3 / 7
第3話 委員会と部活
しおりを挟む
委員会。
「まずは委員長を決めます。やりたい人、いますかー?」
こういうのは長丁場、とりあえず静寂が続くと相場が決まっている。
俺はヒラでいいやー、とりあえず誰か委員長に立候補してくれー、と思って見ていると。
「じゃあ私、委員長やります」
氷沢が立候補した。うーわ、余計に役職着きたくねえ。
「どうしたの、透也くん?なんかすっごい嫌そうな顔してるよ」
思わず顔に出てしまったようだ。とりあえずごまかしておこう。
「まあいろいろあって...ここじゃあれだからまたおいおいね」
夏澄は頬を膨らませて不満を態度に出すが、俺は知らないふりをしておく。
「はいじゃあ副委員長!やりたい人いますか?」
いつの間に司会が変わっていたらしい。氷沢の嫌に響く声が場の空気をガラッと変える。俺はいつの間にか、氷沢に対する嫌味を言う気にはならなくなっていた。
「副委員長やる人、いませんかー?」
ただ、人に働きかけるだけの力は無いようだった。
「どうする?私、早く部活行きたいんだよね~」
「そうだなー、誰か出てくれないかなあ」
みんな早く帰りたい、部活に行きたいというオーラがにじみ出てきている。
「ぅーーーーーーーーー」
唸る。俺も早く終わらせたい。だけどみんなやらない。なら俺が、と言いたいが委員長はあいつ。ううーーーー。
「じゃあ、私が副委員長やるから、透也書記やってよね」
「分かった」
即答。次の瞬間夏澄が立候補する。あたり一帯に安堵の空気が広がる。
「じゃあ次、書記を…」
☆☆☆
「なんで書記にならなかったのよ!」
「だって一年しかなれないっていうから…」
「そんなこと無視しなさいよ! 私なり損じゃないの!」
俺は約束をしたが、普通に書記にはならずヒラになった。まあだから、今怒られているんだが。
「もう、しょうがないんだから」
とりあえず許してくれたようだ。ありがとう。
「っと、こんなことしてる場合じゃねえ! 部活行かねえと!」
「頑張ってね~!」
夏澄は確かバレー部。バレー部は休みだそうだ。羨ましい。
☆☆☆
俺がチャラい格好をしていた理由。俺が、軽音楽部だったからだ。
「再来週ライブあるから! それまでに各バンドオリ曲を完成させておくように」
オリ曲…。とりあえず適当にギターを弾いてみる。こうすると歌詞やメロディーを思い浮かぶことがある。いつもは浮かぶ歌詞ですら、今日はなぜかちっとも思い浮かんでこなかった。最悪の出会い。そして再会。委員会の孤独。なぜか俺は、氷沢のことを考えてしまっていた。
(あいつは…孤独なのかな…)
いつも女子と戯れている姿。連帯して男子を追い詰める暴君の姿。でも俺は、その中に"孤独"が見え隠れしているような気がしてならなかった。
「今度は…友好的に声かけてみようかな…」
嫌がられると分かってても。心を開いてくれないと分かっていても。それでも、なんかそうしないといけないように思えた。
結局その日は歌詞を書けなかった。
「まずは委員長を決めます。やりたい人、いますかー?」
こういうのは長丁場、とりあえず静寂が続くと相場が決まっている。
俺はヒラでいいやー、とりあえず誰か委員長に立候補してくれー、と思って見ていると。
「じゃあ私、委員長やります」
氷沢が立候補した。うーわ、余計に役職着きたくねえ。
「どうしたの、透也くん?なんかすっごい嫌そうな顔してるよ」
思わず顔に出てしまったようだ。とりあえずごまかしておこう。
「まあいろいろあって...ここじゃあれだからまたおいおいね」
夏澄は頬を膨らませて不満を態度に出すが、俺は知らないふりをしておく。
「はいじゃあ副委員長!やりたい人いますか?」
いつの間に司会が変わっていたらしい。氷沢の嫌に響く声が場の空気をガラッと変える。俺はいつの間にか、氷沢に対する嫌味を言う気にはならなくなっていた。
「副委員長やる人、いませんかー?」
ただ、人に働きかけるだけの力は無いようだった。
「どうする?私、早く部活行きたいんだよね~」
「そうだなー、誰か出てくれないかなあ」
みんな早く帰りたい、部活に行きたいというオーラがにじみ出てきている。
「ぅーーーーーーーーー」
唸る。俺も早く終わらせたい。だけどみんなやらない。なら俺が、と言いたいが委員長はあいつ。ううーーーー。
