だよ。この資金でもっと凄いポーションを作って、もっと稼ぐ」
「……ふむ、事は慎重にか。分かった、お前の邪魔はせん。好きにしなさい」
「ありがとう、父さん。それに母さんも」
母さんは微笑んで「晩御飯ができているわよ」と言った。
二人には苦労を掛けているけど、もう直ぐだ。
* * *
晩御飯を食べていると、父さんが神妙な表情で驚くべき情報を教えてくれた。
「カイリ、聞いたか」
「なにを?」
「大手ギルド、フェンリルが……解散したそうだ」
「え!?」
俺は思わず声が裏返った。
あのフェンリルが……解散?
ウソだろ。
信じられなかった。
「驚くのも無理はないだろう。ギルドマスターとメンバーは、お前のことで揉めたらしくてな」
「ベケットは何をしたんだ?」
「元から不満があったのだろろうな。ギルドメンバーは全員脱退したとさ」
そうだったのか。
あのフェンリルのメンバーは、俺を笑う程度の人間だった。けど、ベケットは違った。貴族出身らしいと聞いたから、きっとそういう傲慢な性格が仇となったのだろうな。
「そうか。これでフェンリルも終わりか」
「どうだろうな。ベケットは諦めないじゃないか」
「かもね。アイツの諦めの悪さと言ったら……」
「近所の住人が彼を目撃したそうだ。聞いたところによれば、悔しがり叫ぶベケットの姿があったとか。同時に、怒り心頭のようでな……カイリの名を何度もつぶやき、憎悪しているようだったとか」
マジかよ。
逆恨みとかされても困るな。
焦っていると母さんが俺の手を優しく握った。
「カイリ、何が合っても母さんたちが助けてあげるからね」
「大丈夫だよ。俺はもうC級ランクの錬金術師じゃない。以前とはまるで違う力を手に入れたんだ」
「その言葉を信じているよ。がんばりなさい」
そうだ、母さんたちに不自由ない生活をしてもらいたい。俺自身も今よりもっとマシな生活がしたい。
ヴァルハラの期待を裏切らない為にも、俺はポーションを作り続ける。
あの撃退以降、フェンリルの気配はない。
俺は家に帰ってはレッドポーション改を作り続けた。
改造ポーションの噂はどんどん広まり、今や列ができるほどの盛況っぷり。
高需要のおかげでもあって、少し高く売れるようになった。
それに感謝されるようにもなった。
「ありがとう、カイリ。このポーションは回復力が素晴らしい」「コスパ最高だよね。接近物理職には助かる」「もっとたくさん作ってくれ!」「予約とかできないの~?」「全部欲しいなぁ」「宮廷錬金術師を超えとるよ、これは!」
絶賛の嵐。
まさかお客さんから喜びの声が貰えるとは、俺も嬉しかった。
「良かったですね、カイリさん」
「君のおかげだよ、ヴァルハラ」
「いえいえ、わたしはキッカケを与えたに過ぎません。力をどうするかはカイリさん次第でしたし」
「けど……いや、分かった」
「それで、お金はどうです?」
「ああ、レッドポーション改を売り続けたおかげで、金貨二枚分になったよ。次の製造に必要な金は貯まった」
フォーゲル銅貨1000ベル、
バーナム銀貨10000ベル、
ハーシェル金貨100000ベル、
と、それぞれの価値がある。
それが今回は金貨二枚分――つまり、20万ベルを獲得した。
これは、まともに働いても得るまでに二ヶ月か三か月以上は掛かる。
「あの、カイリさん。貨幣って硬貨とベルどっちがいいんです?」
「どっちも全地域で使えるよ。でも、場所によっては金貨の価値が下がっていたり、上がっていたりする。その場合は、ベルで所持する方がいいのかもね」
このアルデバラン王国にいる限りは、どっちでもいいといった感じだ。
この資金を元手に、次の改造ポーションを作る。
魔力を三回も回復できる『ブルーポーション改』、状態異常を三回も回復できる『グリーンポーション改』、一定の間だけ攻撃速度と攻撃力を三倍アップする『ダークポーション』、人造傭兵を召喚する『ホムンクルスポーション』……などなど中級から上級のものまで手をつけていこうと考えた。
そうして家に帰ると父さんと母さんが出迎えてくれた。
「おかえり、カイリ!」
「おかりなさい、カイリ」
父さんが俺の肩を叩き、ニコニコしていた。
「今日どうだった、カイリ。また売り上げが上がったのか?」
「まあね。今日で二十万も貯まった」
「二十万!? 凄い稼ぎじゃないか、これで引越しも出来るぞ」
「いや、家とかまだ先の話だよ。この資金でもっと凄いポーションを作って、もっと稼ぐ」
「……ふむ、事は慎重にか。分かった、お前の邪魔はせん。好きにしなさい」
「ありがとう、父さん。それに母さんも」
母さんは微笑んで「晩御飯ができているわよ」と言った。
二人には苦労を掛けているけど、もう直ぐだ。
* * *
晩御飯を食べていると、父さんが神妙な表情で驚くべき情報を教えてくれた。
「カイリ、聞いたか」
「なにを?」
「大手ギルド、フェンリルが……解散したそうだ」
「え!?」
俺は思わず声が裏返った。
あのフェンリルが……解散?
ウソだろ。
信じられなかった。
「驚くのも無理はないだろう。ギルドマスターとメンバーは、お前のことで揉めたらしくてな」
「ベケットは何をしたんだ?」
「元から不満があったのだろろうな。ギルドメンバーは全員脱退したとさ」
そうだったのか。
あのフェンリルのメンバーは、俺を笑う程度の人間だった。けど、ベケットは違った。貴族出身らしいと聞いたから、きっとそういう傲慢な性格が仇となったのだろうな。
「そうか。これでフェンリルも終わりか」
「どうだろうな。ベケットは諦めないじゃないか」
「かもね。アイツの諦めの悪さと言ったら……」
「近所の住人が彼を目撃したそうだ。聞いたところによれば、悔しがり叫ぶベケットの姿があったとか。同時に、怒り心頭のようでな……カイリの名を何度もつぶやき、憎悪しているようだったとか」
マジかよ。
逆恨みとかされても困るな。
焦っていると母さんが俺の手を優しく握った。
「カイリ、何が合っても母さんたちが助けてあげるからね」
「大丈夫だよ。俺はもうC級ランクの錬金術師じゃない。以前とはまるで違う力を手に入れたんだ」
「その言葉を信じているよ。がんばりなさい」
そうだ、母さんたちに不自由ない生活をしてもらいたい。俺自身も今よりもっとマシな生活がしたい。
ヴァルハラの期待を裏切らない為にも、俺はポーションを作り続ける。
10
お気に入りに追加
823
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
嫌味なエリート治癒師は森の中で追放を宣言されて仲間に殺されかけるがギフト【痛いの痛いの飛んでいけぇ〜】には意外な使い方があり
竹井ゴールド
ファンタジー
森の中で突然、仲間に追放だと言われた治癒師は更に、
「追放出来ないなら死んだと報告するまでだ、へっへっへっ」
と殺されそうになる。
だが、【痛いの痛いの飛んでけぇ〜】には【無詠唱】、【怪我移植(移植後は自然回復のみ)】、【発動予約】等々の能力があり·······
【2023/1/3、出版申請、2023/2/3、慰めメール】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界チートはお手の物
スライド
ファンタジー
16歳の少年秋月悠斗は、ある日突然トラックにひかれてその人生を終えてしまう。しかし、エレナと名乗る女神にチート能力を与えられ、異世界『レイアード』へと転移するのだった。※この作品は「小説家になろう」でも投稿しています。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
クロード・ディスタンスは最強の魔法使い。しかしある日勇者パーティーを追放されてしまう。
勇者パーティーの一員として魔王退治をしてくると大口叩いて故郷を出てきた手前帰ることも出来ない俺は自分のことを誰も知らない辺境の地でひっそりと生きていくことを決めたのだった。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる