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岐阜での日々
天照女神像2
しおりを挟む永禄12年4月末・岐阜フロイス邸
別室にて天照女神像を知識と技術の神オモイカネと戦神フツヌシノオオカミに検分してもらったところ、やはりこの像はとんでもないチートであることがわかった。
この像にはアマテラス様の呪い…もとい、強力な加護が与えられており、伝播力と影響力・洗脳力や依存性といったものが半端ないのである。
洗脳力や依存性には段階がある。
まず、これを石膏などで大量生産し、三文くらい(安いことの代名詞的な値段)で特定の地域に売ればあっという間に売り切れるだろう。この像を買える者は(買える余裕がない者は欲しくならない)この像を買いたくて仕方なくなるのだ。よほど意志が強くないと、この像の伝播力や洗脳力には打ち勝てない。無意識のうちに買ってしまうのだ。
そして、これを購入した者はアマテラス様を崇拝し暇があれば一心に祈るようになる。
次の段階に入ると、他の人にもこの像を買って崇拝するように勧め、同好の士として集まるようになる。横のつながりができるのである。
それから、この像を売っている行商人にこの像についていろいろきいたり、アマテラス様の教え(仮に天照教とする)をこうようになり行商人を敬うようになる。
さらに、この像を作った人はもっと偉い。いや、その人が仕えているひとはもっと偉いというように縦のつながりが生まれてくる。
つまり、天照女神像を作った堯俊を俺に仕えさせれば堯俊より俺の方が地位が上となる。
まあ、最終的には俺が仕えている信長様が一番偉いということになるのだが。
そして、天照教の信者は天照教内での地位の高い者が信者にくだす命令は忠実に実行にうつすようになる。
例えば、将軍は敵だとか延暦寺は敵だと上位者がいったら、それらは狂信的に・徹底的に打倒されすり潰されることになるだろう。
この像を使えば、自分の意のままに動員できる兵士やスパイ、暗殺者などといった者がこの宗教を広めた所では瞬時に手に入るわけである。
胤舜が持ってきた印鑑にも同じ効力がある。その印鑑が押された書状の内容に信者は逆らえない。
まさにチート。
まぁ、チートに頼らなくても、この時代における他の宗教にも同じ側面はある。
例えば、現在俺が所属していることになっているキリスト教のカトリック派。
1596年に四国の土佐沖に沈没したサンフェリペ号の船員は豊臣秀吉の奉行である増田長盛が取り調べた時の質問「どうやってスペインはアジアに広大な領土をもつにいたったのか?」に対してこう答えたという。
「スペインはカトリックの宣教師を世界中に派遣し布教するとともにその他を征服することを事業としている。それはまず、その土地の民を教化し、しかるのちにその信徒を内応せしめ、兵力をもって併合させるにあり」と
信徒を洗脳し、それらを用いれば他国を簡単に内部から崩すことができ、自分たちのものにすることができるということである。
このような特性がカトリックに潜んでいるというのが俺がカトリックの宣教師に転生した大きな理由の一つであった。
カトリックがアジアおよび日本に広りきった所を見計らって俺が宣教師としてアジアにおける最高司祭の地位につき、宗教改革を行なって日本を含むアジア全域の信者をねこそぎ奪いとって信長様のために働かせようと企んでいたわけだ。
だいたい、日本にキリスト教を布教するにあたって、ヨーロッパの宣教師達は〝キリスト教は日本古来の宗教である・天道と同じものである〟と喧伝して広めようとしているからな。
天道とは、お天道様というように日本の太陽神信仰のことを指す。
つまりは、日本のアマテラスオオミカミと仏教の大日如来が同じものであるとして信仰するのが本来の天道なのである。
だから、日本を中心として広めたキリスト教が天道と同じものである以上、アマテラスオオミカミを信仰する宗教に変化というか、回帰してもなんの問題もないだろうという宗教改革。
だが、もうその必要は無くなった。
この像を日本およびアジアに伝播させればカトリックののっとりや宗教改革などという労無くしてその地域の民を手に入れることができる。
さしあたっては堯俊を秘密の部下にし、(俺に堯俊が仕えていることは当面誰にも明かさないようにする。バックに俺や織田信長がいることがバレたらスパイ工作などの作戦が崩壊する恐れがあるため)懇意にしている商人達に織田家にとって厄介な勢力にこの天照像を広めておいてもらおうか。
厄介な勢力。越前や丹波などの領民・一向宗(浄土真宗本願寺派のこと)の信徒達・キリシタンそして、浅井家の所領の民などにな!
…………………………………………………………………
ルイス・フロイス
主君:織田弾正忠信長
所領:なし
禄高:3000貫
役職:軍師兼鉄砲奉行
官位:無し
直臣:なし
裏家臣:堯俊
直属兵団:なし
協力者:帰蝶、斎藤新五郎(麾下の加治田衆も含む)丹羽五郎左、今井宗久など
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