「じゃあ、私が副委員長やるから、透也書記やってよね」
「分かった」
即答。次の瞬間夏澄が立候補する。あたり一帯に安堵の空気が広がる。
「じゃあ次、書記を…」
☆☆☆
「なんで書記にならなかったのよ!」
「だって一年しかなれないっていうから…」
「そんなこと無視しなさいよ! 私なり損じゃないの!」
俺は約束をしたが、普通に書記にはならずヒラになった。まあだから、今怒られているんだが。
「もう、しょうがないんだから」
とりあえず許してくれたようだ。ありがとう。
「っと、こんなことしてる場合じゃねえ! 部活行かねえと!」
「頑張ってね~!」
夏澄は確かバレー部。バレー部は休みだそうだ。羨ましい。
☆☆☆
俺がチャラい格好をしていた理由。俺が、軽音楽部だったからだ。
「再来週ライブあるから! それまでに各バンドオリ曲を完成させておくように」
オリ曲…。とりあえず適当にギターを弾いてみる。こうすると歌詞やメロディーを思い浮かぶことがある。いつもは浮かぶ歌詞ですら、今日はなぜかちっとも思い浮かんでこなかった。最悪の出会い。そして再会。委員会の孤独。なぜか俺は、氷沢のことを考えてしまっていた。
(あいつは…孤独なのかな…)
いつも女子と戯れている姿。連帯して男子を追い詰める暴君の姿。でも俺は、その中に"孤独"が見え隠れしているような気がしてならなかった。
「今度は…友好的に声かけてみようかな…」
嫌がられると分かってても。心を開いてくれないと分かっていても。それでも、なんかそうしないといけないように思えた。
結局その日は歌詞を書けなかった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【7】父の肖像【完結】
ホズミロザスケ
ライト文芸
大学進学のため、この春に一人暮らしを始めた娘が正月に帰って来ない。その上、いつの間にか彼氏まで出来たと知る。
人見知りの娘になにがあったのか、居ても立っても居られなくなった父・仁志(ひとし)は、妻に内緒で娘の元へ行く。
短編(全七話)。
「いずれ、キミに繋がる物語」シリーズ七作目(登場する人物が共通しています)。単品でも問題なく読んでいただけます。
※当作品は「カクヨム」「小説家になろう」にも同時掲載しております。(過去に「エブリスタ」にも掲載)
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
消極的な会社の辞め方
白水緑
ライト文芸
秋山さんはふと思いついた。仕事を辞めたい!
けれども辞表を提出するほど辞めたい何かがあるわけではない……。
そうだ! クビにしてもらえばいいんだ!
相談相手に選ばれた私こと本谷と一緒に、クビにされるため頑張ります!
『少女、始めました。』
葵依幸
ライト文芸
心と体を満足させる「少女宅配サービス」
“貴方に寄り添うパートナー”! 失ってしまったあの想いを、傷ついてしまった心を癒すために、貴方にピッタリな一体をお届けいたします。
そんな詐欺のようなサイトを間違ってクリックしてしまった男の元に届けられたのは一人の少女だった。
就職面接の感ドコロ!?
フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。
学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。
その業務ストレスのせいだろうか。
ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。
Charming Tomorrow チャーミング トゥモロー
Ymsktksh i.jp
ライト文芸
ユウジ(*≧∀≦*)!とキョースケ(´༎ຶོρ༎ຶོ`)/2人が
率いるバンドメンバーのシュンΣ(゚д゚lll)、アキト(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾
それぞれが、それぞれの未来に向かう物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる